2003/9/13-14 万太郎本谷
万太郎本谷遡行記録
文責19期石井
日程 2003年9月13-14日(前夜発一泊二日)
メンバー L石井(D1)、荒木、橋元(4)、小野(3)
総評 美しいナメ、泳ぎ、ゴルジュの突破、ナルミズのような釜の連続、
高巻き、滝登りと内容の濃い沢。
初心者絶対不可、寒い時も不可。グレード2級は不当で、
3級の湯桧曽本谷より手応えがあった。
遡行ポイントは一ノ滝を巻くとして、三ノ滝の登攀。
下部のゴルジュなどは水を嫌わなければ簡単。
ただし、完全に濡れるので寒いとガクガクになること必至。
記録
12日 土樽駅にはおじさんが一人。この人がなかなかくせ者で
京大脳神経外科で医者をしているらしいのだが、いたってマイペースで
がんがん話しかけてくる。
しかも、自販機の電源切るわ、蛍光灯抜くわ(実際に抜いたのは石井だが)
しまいには、駅舎のドアを内側から施錠し他の人が入るのをシャットアウト。
夜半に車でやってきた他の団体と口げんかまで始める始末。
そして、どういう訳か大量のトウモロコシ(生でそのまま食べれるやつ、
ナシのような味で美味)、ナス、ズッキーニ、青唐辛子をくれる。
そんなわけで、ろくに宴会もしないで寝る。
13日 晴れ
土樽駅5:53----6:34入渓点6:55----8:14川棚沢出合8:29----
(オキドウキョウ通過に8:45〜9:00)----9:29イドゴヤ沢出合9:48----
10:42オオグリ沢出合(通過)----11:15デトノタキ沢手前の右岸の沢
出合11:36----(一ノ滝登攀&あきらめ&巻きに12:06〜14:30)----
14:46オタキノ沢出合(幕営)
始めは河原歩きだが、しだいにナメと釜が現れる。
飛び込みスポットやウォータースライダーのできる場所があり
非常に楽しい。
6m魚止めの滝はどでかい釜を左から腰まで浸かりながら進み、
最後の1m程泳いで取り付く。
やや流れがあるので、石井的にはマックスの泳ぎを要する。
寒いとつらいだろうがこの日は新潟で37℃を記録していたようで
風も水も温く感じる。
前半のハイライト、オキドウキョのトロは3つ程トロが連続する。
一つ目は右岸のバンドを進み、泳いで左岸へ。
二つ目は左岸を腰まで浸かって進み、途中からフリクションを使ってへつる。
はっさんは泳いで突破しており、そちらの方が楽そう。
三つ目は水から上がって右岸を巻き気味に越える。
もう濡れる事はないかと思っているとイドゴヤ沢の先に
ゴルジュを伴った4m滝が現れる。
ここは右を胸くらいまで浸かりながら突破。
残置シュリンゲを利用しながら落ち口へ向かい、
最後は倒木を利用して乗り越える。
オオグリ沢を分けるとナルミズ沢のようなナメと釜の連続となる。
とても美しい。
そして初日の核心一ノ滝。
ハーケン、ハンマーがあるので少し冒険することにして、
石井がリード。ルートは右壁。岩にはい上がってから取り付く。
2,3歩登った所でハーケンを打つがきまらず、1/4も行かない所で諦める。
もう1,2歩登れそうではあったがはまりそうなのでやめた。
もう一つ水線に近い方(岩にはい上がらずに取り付く方)に
ハーケンが2枚あったのでそちらの方が楽かも知れないが
どちらにしても中盤が切り立っていて難しそう。
結局一ノ滝は滝手前右のフェース状の所を荒木リードで登り、
巻き道に合流した所から落ち口へトラバース2ピッチで突破した。
巻き道はもう少し戻った所から付いているらしくラストの石井が
登っている間に二人組のパーティーがノーザイルですたすた巻いて行った。
幕営適地が少ないらしいので、泊まれる場所が出たらそこまでにしようと
言って歩き出すと、すぐにオタキノ沢出合右岸に幕営跡発見。初日はここまで。
夕飯はパスタ。大量の薪で焚き火を起こし、これまた大量のナス、酒、
花火を楽しむ。
が、ここで石井が誤って自分の手のひらをナスと一緒にナイフで切ってしまう。
マキロンがしみこんだガーゼ?を患部にあて、三角巾で縛って止血。
翌日のリードは全て荒木に任せる事となる。
9時頃から翌朝までは時折激しい雨となり、やや増水する。
14日 幕営地では雨、行動中は曇りのち晴れ
オタキノ沢出合7:17----(二ノ滝登攀7:33〜7:43)----7:54イシクラ沢
出合(通過)----8:25三ノ滝(登攀に順番待ち。登攀時間は9:16〜11:30)
----11:41ノゾキ沢出合12:00----12:42奥ノ二俣(通過)----
13:50肩の小屋14:30----15:40天神平
出発してしばらく行くと、二ノ滝。
右側が階段状になっておりノーザイルで突破。
イシクラ沢出合周辺はスケール感のあるゴーロ帯。
幕営に最適という所はないが、ちらほら焚き火跡が存在する。
三ノ滝では先行していた2パーティー(計7人)に追いつく。
下段、上段共にでかく、傾斜も予想していたよりきつい。
しばし、先行パーティーの登攀を観察し、それにならって荒木がリード。
下段は水流からだいぶ右に離れた凹部を登り、細いバンド状の所を
水流に向かって左へトラバース。
最後はフリクションを効かせて2,3歩登り一段目の上にあがる。
最後の所は傾斜はねてくるが、ホールドが細かく緊張する。
(中間支点は残置ハーケン3枚、確保は一段目右奥のブッシュ)
二段目は、ガイドによっては水流左をくの字にだの、水流左を行き途中で
右側へトラバースして落ち口ブッシュへなどと書いてあるが、
とてもじゃないが行く気になれない。
よってここも先行パーティーに習い本流右にかかる小さな水流を
登り、途中からブッシュ帯を落ち口まで左にトラバースすることにする。
(関東周辺の沢の記述通りのルートと思われる。)
しかし一段目の確保地点から小さな水流までのスラブトラバースが
かなり冷や冷やもので、残置を見つけられないとしんどい。
小さな水流に達してからは簡単。
三ノ滝を突破するとようやく息をつける渓相となる。
ノゾキ沢手前右岸には笹を踏み倒して作った快適そうな幕営地もある。
二俣状はやや左に引き込まれそうな感があるが、
右へ右へとルートを取れば問題なし。
最後のツメは藪漕ぎ無しで肩の小屋手前の登山道へ抜ける。
肩の小屋の脇で装備を解除し、秋味で乾杯。
山頂へ行きたがる者は一人もおらず、ロープウェイ駅目指して一般登山者の
列に混じる。