2015/4/25-26 甲斐駒ヶ岳

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
 
甲斐駒ヶ岳雪山訓練山行計画書 ver.2.0
作成者:江崎・久光

■日程
2015/4/25-4/26(朝発一泊予備日なし)
 
■山域 南アルプス北部

■在京本部設置要請日時 2015/4/26 20:00
 
■捜索要請日時 2015/4/27 12:00

■メンバー(計4人)
CL江崎 SL久光 ・川名・遠藤

■集合
6:35 八王子駅発 中央本線 普通 松本行 先頭車両

■交通
□行き
6:35 八王子−(中央本線 普通 松本行)—8:41 日野春
日野春駅よりタクシー30分、約4500円

□帰り
日野春駅までタクシー30分、約4500円
日野春(14:19/14:55/15:25/15:57/16:35/17:31/17:52/18:23//終電21:07)→高尾(16:30/17:15/17:42/18:10/19:07/19:40/20:07/20:39//23:00)

■行程
・一日目
竹宇駒ヶ岳神社—(0:30)—龍神平方面分岐—(2:00)—笹ノ平分岐—(2:00)—刀利天狗—(1:00)—五合目—(1:10)—七丈小屋(計6:40)
・二日目
七丈小屋—(1:00)—八合目御来迎場—(1:30)—甲斐駒ヶ岳—(0:50)—八合目御来迎場—(0:40)—七丈小屋—(0:40)—五合目—(0:40)—刀利天狗—(1:10)—笹ノ平分岐—(1:15)—龍神平方面分岐—(0:15)—竹宇駒ヶ岳神社(計8:00)
※上記コースタイムは無雪期のため参考程度

■エスケープルート
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■地図
二万五千分の一地形図:「甲斐駒ヶ岳」「長坂上条」
エアリア:「北岳・甲斐駒」

■備考
□日の出・日没
4/25 日没 甲府 18:27
4/26 日の出 甲府 5:00
4/26 日没 甲府 18:28

□温泉
・尾白の湯 700円

□警察
・北杜警察署 0551-32-3111
・南アルプス警察署 055-282-0110

□遭難時の対応
遭難時は雷鳥の遭難対策マニュアルに則りつつ、東京都山岳連盟、江崎氏所属の山岳会と連携して対応する。
・東京都山岳連盟 03-3526-2550 e-mail:lej04543@nifty.com(事務局)
・山岳会 登攀倶楽部求道心 連絡先:今井
緊急時は東京都山岳連盟事務局の吉野さんに優先して相談する。

□荒天の場合
前日17:00までに判断

■作成: 久光

■日程: 2015/4/25-4/26

■山域: 南アルプス

■天候: 
・一日目 晴れ
・二日目 快晴

■メンバー: CL江崎 SL久光 川名 遠藤

■オーダー:江崎—遠藤—川名—久光

■行程
□一日目
10:07 竹宇駒ヶ岳神社駐車場発
10:28 分岐
10:56-11:07 一本
12:00-12:12 一本(1420m付近)
12:19 笹ノ平分岐
13:03-13:12 一本(1730m付近)
13:52-14:06 一本(刃渡り直前)
14:31-14:44 刀利天狗
15:42-15:53 五合目
16:49-16:53 一本(2300m付近)
17:02 七丈小屋着

□二日目
4:49 七丈小屋発
5:42-5:48 八合目御来迎場
6:45-6:55 一本
7:34-8:07 甲斐駒ヶ岳
10:31-10:35 一本(八合目直前)
11:09-12:05 七丈小屋
13:10-13:25 一本(五合目直前)
14:12-14:24 刀利天狗
15:35 笹ノ平分岐
15:48-16:00 一本 
16:55 分岐
17:14 竹宇駒ヶ岳神社駐車場着

■記録
□一日目
久光が再度始発を乗り逃がし、集合が30分ほど遅れる。そもそもあまり余裕のない行程なのに、あるまじき事態であった。強く反省している。
タクシーで竹宇の登山口に向かい、駐車場で準備、早々に出発する。登山口付近に雪は全くなく、雰囲気は春そのもの。最初は新緑の中を延々と登っていく。
2000mを過ぎたあたりから所々に雪が見え始めるが、登山道はだいたい露出している。刃渡り付近にも雪はなく、通過は問題なし。刀利天狗から先は雪道が主になるが、ツボ足で進む。五合目から七丈小屋手前まではハシゴと鎖場が連続して現れる。おおよそ露出しており雪による困難はあまりないが、高度感があり、そもそも夏道としてかなり難度が高い。急登をのぼりつめた七丈小屋直前は、数十mではあるが雪の斜面のトラバースとなり緊張した。
テン場は端の一部を除いて雪に埋まっている。設営後、江崎さんに様々な実践的なロープワークを教えていただきつつ練習する。夕食は川名のちからラーメン。具だくさんでなかなか良かった。焼酎を酌み交わしつつ山の話をする。

□二日目
3:00起床。朝食は遠藤君のちからラーメン。こちらは簡素だが手早く食べられてよかった。ただし被らないように事前調整はすべきだった。
アイゼン、ピッケルを装備し4:49七丈小屋発。見たことがないほど透き通った青い空に、オレンジ色の朝日が幻想的だった。小屋出発後ほどなくして森林限界を超える。ルートは概ね雪に覆われている。
八合目まではそれほどの悪場もなかったが、八合目を過ぎたあたりの短い鎖場で一回目にロープを使用。ここは夏道が露出していたが、アイゼンを履いたまま通過するには緊張を強いられる岩場だった。江崎さんが先行し、鎖のアンカーにビレイ点を取り、一人ずつロープを投げて確保していただく。
数分後、左手に小雪庇。雪面にはクラックが入っていた。直後の雪で埋まったルンゼの登りが今回の核心部。一週間前の滑落事故の現場で、少し緊張した。
以降はこれといった悪場もなく、7:34山頂着。山頂付近はかなり地面が露出していた。微風快晴で、空気は澄み渡っており、鳳凰三山の向こうには富士山が見事に聳え、中央ア、北アはもちろんのこと、御嶽と乗鞍の間には遠く白山まで見えていた。北は八ヶ岳の向こうに浅間が顔を覗かせている。南ア全山のハイライトへの再訪に、感慨も一入だった。
素晴らしさのあまり長居してしまい、30分ほど滞在の後下山開始。ルンゼの下降はロープを出していただき、1ピッチ目は岩に、2ピッチ目は鎖のアンカーに支点をとってフィックス、川名はタイブロックで、久光と遠藤はマッシャーで下降。江崎さんは回収後フリーで下られた。行きも確保していただいた鎖場でもう一度ロープを出していただき、11:09七丈小屋着。

テントを撤収し、しばし休憩ののち下山再開。しばらくは腐った雪に足を取られながら、ツボ足にピッケルで歩く。途中、少し怖い岩場の下りで、遠藤のみ念のため確保していただく。5合目でピッケルを片づけ、以後は早足で下山。高低差2200mの下りはうんざりするほど長く、竹宇駒ヶ岳神社到着時にはいつになく疲労していた。

■反省・備考
□OBの方々より多くのご意見を頂いた通り、結局のところ今回の登山は「連れて行っていただく」登山の域を脱せなかったばかりか、この時期の黒戸尾根が、現在の我々が独力で登ってよいレベルをまだ相当逸脱している以上、それそのものであったとしても過言ではない。雪山のスキルアップに対して、最善の選択肢ではないという指摘は的を射ていたかもしれない。
一方で、段違いの実力者である江崎さんと一緒に山を登らせていただき、直接色々なことを教えていただくという経験は、大変刺激的であり、モチベーションの面で大きなプラスとなった。また、歩き方から状況判断、ロープワークからテント設営時のちょっとしたノウハウまで学びとることができたのは非常にためになった。
お忙しい中2日間も時間を割いてくださった江崎さんには、この場を借りて再度お礼申し上げます。
□2月の天狗岳で先輩諸氏に頼らない雪山を目指していた路線は、上州武尊以降中断されたままになっている。次回以降は今回学んだことを活かしつつ、再び自力で登れる山に自力で行くことを通じて経験を積むことを心がけ、非常に困難ではあるが、一度失われた雪山の土壌を復活させていくことを目指していきたい。
□救急箱の中身にテーピングテープが欠けていた。使用後に駒場に戻さないまま、人から人へ渡ったのが原因と考えられる。救急箱担当者は山行終了後部室に補充して返す/持ち出し時には中身を確認する、という基本を再確認したい。お茶大の部室でも補充できるようになるとなおよいだろう。
□行程にもあまり余裕のないこのような山行で、今回のように遅刻することは許されない。繰り返すべきではない。

■感想
□事前にご指摘頂いた通り、やはり7合目以上のレベルは高かった。江崎さん曰く技術的には赤岳・文三郎尾根と同等か少し上程度だろうとのことだったが、グサグサの雪質のため12月の赤岳よりは怖く感じた。刃渡り、5合目過ぎの梯子が雪を被っている時期であれば、段違いに難しくなるのだろう。
□夏山に向けての感想としては、三大急登として敬遠されがちな黒戸尾根だが、週末の1泊で甲斐駒に行けるのみならず、コース自体も変化に富んでおり、特に岩場の好きな人にはお勧めできる。一方、5合目過ぎの梯子や8合目の鎖場など、所々に危険個所があり、雪がなくても山慣れない人を連れて来るのは避けるべきだろう。