2015/7/4 谷川岳

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
谷川岳馬蹄形縦走計画書ver.3.0(7/2版)
作成者:遠藤

■日程 7/4,5(土・日)
*山中1泊2日,前夜(7/3)発

■山域 上越

■メンバー(計3名)
CL遠藤,SL尾田,寺垣

■集合
JR上野駅19:39発高崎線通勤快速・前橋行 先頭車両
*赤羽駅以降の乗車の場合はCLに連絡を!
*この電車は赤羽駅19:54発。

■交通
*学割利用可。池袋~水上だと,運賃は池袋~土合と変わらず3020円なので,土合までの切符を往復で買った方が学割の節約になりそうです。
(行き)
JR高崎線通勤快速・前橋行
 赤羽駅(19:54)→高崎駅(21:18)
JR上越線・水上行
 高崎駅(21:35)→水上駅(22:39)
 2590円
水上駅から土合駅までタクシー(3000~4000円)
(帰り)
簡略版
 土合駅(12:30/14:30*/15:34/18:19)→池袋駅(上野駅)(15:53/(17:22*)/18:50/21:44)
 *の電車は土合駅始発,上野駅終点の臨時列車。自由席は2車両のみ。
 3020円

■行程
1日目:
土合駅~(3:30)~白毛門~(0:55)~笠ヶ岳~(1:15)~朝日岳~(0:35)~ジャンクションピーク~(1:30)~白崩避難小屋
(計7:45)
*避難小屋が混みあうようであれば,テント泊@白崩避難小屋前。
2日目:
白崩避難小屋~(1:00)~七ッ石小屋山~(1:00)~蓬ヒュッテ~(0:55)~武能岳~(2:10)~茂倉岳~(0:20)~一ノ倉岳~(0:50)~オキノ耳~(0:10)~トマノ耳~(0:35)~天狗の留まり場~(0:30)~熊穴沢避難小屋~(0:40)~天神平~(ロープウェイ,0:10)~土合口~(0:15)~土合駅
(計8:35)

■エスケープルート
清水峠まで:引き返す
清水峠から武能岳まで:蓬新道を利用し土樽駅へ
武能岳から一ノ倉岳まで:茂倉新道を利用し土樽駅へ
一ノ倉岳から:そのまま進む

■地図
2.5万分の1 「水上」「茂倉岳」
エアリア 「16谷川岳 苗場山・武尊山」

■備考
日の出(谷川岳 7/4,5)4:20頃
日の入(谷川岳 7/4,5)19:15頃
NHKラジオ第一(東京)594kHz
NHKラジオ第二(東京)693kHz
谷川岳ロープウェイ 0278-72-3575
(7:00-17:00 1人1230円)
関越交通 0278-72-3131
沼田警察署 0278-22-0110
谷川登山指導センター 0278-72-3688

谷川岳馬蹄形縦走記録
作成者:遠藤

■日程 2015/7/4,5(土・日)

■山域 上越

■天候 1日目:曇時々雨 2日目:曇時々晴

■メンバー(計3人,敬称略)・オーダー
寺垣 SL尾田 CL遠藤

■山行記録
□0日目
5限終了後の出発。計画書に載せた電車の出発時刻が4分ずれているというトラブルはあった(申し訳ない)が,誰も乗り遅れることはなかった。皆さん,家に帰ってシャワーを浴び,ご飯を食べてから来られたようだ。

電車はそこそこ混んでいて,金曜日の夜だということを思い知らされる。途中,この前の月曜日に谷川に登ったおじさんに晴れた谷川の話を聞き,半分期待,半分諦念。

水上からはタクシーを利用。深夜料金ではあったが,3660円で済んだ。長岡方面の上越線がもう少し遅くまであれば……。

土合駅に着くと,駅寝勢がたくさん。15人弱はいたんじゃないかと思われる。(尾田くん以外は)明るいから寝るのに難儀した。加えて,貨物列車が通ると爆風が吹くのもいつものことではあるが,閉口。あれで目が覚めて,また寝られなくなる。

□1日目
4:30起床。
夜寝るのが遅かったこともあり,睡眠不足の感は否めない。シュラフやマットを片付け,朝食を食べてから出発。

5:00 土合駅
そういえば,今回は結局モグラ体験はせずに終わってしまった。
5:10 土合橋
橋は渡らないことに注意! 沢沿いの道に入り込まないようにしたい。
5:49-5:57 一本
白毛門までの登りは最初が特にきつい。朝一というのもあるだろうが,バテバテ。白毛門沢の大滝が美しい。
7:21-7:30 一本
途中,強めの雨が降り始めたので,雨具を上下着用。まだ樹林帯であったので,多少マシであったか。
また,軽装のお兄さんが下ってくるのに出くわした。「天気が下り坂なので,白毛門まで行って引返してきた」とのこと。相当なスピードだ。
8:00 松ノ木沢の頭
樹林帯は抜けたが,雨は止み,案外展望もある。白毛門が近く感じる。遠くに他パーティーが見える。避難小屋泊危うし。
直前に鎖場があるが,難しくはない。慎重に登ろう。
9:00-9:17 白毛門
途中,先ほど見えたパーティーに追いつく。どうも大学生パーティーのようだと思っていたら,「遠藤先輩」との声。高校の頃の後輩のKさんだった。早稲田のアルコウ会というサークルで,我々と同じく馬蹄形縦走をやるらしい。片や3人なのに対し,片や7人。これはどういうことでしょう?
尾田くんや寺垣さんに聞いてみると,計画書に「ヘビー」とか書いたから,皆がビビったんじゃないかとのこと。それはそうかもしれない。(後でアルコウ会のHPで予定を確認してみたところ,7/3-6で谷川岳となっている。平日も休める大学と祝日を授業で潰しにかかる大学と。何だろうか全く。)
谷川岳の山頂付近は雲の中であるが,東壁はしっかりと見えた。あれは印象に残る。
10:28-10:36 笠ヶ岳
ガスの中で,再び雨。先ほどよりは弱いが,風が吹くとかなり寒い。さっさと出発。山頂直下にかまぼこ小屋が見えた。
12:08-12:27 朝日岳
相変わらずガスの中。風の避けられる場所で昼食をとる。
12:55 ジャンクションピーク
池塘と木道が続き,気分は半分尾瀬(といってもそんな時期の尾瀬には行ったことはないが)。木道が濡れておっかないが,高山植物が綺麗なので許す。
ジャンクションピークには巻機山へ続く道がある(矛盾するようであるが,「道ナシ」と看板には書かれている)。あれは藪・雪の世界なんだとしみじみ実感。
13:27-13:45 一本
所々に崩壊地があり,歩きにくい。泥濘も難儀。ブヨも鬱陶しい。しかし,景色は一級。
14:31 白崩(しらくずれ)避難小屋
避難小屋に一番乗り。やったね。
(避難小屋の近くに見える赤い小屋は送電線監視所。遠くから見ると,監視所が避難小屋で,避難小屋の方はトイレのように見えるが,お間違いなく。かまぼこじゃないだけありがたい。)

今日の行動終了と思い,気を抜いていたら,実はここから先が大変だった。

小屋の掃除や米の準備をした後,水汲みへ。水場は3つもあるので,どこに行こうかと迷っていたが,謙信尾根のは藪漕ぎ,旧国道のは雪斜面のトラバース(もしくは,斜面を大きく下って雪をかわす)で水場にたどり着けず。あっちに行ったりこっちに行ったりして,結局トラバースをすることに。軽アイゼンで歩けなくはないが,前爪がないとおっかないし,斜面が崩壊しても困る。躊躇しているところで,他のパーティーが来たので,協力して水を手に入れることに。結局,そちらのパーティーが飲めそうな流水を見つけたようなので,そちらへ向かうことに。沢水もあるようだが,ロープを使わないと取水できないとのこと。かれこれ2時間弱,水場を探し求め,見つけたのは雪解け水となってしまった。冷たくてよいのだが,なるべく食当用に使うよう心掛け,飲料用には持参のものを利用するようにした。

その後ようやく食当に。今日の夕食は寺垣さんのオムライス&卵スープ。山の中で卵料理を食べるのはいつぶりだろうか。米も美味しくできていたし,卵もふんわりして,とても山の食事とは思えなかった。ご苦労様でした。

お茶やらカフェオレやらを飲んだ後,小屋でゆったり。幸い,他のパーティーはテント泊のようで,避難小屋は我々だけで広く使えた。あとは小屋のトイレに大きなアブさえいなければ最高なんだが。

荷物の整理もそこそこに,横になる。しかし,あまりにも早すぎて寝られないので,遠藤はラジオを聞きながら読書。尾田くん,寺垣さんも一瞬,寝たようであるが,すぐに目を覚ましてしまったので,ラジオをかけながらお話。Hey!
Say! JUMPの誰某が話をしているが,誰も興味がなく,何が面白いのかよくわからない(電気ポットを口説いていたようだ)。合宿の楽しみは何もすることのない夜にうだうだ話をすることにあると思う。相手のことを深く知ることができて,非常に興味深い。22:00過ぎには就寝。

□2日目
4:00起床。Good Morning,
VietnamのCronauerの声がけたたましく響く。夜中に雨が降っていたことには気づいて目が覚めたが,かなりぐっすり寝られた。

朝食は遠藤のアルファ米,ソーセージ,コーンスープ,海藻サラダ。ソーセージを茹でた水をアルファ米やコーンスープに使いまわせるのはよいが,やや時間がかかる。アルファ米はやや量が多く,そのせいか寺垣さんは腹痛を起こしてしまった。

外に出てみると,昨日歩いてきたコース,これから歩くコースがよく見える。天気良好で,期待してはいけないと思いつつ,晴れた谷川岳を想像してしまった。露払いのことも考え,上下雨具着用で出発。

5:28 白崩避難小屋
小屋の裏側を見ると,赤ダンV8が。昨日会ったアルコウ会だと思われる。あれを背負って来たのかと思い感心。
笹原の尾根へ向かって出発!
6:21 大源太山分岐
巻機山はもちろん,遠くに越後三山も見える。絶景。
6:25-6:35 七ッ小屋山
大パノラマが楽しめる。振り返れば上越のマッターホルンが。いつか登ってみたいものだ。房総のマッターホルンも悪くはないけどね。
7:07 謙信ゆかりの道分岐
7:17-7:28 蓬峠
蓬ヒュッテは改装中で,工事のおじさんたちが朝からお仕事。8月には完成するらしいので,どんな風になるか期待したい。
8:17-8:30 武能岳(ぶのうだけ)
ぐんま百名山だそう。ここまでの登りも結構バカにできない。しかし,谷川や朝日,遠くに巻機や越後駒を眺めながらの縦走は最高。遠くに清水峠が見え,緑の多い南アルプスといった感じ。ニッコウキスゲの群落も素敵。
9:48-10:07 一本
今日一の茂倉岳への登り。僕は疲れ果ててしまったが,前の二人はエーデルワイスを歌いながら,歩いていく。
10:42-10:48 茂倉岳
ここから先は歩いたことのあるコース。双耳峰がよく見える。今回は本当に谷川での展望を期待できるかもしれない。
11:10-11:22 一ノ倉岳
団体さんにロープウェイの帰りのチケットを頂いた(ありがとうございました!)。彼らは計画変更をして土樽の方へ抜けるようだ。
11:50 ノゾキ
一ノ倉沢の残雪を眺める。谷川岳の岩峰も近い。いよいよ。
12:27-12:35 オキノ耳
途中,岩場・鎖場があるので,特に雨天時は注意したい。今回は問題なし。神社には今朝,置かれたであろう幣(ぬさ)がある。
途中でおじさんに「土合の方に向かいたいんだが,行けるかな」と相談されてしまった。ガイドマップのようなものを示して向かうルートを教えてもらったが,どうも中芝新道に向かうらしい。結構厳しいルートであるとわかっていたが,相手の気を損ねてもいかんので,「残雪に注意しろ」程度しか言わなかった。しかし,道を聞いてくる登山者であるから,危ういのは自明のことなので,もっとはっきりと「行くな」と言えばよかった。和名倉山での遭難事例を読んで似た話を知っているので,余計に心が痛む。無事に引き返していることを祈る。
そして,お待ちかねの谷川は晴れ! 「谷川は真っ白の山」という印象しかなかった寺垣さんにとってもよかったのではないか。
12:50-13:24 トマノ耳
グダグダ。なんだか疲れて動く気がしない。そうこうしているうちに,ガスが上がってきて,平標山方面は白。
13:28-13:43 谷川岳肩ノ小屋
寺垣さんは谷川岳Tシャツを購入。
14:08 天狗の留まり場
前年のように登山道上の残雪もなく,特に苦労することなく歩けた。ただ,流石にメンバー全員疲れているようだ。
14:42-15:04 熊穴沢避難小屋
ここで電車の時刻を調べ,絶望。尾田くんが機転を利かして,バスで水上まで向かうことを提案してくれたので,少しは早く帰れると気づく。
15:36 天神平
やっとの思いで到着。観光客もそこそこいる。ここで装備解除し,ロープウェイを利用して下山。

下山後,開山祭の際に配っていた水をもらう。少し待った後,最終バスへ乗り込み,水上駅へ。
水上からは行きと同じく長い電車旅。何だかんだ眠らずに,ずっと話をしていたかも。
途中,赤羽駅で下車し,(これも恒例となった?)安楽亭で焼肉。あっという間に一年がたってしまってしみじみ。他愛ない話をした後,解散。皆さんお疲れ様でした!
■総括
コースタイムを見てもわかる通り,ハードな山行であることは間違いないので,体力と覚悟は必要。しかし,それさえあれば,アルプスのようなミニ縦走を味わえる。技術面での要求度は高くない(軽い岩場・鎖場程度)ので夏合宿の準備にもちょうどよいかもしれない。但し,この時期は残雪や天候など不確定要素も少なくないので注意したい。

■反省・備考
・6月の谷川にしては好天であった。いつも我慢できなくてこの時期に谷川のカードを切ってしまうが,10月あたりまで待てば,また違った趣を味わえるだろう。
・今回は小屋泊ができたが,満員で小屋に入れないこともあるので,テントorツェルトを持っていこう(ツェルト泊はお勧めはしないが,雨ぐらいは十分しのげる)。エアリアにはテン場マークはないが,蓬ヒュッテでは公認されているし,清水峠でもテントを張ることは多いようである(2013年版のアルペンガイドには清水峠にテン場マークあり)。本当は環境保護のため,なるべくテントは張らず,小屋利用を考えるべきではあろうが……。
・水場については事前の調べが浅かった。エアリアに書いてあるから問題なかろうと思っていたが,一歩間違えれば,取水できない可能性もあった。どの水場に行くにもバリエーションの香りがするので,清水峠に泊まる際は注意しよう。今回は取水できたが,2日目の水は結構カツカツであった。
・エスケープルートであるが,この時期は馬蹄内へのエスケープを想定すべきではない。芝倉沢などでは残雪も多く,場合によってはアイゼンやピッケルが必要になる場合もあろう。エスケープするならばなるべく馬蹄の外側へ!
・ブヨにかなりやられた(僕は10箇所弱)。初めは夏山によくいるメマトイかと思ったが,血を吸っているので,ブヨだと判明。後々かゆくなるので,虫よけ対策は万全にしておくべき(苗場も虫が多かったので,計画書にて注意喚起をしておけばよかった)。
・清水峠~茂倉岳の高山植物群は見物。この時期だからこそ味わえる。
・伝統的な馬蹄形縦走のコースは白毛門から入って西黒尾根を下るというものらしい。今回は日和ってロープウェイを使ったが,それでも体力的に目一杯であった。西黒尾根を歩くとか,大源太山をピストンするとか,馬蹄形から主脈縦走(~平標山)に突入するとか,様々なコースを考えてみよう。
・去年も時計回りで馬蹄形をやろうとしていたが,1年生も多く体力的に厳しかったかもしれない。確かに,反時計回りより時計回りの方が楽ではあるが,それでも不慣れな新入生を連れて行くのは大変であっただろう。

■コメント
この山行は尾田くんの「谷川岳に行きたい」という希望を結晶化させたものである。最初は36期に丸投げしようかとも思ったが,夏合宿の準備で忙しいこの時期にCLをやらせるのも酷なので,こちらで計画した次第。メンバーは皆,前年の馬蹄形で撤退しており,完全なリベンジ山行になった。この時期にしては,新入生のことを全く考慮していない山行で恐縮ではあるが,35期,36期のみの珍しい山行かつ尾田くんとは白峰三山以来の山行で,ある種の懐かしさもあった。寺垣さんも谷川の展望を味わえて満足してもらえたのではないかと思う。今度は是非,主脈を歩こう。
三大急登の西黒尾根に隠れてあまり目立たないが,白毛門までの登りもそこそこきついので夏合宿に向けての体力養成にもなったかと思う。今年は三大急登や北アルプスの三大急登にチャレンジする隊も存在するようなので,夏までに体を慣らしておきたいものだ(自戒の念を込めて)。