2003/8/10 西ゼン

西ゼン遡行記録    文責21期佐藤

 ○期日 2003/8/10 前夜発日帰り

 ○面子 L佐藤(M1) 安中 西井(D2) 石井(D1) 土松(3)

 ○行程 
 土樽5:00-吊橋6:10-7:00入渓点8:30-9:30西ゼン出合9:50-第一スラブ終わり11:10-11:50第2スラブ途中12:05-12:50藪入り口13:10-14:10登山道14:30-16:10元橋

 ○天候 小雨-曇り-チラ晴-曇-晴-小雨-ガス-曇  要はちょっと晴れたけど曇。

 ○総評
  晴れていると入渓から下山まで、かなり爽快な遡行になるだろう。足並みの揃ったパーティがお助け紐をうまく使えば、かなり早く進むことが出来る。ザイルを出せば初心者可。ただし支点を作らなければならないし、ザイル以外の場所でも常にフォローする必要がある。
  良くは無いが悪くもないフリクションが、濡れてもさほど変わらない岩質。ナメ登攀はほとんどやらないでも済む。スラブの処理は、簡単に登れて落ちても止まるルーファンが出来るか、突撃系メンバーが行き詰ったらフォロー出来るかがポイント。   
  入渓点から西ゼン出合まで遡行出来れば、そこから上は水量が遡行の妨げになることは無い。 
  大きい滝が多いが、巻く時はできるだけ小さく巻いたほうがよい。草付きは悪い。
  一番重要なのはスラブでの落石。マジでやばいので下にいる時も上にいる時も要注意。

 ○詳細 (落石と捻挫は後述)
 ・途中渡った橋でめっちゃ増水した本流を見る。ちょっと笑っちゃう。

 ・林道途中で雨が降ってくる。予報ほど天気は良くなさそう。萎えながらも歩く。入渓点までの登山道は沢になっていた。めっちゃ冷たい。入渓点は慰霊碑があるのですぐ分かる。水は明らかに多い。遠くに西ゼン第2スラブらしき流れが見える。なんか真っ白に泡だっていてイメージと違う。水量が減るのを待ちながら焚き火。遡行図やら地図やらくべると結構燃えた。

 ・水量が減らないので西ゼン出合までとりあえず行って様子を見ることに。増水してるけど簡単で面白い。西井さんと安中さんは遅れ気味。荷物重かったと思われる。すいません。

 ・西ゼン出合直前に長さ30m近いスノーブリッジ。中にめんどくさそうなナメ滝がかかっていたので走り抜けず右から巻いた。右側の壁は50m以上残っていた。初めて見るスノーブリッジに感動。我々の目の前でみしりと音がして少し形が変わったりしていたらしい。

 ・西ゼン出合で話し合い。雪渓もあったし増水してるし慎重になってここは引き返そうという案も出た。結局増水は影響なさそうだったのと引き返せなくなる状況になりそうだったら引き返そう、ということで前進。

      でも知ってたよ、最初から行く気満々だったでしょみんな。

 ・出合の大きなスラブ滝二つは右から巻いた。

 ・あまり覚えていないがこのへんに15mナメ滝があったらしい。適当に登って後続をお助け紐で確保したような。ホフク前進で進めばあんまり苦労せずに登れると思う。

 ・第一スラブ直前の滝は左端を巻き気味に登った。この滝の下には崩壊したスノーブリッジの残骸。

 ・第一スラブは右側、ほとんど草付きぎりぎり→中ほどへトラバースして直上。このあたりが一番難しかった。でも一人進めればあとはシュリンゲでフォロー出来る。
 上部からスラブ出口までのトラバースで土松・安中さんをお助け紐で確保。ここも結構悪かった。

 ・つづく幅の狭い滝は水量のため直登は避け、右から植物の生えている限界を小さく巻く。枝沢に下りるところが少しいやらしい。石井は滝を突破していた。

 ・直後の10mほどの滝は左から巻いた。左手前尾根上部分から、もしくは左壁部分から登り、草付きになったら下の方をトラバースするのが吉。草付きの上の方は悪く、尾根から取り付いて上がりすぎた組はなんだか苦労していた。この巻きは高度感があるので初心者は確保したほうが安心かも。

 ・第2スラブはルーファン出来れば簡単。落ちても途中で止まりそうなところを選ぶようにしながらほいほい進む。西井さんはスラブと真っ向勝負していた。私もやればよかった。

 ・第2スラブ最後の滝は左から登った。確保が必要なほどの傾斜ではなく、階段状なので皆フリー。指でつまんだだけでサブザックくらいの岩がごっそり落ちてビビッた。結構岩がもろいのかも。ここは水が少なければ水線突破できるのだろう。

 ・この後は小川歩きと小滝上りが少し続き、湧き水が出て沢が終わっているところで藪漕ぎ開始。踏み跡はすぐ消えた。笹薮漕ぎになるが笹が細いのでそう辛くは無い。私は空身だったからか?上へ上へ行くと池糖ぽいところへ出た。

 ・終電が迫っているのでとりあえず佐藤は先に下山開始。他の人も20分後くらいに出たようだ。草原?湿原?が広がり、歩き煙草で行く木道は最高。全ての時間帯・天候でここの景色を見てみたいと思った。もちろん携帯灰皿必携で。
  平標から元橋への道は良く踏まれ整備されており快適。お花畑の中の道。急ぎものんびりもしないペースで迷うこともなく元橋へ。走れば多分1時間かからない。最初元橋バス停の場所が分からなかった。道路を渡った左側にある。

 ・この後は風呂など入らず高崎に直行、肉を食った。帰りの電車はみんな爆睡。上野で解散。適当に帰る。

 ○落石
  第一スラブの上部まで来たところで、土松が人間を丸めた位のでかさの落石。轟音とともに転がって行った石は直前の6mチムニー滝の下に消え、頭大の破片が滝の落ち口よりも高く花火のように飛び散るのが見えた。あなおそろしや。後続パーティがいなくて良かった。この後、安中さんが落とした小石が当たった弾みで、また人間大の落石。同じように爆散した破片が滝の上まで飛び散っていた。
  台風後で落石予備軍も多かったのだろう。しかし、人間大の岩が50m以上の助走距離で落ちて来る状態が、自然発生し得る場所=第1スラブの真下の滝 ということが良くわかった。ここはザイルなんか出さずにとっとと巻くことをお勧めする。今回は後続パーティもいなくて事なきを得たが、もし誰かいたら、自分だったら、と想像するだけで恐ろしい。

 ○佐藤怪我
  第2スラブ最後の滝の途中で50cm程落ちて着地失敗、右足の甲捻挫、甲を伸ばすと痛い。登攀は可能だったのでそのまま進む。滝が終わってからとりあえず周りに報告。少しスピードが落ちたが自走可能だったので、藪漕ぎの直前までそのまま進んだ。藪突入点でテーピングを施し、荷物を石井さんと土松に渡して空身でゴー。テーピングと空身でだいぶ楽になったので、そう辛くはなかった。端から見れば多分、いつもどおり嫌いな藪に苦められてバテている程度だったのでは?下山もそのまま空身。終電に遅れたくないので他のメンバーより先に出発した。なんだか申し訳無かったので越後湯沢で一升瓶を買い込み、土樽-高崎間でみんなに空けてもらった。西井さんの一升瓶一気久々に見た。
   明らかに痛いのだが甲を伸ばす動きなんて川原歩き以外であまりしないので、大事にはならなかった。メンバーには迷惑をかけました。すいません。ありがとう。
 以後気をつけます。

 ○反省
 ・入渓点で無駄に時間を過ごしてしまった。最初から西ゼン出合まで行って様子を見、判断するのがベストだった。もし今回ザイルを出していたら終電には間に合わなかっただろう。
 ・西井さんにザイルを持たせっぱなしだった。スラブ近辺以外では私が持つべきだったと思う。
 ・雪渓情報をあまり調べずに入渓してしまった。結局がっつりあったので、処理に苦労するような量だったらどーすんだ、と小一時間(略
 ・計画書書くの遅すぎ。直前まで誰がくるのか良く把握できてなかった。

 ○装備
 8mm×45mザイル(西井) 10mお助け紐×2(石井・佐藤) 三つ道具×2(西井・佐藤) お助け紐以外使わず。