2014/8/18-21 大雪山・トムラウシ山

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)

大雪・トムラウシ夏合宿山行計画書 ver.3.0
作成者:久光

■在京責任者 : 荒田

■日程
□8/18(日)-8/21(水)
□8/16(土)夜出発 前2泊 3泊4日
□予備日 8/22(木)、8/23(金)

■山域 大雪山

■在京本部設置要請日時 2014/8/23 20:00

■捜索要請日時 2014/8/24 9:00

■メンバー(計6人)
CL久光 SL川名・平松・松本・位髙・寺垣

■集合
8/16深夜24:30(8/17 0:30) 東京駅八重洲中央口改札前集合

■交通
□行き
8/17
1:30 東京駅八重洲口前-(京成高速バス 成田空港行)-3:35 成田空港第二ターミナル

900円 予約済
6:00 成田空港-(バニラエア JW901 新千歳空港行)-7:40 新千歳空港 8550円 予約済
8:49 新千歳空港-(エアポート85号 旭川行)-9:25 札幌
9:36 札幌-(函館本線 普通 岩見沢行)-10:21 岩見沢
10:30 岩見沢-(函館本線 普通 旭川行)-12:42 旭川 2300円(18きっぷ使用の場合)
15:30 旭川駅前-旭川電気軌道バス いで湯号)-旭岳温泉 1430円

遅れた場合:
9:04 新千歳空港-(エアポート91号 小樽行)-9:24 北広島
9:26 北広島-(千歳線 普通 札幌行)-9:41 白石
9:43 白石-(函館本線 普通 岩見沢行)-10:21 岩見沢

旭川駅もしくは美瑛駅よりタクシー
美瑛駅の場合16:32 旭川-(富良野線 富良野行)-17:04 美瑛
美瑛-旭岳温泉 ジャンボタクシーで目安 13550円

旭岳青少年野営場にて前泊(大人1人500円)。温泉街より徒歩5分。

□帰り
トムラウシ温泉からタクシーで新得駅へ(55km) ジャンボタクシーで18000円程度
・新交通 0156695555 ハイエース2台
・新得ハイヤー 0156645155 ハイエース2台
・山一タクシー 0165897011 ハイエース1台

新得駅より旭川駅へ
14:22 新得-(根室本線 普通 滝川行)—15:47 富良野
16:09 富良野—(富良野線 普通 旭川行)-17:46 旭川
もしくは
19:17 新得—(快速狩勝 旭川行)-21:42 旭川
2810円(18きっぷ使用の場合2300円)

■行程
1日目 姿見駅~(0:20)~旭岳石室~(2:30)~旭岳山頂~(1:00)~間宮岳分岐~(0:50)~北海岳分岐~(1:20)~白雲岳分岐~(0:20)~白雲岳キャンプ指定地(計6:20)
2日目 白雲岳キャンプ指定地~(1:00)~高根ヶ原分岐~(2:00)~忠別沼~(0:50)~忠別岳~(0:40)~忠別岳避難小屋分岐~(0:15)~忠別岳キャンプ指定地(計4:45)
3日目 忠別岳キャンプ指定地~(0:20)~忠別岳避難小屋分岐~(1:00)~五色岳~(1:15)~巻き道分岐~(0:15)~化雲岳山頂~(0:15)ヒサゴ沼分岐~(0:20)~ヒサゴ沼避難小屋方面分岐~(0:30)~天沼~(1:30)~北沼分岐~(0:25)~トムラウシ山頂~(0:15)~南沼キャンプ指定地(5:50)
4日目 南沼キャンプ指定地~(1:30)~前トム平~(0:35)~コマドリ沢分岐~(0:25)~急登終了~(0:40)~カムイ天上分岐~(0:50)~温泉コース分岐~(1:20)~トムラウシ温泉(5:20)

※天候、体力等を鑑みて、余裕を持った行動を心がける。
※避難小屋も積極的に活用する。
※1日目は、天気が良好かつ体力的に余裕があれば白雲岳を往復してもよい。白雲岳分岐~(0:40)~白雲岳~(0:30)~白雲岳分岐(全体計7:30)
※化雲岳・トムラウシ山は巻き道あり。
※途中ヒサゴ沼避難小屋へ退避する場合、ヒサゴ沼分岐~ヒサゴ沼避難小屋(0:50)、もしくはヒサゴ沼避難小屋分岐~ヒサゴ沼避難小屋(0:30)
※忠別沼避難小屋・ヒサゴ沼避難小屋で停滞した場合、天人峡方面への下山も検討する。
※水場情報、ヒグマ情報を積極的に交換する。

■エスケープルート
間宮岳分岐まで:引き返す
間宮岳分岐~白雲岳分岐:黒岳駅へ(北海岳分岐~(1:00)~黒岳石室~(1:10)~リフト七合目 計2:10)
白雲岳分岐~忠別岳:大雪高原山荘へ(白雲岳分岐~大雪高原山荘 計3:10)
忠別岳~日本庭園:天人峡温泉へ(化雲岳山頂~天人峡温泉 計5:30)
日本庭園から:トムラウシ温泉へ

天候悪化時には白雲岳避難小屋、忠別岳避難小屋、ヒサゴ沼避難小屋での停滞を検討する。

■地図
二万五千分の一地形図:「旭岳」「層雲峡」「白雲岳」「五色ヶ原」「トムラウシ山」「オプタテシケ山」
エアリア:「大雪山・十勝岳・幌尻岳」」

■食当
    朝  昼  夜
一日目 各自 各自 位高
二日目 寺垣 各自 松本
三日目 平松 各自 久光
四日目 川名 各自 各自
予備食 川名(他に各自予備日分の5食を準備のこと)
※東京から持参しても構いませんが、時間的に余裕があるため、食糧の購入は旭川で行うこともできます。旭川で購入の場合は事前にメニューを考えてきて下さい。

■共同装備
・ステラリッジ 本体:松本→川名
・ステラリッジ ポール:松本
・エアライズ 本体 :久光
・エアライズ ポール:久光→平松
・鍋(アルミ):松本
・ヘッド×2:川名→位高
・おたま・しゃもじ・包丁・まな板:川名→松本
・救急箱(有紗):久光→平松
・ラジオ:川名
・簡易浄水器(スーパーデリオス):久光
・カート×2:寺垣
・カート×2:位高
・熊スプレー:久光
・熊鈴×2:久光、久光→川名

※駒場の学生会館は8/1-3と8/13-17が休館となっています。ご注意ください。
※熊スプレー、カートは航空機に持ち込めず、現地で調達します。位高さんと寺垣さんは持ってこなくて結構です。新千歳空港でのEPIガスの取り扱いがないため、旭川駅でのバス待ちの時間に秀岳荘旭川店で購入予定です。
旭川駅(1条8丁目)より道北バス62/63系統、忠和5条4丁目下車
往路:旭川駅毎時00/20/40分、復路:忠和5条4丁目毎時12/28/48分 所要時間14分 220円
※煮沸の手間を省くために簡易浄水器を持っていきますが、容量が小さく、補助的な用途にとどめます。
※浄水器、熊鈴は久光が共装として調達。


■個人装備
□ザック □サブザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴ひも □ヘッドランプ □予備電池 □地図 □コンパス □非常食 □行動食 □銀マット □シュラフ □ポリタンorプラティパス □ゴミ袋 □コッヘル □武器 □トイレットペーパー  □ライター □計画書 □筆記用具 □常備薬 □学生証 □現金 □新聞紙 □軍手 □着替え □温泉セット □遭難対策マニュアル(緊急連絡カード含む) □健康保険証 □日焼け止め □レスキューシート □携帯トイレ □笛 □予備食(5食分) (□天気図用紙 □カメラ □ヒグマ対策マニュアル)
※南沼キャンプ指定地は携帯トイレブースのみ設置。
※本州の3000m級と同程度の防寒が必要。また防水は念入りにお願いします。
※行きのバニラエアは預け荷物20㎏、手荷物10㎏の計30㎏まで無料です。上限を越えないようにご注意ください。また、ナイフ等を手荷物の方に入れないようお気を付け下さい。
その他、下山後必要な旅行用品を適宜持ってきてください。山行中不要なものは旭川駅のロッカーにしまっておきます。運転免許証所持者は、免許証の持参をお願いします。

■備考
□日の出・日没
姿見駅(8/18) 日の出 4:27 日没 18:36

□警察
・旭川東警察署 0166-34-0110
・層雲峡駐在所 01658-5-3016
・志比内駐在所 0166-96-2423

□雨天の場合
現地入り後判断。万が一荒天が長引くと予想された場合、大雪山のみの登山or下界の観光に切り替える可能性あり。

□ロープウェー運行時間
・旭岳ロープウェー 6:30-17:30
・黒岳ロープウェー 6:00-19:00(~8/20)、6:30-18:00(8/21~)

□エスケープルートの交通手段
・層雲峡温泉—上川駅—旭川駅
道北バス 6:20/7:45/8:40/10:55/11:20(上川止)/13:30/14:20(上川止)/15:40/17:30/17:50(上川止) 2100円(旭川)/870円(上川)
上川下車の場合 石北本線 上川駅-旭川駅

6:53/7:26/8:28/10:46/11:35/14:06/15:59/18:53(最終) 1070円
・大雪高原温泉—層雲峡温泉 タクシー40分
・天人峡温泉:美瑛または旭川へタクシー

□温泉
・大雪山白樺荘(旭岳温泉) 営業時間13:00~20:00 500円 他
・トムラウシ温泉国民宿舎 東大雪荘 営業時間12:00~20:00 500円 0156-65-3021
・御やど しきしま荘(天人峡温泉) 12:00~19:00 700円 他
・大雪高原山荘(大雪高原温泉) 10:30~17:00 700円
・層雲峡 黒岳の湯(層雲峡温泉) 10:00~21:00 600円 他

□その他
・2009年に大規模な気象遭難事故が起こっているコース。登山開始前に過去の遭難記録の検討や、ナビゲーション技術の練習を行う予定。
・特に濃霧による道迷い、強い風雨と低い気温による低体温症、ヒグマとの遭遇が懸念される。このため、状況判断を最大限シビアに行う。特に雨天・強風時の行動は避ける。服装に特に注意する他、悪天時は無理に進まず避難小屋へ退避し、状況次第ではためらわず適地でビバークする。

■参考URL
・旭岳青少年野営場 (http://www.nmhokkaido.jp/asahikawa/detail/000097.php)
・旭岳ロープウェイ (http://www.wakasaresort.com/asahidakeropeway/index.htm)
・トムラウシ温泉国民宿舎 (http://www.netbeet.ne.jp/~taisetsu/tomurausi1.html)
・トムラウシ山遭難事故調査報告書 (http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf)

大雪-トムラウシ夏合宿山行記録

■作成: 久光

■日程: 2014/8/19(月)-8/21(木) 3泊4日

■山域: 大雪山

■天候:
・一日目 曇時々晴
・二日目 雨
・三日目 雨
・四日目 曇後晴

■メンバー: CL久光 SL川名 平松 松本 位高 寺垣

■オーダー:
久光-寺垣-位高-平松-松本-川名

■コースタイム
・1日目(8/18)
姿見駅~(0:30)~旭岳石室~(1:00)~旭岳山頂~(1:55)~荒井岳~(0:35)~北海岳~(0:50)~白雲岳分岐~(0:30)~白雲岳~(0:20)~白雲岳分岐~(0:30)~白雲岳キャンプ指定地 (計6:10)
・2日目(8/19)
白雲岳キャンプ指定地~(0:40)~高根ヶ原分岐~(1:10)~忠別沼~(0:35)~忠別岳~(0:55)~忠別岳避難小屋 (3:20)
・3日目(8/20)
忠別岳避難小屋~(0:15)~分岐~(0:30)~五色岳~(0:55)~ヒサゴ沼分岐~(0:40)~ヒサゴ沼避難小屋(2:20)
・4日目(8/21)
ヒサゴ沼避難小屋~(0:40)~分岐~(0:30)~天沼~(1:15)~北沼~(0:30)~トムラウシ山頂~(0:20)~南沼キャンプ指定地~(1:05)~前トム平~(0:30)~コマドリ沢分岐~(0:25)~急登終了~(1:00)~カムイ天上分岐~(0:20)~温泉コース分岐~(0:55)~トムラウシ温泉 (計7:30)

■行動記録
・8/17
始発便で新千歳空港到着後、各駅停車で旭川駅へ。秀岳荘旭川店でカートその他を購入。バスで旭岳山麓へ移動、旭岳青少年野営場にてテン泊。大雪山白樺荘にて入浴。

・8/18(1日目)
4:30 起床
6:28 テン場発
6:40 山麓駅着。7:00のロープウェイ乗車、姿見駅へ。
7:20 姿見駅発。正面に旭岳が悠然と聳え、眼下には一面に這松の海が広がる。夫婦池周りで旭岳石室へ。
7:45 寄り道して噴気口を見物する。山の斜面より勢いよく蒸気が噴き出る。那須岳を彷彿とさせる。
7:52 旭岳石室で一本。
8:04 出発。これより旭岳の登りへ。徐々に沿道を彩る高山植物は姿を消し、火山の荒々しい山肌が目立つ。
9:05 2070m地点で一本。左に地獄谷の崩壊地を見下ろす荒涼とした尾根上である。しかし、振り返れば眼下には深い緑に覆われた広大な原野が広がり、進行方向右手にはこれから通るであろう稜線が驚くほど平に連なり、そしてはるか遠くには憧れのトムラウシが泰然として聳え立つ。
9:15 出発。いかにも溶岩の固まったといった風などす黒い岩塊が散らばり、尾根は小礫に埋め尽くされている。比較的安定しているところを選んで登る。尾根の両端にはロープが張ってあるわけだから迷いやすいということはないが、何にせよ歩きづらい。尾根を挟むように湧き上がってきた雲は、我々を追い抜き、やがて山頂はすっぽりと雲に覆われ、時折見え隠れするのみ。
9:54 山頂。到着時ガスに覆われていた山頂は、次第に展望が開け、四方の雄大な景観が切れ切れに見える。
10:15 出発。ガスは間もなく晴れる。裏旭キャンプ指定地への道は、ザレた斜面をほぼ一直線に下り、歩きにくい。眼下には一筋の道が、裏旭の草原と尾根を越えて遙かに続いている。
11:10 荒井岳手前の分岐で一本。間宮岳への広い尾根を行く単独行者が絵になっていた。
11:24 出発。左にはお鉢平を望む。中央に白く見える有毒温泉が印象的。草原の丘を越えると、次の丘が姿を現す。行く手には浅緑色の丘が幾重にも重なる。
11:56 北海岳分岐で一本。この辺りからしばらくの間晴れ間がのぞく。南東方向には白雲岳に続く、最早平原と呼称しても誇張ではないほどになだらかな山稜を眼下に見る。東方には烏帽子岳を望む。この先、石狩川を越え、広大なる東大雪の山々を越えたはるか先、留辺蘂に至るまでほとんど町という町は存在しない。大町桂月曰く「大雪山に登って山岳の大さを語れ」。宣なるかな。
12:20 出発。平たく歩きやすい道を一直線に白雲岳へ向かう。白雲岳分岐手前は巨礫の登り。二度ばかり小雪渓を渡るも、アイゼンを装着するほどではない。
13:11 白雲岳分岐着。ザックをデポする。
13:25 サブザックで白雲岳へ。緩やかな登りが続いたあと白雲平の縁をたどり、最後は巨礫に印がついているだけのゴーロの登り。サッカーコートと野球場を数面は取れるであろう白雲平のだだっ広さには驚嘆させられた。
13:51-14:12 白雲岳山頂。旭岳はガスに隠れてしまっているが、これまで辿ってきた稜線と、これから辿るであろう稜線を見晴らす。眼下ではただひたすらになだらかな大地に広がる森林に、忠別川の源流が幾筋もの谷を刻んでいる。
14:31-35 白雲岳にてザックを回収。テン場へ下る。
14:47 途中雪渓からの小さな流れを渡る。テン場付近に水場がないことを心配し、調理用の水を調達するも、すぐに杞憂であったことが分かる。
15:05 テン場着。白雲岳分岐からはコースタイムが20分となっている割に、随分長く感じた。

白雲岳避難小屋にはこの時期管理人が常駐しており、テン場代1人300円を払う。テン場は真っ平でよく整備されている。利用者は他に10パーティー程。すぐ近くに雪渓から流れる沢があり、水を取れる。
天気図によれば、西方より前線を伴った低気圧が接近している。地元局の気象予報も明日昼より明後日夕方までの雨を予想している。山の上なら崩れるのも更に早いかもしれない。今回の山行のコンセプトを考えると2日の停滞は覚悟。食糧的には停滞しても全く問題ないが、停滞すると羅臼に行けなくなる。折角北海道に来たのに雨の中山に2日も閉じ込められ、羅臼もお預けか…
逡巡した結果、明日早朝に大雪高原温泉へ下山し、明後日は旭山動物園にでも行き、明々後日は美瑛でも行くか、という方向で一旦まとまる。

・8/19(2日目)
3:00 起床。昨日の今日で下山することを思うと憂鬱である。しかし、まだ雨音はない。朝食後、外に出てみると朝日がある。ラジオの予報も、崩れるのは昼からで、明日朝か昼には回復するとの予想にかわっている。いずれ崩れるだろうが、コースタイムも短い。忠別岳避難小屋へは辿りつけるだろう。メンバーの意向も変わっており、忠別岳避難小屋、更に持つようならヒサゴ沼避難小屋までの前進を決める。
4:45 出発。行く手には五色岳から化雲岳への稜線、その向こうにトムラウシが朝日を浴びて輝いている。高根ヶ原へ下る。道は平だが、小礫が転がりそこまで歩きやすくはない。
5:20-28 高根ヶ原分岐手前。水溜りに出会い、この先の泥濘の道を予想してスパッツを付ける。結局この日に限っていえば泥濘の箇所は多くはなかった。
5:30 高根ヶ原分岐通過。右手には平原が広がるも、左手は大きく切り立ち、ヒグマの住む大森林を見下ろす。
6:00-10 早くもパラつき始める。雨具を着る。ひとまず上だけの着用としたが、これが誤算で、この先度々現れる狭い道で、露によりズボンを濡らしてしまう。登山道は広い砂利道と、靴二足分の幅だけ草木を刈り取った、半ばかき分けながら進む道を繰り返す。所々に目印は設置されており、視界があれば特に問題は感じないが、所々幾筋かに別れる箇所があり、濃霧時は注意が必要だろう。
6:50 忠別沼を木道で渡る。まだ花は大分残っており、存分に楽しめた。忠別沼を出るとすぐに這松の中の急登となる。
6:57-7:08 一本。
7:35 忠別岳。西側は化雲沢川の谷へスパッと切れ落ちている。ここしばらく見なかった勇壮な景観。
8:06 忠別岳避難小屋分岐。迷わずここで留まることを決定。避難小屋までの間に一度雪渓を渡る。
8:30 忠別岳避難小屋着。

避難小屋は2階建てで、幾分小さく見えるが中は意外と広い。この日の宿泊者は我々のみで、半ばお泊り会の様相であった。日がな一日ゴロゴロして過ごす。何と贅沢な時間の使い方だろう。罰ゲーム付きトランプは中々盛り上がった。ただし、夕方より2階の窓枠から床伝いに始まった雨漏りには閉口。

翌日は万が一7:30までに回復すれば南沼へ、11:00までにある程度回復すればヒサゴ沼へ移動することとする。

・8/20(3日目)
5:00 起床、風雨は止まず二度寝。
6:00 起床、朝食をとるも、風雨は止まず。
7:30 南沼への前進を断念。
10:30 風雨は幾分弱まってくる。ひとまずヒサゴ沼へ向けて出発してみることを決定。
11:04 忠別岳避難小屋発
11:20 忠別岳避難小屋分岐。視界は数百m、風はそこそこあるが歩くのに支障が出るほどでもない。膝から、時には背丈を大幅に超えるハイマツの中を分けゆく。ハイマツの中は風雨ともに遮られて歩きやすいが、足元の登山道は随所で小川と化し、時にくるぶし付近まで水に浸る。
11:50 五色岳山頂で一本。
11:56 出発。五色岳と化雲岳のコル付近から先は大小の池塘が点在し、その中を木道が緩やかなカーブを描きながら霧の中へと消えていく。
12:28 巻き道分岐。化雲岳は巻く。天候は大分回復し、一瞬青空ものぞく。
12:48 山頂からの道と合流。
12:51 ヒサゴ沼方面分岐。ヒサゴ沼への道はしばらく下りながら木道、続いて飛び石状に整備された木の足場が続くが、部分的に壊れており難儀する。下り切ると眼前には忽然としてヒサゴ沼が姿を現す。ガスで対岸はおぼろげにしか見えず、その大きさを際立たせる。
13:30 小屋着。

小屋には白雲岳でもお会いした二組の夫婦が停滞しておられた。昨晩は混雑していたが、他パーティーは天人峡へ下山していったという。夫婦はいずれも明日十勝岳方面へ向かうという。2階を使わせて頂く。雨漏りは無く、すこぶる快適。ただし、不用意に立ち歩くと頭を垂木にぶつけるのが難点。到着後風雨は再び強まり、断続的に朝まで続いた。

・8/21(4日目)
3:00 起床。
4:58 出発。風雨ともにすっかり止み、視界は良好。しばらく木道をたどるが、程なくして道は雪渓の中に飲み込まれていく。雨のためか雪渓の雪は半ば氷と化し、アイゼンなしで登るのは困難である。踏み跡を参考に、雪渓が平たくなるところまで雪渓沿いのガレ場を巻く。雪渓を詰めた辺りで目印が復活するも、しばらくガレ場歩きが続く。
5:41-48 ヒサゴ沼避難小屋方面分岐で一本。
6:15 天沼。あまりの風景の美しさに一本とる。池塘を中心に、点在する小丘はさながら築山、岩は庭石、ハイマツや岩を丸く覆うチングルマの綿毛は庭木のごとし。この一帯を現す日本庭園という名も言い得て妙である。池畔にはイワイチョウの黄葉が鮮やかに広がる。
6:20 出発。しばらくして美しい景色も終わり、荒涼としたロックガーデンに入る。頗る歩きにくいガレ場の急登が続く。目印の間隔が広く、見つけづらい。
7:23-32 急登を終えたところで北沼を前に一本。出発して草原の丘を越えると、眼下には北沼が広がる。
7:44 北沼通過。
8:15 トムラウシ山頂。行く手には遙か富良野岳まで連なる十勝連峰の峰々が、振り返ればこれまで通ってきた旭岳から連なる稜線、眼下には絨毯のように山肌を真っ黄色に彩るイワイチョウの群落、雪渓の下でライトブルーに光る池塘が広がる。日差しこそないものの、遠方には青空がのぞく。はるか下界に見えるのは一面の牧場と格子状防風林。感慨も一入である。
8:43 名残を惜しみながら出発。一路トムラウシ温泉を目指す。
9:05 南沼キャンプ指定地通過。キャンプ指定地は数張分程度の簡素なものだったが、携帯トイレブースは用意されている。ただ、悪天の昨晩はヒサゴ沼に泊まって正解であったと思う。
9:23-31 1850m地点。短縮登山口から来たのか、多くの登山者とすれ違う。
10:18-36 前トム平。開けたハイマツ帯ともこれでお別れである。出発後、まもなく今山行初の樹林帯に入る。
11:09 コマドリ沢分岐。渡渉後、しばらくして泥濘の急登が始まる。
11:35 急登終了。道が乾かないので荷物も下せず、先へ進む。至る所で道一杯に泥の水溜りが広がり、不用意に踏み入れれば足首まで泥に沈む。大変滑りやすく、後ろから何度も悲鳴が聞こえる。いつ果てるとも分からぬ泥濘に辟易とする。
12:02-07 一本。所々丸木が倒してあったり、足場が作ってあったりと歩きやすい工夫はされているが、それでも基本的には泥道が続く。
12:43-57 カムイ天上分岐。急登終了からコースタイムの2倍近くかかっていることを知り、いい加減嫌気が差す。一転、後ろが着いて来られる限りの全力で下り始める。間もなく道の状況も好転し始める。
13:20-22 温泉コース分岐。ここまでくれば普通の道である。意外に皆、ゆっくりよりも歩きやすそうにしている。様子を見つつ早足で下山する。途中から巨大なアブがザックにしつこくたかり始める。
14:00-06 一本。久光のザックカバーにはアブが4匹たかっている。川名がついに刺され、休憩を中断する。最後の急斜面を下ると、程なくして短縮登山口への林道を横断する。そして歩くこと2-3分、ついに待望のトムラウシ温泉が姿を現す。
14:22 下山。

山奥には場違いなほど立派な佇まいのトムラウシ温泉東大雪荘で4日分の汗を流し、しばし休息する。17:15にジャンボタクシーで迎えに来てもらい、新得駅まで移動。夕食後、19:17発の快速狩勝で急遽予約を受け入れて頂けた本日の宿、民宿びばうしへ。4日間の行程を終了する。

ここでは詳述しないが、翌日以降レンタカーと列車で道東・道南を周遊した。予定していた羅臼岳登山は悪天のため中止せざるを得なかったものの、北海道の雄大な景観を存分に楽しめ、非常に充実した旅行となった。楽しい時間を送らせてくれたメンバーの皆には感謝したい。

■備考
・ヒグマ対策
知床財団のホームページを参考に厳重な対策を用意していったが、テン場の管理人氏によれば、このルートに関しては人が多いためヒグマも近寄らず、基本的には内地と同じでよい、ただし忠別岳避難小屋の水場付近は注意が必要とのことだった。熊スプレーはあれば心の支え程度にはなるだろう。
・道標
日本庭園からロックガーデンにかけてのガレ場の登りは、視界があっても目印を探しにくく、濃霧時には恐怖だろう。コンパスで直進する他ない気がする。他は道がある程度明瞭で心配するほどでもないが、やはり濃霧時には注意が必要。
・水の確保
今回は各自4L程度の水を下界から持ち運び、足りない分をデリオスで補うという形式にしたが、テン場での手間さえ惜しまなければデリオス1本で事足りると思う。
・気象
前線を伴う低気圧が接近し、通過していくなかで、難しい判断を迫られた。一時は撤退を検討するも、結果的には通常2泊3日とされる行程を3泊4日としていたことが功を奏し、2、3日目で調整することにより予定通りのルートを踏めた。
ただし、3泊+予備日2日は幾分長すぎた。好天にさえ恵まれれば、このメンバーなら結果的には2泊で十分なルートであったし、予備日2日分の食糧はむしろ錘となり、行動に支障をきたした。いくら余裕を持たせたところで2泊+予備日2日か3泊+予備日1日くらいが妥当であろう。3泊の予定に加えて2日の停滞が予見されるほどの悪条件ならば、そもそも行くべきではないし、諦めて下界を観光した方が得策だと思う。
・コースタイム
2、3日目のコースタイムに顕著に表れているが、展望がなく若干速足ではあったにしても、このルートにおけるエアリアのコースタイムは、特に高低差の少ない部分に関してはかなり緩めな感がある。

■反省・感想
・天気図から気象をもう少し詳しく読めるように勉強したい。
・濡れないうちに雨具を着用する。濡れてからでは遅い。
・初日と最終日のハイライトは日差しこそなかったものの展望に恵まれ、満足の山行であった。遠くて行きづらくはあるが、一生のうちに是非一度は訪れてほしい山である。