2003/5/24-25 和名倉山
=薮= 和名倉山&雲取山記録 =薮=
<作成> 竹村嘉洋(24期)
<日程> 2003年5月24日25日
<メンバー> CL竹村、SL池内、杉山
<天候> 曇り
<行動記録>
5月24日
07:50
半ば強行的に決行した、今回のやぶ山行。
メンバーに不安があるがゆえのスリル。
内心どきどきである。秩父湖バス停発。
橋を二本渡ってから登山道に入る。
二本目の橋は分かりにくい場所にある。
08:20
分岐点通過。見落としやすそうである。
知らないおじさんが少し後をついてくる。
急な登りとハイなペースが、
冬の間になまった体にこたえる。
08:38
一本とる。おじさんに抜かされた。
08:48
発。赤テープについて行ったら、
尾根登りのはずがトラバースして尾根から外れていく。
これではおかしいので、50メートルほど登って軌道修正。
赤テープ多数。
09:18
一本とる。休憩が多くて、調子が出ない。
09:25
発。薮的要素全くなし。
09:39
1007地点を通過。オトシブミの落とし文を見た。
10:24
一本とる。1369の手前。巨大な反射板がある。
展望がよく、秩父湖が一望できる。
この時点では、まだ雲取山ピークを踏めるものだと、
そう確信していた僕らは、幸せであった。
10:48
発。ようやく笹が生えてきた。しかし踏み後は明瞭。
次第に薮は深くなり、背丈は人間のそれを越す。
南南西にしばらくまっすぐ進み、東に曲がるあたりに林業工事の跡。
一升瓶が散乱している。関口さんみたいな人がたくさん来たのであろう。
ここを通過すると、途端に赤テープがなくなった。
どういうことかと不安に思うが、踏み跡があるので進む。
その踏み跡には、動物の糞が延々と散らばっており、
後から思うに、けもの道に迷い込んでいたようだ。迷走が始まる。
ラストを務める池内の「こんなペースは余裕」に触発され、
トップの竹村は、ついとばしてしまう。
セカンドの杉山は、姿は見えないが何とかついてきている音がする。
地図ではずっとトラバース。踏み跡もそのとおり。
迷っていることにまだ気づいていない。
12:25
一本とる。
池内は道が違うと言う。竹村はもう少し進もうと言う。
杉山は興味なさそうにあんぱんをモグモグやっている。
ここで二人の考えている地点を照合すると全然違う。
これはマズい。しかし冷静を装う。
12:45
発。もう少し進むことにする。しかし薮は濃くなるばかり。
いつしか南からは沢の音が聞こえてくる。
ルートファインディング。しかしよく分からない。
しばらく協議した結果、とりあえず上を目指すことに。
14:40
50メートルほど上にあがると、南北方向の尾根線に出た。
薮はほとんどない。石楠花の花が美しい。白樺の若木も良い。
こんなところに別荘があれば、さぞかし優雅な気持ちになれるだろう。
携帯の電波がなぜか入るので、在京のわたべえ先生にメール。
「迷ったよ!」
尾根の東西から、沢の音が聞こえる。
南からも聞こえる。傾斜の最もゆるい南東に下りていくと、
水は北から南に流れている。
沢を和名倉沢と特定し、沢自体は南から北へ流れているので、
1684から南東に沢まで降りたところだと判断。
かなりピンポイントで特定できたのは、不幸中の幸いか。
この時点で、和名倉山頂に幕営がせいぜいだと観念する。
雲取はあきらめる。
16:15
1684めざし薮漕ぎ開始。踏み跡なし。極めて厄介。
背丈をゆうに越す笹薮が、縦横無尽に入り組んで生えている。
時々生えている灌木も邪魔である。今回の山行の核心。
足が地につかない時は一瞬楽だが、落ちると復帰が大変。
天気が悪いのもあって視界はゼロ。地図と磁石だけが頼り。
中アで鍛えた薮漕ぎ能力を、ここで存分に披露することになる。
しかし、中央アルプスより、はるかに厳しい。
17:37
トップ竹村は憔悴しきっている。一本とる。
限界が近いので、池内に代わってもらうことにする。
17:52
発。トップ池内で進む。
やはり二番目以降は楽でいい。
しかし薮は相変わらず深い。
18:25
傾斜がほぼ平坦になってきたので、1684が近いと判断。
ザックをおいて池内と杉山がルートファインディング。
竹村は、自慢の重登山靴で藪をけり倒し、テントを張る。
日が暮れて暗いので、二人は成果なく戻ってきた。
夕飯は杉山によるマーボー豆腐。
悪くないが、挽き肉があるとなお良い。
酒の酔いが切れた途端、隊員たちは恐怖のドン底に。
「遭難」「餓死」
そんな言葉が頭をよぎる。水はもう残り少ない。
杉山「今夜は怖くて眠れそうにないや」
22:37
就寝。
杉山は、シュラフに入って三分後にはイビキを立てていた。
雨がポツポツ降っているようで明日が不安。
5月25日
04:00
起床。誰かが夜通し吐いている夢を見て、気分は最悪。
しかし日はすでにあがっており、昨日の恐怖はなくなっている。
池内による朝食のキムチラーメンは、なかなか良い。
05:14
荷物と杉山を残置してルートファインド。
五分も経たないうちに、竹村は境界見出標と赤テープを発見。
やはり1684であったあったことを知り、自分たちの読図能力に酔いしれる。
でも、それなら最初から迷うんじゃねーよ、という話。
昨日の薮区間では、2時間で750メートルしか進めなかったことになる。
1分につき6メートルちょいのペースである。撤収。
05:50
発。楽しい尾根歩き。テープ多い。踏み跡は明瞭。
07:02
ニ五万の「雁坂峠」に初めて入ったことろで一本とる。
20メートル四方程度のスペースだけ、薮が刈られている。
07:21
発。和名倉山へ行く道との分岐は明瞭。
しかし、近年の三角点ブームにあえて逆らい、
ピークは踏まない英断をくだす。
08:22
1990ピーク過ぎで一本。
09:12
発。池内、竹村はそれぞれ足に怪我をする。
有紗が助けてくれた。
10:50
一般道に合流。
11:03
将監小屋で一本。
火器を使ってカフェオレやココアを飲む。
士気は萎え萎えもいいとこである。
11:55
発。延々とトラバース。つまらない。
13:32
ハゲ岩で一本とる。和名倉山がとても遠くに見える。
ここでも10分ほど歩けば飛龍山ピークを踏めるが、
勇気を出してあえて踏むことを避ける。
どうせ展望悪いしな。
13:50
発。つまらない下山。挫いた足首が痛い。
杉山が嬉しそうに、キャッキャ言いながら駆け降りてくる。
もうアフォかと。
15:10
三条の湯着。タクシーで降りようと思っていたが、
電話が使えないので、お祭りまで歩くことを強いられる。
期待していただけに、ショックが大きい。
15:38
もう全員疲労の限界が近いので、ザックと杉山を残置。
池内と竹村は、走ってお祭りに向かい、タクシーを呼ぶことにする。
健脚競走という建前だったが、5キロくらい走ってお互いの姿が見えなると、、
2人とも面倒臭くなってきたので、それぞれヒッチハイキング。
示し合わせたように同じことをするとは、さすが俺らだなってか。
お祭り山荘で再び出くわした2人は、予想外に相手の到着が早いことに驚く。
「なに、こいつ・・・めっちゃめちゃ健脚やん・・・負けたっ!!」
しかし、お祭り山荘の主人に聞くと、タクシーが林道に入れないことを知る。
もはや愕然とするより、他にない。
17:23
コースタイムによれば、これから出発して、あと6時間後に、
杉山と荷物を回収して、お祭りに戻ってこられるはずである。
どう頑張って死ぬほど走っても、2時間はかかるだろう。
18時23分お祭り発の最終バスに乗ることは絶望的である。
とりあえず、残置ポイントまで引き返すためにお祭りを出る。
幸運なことに、途中で再びヒッチハイクすることに成功。
諜報活動をしている人のようであるが、気づかないふりを装う。
気づいたことがばれたら、東京湾に沈められるかもしれない。
杉山とザックを回収し、最終バスにぎりぎり間に合う。
こんな親切な人がいるなんて、奥多摩も捨てたモンじゃない。
<反省点>
・薮の視界の悪さ、ルート探しの難しさをあまく見て
いました。今後重々気をつけます。
・赤テープがなくなったことに気づきながらも己を過信して
進み続けたこと。これは良くない。
・杉山は、もっとしっかりしてください。
・安易な推論をもとに推論を進めたこと。
・読図が未熟だったこと。
=薮=迷走= おしまい =迷走=薮=