2012/8/4-6 八ツ峰上部・北方稜線縦走
------剱岳・八ツ峰尾根上部登山計画書------
■期日 2012年8月4-6日(土日月)3日夜発、予備日なし■山域 北アルプス
■メンバー 2名L山崎 関
■在京責任者 徳永
■アプローチ3日夜(溝ノ口駅南口21時15分集合)、知り合いの車に便乗して大町へ。4日、同車にて扇沢へ。三日目(帰り)トロリーバス時刻表 黒部ダムー扇沢(1605ー1621、1635ー1651、1705ー1721、1735ー1751最終) ※立山黒部アルペンルート時刻表 (http://www.alpen-route.com/book874/index.html)
※帰りはスーパーあずさで東京へ。渉が回数券x2を購入予定。■行動計画
一日目 黒部ダムー(3:00)ー内蔵助平ー(2:50)ー真砂沢ロッジ
二日目 真砂沢ロッジー(2:00)ー八ツ峰5-6のコルー(八峰上部、3:00)ー池ノ谷乗越ー(2:00)ー剱岳ー(長次郎谷左俣,1:30)ー熊の岩(上段)
※熊の岩にテントを置いて尾根歩き ※八ツ峰での懸垂下降、長次郎谷の頭のトラバースでザイル使う ※午後の夕立など急な天候の変化に気をつける
三日目 熊の岩ー(1:30)ー真砂沢ロッジー(6:00)ー黒部ダム
■エスケープハシゴ谷乗越までは引き返す、真砂沢ロッジ周辺では剱沢小屋、室堂へ
二日目、熊の岩へのエスケープ、①池ノ谷乗越から、②長次郎谷右俣から、③長次郎谷左俣から
■地図 エアリア「剱・立山」 二五万「立山・剱岳・十字峡・黒部湖」■温泉 葛温泉 仙人閣 700円(に行きたい)■参考資料
2009年6月号 山と渓谷 p92-93
ヤマケイアルペンガイド 8 北アルプス 剱・立山連峰 p82-93
2012年7月中旬 (http://oyajitama.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-5b49.html)
2006年8月 (http://kazooo.jugem.cc/?eid=290)
------八ツ峰上部・北方稜線縦走記録------
■期日 2012年8月4-6日(土日月)3日夜発、予備日なし
■山域 北アルプス・八ツ峰上部・北方稜線
■メンバー 2名L山崎(25期)、関(25期)
■アプローチ3日夜(溝ノ口駅南口21時15分集合)、知り合いの車に便乗して大町へ。4日朝、扇沢始発の7時半のバスで黒部ダムへ。
■行動・時間
一日目 黒部ダム750—(4:00)—1200内蔵助平—(3:00)—1500ハシゴ谷乗越—(2:20)—1720真砂沢ロッジ
トロリーバスを降りたら、通常の出口ではなく、降りて右奥の通路から臭いトイレの前を通って外に出る。そこからは丸山が目の前に見え、右奥には大ダテガビン。帰りにここを登るのはつらいであろうことを意識的に想像しないようにして、急な坂をひたすら下っていく。
ダムから水が放水され、水が勢い良く流れているものだから、橋を渡るのは少し怖い。黒部川に沿ったトラバース道を進む。途中丸太の橋が掛けてあったりするが、整備されていて問題ない。
丸山東壁への分岐手前の川辺で休憩。ガクトのソールが剥がれてペロペロしてたので、三角巾・テーピングテープで修繕する。テープをぐるぐる巻きにすると結構の量のテープを使うことになるので、後々のことも考えないといけない(ガクトはたまたま何個か持って来ていたので、今回は足りた)。
一般道は内蔵助谷に沿った道だが、丸山東壁へはガレ沢を詰めて行く道で、ハイカーは間違って入り込まないように気をつけたい。
内蔵助平へは急ではないがずっと登りが続き、途中クサリ場、ロープなどの注意すべき箇所がある。沢が蛇行するところを越えると、平らな地形となり、沢にでる。梯子を渡ったところの日陰で休憩。日差しが強い。ガクトが持ってきたキュウイと、渉のバナナを川の水で冷やす。もちろん食べた。
ここからハシゴ谷乗越までガレ沢をひたすら登る。沢の幅が狭くなって左右の草木が迫ってくる後半は急坂となる。乗越の展望台からの内蔵助平の眺めは素晴らしい。剱沢への下りはまず尾根沿いに下るが、ハシゴが連続する。落ちたら危ないので気をつけたい。
景色が開けると、目の前に聳える岩が八ツ峰になる。八ツ峰の下部は扇状になっていて、それを下から観る形になる。またそこからは、赤い屋根の仙人池ヒュッテと池の平小屋も見える。
ハシゴの後はトラバース気味に下って行き、沢に出る手前で、剱沢雪渓へ続く脇道へ入る。真砂沢ロッジの佐伯さんが左右の薮を刈ってくれたからか歩きやすい。雪渓へはロープで下り、対岸の赤ペンキを目指して雪渓を渡る。
ものの10分でロッジに着く。ガクトはキュウイを、渉はバナナではなくてコンビニで買ったつまみ的な何かの貝を差し入れして、ありがたくおいしいコーヒーを頂いた。バイトの人が一人抜けて対応しきれないため、何人かお客を断っているという話を伺ってはいたが、佐伯さんは「昨日は50人捌いたで」と自慢げだった。剱沢下流の橋を自腹で掛けたとか(15万円近くかかったとか)、昨年三の窓の雪渓が氷河認定されたから今年は登る人が多いやろうとか、談笑。
八ツ峰上部ってロープ一本で大丈夫ですかね?と訪ねたら、
「ロープなんていらんやろが(佐伯さん)」「え?どうやって降りるんですか?(渉)」「クライミングダウンや(佐伯さん)」
と表情一つ変えずに言う。訊く人を間違えた。
19時ごろ小屋で天気予報をチェックする。15時~18時、雨マーク。夕立が来そうだ。下界の予報だから、山で降るのはもっと早いか?
二日目 真砂沢ロッジ430—(3:40)—810熊の岩830—八ツ峰5-6のコル900—(八峰上部、5:30)—池ノ谷乗越1430—(北方稜線、3:00)—1720長次郎谷左俣—(1:00)—1820熊の岩
4時出発を目指して、2時45分に起きるつもりが3時に起きる。月は明るく、ヘッドランプ要らないんじゃないかと思うほど。結局4時30分発。
途中雪渓の上を歩くが、この時期水が出ているナムの滝を越えるまでは夏道を辿る。滝を越えたところでアイゼン付けて、長次郎沢出合、長次郎沢を登って行く。辺りも明るくなってきた。奥に聳える熊の岩、北方稜線に日が差していて、別世界の空間だ。
朝は雲もなく晴れ渡っていた。目の前に熊の岩がずっと見えているのだが、なかなか着かない。
ようやく熊の岩に到着し、テントを広げ、荷造り。ロープは二本持ってきたが一本にした。熊の岩は八ツ峰5・6のコルと同じくらいの高さであるので、コルへとトラバースする。
6峰フェース取り付きを経由して岩を越えてコルへ。目の前に30Mほどの残置ロープがぶら下がっているが、三の窓側も偵察してみると、より簡単なルンゼがあったが、下の方の雪がなく落ちたら危ないかなと思って、ロープがぶら下がっている方を登ることにした。下から見るより難しく、結局ロープを出して登った。クラック的な岩だったのでカムが使えた。登りきって向こう側を見たら切れ落ちていたので、三の窓側に降りないといけないなと思った。後から登ってきたガクトには最後のところで三の窓側へとトラバースしてもらう。残置スリングがあったが、別のしっかりしたハイマツで懸垂下降。下降の途中には残置のスリングがあった。結局、偵察した時に見たルンゼに降り立ったのだった。時間は10時…時間をロスした。
だんだん雲が出てくる。そこから、三の窓側をトラバースするように高度を上げて行く。道は割とはっきりしている。ようやく辿り着いたピークで一本。近くには懸垂下降用の残置スリングもある。
目の前に次のピークが見える。ウェブの記録などからすると、さっき登ったのが6峰かな?そうするとこれか目の前のが7峰?おそらく、その辺りのピーク全体を6峰というのだろう。次のピークはさらに高度感があり、それほど時間も経ってないので、休憩せずに懸垂下降へ。懸垂下降用のスリングもしっかりある。
50Mロープを持ってきたがあと5Mほど足りなかったので、二回に分けて懸垂した。ここをクライミングダウンするのは可能ではあるが、落ちたら危ないので懸垂下降がいいだろう。
目の前の岩山は階段状で踏み跡もあって、登れなくはないが、三の窓側のトラバース道があまりにはっきりしていて、コルからの登り始めのことも思い出して、トラバース道を辿ることにした。右奥に見えているのがチ◯ネの左稜線だろうか。トラバースして行き、細いルンゼを越えると、チ◯ネと思われるものが目の前に出てきた。
トラバース道は続いていて、チ◯ネ手前のコルまで来るとコルからは池の谷のガーリーと北方稜線が見えた(12時30分)。巻きすぎた。右のこれがチ◯ネで左が八ツ峰の頭か?左の岩山をトラバースする道を探すか、この岩山を越えるか。ここは迷わない方がいいと思い、ピンもあったし、階段状で簡単そうだったので、一段あがったテラスから左の岩山を登ることにした。一ピッチで行けそうだ。途中の古い残置ハーケン2枚、岩で一カ所、都合良くあったハイマツで一カ所、などでランニングビレイを取りながら、登って行った。階段状のリッジだったので落ちても岩角に引っかかると思いながら登ったが、結局支点の間隔も開きすぎることはなかった。
右下に池の谷ガーリーを見下ろしてのリッジで高度感がある。ピークは狭く、終了点は岩に打ち込まれた古い残置ハーケンが二枚に残置スリング、奥の岩(1Mほどの幅)に懸垂下降用の新しいスリングが掛けられていた。八ツ峰の稜線は目の前のより高いピークに続いていて、振り返るとここより少し低いチ◯ネのピーク。八ツ峰の頭とチ◯ネとの間の無名のピークだった。
奥の懸垂下降用のスリングをバックアップにして確保し、ガクトが登る。懸垂下降用の岩は動かなさそうだったが、気持ち悪いので、懸垂下降の状態で体重を掛けずにクライミングダウンする。
そのコルから八ツ峰の頭へはロープなしで簡単に登れる。ピークに立つと周囲にそこより高いところはなく、八ツ峰の稜線が続いていることから、ここが頭であることが確信できた。テントが張れるくらいのスペースがあってそこで休憩。
長次郎谷右俣が切れているので、8峰(と頭とのコル?)辺りから長次郎谷側へ懸垂下降すべきだったが、頭から長次郎谷側への懸垂下降支点が見つからなかったので、池ノ谷側からコルへと懸垂下降した(2回)。
長次郎谷右俣上部は傾斜が急で、雪渓が切れているということで、そのまま北方稜線を歩いて、左俣から降りることにした。14時を過ぎていたが日が暮れるまでは降りられるだろう。
登り始めからポツポツ雨が降りだし、予報通り15時にはザーザー。岩の稜線なので、滑らないように注意しながら歩く。
長次郎谷側のトラバース2カ所でロープを出すところがある。雨の中ロープを出したくはないが、仕方なく一カ所目でロープを出す。
長次郎の頭のトラバースが二カ所目だが、雪渓が結構残っていて、気持ち悪かったので、稜線上のルートを行くことにした。この頃には雨も止み、振り返ると八ツ峰の稜線が見える。
長次郎の頭からは池ノ谷側へ降りるが、はじめは懸垂下降出来ない急斜面を5Mほど降りることになり、今回一番危ない場面だったと思う。その下は懸垂下降一回、トラバース、懸垂下降一回で長次郎左俣のコルに着く。間のトラバースは難しいムーブで、ロープも出した。
トラバース核心部の長次郎側にピンがある。長次郎谷右俣の下りは、アンザイレンで降りて行った。雪があまり柔らかくなかったので、後ろ向きになる。ガクトが2Mほど滑ったが止まる。同時に自分もバランスを崩したため、ロープの輪を引っ掛けたピッケルを雪に打ち付けるのが遅れた。とっさに対応するのは難しい。
視界が晴れて来たので、熊の岩のテント目指して、降りて行く。途中一瞬だけガレた土の上を歩く。熊の岩の台地に着くと一安心。
テントに着いて、身支度をして、夕飯は少し多め。夜は夜空の星が奇麗で、天の川も見られた。昨夜、真砂沢ロッジではシュラフカバーだけでちょうどよかったが、その晩は寒くて足を温めながら寝た。夜中には、雨がザーザー降ってきた。後で聞くと、その夜、寒気が来ていたようだ。
三日目 熊の岩430ー(1:30)ー600真砂沢ロッジ800ー(8:00)ー1600黒部ダム
昨日と同じように、3時起床。源次郎の尾根の上には月が光っている。
4時過ぎには出発できた。振り返ると、長次郎谷右俣を降りて来る二人組がいた。昨晩を稜線で過ごしたのか。テントなしのビバークだったりしたら、最悪だったろうに。下からは何人か長次郎雪渓を登って来る。
ナムの滝に注意して夏道へ移って、アイゼンを外す。佐伯さんに軽く挨拶してすぐに発つつもりだったが、コーヒーを勧められてたので、二つ返事でそれに甘んじた。
佐伯さんがガクトのペロペロのソールを見て、ありがたく小屋にある靴をいただけることに。ガクトは結構いい靴をゲットした!行きに言うべきだった。
まったりしていると、どっかで見た顔が。知り合いのSさんだった。声を掛けたが、なんだか挙動不振。僕とここで会うのがそれほど気まずいのかと思ったが、聞くと4人で山に入ったが、昨日雨が降ったときにチ◯ネで後続の2人とはぐれてしまったとのこと。ロッジで捜索要請していた。さっき長次郎谷右俣を降りる二人が彼らだった模様。見つからないうちに去るのが申し訳なかったので、罪滅ぼしとして手持ちの麻婆春雨(賞味期限3ヶ月切れ!)とコンビニで買ったうにせんべい(うまそう!)を献上して、ロッジを発つ。下山後Sさんからメールで無事二人が見つかったとの知らせをいただいた。うにせんべい皆でおいしくいただいています、とあった。
さて、8時にロッジを出たが、ハシゴ谷乗越への登り、ガクトは一年振りの山ということもあってコースタイムと同じくらいかかった。その後の長い道のりで、体力も消耗していたからか、結局コースタイム以上かかり、16時に黒部ダム。30分ほど黒部ダムを観光して、16時35分のトロリーバスで扇沢に。扇沢からはたまたま大町に来ていた知り合いの山やの方に迎えに来てもらい、大町市コミュニティーセンター上原(わっぱら)の湯(温泉、400円)で汗を流す。何度も大町には来ているが、初めて大町の町中で蕎麦を食べ、同車に便乗させてもらい東京へ。調布でデポしていただく。
■まとめ
剱岳山頂へはカットしましたが、八ツ峰上部、北方稜線を楽しんできました。結局、八ツ峰上部の核心部である7・8峰を巻いてしまいましたが、図らずも無名ピークへの登りは緊張感があって楽しむことができました。一番の印象として残っています。ロープの操作に関してはそれほど時間を掛けずに進めたと思いますが、コルからの登りで一時間ロスしたのは少しもったいなかったです。八ツ峰の頭周辺、チ◯ネ上部など、周りから観ても構造がよく分からなかったのですが、今回自分の中ではっきりしたので、その点は大きな収穫です。帰り用に準備していたあずさの回数券二枚が残ったので、秋に下ノ廊下にでも行こうかしら…。メンバーのガクト、在京の徳永くん、雷鳥の皆様、車に乗せていただいた山やの方々、ありがとうございました。