2003/8/1-5 夏合宿南ア隊

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2003年度夏合宿南アルプス隊記録
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[作成: 24期島田悠彦]


<期日> 2003年7月31日〜8月5日 前夜発4泊5日

<山域/目的地>
南アルプス北部 仙丈ヶ岳〜白峰三山
仙丈ヶ岳3033m 北岳3192m 間ノ岳3189m 農鳥岳3026m

<メンバー>
CL島田 SL渡部 小西 山田 竹村 池内 杉山

<記録>■:コース状況、印象, □:今回の出来事、行動

◎7/31 (新宿)1810===2210(仙流荘)

□新宿では荒木さん、吉田さん、関口さん、土松さんによる見送り。差し入れもいただく。バスは臨時車両
でややシート狭いようだった。仙流荘では、オオムラサキにたかられたり、以後撤収時などよく見かける
ことになる大接近中の火星を見たり。事務所裏で快適に寝る。

◎8/1 (仙流荘)630===705(長衛荘)725-805(2250m)815-907(森林限界)925
-950(小仙丈)1010-1055(仙丈小屋)1130-1155(仙丈ヶ岳)1215
-1245(大仙丈通過)-1303(2750m)1330?-1400(2650m)1425-1520(高望池)

■朝のうちは空青く、バスからも仙丈、甲斐駒、そして鋸がよく見える。
□今日のみ、結果としてトップを竹村、杉山、池内、山田、小西と交代制に。
□合宿のコンセプトについて、使える2年生をつくろうとか、シゴキ山行にしようとか意見が出される。
しかし竹村、とばしすぎ。杉山、山田、池内も結構楽々と続き、これでは小西、渡部、島田あたりがシゴ
かれてる感じで、なんだか狙いと違う。早いうちに音をあげた小西の共装を分ける。早期自覚は大切。
■あっという間という感じで、森林限界に達する。ガスにまかれ、展望いまいち。甲斐駒の白は花崗岩。
□小仙丈の先、数回雷鳥の親子を見かける。今日夕の小西による鯖カレーを、チキンカレーにしてしまおう
と発言するこのサークルの不届きものたちに、親鳥必死の擬傷行動?
■仙丈小屋は山頂直下で高山植物も多く、よい印象。水場もすぐそこで、うまい。
■仙丈から大仙丈の先、2700mぐらいまでは、ひとけのない霧の中のガレ道を緩やかに下っていく。長い。
◇唯一見かけたのは2人組先行パーティー…。
■仙丈の南にある二重山稜の舟窪にはタンポポが咲いており、大仙丈のそれには碑がたててある。
いずれも地形的にはビバーグ可能。大きくはないので視界悪くとも、ルーファイに問題なし。
■2650m位でダケカンバ→シラビソ林。濃く静かで、期待通り雰囲気よし。土尾根は疲れた足にやさしく、
やや広いが道ははっきりしており、たとえヘッ電行動でも問題なさそう。小規模updownを繰り返し、苳の
平を越え、高望池着。苺の花の咲く明るい草地に、池はなんとか残っていた。
■水場は西側にすぐ見え、30mほど下る。片道2分。今回水量はあったが、尾根から下ったすぐそこにある
わけで、水源がわずかの森と草地、よく枯れるという池の他、何か有力なものがあるのか不確かであり、
決して水量の保証はないと考えた方が賢明かと思われる。仙丈小屋で必要量補給すべし。
□着き次第、竹村の今回の合宿にかける気合いの現れ、7kgのスイカを目隠し山田をまわして渡部のストッ
クで割らせようとするが割れぬ為、ナイフで周りから斬り、裂き、切る。喰らいつく瞬間、至福の時。
◇夕食にかかわる長い間、ヘリが上空を飛び回っていた。

◎8/2 300(高望池)410-(◇)-455(2499独標)525-655(両俣小屋)720
-830(尾根取付点)900-955(2550m)1010-1105(2841m)1125-1205(分岐手前)1230-1300(肩の小屋)

□この日はトップ山田。ヘッ電行動。
◇430-440高望池の南の小ピークにあったデポザックと登山靴片方を発見。不審に思い、一応所有者特定を
試みるが不明。後に両俣小屋等で聞いてわかったことを省略して書くと、昨日目撃した先行組のうち青山
学院の人が片足をくじいて、2499独標よりヘリで搬送されたとか。なるほど…。なんでもない道でも、
(疲れ具合等条件によっては)怪我等の事故は起こりうるという現実を厳しく認識。
■独標はきわめて展望良好。小太郎山〜北岳〜間ノ岳が大きい。仙丈、甲斐駒、後方に中アが見える。
□(ワンテンポ遅れて)杉山「北岳って見えるはずだよね。」「マノ岳ってどれ?」
■両俣小屋では「小屋へのゴミ捨て」を奨励してくれている。車も入ると聞くし、甘えることに。
■取付点まで水に浸かる徒渉はなかったが、左俣では沢を何度もわたるため、水量多い時は厄介か。
後半左岸で道が分岐したら、右岸に取付点があるのを意識しておく。取付の左岸に雪壁が残っていた。
□取付点の沢で水浴びする者数名。体を洗うY…。
■尾根にからみながらの急坂は赤マーキング多くあるも、前半倒木で道荒れ気味、道を一時的にはずす。
■本山行随一の激登。普段運動不足の者には結構大変。森林限界〜2841mまでくれば、勝利確定みたいな。
□ガスのかかる北側の尾根に猿をたくさん見かける。なぜこんな高いところに?
■肩の小屋テン場(\400/人)からはボーコン、バットレスがよく見える。目前で崩壊を見た。落石多し。
水場はバットレス側を100m下ったところだが、それほど道は悪くない。往復30分。
□すっかり人が多くなってしまって残念。以後3日間の幕営地をともにしたF島東高も張っている。
□小屋前広場で景色を楽しむ。ブロッケンというにはガスが遠すぎた。雲の多い夕焼けもまあまあ。

◎8/3 230(肩の小屋)335-410(北岳)515-550(北岳山荘)630-720(3055m)730
-810(間ノ岳)1105-1205(農鳥小屋)

□風がきわめて強く、夜中フライが飛ばされそうになる。ジャンボエスパフライは要ペグだ。
■北岳までは、このコース全体に言える事だが、暗くても気をつければ問題のない道。
□黒い翼の形の雲が鳳凰との間の谷に落ちていく。御来光まで強風の中、温かいコーヒーをつくり待つ。
北岳ピストン目的のおばちゃん、おじちゃんどもがヘッ電で行列をなしてやってきてうるさくなった。
■北岳山荘はバイオトイレなどの現代的設備。診療所もある。自炊スペースでホットミルクを作る。
□間ノ岳での3時間。昼寝したり、眺めたり。こんなにのんびりは滅多にできるもんじゃない。仙丈から
やってきた長い縦走路がよく見える。両俣からよくあんなに登り返したものだ。そこ縦走っぽくない。
■間ノ岳からの下りは灰色の立派な二重山稜の一番左の尾根を下る。視界悪時はコンパスをきるべし。
■農鳥小屋は"雷鳥はptarmigan."とこだわる内気な体教系の親父による独特の管理体制がしかれている。
水量豊富な水場までの道はよく整備され、往復30分。花の咲く斜面が美しくなかなか秀逸。
□池内によるハンバーグ煮込み。トマト缶爆発により豆板醤で。準備中寝ていた山田のに激辛サービス。

◎8/4 230(農鳥小屋)345-430(西農鳥)530-600(農鳥岳)905-(下降点通過)
-1000(2450m)1010-1100(大門沢小屋)1215-1330(最後吊橋)1340-1430(奈良田)

□朝3度目のサッポロ一番。風弱く、テン場では雲が多かったが、行程中にほぼベストの天気に。
□西農鳥で御来光。良い。間ノ岳とのコルへ西からやってきた雲が甲府側へ下ると消えていくフェーン。
□農鳥での3時間。天気は今回最良。塩見への仙塩尾根がたおやかで良い。悪沢、赤石がよく見える。
もっと縦走したかった者、ヒマをもてあましていた者、下界での今後を考える者、数名。
夏山の良さをそれなりに満喫した者も、おそらく数名。まあ、たまにはこんなのんびりも余暇〜。
出発前(あの)杉山が、よく見える山の名前をひとつひとつ間違いなくあげていったではないか!!
■農鳥から下降点を経て大門沢小屋までは、効率よく標高を下げ、コースタイムは大幅に短縮される。
□大門沢小屋前の沢にダイブしたり、滝に打たれたり。この日のうちに奈良田まで下ってしまうことに。
■概して道はよく、メリハリをきかせれば、はかどる。
□竹村トップで、先行、因縁のF島東高パーティーなどを蹴散らしつつ、追い抜いていく。大人気ない。
□奈良田の里、自販機Dydoの前で乾杯。渡部による豪華な夕食(チンジャオロースー他)で最後の晩餐。
民宿奈良屋の温泉\400に入り、F島東が駐車場にテントを張っているのに仰天しつつ、寺の前で寝る。

◎8/5 (奈良田)657===830(身延駅)==[東海道or中央]==(東京方面)

□精算とかして、さっさと帰宅。帰路、東京へは夏っぽい天気だった。

<ま・と・め>

●今回は結果的に2年6人, 3年1人の偏った構成になってしまったが、2年それぞれがそこそこ、いろいろな
意味で力をつけていることが確認でき、その意味で有意義であった。
●特に(当然のことではあるが) テン場での仕事を自分から取り組んでいく姿勢が各々見られ安心した。
●ただ、読図力に個人差が見られたので、自分から読んでいかなかった側の人は、今後は精進すること。
●天気図は先生からのオフレコの名言が聞けたりしてあまりとらなかったが2年どもが練習すべきだった。
●僕自身がここしばらくなかった程に体調を崩して迷惑をかけたりした他、リーダーとして未熟なところ
もあったが、メンバーひとりひとりにカバーしてもらい、なんとかまともな山行にできたと思う。
●カールあり、ガレあり、森あり、お花畑あり、二重山稜あり、雄大な山ありで、雰囲気の変化があって、
楽しいコースであったと思う。1, 2日の比較的長い行程を問題なくこなし、3, 4日の余裕のある行程を
(正直このメンバーには軽すぎた感もあるが) のんびり過ごせてよかったと思う。最高の昼寝くつろぎ。
ごく贅沢なことを言えば、北岳周辺に人が多すぎたり、岩場等スリルに関わる要素が欠けていたりして、
大縦走を考えていた者には物足りないところがあったかもしれない。まだまだもっとハードだったり、
色々な要素の関わるコースに挑戦したい人は、自分から計画をたてたり、持ちよったりしていきましょ。
●ここんとこ駒場の部会のあと酒飲んでる率の高い面々によって構成されたこの変な隊のメンバーは、
遅まきながらお疲れ様でした。以下僕個人の立場からの謝辞で記録にふさわしくないとは思うけれど…。
ホント頼りになった渡部さんには、かなり頭があがりません。よく読図してトップをやってくれた竹村、
ありがとう。95%ほどしか頭があがらないかも。体調を気遣ってくれたりした池内さん、小西君、それと
地図を所々で意外と読んでいたり、色々笑わせてくれたりした山田、コッヘルをきれいにしたりと割合
積極的だった杉山、ご苦労様でした、ありがとう。
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