2002/6/15 勘七の沢

【沢集中】勘七ノ沢遡行記録

▼作成 土松(2)

▼期日 2002年6月16日

▼メンバー
 L土松(2)、中根(10期)、加藤(2)、竹村(1)

▼行程
1030/1045二俣、入渓準備→1110/1145`F1→1200/1230`F2→1235/1255`F3→1300`F4→1335/1355堰堤後の二俣→1400/1500`F5→1558/1615三俣→1700/1720花立山荘裏(遡行終了)→1835滝沢園

▼詳細

■キャンプ場の裏から出合へ向け林道を歩く。早速中根さんが、アイゼンを落とした話、大天狗直下でフレンズが抜けなくて岩をハンマーで砕いた話、シュラフがテントの外へ流れ出ていった話等壮絶な過去を話してくださる。

■F1、5m。リード加藤、ビレイ土松。コールは笛で行う。左から取り付き水流沿いに行ったところで残置ハーケン一本。登り切ったところにはハーケンが2本。セカンドで中根さんが登るが、加藤は懸垂用の残置シュリンゲでセルフを取っていたようで、早速チェックが入る。

■F2、7m。下部は崩壊が進む。「昔はこんなぼろぼろになってなくてもっと簡単だった(中根さん)」、ザイルを出す。リード土松、ビレイ加藤。非常に脆い。右から取り付き登りきったところの木で支点を取る。ルートの途中大きく曲がるところで木に中間支点を取っておけばセカンドはプルージックで登れたのだが。結局竹村はトップロープで登る。

■F3、釜を持つ8m。核心は滝自体ではなく釜の右側のへつりである。加藤は滝の左を行ったが逆層で悪かっただろう。土松、取り付くも速攻で釜にドボン。中根さんが腰を低くしたかっこいいムーブを披露してくださる。次に取り付いた竹村も余裕でこなす(くそー)。土松リトライ。でもやっぱりドボン。結局バシャバシャ泳いでいった。楽しかったです♪

■F4、2段12m。下部は簡単。上部ルンゼも簡単。問題はその間のへつりである。正直この滝は怖かった。ここも、「昔はこんなぼろぼろになってなくてもっと簡単だった(中根さん)」とのこと。加藤がとったルートより少し上を回るルートの方が易しいと思う。安河内さんの記録の「正解は佐藤のとった少し上を回るルート」というはこのことかと後から合点がいった
。

■F5、大滝15m。ここのリードは譲れない。リード土松、ビレイ加藤。コールは笛で行う。左から取り付き水流沿いに直上。途中残置ハーケン3本。下部はやや細かいところもあるが上部はすべてガバ。高度感があることを除けば簡単である。登り終えたところにハーケン2本。セルフを取ってセカンドで中根さんが登る。ここで、流動分散を間違えていた(片方が外れたら終わり、という形だった。反省)ため教えていただきつつ直していたところ、下から「ピー」と笛の音。何を意味した笛かと思ったが支点が出来上がっていなかったので「ピ、ピ、ピ、ピ、ピ」と鳴らす。が竹村は上がってきてしまった。なんでも下では、「笛の音は聞こえなかった(加藤)」「ピピ
ピピピという音ではなくピー(登っていいというサイン)に聞こえた(竹村)」ということだが、竹村がもし落ちていたら大変なことになっていた。(→▼反省)

■その後の滝は容易。ゴルジュ帯の滝も快適。

■10m涸棚、狭い岩溝状の滝。この日はまだ流水があった。最初に登った加藤は落ち口で待っていたようで、セカンドで土松が登っている途中、5mあたりで、加藤が落石(こぶし程の大きさ)を起こす。狭いルンゼの中なので石が加速をつけ走ってくる。どうにかよけた。下にいた竹村も間一髪のところでよける。狭いルンゼの落石がいかに怖いか実感した。加藤、気をつけてください。とっても怖かったです。

■ラストのつめは間違えると恐怖のガレ沢と聞いていたので慎重に読図。二俣に出たところで、土松はここの右の沢が遡行図の「2本目の沢」だと思い、右を主張。加藤はそのひとつ前の二俣の小さな沢を詰めるのでは?と言う(今から思えばこれが安河内隊記録「1.5本目の沢」だったのだろう)。そして中根さんはまだ流水のあった左の沢を主張。結局加藤・竹村は土松を支持。しばし協議。すると中根さん、「俺は左だと思うのだが、ここはリーダー判断で右と行こう。これは賭けだ。土松君の判断が正しい、つまり花立山荘のすぐ裏に出たら君たち3人にビールでもおごるよ」かくして右を詰めることになった。ガレはしばらくで終わり、土の斜面には明瞭な足跡が残っている。勝利の予感。最後は笹の小尾根に上がり、1700、大倉尾根に出た。濃い霧でしばらくはどこだかわからなかったが、霧が晴れると目の前には青い花立山荘の屋根が!...中根さんには大倉に下りた後ビールをいただきました。ありがとうございました♪「土曜でこの時間なら絶対下降するんだがなあ(中根さん@午後5時)」

■下山は竹村をトップに走って下る。汗びっしょり。

■滝沢園に帰ると、テントが一張り。中を見ると、共同装備がわんさか...「そこでまたブチキレですよ。」吉牛じゃないけどサ...自分の持ってきた装備くらい自分で持ち帰りましょうよ。ほんとに。

■中根さんには渋沢の駅まで車で送っていただきました。ありがとうございました。

▼総括
釜やゴルジュも抱え、小さいながらも楽しい沢。大滝はリード初体験には最適だと思った。アドレナリン全開で楽しかったです。ただ、近年明らかに崩壊が進んでいて渓相が荒れている上どんどん登りにくくなっている(F2、F4など)。「10年後にはもうこの沢は登れないんじゃないか(中根さん)」詰めは、10m涸棚あたりから慎重な読図を。

▼反省

■確保技術全般
アンカーの取り方が土松も加藤もまだまだ勉強不足。ザイルワーク自体に時間かかりすぎ。遡行に6時間半もかかった原因はほぼこれである。

■F5について
・土松の反省点。
→流動分散を間違えたこと(猛省)。下にはっきりわかるように笛で指示できなかったこと。
・加藤の反省点
→まず、セカンドの中根さんが登り終えてから吹いた笛は全く意味不明。上は、セルフがとれて準備ができれば笛を吹くし、下がまだ登ってこないなあと思えばまた改めて笛を吹くはず。上の合図なしに下が勝手に判断して登ってはいけない。

■読図
つめを除けば特に難しいところはなかった。ジャストで花立に詰められたのは評価できると思う。

■メンバー
竹村は御殿下でなかなかうまいと聞いていたので、普通に登れるだろうと思っていたが、想像以上にうまかった。加藤もうま
い。メンバーに助けられた。

■判断
滝をどう登るか、ザイルを出すか、どう詰めるか。中根さんは、基本的にリーダーの判断に任せた上で、何かあれば適切なアドバイスをくださった。「連れていってもらう」沢よりずっと大変だったが、非常に勉強になったと思う。

■以上、自分がいかに経験不足、勉強不足か実感した次第です。ただ、自分はまだまだだということがわかっただけでも今回の遡行は十分収穫のあるものだったなあと思います。このような場を与えてくださった佐藤さん、ありがとうございました。そして全く頼りないリーダーをフォローしてくださった中根さん、本当にありがとうございました。お世話になりました。