2002/8/7-9 穂高縦走

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   穂高連峰縦走記録

                            文責 関口(22期)

<期日>
2002/8/6〜8

<メンバー>
CL関口(22),SL佐藤岳(22),渡部(23)

<行程及び詳細>順番は始終関口渡部岳仙であった。

1日目(8/6)晴れ
上高地バスターミナル17:00-18:00天然クーラー-19:26岳沢ヒュッテ(幕営)就寝21:00

関口は新穂高で合宿B隊と別れバスで上高地へ(平湯乗り換え)。2時半頃着く。
ロビーで岳仙がくたばっている。足下にはスーパードライが。いい生活してん
な。渡部はそこらをうろついていた。とりあえず下界の物を食っていない関口が
レストランへ行くことを希望。合宿の話をしつつ水がただで飲めるのをいいこと
に居座る。四時過ぎにようやく岳沢ヒュッテまで上ろうということに何となくま
とまる。みんなめんどくさいを連呼しながら荷物をまとめる。しかし軽量化のは
ずが関口が合宿隊にフライを預けるのを忘れたため今流行の無駄ボッカをする事
になる。ありったけ水を持って出発。貧乏なり。

登山道には水平距離換算したと思われる「岳沢ヒュッテまであと○○分」の看板
が沢山ある。日もちょうどよく傾き涼しい中快調に進む。途中休憩では俄然小屋
泊で、との声が上がり「テントは泊まるためにあるんじゃないんです。鍛錬のた
めにあるんです。非常時になったら立てればいいんです」という座右の銘?がで
きる。岳沢ヒュッテ近くになるといい感じに暗くなりみんな足音を出来るだけ忍
ばせながら近づいて行くも小屋の人に笑顔で迎えられテン場代を払ってねる。隣
のテントからはずっと人間のモノとは思われない声が聞かれた。

2日目(8/7)晴れのち曇り
起床2:30岳沢ヒュッテ4:05-5:13岳沢パノラマ手前-6:26紀美子平(デポ)-7:12前
穂頂上-7:50紀美子平-9:12奥穂頂上9:50-10:30穂高岳山荘-12:00最低コル-13:20
北穂南陵のテン場(幕営)就寝18:30

今日はどちらかというと体力重視の日。すでにコースタイムで2:30行程を早めて
いるがとりあえずヘッテン頼りに前穂を目指すことに。途中から鎖や梯子が現れ
始め二本足では上れなくなってくる。カモシカの立場からは森林限界を超え、足
下がザレていたりもするがメンバー全員安定した登りを見せ問題なく進む。特に
渡部は雷鳥において沢登り、岩登りの経験はおろか御殿下も未経験であるが動き
は静かで安定しており、これならこの先の涸沢槍や大キレットにおいても大丈夫
であろうという確信を関口は偉そうに思った。さすが石槌山をホームグラウンド
とするだけのことはある。紀美子平手前スラブ上の長い鎖場は高度感も出てく
る。しかし鎖に頼ることなく十分上れる程度なので基礎に忠実に行けばよい。こ
れ以後前穂山頂まではペンキは多すぎるほど付けられてはいるが踏み跡もやたら
とついているため確実にペンキを追って行くべき。かくいうCLはやたらと間違え
さぞかし残りの二人は不安になったことだろう。紀美子平〜前穂山頂はかなり急
な部分もある。難しくはないがあまり合宿向きではないだろう。

ピストンを済ませ奥穂に向かう最低コルの手前のトラバースはエアリアに「残雪
時のスリップ注意」とあるが一般ルートとしては残雪なら迷わず引き返すべきだ
と思う。途中スラブのトラバースもありいやな感じ。コルをすぎると後は主にト
ラバースだが所々手足を使って上っていく感じ。合宿の槍の東鎌尾根よりはこち
らの方が多く手を使う。すれ違う人も多い。快調なペースで奥穂に着くと山頂は
ツアー客でにぎわっている。証拠写真を撮り少し贅沢に休む。すぐにガスが出た
ので短い間ではあったが噂通り360°の展望を楽しむことが出来た。御嶽、乗鞍、
八ヶ岳、南ア、冨士山が見渡せた。関口地元の四阿山も見ることが出来感激。予
定の時間よりかなり早いので穂高岳山荘を越え、北穂高小屋で幕営することにす
る。奥穂を下るとすぐにガスが晴れ、憧れの西穂〜奥穂間が見える。ジャンダル
ムのトラバースを始め厳しいコースに目を奪われる。いつかまた来ることを夢見
ながら先に進む。

奥穂からの穂高岳山荘手前はかなり急な岩肌を下ることになる。落石には十分注
意がいる。どこが間違い尾根か気付かないままペンキ印に導かれて降りた。穂高
岳山荘で初めて水1.5リットル買う。いざ涸沢岳へ。涸沢岳まではやや急登。問
題はその先、涸沢岳〜北穂である。途中のルンゼ状の鎖場では後ろ向きになり足
を一歩一歩下げねばならず足場用に金属杭も打たれている。まず関口が下るが途
中でザックが詰まってきたため後ろ向きになる。このときが一番危険だと思う。
初めから後ろ向きでおりるべきだった。このあとも最低コルまでは緊張を緩める
ことが出来ない。鎖も場所によっては全く当てにならないようなモノもあり最低
コルについたときにはみな結構いっぱいいっぱいだった。特に怖いのはなめらか
な岩面に砂利が乗っているときで足が滑りやすい。関口は一瞬足が滑ってかなり
びびった。そういうことの後は足にも力が入らなくなったりするので余計怖い。
岳仙も似たようなことがあったようだ。最低コルからは登りになりやはり下りよ
り高度感も少なく楽である。とは言ってもしっかり鎖場もあるしザレているので
基本に忠実に上る。北穂南陵の分岐は稜線から信州側に降りたところにある。す
ぐのところがテン場。10張りはいけると思う。しばらくまったりした後テントを
張ってお昼寝。確信犯的に天図をとり逃す。渡部のi-modeにより明日は晴れ時々
雨と知る。さっさとJを食べて寝る。しかしこの後夜中じゅう猛烈な風が吹き、
またテントを張った場所が狭くフライと本体の間に風が入り込んだためもみく
ちゃにされる。途中渡部が張り直してくれたらしいが張り綱が抜けてフライが半
分くらい風になびいていたとのこと。危ない危ない。換えを持ってきといてよ
かった(←違う)。

3日目(8/8)晴れっぱなし。朝方はガスが巻いたりもしたが。

朝起きると昨日の続きで風が来るたびテントがつぶれる。渡部の話では有り得な
い形になっていたとのこと。飯食っている最中も気が抜けない。遠くからゴォー
という音が聞こえるとみな「‥‥‥きたきたきたぁああー!!!」とわめきすぐに
テントが右へ左へ傾く。落ち着いて飯も食えない。撤収の際も渡部の銀マが飛ん
だりした。時間はまだ早くガスも濃いがガスの切れ間は遠くまで晴れており、日
が高くなればガスも風もやむモノと予想して出発。北穂山頂では片岡鶴太郎を発
見。記念撮影をお願いすると快く引き受けてくださった。未だガスも濃いため
とりあえず小屋で様子を見ることに。5時半頃に行けるところまで行こうという
ことで小屋を出発。小屋からすぐきつい傾斜の下りだが岩もしっかりしており信
州側であるため高度感も少なく快適に下れる。しばらくすると岐阜側を回りこみ
急な鎖場の下りとなる。切りたった滝谷の暗く凶悪な風景とともに足場の悪さ、
そして吹き上げてくる風のために皆かなりびびる。躊躇っている間にブロッケン
現象が岐阜側に見えた。自然の美しさと厳しさは表裏一体などと陳腐な言葉を今
更ながら実感し、腹をくくって進む。岐阜側を通っている間は途中気を抜けると
ころは一カ所もない。そして飛騨泣き。はじめ岩をまたぎながら進むことも考え
るがどうもよろしくない。鎖のある信州側をトラバースして通過する。ここから
も難所は続くがA沢のコルまで下れば一休みできる。A沢のコルでは外人クライ
マー2人が撤収しているところだった。落石を気にしつつもみなようやく人心地
つけたようだ。テントは4人用くらいなら問題なくはれるかも。

そして長谷川ピークへ。いまだ急な岩場が続くが登りのため先ほどよりはずいぶ
ん楽である。長谷川ピークからはほとんど緩い斜面のトラバースであり普通に2
本足で歩ける。印さえ見落とさなければ問題ない(しっかり何回か見落とした
が)。しかしまだ南岳への登りが待っている。キレットから見る南岳はの噂通り
まさに要塞のよう。梯子が3カ所ぐらいありザレているため油断ならないがやは
り人間の体は登り向きのようだ。しっかりと体を支持し、確実に上って行くの
み。いわゆるドームを越えた後の砂地のトラバースが一カ所怖い他は快適に上っ
ていける。難所をすぎたことを看板で知りみな安堵と歓喜のため息をもらす。と
りあえず山頂に向かい休憩することにし歩き続ける。山頂を一歩一歩目指す間緊
張が徐々にほぐれていくのが心地よかった。山頂でみんな喜びの雄叫びをあげ
る。獅子鼻からは前穂、奥穂、北穂と、通ってきたピークすべてが見渡すことが
出来、なかなか感慨深い。

後は下るだけだがここで気を抜くわけには行かない。今日中に東京に帰るには新
穂高温泉を13:30のバスに乗らねばならずそのためにはコースタイムの半分近く
で降りねばならないから。興奮さめやらぬまま早々に出発し南岳新道を下った。
1999年に出来たばかりのまさに新道で、切られたばかりの這松が痛々しいがかな
り快適に下れる。やれありがたやとばかりに思う存分重力に従って下る。槍平ら
からは一変して平坦な道が続くがここも飛ばし、無事風呂に入る時間を確保。関
口は9日振りの風呂である。入ってもきれいになってないんじゃないかという位
よどんだ浴槽と全然出ないシャワーに懐かしさを覚えながらさっさと上がって
ビールを飲み、バスに乗り込む。そして無事予定より1日早く東京に着くことが
出来ました。お終い。

今回のコースのポイント?
・とにかく周りをよく見てコースを外さないことである。コースを外さない限り
基本通りに三点支持を守って慎重に足を進めていけば無理はないと思われる。
・メインザックは薦められない。特に下りでは重さよりも大きさが問題となり、
ザックが岩などに当たると反動で体が思わぬ方向へ飛び出るので非常に怖い。テ
ント泊なら50リットル強位のザックで行ければベストと思われる(あまりないけど)。
・大キレット前後では大抵岐阜側から信州側に強い風が吹いているようで注意が
必要。つーか怖い。

なかなかチャレンジングでしたが沢山の方のアドバイスもあり無事行って来れて
なによりです。ルートを間違いを指摘してくれたり重い荷物を率先して持ってく
れた岳仙と渡部に感謝。