2014/5/3-5 西丹沢読図山行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
西丹沢読図山行計画書 ver.2.0 作成者 川名
■日程 5/3(土) - 5/5(月) 2泊3日(予備日1日)
■山域 西丹沢
■在京責任者 成毛
■在京本部設置要請日時
5/6(火) 20:00
■捜索要請日時
5/7(水) 10:00
■メンバー
CL川名 SL田代(22/?)高木 大塚 原田
5/3(土) 川名 田代 高木 大塚
5/4(日) 川名 田代 大塚 原田
5/5(月) 川名 田代 原田
■集合
7:30 新松田駅発 西丹沢自然教室行きバスに乗ること
7:56に同バスが谷峨駅を出発するので、谷峨駅から乗車してもよい
2日目から合流する人は7:20 新松田駅発 西丹沢自然教室行きバスにのること
8:30に西丹沢自然教室バス停で合流
■交通
行き(5/3)
7:30 新松田駅 or 7:56 谷峨駅発ー富士急湘南バス 西丹沢自然教室行きー8:30
大滝橋バス停
遅れた場合
8:10 新松田駅 or 8:36 谷峨駅発ー富士急湘南バス 西丹沢自然教室行きー9:10
大滝橋バス停
帰り(5/5)
富士急湘南バス 新松田駅行き
最終西丹沢自然教室 18:58 発
谷峨駅ーJR御殿場線ー松田駅
14:02/14:38/15:10/15:54/16:42/17:27/17:59/18:53/.../20:18
新松田駅ー小田急線
10分に1本あり 最終新宿行き 22:50
*バスの時刻表は備考のURL参照
■行程
1日目、2日目について、途中までは平塚晶人著「2万5000分の1地図の読み方 実
践上達講座」にモデルコースとして説明あり。
3日目の山行記録: http://www5d.biglobe.ne.jp/~mt_singo/hiking/ohsugi.htm
1日目
大滝橋バス停ー1:20ー一軒屋避難小屋ー0:40ー大滝峠上ー0:50ー屏風岩山ー(こ
こからバリエーション)ー約1020P(965Pの前)ー(ここまでは確実に踏み跡あり)ー
南側の尾根伝いー666Pー中川温泉
バスで西丹沢自然教室下車、奥箒沢山の家(\500)へ
2日目
西丹沢自然教室ー0:40ー下棚前の出合ー1:20ー善六ノタワ-1:00ー畦ヶ丸ー(ここ
からバリエーション。所々踏み跡あり)ー南東に伸びる尾根へー1079Pー権現山
(1138P)ー735.0三角点ー箒沢
徒歩で西丹沢コテージキャンプ場(\700、入浴施設あり) or 大石キャンプ場
(\500、シャワーあり)
3日目
箒沢公園橋バス停ー1:40ー板小屋沢ノ頭ー0:50ー1210Pー(ここからバリエーショ
ン。以降は尾根伝い)ー926Pー956Pー845Pー861.1三角点ー876Pー880Pー540Pー中川橋
中川橋から徒歩で中川橋バス停へ
■エスケープルート
1日目
約1020Pまで: 引き返す
約900-710の急坂まで: 引き返す。屏風岩山東尾根(965P,650Pに伸びる尾根)は大
分踏み跡があるので、そちらに抜けるのも可。最後は約540のコルから北の沢へ
降りる。
それ以降: そのまま進む
2日目
1079Pまで: 引き返す
権現山まで: 権現山北側約1030Pから伸びる尾根から西沢へ
それ以降: そのまま進む
3日目
956Pまで: 引き返す
それ以降: そのまま進む
■地図
2.5万分の1 「中川」
エアリア 「28 丹沢 」
■遭対費
1日につき100円
■備考
日の出: 横浜5/4 4:47
日の入: 横浜5/4 18:30
NHKラジオ第一: 東京 594Hz
NHKラジオ第二: 東京 693Hz
バス時刻表: http://www.fujikyu.co.jp/syonan/rosen_time/time01_s.html
温泉: ぶなの湯(\700)、竹徳荘(\700)、青の山荘(\700)、ウェルキャンプ西丹沢
(\525)など
松田警察署: 0465-82-0110
西丹沢読図山行記録 文責:川名
*発着時刻は記録が判明している場合のみ記載
■日程 2014年5月3日-5日
■山域 西丹沢
■1日目
□メンバー・オーダー CL川名 - 大塚 - 高木 - SL田代
□天候 晴れ
□行程
8:30大滝橋バス停ー一軒屋避難小屋ー屏風岩山ー12:30屏風岩山東峰ーP約1020(P965の西)ー南東尾根ーP666ー中川温泉
最初は大滝沢沿いに登山道を登っていく。登りが沢沿いに、下りが尾根沿いにあるときには読図が特に必要な状況であるので、読図の練習という今回の目的にはぴったりの行程だ。入ってくる枝沢を一つ一つ確認しながら進んでいく。地形図から読み取れる沢の広がり・水量と実際のそれを比較していく。実際、地形図には現れないような小沢もあるので、それらに騙されないようにするというのは、特に沢登りでは必要となるスキルだ。これまでは、地形図をずっと片手に持ってにらめっこしながら歩くことはなかったが、このように歩いてみると地形図の道と実際の道がずれている箇所が何箇所かある。今後この道を歩く人は是非確かめながら歩いてみてほしい。
道自体は特に悪い箇所もなく、大滝峠上へと詰め上がる。ここからは木々の隙間からわずかな展望があるので、山座同定の練習をする。コンパスのみで判断できるほど明確なピークではないので、傾斜や尾根の向きなどで総合的に判断しなければならず、なかなか難しい。そのようなことをしながら、屏風岩山へ。2012年のエアリアではこのルートは点線でヤブという記載があるが、この時期には特にヤブに悩まされるということはなかった。屏風岩山では意外にも人がたくさんいた(10人弱だったか)。さすがにここからバリエーションルートに行くのは我々のみであろうと思っていたのだが、屏風岩山東のピークに着いてみると、我々以外のパーティーがいた。物好きな人達もいるものだ。
ここから南東尾根沿いに中川温泉まで降りる。鹿の影響か、下草やヤブがうるさいというようなこともなく、快適に読図をすることができるが、約950mから南東の尾根に乗るところが難しい。この尾根は分岐するところでははっきりと現れないので、偵察をして様子を伺うが確信が持てない。さらに、このあたりから鹿柵が尾根を囲っていて、自由に行動できない。結局鹿柵を西側から回り込んでいき、崩壊地の上端を柵沿いに進んで、なんとか正しい尾根に復帰できた。予想外の困難に悩まされたが、この辺りはミツマタが群生していて癒やされる。もちろんこの時期には花は落ちてしまっているが、良い時期に来れば非常にきれいなのだろう。中川温泉までは難しいところはなく、無事に到着して一日目の行程は終わり。高木さんとはここで別れ、残った面子は奥箒沢山の家にてテント泊。キャンプ場にはゴールデンウィークということもあり、カーキャンプの家族連れが多く、我々はあまり整地されていない裏の方に追いやられてしまう。夜中まで騒がれるようなことがないという意味で言えば、まあ良かったのだろう。
■2日目
□メンバー・オーダー 川名 - 原田(34期) - 大塚 - 田代
□天候 晴れ
□行程
8:30西丹沢自然教室9:15ー善六のタワー12:27畦ヶ丸山ー南東尾根ーP1079ー14:24権現山ー15:34 735.0三角点ー箒沢
この日から原田が合流するので、その待ち合わせの都合上かなり遅く起きる。山でのテント泊とは思えない楽さだ(キャンプ場なので山とは言いがたいが)。原田と合流後、今日は西沢沿いの登山道を登り、やはり沢の合流を一つ一つ確認していく。西丹沢の沢は水が綺麗で、沢沿いに歩いていると気持ちが良い。この道でも大きく地形図・エアリアと食い違うところがある。どの山行においても、少なくとも1つや2つは地形図の表記と違う場所を道が通っているのではないだろうか。歩きやすい登山道を進んでいき、昼ごろに畦ヶ丸に到着。
さて、ここからはバリエーションルートなので、本腰を入れて歩いて行く。といっても、ヤブ漕ぎにはならず、所々出てくるヤセ尾根に注意し、読図をきちんとすれば問題ない。権現山手前の急登にやや難儀して山頂に着くと、意外にも山頂は整備されている。金属製の立派な椅子が10個弱おいてあり、そこからは丹沢湖の展望が非常に良い。西丹沢のピークの中では、一番展望が良いのではないかと思えるほどだ。
この先は南東に伸びる尾根上を降りて行くが、かなりの急坂であり、巨岩の上に落ち葉や枯れ枝が堆積しているなかを進まなければならず、歩きづらい。735.0の三角点まで行けばひと安心できる。ここから箒沢に向かって広い尾根を降りて行くが、途中で電信柱が出てきて驚いた。箒沢からどこかへ電気を引いているのだろうが、はたして山の中のどこへ電気を引いているのだろうか。電線沿いに降りて行けば箒沢に出る。名物の箒杉を見学したところで、この日は大塚と別れる。また、ここからは明日歩く中川川左岸の稜線がよく見えるので、ここでも山座同定をして暇をつぶす。
この日は大石キャンプ場に宿泊予定だったので、そちらへ向かうが、キャンプ場に近づくと大音量で音楽が流れている。何事かと思って管理人に聞いてみると、若者グループが集まって騒いでいるとのこと。さすがに夜の10時くらいには静かにするよう注意するとは言っていたが、そんな遅くまで騒がれては堪ったものではない。他のキャンプ場を探し、今度は西丹沢コテージキャンプ場に向かうが、行ってみると潰れてしまったのか、営業している雰囲気はなく、電話をしてもつながらない。仕方がないので、来た道を引き返して昨日と同じく奥箒沢山の家に泊まる。この日の夕飯と翌日の朝食ではとある事件が起きたのだが、それは後述。
■3日目
□メンバー・オーダー 田代 - 原田 - 川名
□天候 曇後雨
□行程
奥箒沢山の家ー大石キャンプ場ー8:23 P1210ーP926ーP956ーP845ー11:45 861.1三角点(大杉山)ーP876ーP880ーP540ー13:58中川橋
この日も登りは沢沿いに、下りは尾根沿いに取るという読図向けの山行。もっとも、今回は行程が長くしかもその殆どがバリエーションなので、自然と身構えて山行に挑む。まずは簡単な一般登山道…と思っていたが、ここでもやはり地形図の表記とズレが有り、やや戸惑う。急登を登り終えてP1210までたどり着くと、南に伸びる尾根に立ち入り禁止のロープが張られている。我々が進むのはこのロープの先なのだが、我々のようなグループが歩いて踏み跡がついており、一般登山者が誤って立ち入ってしまうのを防ぐためにロープがあるのだろう。
すこし後ろめたい気持ちになりながら、ロープを越えて進んでいく。例によってヤブはなく、ヤセ尾根が所々出てくる。これは丹沢の地質の特徴なのだろうか。この日は難しい行程だったので田代さんに先頭を歩いてもらっていたが、急に立ち止まったからどうしたのかと思うと、どうやら熊を見たらしい。黒い大きな塊が鞍部を越えていったとのこと。猪の可能性もあるが、走り方が熊のようだったそうな。警戒して笛を鳴らしたり、大きな音を出したりしながら歩いて行く。その効果があったのか、さすがに二度熊を見ることはなかった。
大杉山まで進むと、尾根が広くなって非常に気持ちの良いところである。また、その名に違わずにこのあたりから植生がブナから杉に変わり、人の手が多く入っている様子が伺える。鹿柵も出てきて初日のようなトラブルになるかと危惧したが、今度は行く手を阻むほどのことはなかった。杉林の中は落ち葉が良いクッションになって歩きやすいものの、降ってきた雨を遮る効果はブナ林に比べると弱い。地面も濡れてしまっていて座るのを躊躇する。田代さんは休憩する際にハンマーを椅子代わりにしていた。さすがに普段からハンマーを使いこなしているだけのことはある。気を抜かずに読図しながら歩みを進め、P540を経て中川橋に至る。道路に出た時に家族連れがいて、不審者を見るような目で見られて中々つらいものがあった。実際不審者と言われればそのとおりなので仕方ないのだが。これにてようやく3日間の読図練習が終了。
■補足
実は今回、食当でとある事件(事故)が起きた。この顛末については以下に田代さんからの報告を引用して述べることにする。
>出発数日前、CL川名氏は戦々恐々としていた。なぜなら今回の山行の食当はアクエリラーメンの川名とクスクスの田代である。食事で大惨事が起こる可能性が高いことは容易に想像できた。そのため、川名氏は必ずや皆においしい食事をふるまうべく合計4kgもの食材を持ってきていた。
>しかし、悲劇は起きてしまった。野菜や肉は冷やしておいた方がいいだろうと考えた川名氏は、1日目の夜から翌朝にかけて近くの沢にジップロックに入れて浸しておいた。翌朝回収しに行くと、なんと袋は無惨にも破かれ、中の食材は半分以上失われていた。おそらく鳥か何かの獣に破かれて食べられてしまったのだろう。この事件によって我々はうどんとみそ漬けにしてあった肉を失った。幸いにも野菜は全て無事であった。
>この丹沢事件によって、川名氏は食当に関するネタをまた1つ増やしたのだった。
■総評
今回の山行は、川名が平塚晶人著『2万5000分の1地図の読み方』を読んで、実際に読図を試したい、と思ったのがきっかけで立てたものである。『実践上達講座』に乗っているモデルコースも一部踏襲して計画してみて、自画自賛になるが読図山行という目的から言えば理想的な地形のコースだったのではないかと思う。今後も部会での読図講習後などにこのような読図を目的とした山行を立てると、楽しめるかもしれない。ちなみに、上記の本はかなりの良書だと思うので、是非一度読んで頂きたい。
ゴールデンウィークという時期については、ブナ林の新緑が楽しめるのでハズレというわけではないが、ミツマタの時期(3月末頃)に行っても良いかもしれない。もっとも、この時期にはまだ新入生が入っていないので、新入生に読図を教えるという意味での山行にはならないという問題はあるが、新歓山行前のリーダーの訓練としてやってみてはどうだろうか。
なお、今回は一般登山道ではないのでダニなどの被害が心配されたが、スパッツを付けないメンバーもいたものの被害に会うことはなかった。ただし、原田が帰宅後にザック周辺にダニが付いていたらしいので、何らかの対策をしたほうが良いだろう。
また、バリエーションルートであることや久しぶりに山行に参加するメンバーが居ることなどを考慮して、今回はロープ・スリング・カラビナを持参した。結局使うことはなかったが、確実な情報が得られないルートでバリエーションを行うのであれば持っていくのも有効だと思う。舗道に出る際に懸垂下降が必要になるかも、とも思っていたのだが、これについては人里に近いところであればある程度探せば林業用の梯子や階段で道に出られるので、そのような意味での心配は必要なかった。
最後に、今回田代さんには計画段階から何度も相談に乗ってもらい、また山行中もSLとして常に補佐していただきました。ありがとうございました。食当では再び事件を起こして味が薄く肉のない豚汁を食べさせてしまいすみませんでした。