2007/4/28-30 白馬岳周辺
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白馬岳山行記録
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■日時
2007年4月28〜30日
■山行形態
山スキー
■28,30日:白川
29日:白川、中山、佐藤(公)
■コース
28日:猿倉〜大雪渓を途中まで往復
29日:栂池〜白馬乗鞍岳(通称ハクノリ)往復
30日:猿倉〜大雪渓〜白馬岳往復
■コース総評
・暖冬、寒春の影響が強いようで、下で雪が少なく稜線で多い。
・表層雪崩に遭遇してしまいました。詳細は後で。
■記録(兼日記)
○28日 天候:猿倉で雪混じりの雨、白馬尻から上で雪
白馬駅でムーンライト号から下りると猛烈な雨。げんなり。
猿倉に着くと雪混じりの雨になった。猿倉山荘に入って
しばらく朝飯を食って、朝寝(昼寝)して過ごす。
しばらく経つと降雨は小康状態に。擬似好天だとはわかっているが、
行けるところまで行って引き返そうと、とりあえず出発。
大雪渓までの林道は問題なく雪がつながっている。長走沢出合で
水流が出てるけど。
大雪渓に入ると猛烈なガス。周辺が全く見えないので、間違って
白馬沢に入らないように注意。たまにガスが晴れるので大丈夫だけど。
と、ここで一発目の表層雪崩が発生。数百メートル離れた
枝沢で起きた非常に小規模な物なので、起きた瞬間は気づかず、
周りの登山者が「雪崩だ」と言ったので気づいた。直接的な危険は
全く感じない程度。
以降、枝沢には近づかないように歩く。この辺で踝くらいのチビラッセル。
途中、雷が鳴ったと思うと、急に強風が吹き出し、降雪が激しく
なってきた。後から考えればこのあたりで引き返すべきだったと思う。
一つ目のミス。
この時点で登っているのは自分の前を単独行者が1人、4人の登山隊、
後ろを2人のスキー、スノーボーダー、3人?のスキー、スノーボーダー。
この後ろのスキー、スノーボーダーのグループが後で雪崩に巻き込まれる
ことになるとはまだ知る由もない。
しばらく登ると先行する単独行者に追いついた。追いついてから気づいて
驚いたのだが、その先はトレースは無く、膝ラッセル。
登る事に集中しすぎて、新雪が大量に積もっている事に気づかなかった。
周りの状況をあまり見ていなかった、2つ目のミス。
先行する4人組は?そのトレースは?と思い、先頭でラッセルしつつ、
数歩おきに弱層テストを2回。結果、黒に近いグレー、と思った。
体験した事がないくらい、非常に湿った新雪が30cmくらい、その下にザラメ層。
これはヤバい、引き返そう、と思った矢先、頭上で「ボフッ」と音がした。
一瞬全身が凍りつく。しかし、どうも今自分がいる斜面の最大傾斜方向
よりも左側で音がしたように感じる。数秒で、自分の左側5〜20mくらい?を
ゆっくりと雪が滑り落ちていった。厚さはほとんど無い、というか、ほぼゼロ。
幅も細い。が、枝沢ではなく大雪渓の本流で実際に雪崩が起こったということで、
もう一刻の猶予もない。すぐさま滑降準備に取り掛かり、下りだす。
自分が先頭に立ってラッセルを始めてからわずか数十歩のところ。
後続の単独行者とスキー、スノーボーダーの2人組の計3人は、もうちょっとだと
言ってそのまま登っていった。彼らのうちの2人組がその後事故ることになる。
降雪直後だが非常に湿った雪にてこづりながら、安全地帯まで避難。
白馬尻まで来てしまえばもう安心。途中できうるかぎり、出会った登山者には
雪崩が起こったことを知らせる。途中雪は雨に変わり、猿倉に到着する
頃にはずぶ濡れになっていた。
○29日 天候:快晴 強風
朝は路面が凍結していたが、中山さんの車が来る頃には概ね解けた。
今日はハクノリだから楽勝ムード。栂池高原スキー場は下部はほとんど
雪が解けていて春の陽気。
ゴンドラ、ロープウェイと乗り継いで、栂池自然園まで上がるとそこは
まだ銀世界。3月に来た時よりも雪が多いように感じる。
シールを付けて登り始め。天狗原までは樹林帯。そこから見るハクノリの
斜面は真っ白。いいっすね〜。
そこからは白川と中山さんはシールをはずして担いで登ったが、公彦さんは
シール登行で山頂まで頑張った。上部はシールでの限界登行斜度ギリギリ。
ハクノリの山頂は広い!船越の頭から白馬、唐松岳の主稜線まで見渡せて
気持ちいい。けど風がめっちゃ強い。主稜線でも風が大きな雪煙を舞い上げている。
今日稜線まであがらなくて良かった〜と思った。
さて、下山に取り掛かるが、降雪直後に強い日差しを浴びて、雪がグッチャグチャ。
急ブレーキのかかる湿雪に3人してかなりてこづった。それでもスキーは楽しい。
写真撮影をしながら、多少ヨタヨタしながら、あっという間にスキー場に下山完了。
その後はスキー場で10本くらいスキーを楽しみ、ゴンドラで下山。
温泉はガーデンの湯へ。露天風呂からは白馬三山が良く見える、いい温泉。
温泉で中山さんと別れ、猿倉へは公彦さんに送ってもらった。
お2人とも今日このまま帰るとの事。
東京から遠路はるばるありがとうございました。
○30日 天候:快晴 微風
今日はまた1人で大雪渓を登る。白馬鑓の予定だが、積雪期の
白馬岳山頂にはぜひ行っておかねば、と思い、大雪渓の往復とした。
朝早く登りだす。雪は硬く締まっていて、一昨日のような雪崩の
危険は全く感じない。雪が緩む前にと、ガシガシ大雪渓を登り続ける。
途中、一昨日起こったと思われる雪崩の末端付近でブーツが着いたまま
のスノーボードが、滑走面を上にして逆さまに横たわっていた。周囲には
小さい装備が幾つか散乱。戦慄が走る。ブーツに収まった”何か”が
雪の下に埋もれているかもしれない。
恐る恐る、ブーツの下の雪を掘り返してみるが、雪以外何も無い。
ちょっと根拠もなく「安心」したが、この辺に埋まっているのかも・・・。
後日談だが、山スキーMLにて、このスノーボードの持ち主が無事で
あったことが確認された。良かった。この人は雪崩に流され、
身に付けていた装備の回収を全て諦め、28日中に自力下山したらしい。
そんな雪崩の心配が今は全くない大雪渓を、気を取り直してハイペースで
登っていく。岩室の辺りの急斜面に差し掛かると上から昨日頂上小屋に
泊まった登山者がワラワラ下ってきた。
そこの爺ちゃんアブなーい!な感じで足元がおぼつかない人も。
「滑落するなら俺の真上でしないでくれ」などと不謹慎なことを思いつつ、
登っていく。山スキーML情報で、どうやらこの時間帯に会った人の誰かが
滑落したようだ。怪我はしなかったらしいけど。
小雪渓に入ると水分補給を誤ったのかペースダウン。1リットルでは足りず、
水の持参量はもうちょい考えるべきだった。
稜線にたどり着くと、思いのほか雪が多く、夏道が出ている箇所は
全く無く、山頂まで雪は完全につながっていた。
山頂でマターリして、セッピに気をつけながら小屋まで滑って、
小屋でポカリを買って飲んで、いよいよ大滑降に入る。
小雪渓入り口までは北アルプスの山々を眺めながら超爽快!
雪は適度にクラストしていて非常に滑りやすい。
しかし小雪渓に入ると徐々に湿ってきてしまった。
小雪渓から下はザクザクの湿雪。苦労しながら滑る。
今年は快適なザラメがなかなか味わえない。
白馬尻を過ぎ、猿倉まで戻ると荒木さん達が
登山準備をしていた。しばし談笑。明日から悪天候なので、
晴れ自慢はしないでおいた。
でも山崎さんの写真を見るとけっこういい天気だったようで、何よりです。
白馬岳頂上〜猿倉の滑降時間:約45分
※28日の雪崩について
雪崩に巻き込まれた2人組は、最初の雪崩を見て僕が下った後、さらに
1時間半ほど登り続け、そこで2発目の雪崩に巻き込まれたようです。幸いにも
2人とも埋もれることなく、1人がストックを1本なくしただけで済んだようです。
その後他の単独行者と4人組が下りて来て、彼ら2人組も下山を開始したところ、
さらに大きな雪崩が一発。
4人組の誰かが巻き込まれ、人は埋まらなかったものの装備が一部埋もれて、
4人組はそれを掘り返すのに時間がかかったようです。
散乱していたスノーボード装備の持ち主に僕が出会っていたかどうかは
よくわかりません。ともかく全員無事でなによりです。
もう少しで雷鳥の皆様にご迷惑をかけてしまうところでした。
本当に申し訳ない思いでいっぱいです。
今後は気をつけようと肝に命じた山行となりました。
ところで雷鳥で山スキーMLに登録されている方々もいらっしゃると思いますが、
そのMLに4月30日投稿のKさんの記録中、「雪崩を見て下山に取り掛かった
先行するスキーヤー」は僕の事です。
状況を客観的に見ることができて、情報も早く、非常によい情報源だと思います。
ただしベテランばかりなので色眼鏡をかけて読む必要がありますけれど。