2015/6/20-21 釜ノ沢東俣

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
釜ノ沢東俣遡行計画書 ver.1.0
作成者 川名

■日程 2015/06/20(土)-21(日)

■山域 奥秩父 笛吹川水系東沢

■メンバー
CL川名,SL久光,遠藤

■交通
行き 八王子駅6:00集合。久光自宅車で西沢渓谷入口市営無料駐車場まで。

帰り 西沢渓谷入口市営無料駐車場から久光自宅車で

■行程(沢中のコースタイムは「沢登りルート120」の記載による)
1日目 西沢渓谷入口ー1:30ー山の神ー1:30ー釜ノ沢出合ー1:00ー両門の滝ーヤゲンの滝ー1750m付近
*両門の滝手前にも幕営適地あり。

2日目 1750m付近ー木賊沢出合(両門の滝から2:50)ー0:45ー甲武信小屋

甲武信小屋に10:30までに到着し、かつメンバーの力量が十分の場合はナメラ沢を下降する
ナメラ沢下降の場合 (計4:45?)
甲武信小屋ー1:45ー破風山ーナメラ沢 3:00?ー沓切沢橋ー1:00?ー駐車場

徳ちゃん新道経由の場合 計3:55
甲武信小屋ー0:25ー戸渡尾根分岐ー1:30ー徳ちゃん新道分岐ー1:30ー西沢山荘ー0:30ー駐車場
*甲武信ヶ岳ピストンは甲武信小屋から0:35

■エスケープルート
ヤゲンの滝まで:引き返す
ヤゲンの滝から:徳ちゃん新道経由でそのまま進む。
ナメラ沢下降の場合:そのまま進む。

■地図
2.5万分の1 「金峰山」「雁坂峠」
エアリア 「金峰山・甲武信」

■備考
日の出: 甲府6/20 19:04
日の入: 甲府6/21 4:30
管轄警察:日下部警察署 0553-22-0110
温泉:笛吹の湯510円、花かげの湯510円、宏池荘400円など

雷鳥の記録
2014西俣
2011西俣
2005東俣
2002西俣

釜ノ沢東俣遡行記録
作成者:遠藤

■日程 2015/6/20,21(土・日)

■山域 奥秩父 笛吹川水系東沢

■天候 1日目:曇後雨 2日目:曇後雨

■メンバー(計3人,敬称略)・オーダー
CL川名 遠藤 SL久光

■山行記録
□1日目
八王子駅に6:15に集合。そこから久光車で西沢渓谷へ(毎週のように運転ありがとうございます)。この時点では青空だったんだけどなぁ。
西沢渓谷の駐車場では渓谷観光をするパーティーなどが出発準備をしている。我々も簡単に準備をして出発。

8:25 西沢渓谷入口
8:57-9:23 入渓点
入渓準備&腹ごしらえ。川幅が広すぎて驚く。楽しい河原歩きからスタート。
途中から,高巻き(山ノ神まで)。振り返ってみると,やはりこの高巻きが一番危険。所々,お助け紐を出してもらいながら登る。
10:00-10:05 ホラ貝の滝
水が青い。真夏だったら泳ぎたくなるような場所。あの奥に行ってみたい気持ちはわかる。右側に巻き道がある。
10:41 山ノ神
小さな祠があるのみ。看板はなくなっていた。
11:08 乙女の滝
遡行途中,左右にいくつか滝が見える。とても登れそうもないような滝ばかりだが,あれにチャレンジする人もいる模様。
11:41-11:58 西ノ滑沢
西ノ滑沢に向かう途中,スラブの淵を歩くことに。滑ると水の中に引き込まれる。
西ノ滑沢付近にて,皆さん揃って入水。川名さんが沢でよく泳いでいるという話は前々から聞いていたが,僕までやることになるとは……。ものすごく寒いです。
12:20 釜ノ沢へ
いよいよ今回の遡行ハイライトへ(~両門の滝)。
魚留滝は左から巻く。ギリギリお助け紐に頼ることなく登ることができた。確かにホールドを探して上手く登れば問題ない。
12:45 三段滝
手前の千畳の滑は立派。癒される。釜ノ沢が人気の沢であることも納得できる。
6mナメ滝の途中からミニウォータースライダー。結構滑るので登るのはややおっかない。お助け紐を出してもらった。
三段滝は左から巻く。
13:00 野猿の滝
直登は無理。右側の巻き道を利用する(赤テープ完備)。
13:20-13:38 両門の滝
東俣と西俣の分岐点。すごいところまで来たなぁという感じ。ここで暫し休憩し,集合写真の撮影後,出発。
右側の踏み跡を辿れば,難なく歩ける。
13:55 薬研の滝(迷い沢との分岐)
14:55 テン場(1800m付近の台地)
焚き火の跡がある。泊まり沢だと,増水しても問題ないような場所をテン場に選ばねばならないので頭を使う。

到着後,焚き火の薪探し,ツェルト張り,水取り等を行う。
・焚き火
久光さん曰く,「焚き火は(男の)ロマン」らしく,川名さんと共に着火剤を使わずに火をつけることに苦心していた。
僕などは「はやく火がつけばいいんじゃね?」と思ってしまったのですが……。
火力調整もかなり大変そうで,特に雨が降り始めてからは,火が消えないように焚き火にかかりっきり。久光さんのボーイスカウト時代の経験が活きたみたい。
・ツェルト
ツェルトが2個あるので,どう使おうか思案。最終的に1つをタープとして,1つをベンチレーターにロープを通してシェルターとして利用。川名さんのロープワークが光る。
床の部分にツェルトをひかないと,案外,内部は広く,3人で横になっても狭くはない。但し,ツェルト内に入っても床は地面なので,マットをひかないとゆったりはできない。
・食当
久光さんの釜めし+ホイル焼き。釜めしは僕が作ったが,今回は上手くいったんじゃないかと思う。ニンニクのホイル焼きは外部は完全に炭になっており,内部がどうにか食べられた(すごい臭いだったけど)。スペアリブの方はとても上手にできており,美味しく頂けた(諸事情あって鍋を焚き火にかけて真っ黒になったのは秘密)。
徐々に雨も強くなり,これ以上の焚き火は無理ということで,ツェルト内に撤退。残りは明日の朝に回すことに。
久光さんと僕はシュラフカバーに入って,川名さんは何も使わず就寝。南ア全山をシュラフなしで乗りきった人だからこそなせる業だよなぁ。

□2日目
4:30起床。寒い。川名さんは既に起床済みで,火起こし中。雨は止んでおり,昨日の夕飯の続きができそうだ。
蒸し鶏,椎茸入りラーメン(クミン風味?),炙りベーコン&ソーセージと朝から非常に豪華であった。
朝食を済ませ,ツェルトを片付けた後,出発。

7:33 テン場
8:00 20×50mナメ滝
階段状のナメ滝。左側から攻略。滑りやすいので注意が必要。
8:13 ミズシ沢分岐
8:23 二俣分岐
看板があり,矢印の方向(右)に進む。
8:45 木賊沢出合
大ナメ滝を左に見ながら巻き道を進む。途中からナメを歩くが,滑らぬよう慎重に。滑ると,あのナメをものすごいスピードで落っこちて行くのだろう。この沢は最後まで来る者を飽きさせない。
9:08-9:58 ポンプ小屋
「結構しんどいなぁ」と思いつつどうにか登りきる。ポンプ小屋付近にはわらじと10本爪アイゼンが置かれている。甲武信ヶ岳が夏も冬も大人気だということがよくわかる光景であった。
水を汲んだり,装備を洗ったりしながらゆったりとする。
時間的には余裕があるが,天気も芳しくないことから,ナメラ沢を下るという案は自然消滅した。
10:03 甲武信小屋
ザックをデポ。ついでに山頂を目指す。
10:15-10:20 甲武信ヶ岳
途中から雨が強くなり,山頂はガスの中。それでも団体の登山者がおり,山頂は賑わっていた。「駅から百名山」ならぬ「沢から百名山」。
10:25-10:33 甲武信小屋
雨具を着て,いざ下山。ここから猛スピードの下山がスタート。
10:45 木賊山
10:48 戸渡尾根分岐
11:38 徳ちゃん新道分岐
12:07-12:20 一本
12:53-13:07 ネトリ橋付近
途中から雨も強くなり,道は悪化。ドロドロ,ぐちゃぐちゃでスニーカー登山では対応不可。新入生に「登山靴を買え」って言っている人たちが,スニーカーで下山しているんだから滑稽な話である。
13:20 西沢渓谷入口

駐車場で荷物の整理をし,笛吹の湯へ。他の学生パーティーもおり,賑わっていた。
疲れを癒した後,八王子へ。生憎,中央道がえらく混んでいたので,大月まで下道を利用し,途中,笹子駅近くの笹一酒造に寄る(久光さん曰く「平ツ沢で積み残した課題だった」とのこと)。少し渋滞に巻き込まれつつも,無事に八王子駅に到着。今回の遡行も無事に終了した。

■総括
前評判通り,規模や美しさの面で圧倒された。その割には難所も少ないので沢登りを存分に楽しめるのではないか。但し,山ノ神までの高巻きと下山道のぬかるみには注意が必要。

■反省・備考
・沢のレベルは決して高くはない。しかし,山歩き,沢歩きにある程度慣れていて,一般山行などで泊まりの経験があるメンバーでないと危険かなと思う。一方で,ある程度はCLのルートファインディング能力やロープを適切な時機に出すことによってカバーされるとも思う。
・今回はお助け紐に結構助けられた。一方,30mロープを行動中に使うことはなかった。そのおかげもあってか迅速に行動できたように思う。
・泊まり沢を経験すると,いかに一般山行で文化的な生活をしているかよくわかる。
・ルートが整備され過ぎていて,沢登りらしくないという声も。
・雨で焚き火ができない可能性も考慮して食当のメニューを決めるべし。
・マシュマロや花火を持って来ると楽しいとのこと。

■コメント
「うまいラーメンばかり食べていては,その美味しさは薄れていく。うまいラーメンを真に味わうためには,まずいラーメンを食べなければならない。」
これは山でも沢でも当てはまること。やや興ざめするような沢に行き,その後,釜ノ沢の風景を見た時の感動,これを多くの人と共有できたらと思う。