2015/10/3-4 木曽駒・空木縦走

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
木曽駒・空木縦走計画書ver.2.0(10/1版)
作成者:遠藤
■日程 10/3,4(土・日)
*前夜(10/2)発!
■山域 中央アルプス
■在京本部設置要請日時 2015/10/4 18:00
■捜索要請日時 2015/10/5 9:00
■メンバー(計4名)
CL遠藤 SL尾田 松本 谷口
■集合(10/2!)
新宿駅西口京王新宿高速バスターミナル19:10
■交通
★一応,学割も持参されたい。
(行き)
・0日目
高速バス・新宿~伊那・飯田線
 新宿西口(19:30)→駒ヶ根市(23:20)
 3700円
*駒ヶ根市からは徒歩で駒ヶ根駅へ。過去の記録によると,歩いて10分ほどとのこと。
*駒ヶ根駅にて駅寝。
・1日目
駒ヶ岳ロープウェイ線・しらび平行
 駒ヶ根駅前(5:00)→しらび平(5:45)
 1040円
駒ヶ岳ロープウェイ
 しらび平(6:00)→千畳敷(6:07)
 1210円
*恐らく,混雑する。覚悟されたし。
(帰り)
高速バス・新宿~伊那・飯田線
 駒ヶ根IC(14:50/15:50/16:50/17:50/18:50/19:50)→新宿西口(18:15/19:15/20:15/21:15/22:15/23:03)
 3700円
 or
高速バス・新宿~伊那・飯田線
 駒ヶ根市(15:00/16:00/17:00/18:00/19:00)→新宿西口(18:45/19:45/20:45/21:45/22:45)
 3700円
*中央道の渋滞にはまる可能性あり。
★目標は駒ヶ根IC16:50発のバス。
■行程
1日目:
千畳敷~(1:00)~宝剣山荘~(0:30)~中岳~(0:30)~駒ヶ岳~(0:30)~中岳~(0:20)~宝剣山荘~(0:20)~宝剣岳~(0:50)~三ノ沢分岐~(0:10)~極楽平~(1:00)~濁沢大峰~(1:20)~檜尾岳~(0:10)~檜尾避難小屋
(計6:40)
*避難小屋泊。
2日目:
檜尾避難小屋~(0:15)~檜尾岳~(1:10)~熊沢岳~(1:30)~東川岳~(0:20)~木曽殿山荘~(1:30)~空木岳~(0:20)~駒石~(0:20)~分岐~(1:00)~ヨナ沢の頭~(1:10)~マセナギ~(0:30)~池山小屋~(0:40)~タカウチ場~(0:20)~林道終点
(計9:05)
*林道終点からは,時間に余裕があれば歩く(菅ノ台バスセンターまで2:00)が,基本的にはタクシーを利用する(駒ヶ根駅まで30分・5000円程度)ことになろう。
■エスケープルート
木曽殿山荘まで:引き返す(ロープウェイを利用し下山)
木曽殿山荘から:そのまま進む
■地図
2.5万分の1 「木曽駒ヶ岳」「空木岳」
エアリア 「40木曽駒・空木岳」
■遭難対策費
200円×4人
計800円
■備考
日の出(木曽駒ヶ岳 10/3,4)5:35頃
日の入(木曽駒ヶ岳 10/3,4)17:40頃
NHKラジオ第一(伊那)981kHz
NHKラジオ第二(伊那)1602kHz
丸八タクシー 0265-82-4177
赤穂タクシー 0265-83-5221
駒ヶ岳ロープウェイ 0265-83-3107
駒ヶ根警察署 0265-83-0110
宝剣山荘 090-5507-6345
駒ヶ岳頂上山荘 090-5507-6345
木曽殿山荘 090-5638-8193
空木平避難小屋 0265-83-2111
池山小屋 0265-83-2111
こまくさの湯 0265-81-8100
2013年度中央アルプス縦走記録

木曽駒・空木縦走記録
作成者:遠藤
■日程 2015/10/3,4(土・日)
■山域 中央アルプス
■天候 1日目:晴 2日目:晴時々曇
■メンバー(計4人,敬称略)・オーダー
CL遠藤 谷口 SL尾田 松本
■山行記録
□0日目
 新宿西口バスターミナルに尾田・谷口・遠藤は集合し,駒ヶ根車庫行きのバスへ。乗っているだけで着くのは楽なもんである。駒ヶ根市バス停から5分で駅に到着。
 一方の松本さんは,事前の連絡通り,電車で駒ヶ根向かわれた。しかし,中央線で人身事故があったようで,今日中に駒ヶ根に着かないかもとの連絡が。翌日の出発を遅らせることも考えたが,結局,岡谷からタクシーを利用して駒ヶ根駅までどうにか来られたようである。タクシー代は2万円以上だが,すべてJRもちだそう。
 駒ヶ根駅は駅寝場所としてはあまりよろしくないかもしれない。一応,駅舎内で寝ることができるが,明かりが消えるのも遅く,工事の音もうるさい。一方,外はそこそこ寒い上に,深夜1時過ぎまでは人が結構ウロウロしている。最初は外で寝ていたが,途中から私以外のメンバーは中に入ってしまったようである。駅寝をしているのは我々以外に1人だけ。まぁ,普通はホテルに泊まるよな。

□1日目
6:45 千畳敷駅
7:25 乗越浄土
7:30-7:55 宝剣山荘
8:06 中岳
8:15 駒ヶ岳頂上山荘
8:28-8:48 木曽駒ヶ岳
9:00 駒ヶ岳頂上山荘
9:10-9:20 中岳
9:28-10:13 宝剣山荘
10:31-10:45 宝剣岳
11:24-11:38 三ノ沢分岐
11:45 極楽平
12:39-13:00 濁沢大峰
13:57-14:03 檜尾岳
14:12 檜尾避難小屋

 4:15起床。眠いのと寒いので,シュラフに入りながら朝食を食べる。他のメンバーはよく眠れたのだろうか。予定通り5:00発のバスに乗るのだが,最初から割と混んでおり,途中から乗車する人も多かったため,バスが増発されたようだ。恐るべし,紅葉のアルプス!
 当然,ロープウェイも混む。「帰りは2時間待ちになるから早めに行動してね♪」というアナウンスが流れている。我々は始発便には乗れず,9分後の次発の便に乗車。ロープウェイの窓に張り付いて紅葉と滝を眺める。いやぁ,綺麗だ。これは楽しい稜線歩きになりそうである。
 丸ノ内線のような混み具合のロープウェイを下りると,千畳敷駅である。ここはエアリアによると標高2612m(実際は2640m台だそう)。室堂よりも高い標高日本一の駅である。木曽駒が2956mなんで,標高差は300m強。手軽にアルプスを楽しむにはやはりここであろう。立山よりも楽だし,近いし,安い。但し,標高を一気に1000m近く上げるので,高山病には注意したい。前日の寝不足も祟って,松本さんは眩暈がするとのこと。高山病なのかはよくわからないものの,その可能性は大いにある。
 千畳敷駅から乗越浄土まではややきつめの上りで,登山客が列をなしている。混雑しているのでゆっくり歩いているつもりなのだが,尾田くん・松本さん曰く「速い!」とのこと。一方の谷口くんは普通についてきているし,そんなに速く歩いているつもりはないんだけどなぁ。
 乗越浄土に到着すると,結構な西風。これはしんどいということで,宝剣山荘に一旦避難した。宝剣山荘はかなり立派な小屋である。ここで,サブザックを準備して,ピストン行動開始。個人装備に「サブザック」を入れ忘れてしまったので,谷口くんには荷を抜いたメインザックを持ってもらった。これは申し訳なかった。
 強風の中,木曽駒ヶ岳に向かうが,ずっと混んでいる。特に悪路ではないが,風のせいで寒いこと寒いこと。これで雨でも降ったら悲惨だったろうなぁ。うだうだ歩いていると,木曽駒ヶ岳に到着。あまりにもあっさりと到着した上,山頂ものっぺりしていたせいか,最初,谷口くんは木曽駒に着いたとは思わなかったようだ。後で彼になぜ木曽駒の計画に乗ったのか聞いてみたところ,麓から見て行きたい山だったからのようだ。しかし,ちょっとガッカリしてしまったみたいである。ただ,山頂からの眺めは超一流である。深田もそこは絶賛している。東には南ア・八ヶ岳,西には御嶽,そのまま北に目を移せば乗鞍・槍穂,南を見ればこれから向かう宝剣・空木の稜線が続いている。富士山は南アの後ろにちょこっと顔を覗かせているが,これは北アか南アから見た富士山が圧勝。木曽駒はおそらく展望の山なんだろう。これだけお手軽に上れて,この絶景なら文句は言ってはいかんよな。
 風も強いし,そろそろ移動しようということで,来た道を帰ることに。途中の頂上山荘にも立ち寄ったが,宝剣山荘の方がこちらまで出張しているのには驚いた。宝剣山荘に比べるとやや小さい山荘だなぁという感じ。
 宝剣山荘に着き,腹ごしらえをすることに。尾田くんはうどん,松本さんと谷口くんは豚汁,私は栗ぜんざいを頼む。たまにはこんなユルい山行もいいよね。宝剣岳までは鎖場があるそうだし,腹ごしらえも含め準備は入念にしないと。
 宝剣山荘から三ノ沢分岐まではエアリアでは点線ルートである。こちらも事前に調べてはいたが,実際に行ってみるとそれほど難しくはない。行き違いに難儀するが,点線にするほどのことはなかろう。宝剣岳手前の鎖場トラバースと三ノ沢分岐手前の長めの鎖場以外は印象にもあまり残らない。そこも三点確保さえしっかりできていれば問題なかろう。但し,事故が多いのは事実のようで,転倒によるものが目立つ。楽しいという意見と恐いという意見とに分かれたが,とにかく点線であってもバリエーションルートではない。木曽駒に来たハイカーが「時間に余裕もあるし,ついでに宝剣岳にも行ってみよう」とか考えて,鎖場で事故を起こすことがないように,エアリアも配慮しているのではないかなんて勘ぐってみたが,本当にその程度の道だと思ってよい。
 宝剣岳山頂は狭いが,登ったという感じがする。山頂のインパクトは完全に木曽駒よりこっちであろう。千畳敷から見ても,宝剣岳は登らなきゃいかんと思わせる山である。山頂のデカい岩に登る根性はないので,その下で集合写真を撮って出発。聞いた話によると,今日は檜尾避難小屋も相当混むとのこと。少し急がねば。
 さて,三ノ沢分岐からは広い尾根が伸びており,非常に気分のよい稜線歩きである。しかし,それも長くは続かず,アップダウンが割と激しいゾーンに入ってくると,皆さん辛そう。たまに鎖場もあるが,ここも慎重に歩けば問題ないだろう。松本さんは休憩の時にウトウト。昨日の夜に眠れなかったことや荷が重いため疲れてきていることが影響しているのだろうか。頭痛もするそうだ。救急箱の頭痛薬を飲んだところ,頭痛自体は改善したようだが。
 途中から檜尾避難小屋が見えるようになる。ゴールが見えると俄然やる気が出るが,それでも檜尾岳の上りは結構辛い。どうにか檜尾岳に着き,さっさと避難小屋へ。避難小屋までの道はガレていて,案外足を滑らせやすい。気をつけたい。
 避難小屋に行くと,8名の先客が。さすがにツェルト泊は勘弁してほしいという松本さんの強い意向もあり,小屋に入れてもらうことに。我々が入ると12名。ほぼ定員である。しかし,その後も続々と登山者がやってきて,日没直前に駆け込んでくる人もいた。ロープウェイで散々待たされたそうだ。最終的にはなんと19名に。それでも,あふれてテント・ツェルトという人も少なからずいた。インターネットには定員20名という情報もあるが,あれはぎゅうぎゅうに詰めた場合であって,快適に寝るには10名強が丁度良い気がする。
 我々は到着後,すぐに夕飯の準備を行った。本当は谷口くんの担当であったが,尾田くんの持ってきた冷凍鶏肉がもつか怪しいので今夜食べてしまうことにした。鶏うどん(きしめん)である。生麺ということもあって,山でも下界らしいものを食べられた。後は軽くお茶を飲んで夕飯終了。15:30ぐらいには食べ終わってしまっていたような。
 その後,本を読んだり,小屋の周りをフラフラしたり。水場は5分ぐらい下ったところにあるようだが,今回は水不足でもないので,特に汲みに行かず。トイレは小屋の脇にあるが,避難小屋にしてはきれいな方である。小屋の内部にはシュラフや水,米(生米・アルファ米)が常備されており,理想的な避難小屋だなぁと思う。暗くなれば駒ヶ根の夜景もなかなかで,中アは下界がとても近いという印象だ。
 さて,あの避難小屋に寝る訳だが,とにかく狭い。しかし,その分暖かく,よく眠れた。結局19:00から4:00まで9時間も寝たことになる。

□2日目
5:43 檜尾避難小屋
5:52 檜尾岳
6:54-7:10 熊沢岳
8:05 東川岳
8:20-8:45 木曽殿越
9:47-10:10 空木岳
10:15-10:31 駒峰ヒュッテ
10:57-11:11 空木平避難小屋
11:22 分岐
11:58 ヨナ沢の頭
12:15-12:31 一本
12:50 マセナギ
13:15-13:29 池山小屋分岐
13:49 タカウチ場
14:04 林道終点

 4:00起床。ほとんど皆4:00に起きて,朝食の準備をし始める。我々は谷口くんのミートソース・スパゲッティ。6人前であったがペロッと食べられたのが不思議である。お腹が空いていたのかもしれない。明るくなってくるまで避難小屋に残っていると,南アルプスの方から太陽が顔を出す。駒ヶ根の夜景と共に非常に美しい光景だ。
 すっかり明るくなってからの出発。風も冷たく非常に寒い。こちらはフリースを含め4枚着て歩き始めたというのに,谷口くんは2枚で下は半袖だと言う。年をとると体温も低いから仕方ないのかもしれない。
 今日も風が強い。この山は西風がずっと吹いている気がする。稜線で西側に背の高い樹木が少ないのもその影響だろうか。風に乗って硫化水素の臭いも漂っている。これは御嶽がためだろう。
 熊沢岳の大岩もだんだん近づいてくる。あれに登ろうと色々考えてみたが,結局,下りる手段がないということになり,諦めた。その先の東川岳からは空木が目の前に見えてよいのだが,木曽殿越まで下るかと思うと気が滅入る。
 木曽殿山荘の綺麗なトイレで用を足し,いよいよ最後の上りである。途中から鎖場が連続し,やや鬱陶しい。メインザックを背負っていると体が重いのでなかなか難儀である。しかし,空木岳は悪いピークではない。木曽駒のピーク自体はやや残念だっただけに,空木が栄えるだけだろうか。ちょっと残念なのは西側がやや曇りがちであったこと。それでも南駒ヶ岳や越百岳はよく見えた。ここで,今後の身の振り方を決定。①林道終点からはタクシー,②池山小屋付近でタクシーを呼ぶ,③できればこまくさの湯に入る。
 駒峰ヒュッテまで下りて,再び休憩。今回は休憩しすぎかもしれない。小屋でこまくさの湯の割引券を尾田くんが見つけたので,これは行かざるを得ないという感じである。急いではいるのだが,CLの個人的な興味で空木平避難小屋を覗いてみたいということもあって,あえて空木平方面へ。沢沿いの道だが,水量は少ないので,足を濡らすこともない。
 そして,例の(「霊の」と言った方がわかりやすいか)避難小屋へ。しかし,新しい広めの小屋であり,全く出そうな感じはなかった。これは夜に来ないとわからないんだろう。
 その後の行程で特筆すべきは小地獄・大地獄だろうか。鎖場がやや厄介で,気をつけないとそのままさようならということもあるので,最後の最後まで気が抜けない。ただ,迷尾根とあるが,迷うことはないだろう。その後,池山小屋手前の分岐でタクシーを呼び,快調に林道終点まで歩き切ってゴール!
 タクシーでこまくさの湯まで行き(2980円),温泉でゆったりする。やっぱり山の後の温泉は気持ちが良い。その後,各々アイスやそば,駒ヶ根名物のソースかつ丼を食べ,女体入口までバスで移動である。混むかと心配していたが,ロープウェイも終了間際で,バスに乗っている人も少なかった。バス停名で盛り上がっている少年たちを軽くスルーしつつ,所定のバス停で降り,高速バス乗り場まで移動。駒ヶ根ICのバス停は名古屋や大阪まで行くバスもあり,谷口くんと尾田くんは郷愁にかられている。しかし,新宿行のバスに乗ってもらい,長旅のスタートとなる。
 バス内で松本さんはずっと谷口くんとしゃべり続けていた。よくあれだけ話続けられるものだと尾田くんと感心していたのだが,松本さんによれば我々も十分うるさかったとのこと。皆揃って迷惑なパーティーである。どーでもいいことを話していたのだが,そういうことを話せる人がいるというのは結構大事なことだと思う。ただ,バタイユを引いて,尾田くんに「闇が深い」と言われてしまったのはう~ん。
 中央道の渋滞のせいで新宿に着いたのは22:00近く。明日は月曜日だというのにこんなに遅くなり申し訳なかった。それでも皆さんは1限はないようで。こっちはこれからゼミの準備をしなければ……と思いつつ,夜の新宿で夕飯所を探す。結局,ねぎしに決定し,ドタバタと牛タンを食す。その後,23:00過ぎに解散。皆さんお疲れ様でした。

■総括
紅葉の時期に中アのハイライトコースを歩くというミーハー山行であったため,混雑で閉口する部分もあったが,好天の中,最高の縦走であった。
■反省・備考
・とにかくこの時期は混むので,余裕ある行動を!
1泊2日で同コースをこなすのであれば,前泊は必須である。避難小屋も混むので,最悪の場合を想定してテントかツェルトは持っていこう(檜尾避難小屋付近に張れる)。もしくは,最初から小屋泊にしてしまうのもありかもしれない。
・コースタイムが長めなので,速めに歩くことが多かった気がする。もう少し休憩を短めにして,ゆっくり歩くというのもありかもしれない。
・高山病に注意したい。特に寝不足の場合や疲れがたまっている場合はなりやすい。
・寒さ対策も万全に。秋のアルプスは一歩間違えると冬山になる。
・ロープウェイ利用で高度を稼げ,軽めの鎖場や岩場も登場するので,アルプス入門に最適。2泊3日にしてライトな夏合宿にしてもよいだろう。
・ツェルトの張り綱は整備済み。
■コメント
 私としては心地よい秋山行でした。メンバーの皆さんも楽しんでもらえたのではないかと思います。もし木曽駒・空木だけでは寂しいという人がいれば,南北縦走を目指すしかないですね!
そのうち計画されることを期待しています。
 毎年,10月が一般山行としてテント泊ができる最後の時期になってきますので,積極的に山行にご参加ください。部会でお知らせした通り,10/17,18に八ヶ岳に行く予定です。そちらも是非どうぞ。


木曽駒・空木縦走記録
作成者:遠藤
■日程 2015/10/3,4(土・日)
■山域 中央アルプス
■天候 1日目:晴 2日目:晴時々曇
■メンバー(計4人,敬称略)・オーダー
CL遠藤 谷口 SL尾田 松本
■山行記録
□0日目
 新宿西口バスターミナルに尾田・谷口・遠藤は集合し,駒ヶ根車庫行きのバスへ。乗っているだけで着くのは楽なもんである。駒ヶ根市バス停から5分で駅に到着。
 一方の松本さんは,事前の連絡通り,電車で駒ヶ根向かわれた。しかし,中央線で人身事故があったようで,今日中に駒ヶ根に着かないかもとの連絡が。翌日の出発を遅らせることも考えたが,結局,岡谷からタクシーを利用して駒ヶ根駅までどうにか来られたようである。タクシー代は2万円以上だが,すべてJRもちだそう。
 駒ヶ根駅は駅寝場所としてはあまりよろしくないかもしれない。一応,駅舎内で寝ることができるが,明かりが消えるのも遅く,工事の音もうるさい。一方,外はそこそこ寒い上に,深夜1時過ぎまでは人が結構ウロウロしている。最初は外で寝ていたが,途中から私以外のメンバーは中に入ってしまったようである。駅寝をしているのは我々以外に1人だけ。まぁ,普通はホテルに泊まるよな。

□1日目
6:45 千畳敷駅
7:25 乗越浄土
7:30-7:55 宝剣山荘
8:06 中岳
8:15 駒ヶ岳頂上山荘
8:28-8:48 木曽駒ヶ岳
9:00 駒ヶ岳頂上山荘
9:10-9:20 中岳
9:28-10:13 宝剣山荘
10:31-10:45 宝剣岳
11:24-11:38 三ノ沢分岐
11:45 極楽平
12:39-13:00 濁沢大峰
13:57-14:03 檜尾岳
14:12 檜尾避難小屋

 4:15起床。眠いのと寒いので,シュラフに入りながら朝食を食べる。他のメンバーはよく眠れたのだろうか。予定通り5:00発のバスに乗るのだが,最初から割と混んでおり,途中から乗車する人も多かったため,バスが増発されたようだ。恐るべし,紅葉のアルプス!
 当然,ロープウェイも混む。「帰りは2時間待ちになるから早めに行動してね♪」というアナウンスが流れている。我々は始発便には乗れず,9分後の次発の便に乗車。ロープウェイの窓に張り付いて紅葉と滝を眺める。いやぁ,綺麗だ。これは楽しい稜線歩きになりそうである。
 丸ノ内線のような混み具合のロープウェイを下りると,千畳敷駅である。ここはエアリアによると標高2612m(実際は2640m台だそう)。室堂よりも高い標高日本一の駅である。木曽駒が2956mなんで,標高差は300m強。手軽にアルプスを楽しむにはやはりここであろう。立山よりも楽だし,近いし,安い。但し,標高を一気に1000m近く上げるので,高山病には注意したい。前日の寝不足も祟って,松本さんは眩暈がするとのこと。高山病なのかはよくわからないものの,その可能性は大いにある。
 千畳敷駅から乗越浄土まではややきつめの上りで,登山客が列をなしている。混雑しているのでゆっくり歩いているつもりなのだが,尾田くん・松本さん曰く「速い!」とのこと。一方の谷口くんは普通についてきているし,そんなに速く歩いているつもりはないんだけどなぁ。
 乗越浄土に到着すると,結構な西風。これはしんどいということで,宝剣山荘に一旦避難した。宝剣山荘はかなり立派な小屋である。ここで,サブザックを準備して,ピストン行動開始。個人装備に「サブザック」を入れ忘れてしまったので,谷口くんには荷を抜いたメインザックを持ってもらった。これは申し訳なかった。
 強風の中,木曽駒ヶ岳に向かうが,ずっと混んでいる。特に悪路ではないが,風のせいで寒いこと寒いこと。これで雨でも降ったら悲惨だったろうなぁ。うだうだ歩いていると,木曽駒ヶ岳に到着。あまりにもあっさりと到着した上,山頂ものっぺりしていたせいか,最初,谷口くんは木曽駒に着いたとは思わなかったようだ。後で彼になぜ木曽駒の計画に乗ったのか聞いてみたところ,麓から見て行きたい山だったからのようだ。しかし,ちょっとガッカリしてしまったみたいである。ただ,山頂からの眺めは超一流である。深田もそこは絶賛している。東には南ア・八ヶ岳,西には御嶽,そのまま北に目を移せば乗鞍・槍穂,南を見ればこれから向かう宝剣・空木の稜線が続いている。富士山は南アの後ろにちょこっと顔を覗かせているが,これは北アか南アから見た富士山が圧勝。木曽駒はおそらく展望の山なんだろう。これだけお手軽に上れて,この絶景なら文句は言ってはいかんよな。
 風も強いし,そろそろ移動しようということで,来た道を帰ることに。途中の頂上山荘にも立ち寄ったが,宝剣山荘の方がこちらまで出張しているのには驚いた。宝剣山荘に比べるとやや小さい山荘だなぁという感じ。
 宝剣山荘に着き,腹ごしらえをすることに。尾田くんはうどん,松本さんと谷口くんは豚汁,私は栗ぜんざいを頼む。たまにはこんなユルい山行もいいよね。宝剣岳までは鎖場があるそうだし,腹ごしらえも含め準備は入念にしないと。
 宝剣山荘から三ノ沢分岐まではエアリアでは点線ルートである。こちらも事前に調べてはいたが,実際に行ってみるとそれほど難しくはない。行き違いに難儀するが,点線にするほどのことはなかろう。宝剣岳手前の鎖場トラバースと三ノ沢分岐手前の長めの鎖場以外は印象にもあまり残らない。そこも三点確保さえしっかりできていれば問題なかろう。但し,事故が多いのは事実のようで,転倒によるものが目立つ。楽しいという意見と恐いという意見とに分かれたが,とにかく点線であってもバリエーションルートではない。木曽駒に来たハイカーが「時間に余裕もあるし,ついでに宝剣岳にも行ってみよう」とか考えて,鎖場で事故を起こすことがないように,エアリアも配慮しているのではないかなんて勘ぐってみたが,本当にその程度の道だと思ってよい。
 宝剣岳山頂は狭いが,登ったという感じがする。山頂のインパクトは完全に木曽駒よりこっちであろう。千畳敷から見ても,宝剣岳は登らなきゃいかんと思わせる山である。山頂のデカい岩に登る根性はないので,その下で集合写真を撮って出発。聞いた話によると,今日は檜尾避難小屋も相当混むとのこと。少し急がねば。
 さて,三ノ沢分岐からは広い尾根が伸びており,非常に気分のよい稜線歩きである。しかし,それも長くは続かず,アップダウンが割と激しいゾーンに入ってくると,皆さん辛そう。たまに鎖場もあるが,ここも慎重に歩けば問題ないだろう。松本さんは休憩の時にウトウト。昨日の夜に眠れなかったことや荷が重いため疲れてきていることが影響しているのだろうか。頭痛もするそうだ。救急箱の頭痛薬を飲んだところ,頭痛自体は改善したようだが。
 途中から檜尾避難小屋が見えるようになる。ゴールが見えると俄然やる気が出るが,それでも檜尾岳の上りは結構辛い。どうにか檜尾岳に着き,さっさと避難小屋へ。避難小屋までの道はガレていて,案外足を滑らせやすい。気をつけたい。
 避難小屋に行くと,8名の先客が。さすがにツェルト泊は勘弁してほしいという松本さんの強い意向もあり,小屋に入れてもらうことに。我々が入ると12名。ほぼ定員である。しかし,その後も続々と登山者がやってきて,日没直前に駆け込んでくる人もいた。ロープウェイで散々待たされたそうだ。最終的にはなんと19名に。それでも,あふれてテント・ツェルトという人も少なからずいた。インターネットには定員20名という情報もあるが,あれはぎゅうぎゅうに詰めた場合であって,快適に寝るには10名強が丁度良い気がする。
 我々は到着後,すぐに夕飯の準備を行った。本当は谷口くんの担当であったが,尾田くんの持ってきた冷凍鶏肉がもつか怪しいので今夜食べてしまうことにした。鶏うどん(きしめん)である。生麺ということもあって,山でも下界らしいものを食べられた。後は軽くお茶を飲んで夕飯終了。15:30ぐらいには食べ終わってしまっていたような。
 その後,本を読んだり,小屋の周りをフラフラしたり。水場は5分ぐらい下ったところにあるようだが,今回は水不足でもないので,特に汲みに行かず。トイレは小屋の脇にあるが,避難小屋にしてはきれいな方である。小屋の内部にはシュラフや水,米(生米・アルファ米)が常備されており,理想的な避難小屋だなぁと思う。暗くなれば駒ヶ根の夜景もなかなかで,中アは下界がとても近いという印象だ。
 さて,あの避難小屋に寝る訳だが,とにかく狭い。しかし,その分暖かく,よく眠れた。結局19:00から4:00まで9時間も寝たことになる。

□2日目
5:43 檜尾避難小屋
5:52 檜尾岳
6:54-7:10 熊沢岳
8:05 東川岳
8:20-8:45 木曽殿越
9:47-10:10 空木岳
10:15-10:31 駒峰ヒュッテ
10:57-11:11 空木平避難小屋
11:22 分岐
11:58 ヨナ沢の頭
12:15-12:31 一本
12:50 マセナギ
13:15-13:29 池山小屋分岐
13:49 タカウチ場
14:04 林道終点

 4:00起床。ほとんど皆4:00に起きて,朝食の準備をし始める。我々は谷口くんのミートソース・スパゲッティ。6人前であったがペロッと食べられたのが不思議である。お腹が空いていたのかもしれない。明るくなってくるまで避難小屋に残っていると,南アルプスの方から太陽が顔を出す。駒ヶ根の夜景と共に非常に美しい光景だ。
 すっかり明るくなってからの出発。風も冷たく非常に寒い。こちらはフリースを含め4枚着て歩き始めたというのに,谷口くんは2枚で下は半袖だと言う。年をとると体温も低いから仕方ないのかもしれない。
 今日も風が強い。この山は西風がずっと吹いている気がする。稜線で西側に背の高い樹木が少ないのもその影響だろうか。風に乗って硫化水素の臭いも漂っている。これは御嶽がためだろう。
 熊沢岳の大岩もだんだん近づいてくる。あれに登ろうと色々考えてみたが,結局,下りる手段がないということになり,諦めた。その先の東川岳からは空木が目の前に見えてよいのだが,木曽殿越まで下るかと思うと気が滅入る。
 木曽殿山荘の綺麗なトイレで用を足し,いよいよ最後の上りである。途中から鎖場が連続し,やや鬱陶しい。メインザックを背負っていると体が重いのでなかなか難儀である。しかし,空木岳は悪いピークではない。木曽駒のピーク自体はやや残念だっただけに,空木が栄えるだけだろうか。ちょっと残念なのは西側がやや曇りがちであったこと。それでも南駒ヶ岳や越百岳はよく見えた。ここで,今後の身の振り方を決定。①林道終点からはタクシー,②池山小屋付近でタクシーを呼ぶ,③できればこまくさの湯に入る。
 駒峰ヒュッテまで下りて,再び休憩。今回は休憩しすぎかもしれない。小屋でこまくさの湯の割引券を尾田くんが見つけたので,これは行かざるを得ないという感じである。急いではいるのだが,CLの個人的な興味で空木平避難小屋を覗いてみたいということもあって,あえて空木平方面へ。沢沿いの道だが,水量は少ないので,足を濡らすこともない。
 そして,例の(「霊の」と言った方がわかりやすいか)避難小屋へ。しかし,新しい広めの小屋であり,全く出そうな感じはなかった。これは夜に来ないとわからないんだろう。
 その後の行程で特筆すべきは小地獄・大地獄だろうか。鎖場がやや厄介で,気をつけないとそのままさようならということもあるので,最後の最後まで気が抜けない。ただ,迷尾根とあるが,迷うことはないだろう。その後,池山小屋手前の分岐でタクシーを呼び,快調に林道終点まで歩き切ってゴール!
 タクシーでこまくさの湯まで行き(2980円),温泉でゆったりする。やっぱり山の後の温泉は気持ちが良い。その後,各々アイスやそば,駒ヶ根名物のソースかつ丼を食べ,女体入口までバスで移動である。混むかと心配していたが,ロープウェイも終了間際で,バスに乗っている人も少なかった。バス停名で盛り上がっている少年たちを軽くスルーしつつ,所定のバス停で降り,高速バス乗り場まで移動。駒ヶ根ICのバス停は名古屋や大阪まで行くバスもあり,谷口くんと尾田くんは郷愁にかられている。しかし,新宿行のバスに乗ってもらい,長旅のスタートとなる。
 バス内で松本さんはずっと谷口くんとしゃべり続けていた。よくあれだけ話続けられるものだと尾田くんと感心していたのだが,松本さんによれば我々も十分うるさかったとのこと。皆揃って迷惑なパーティーである。どーでもいいことを話していたのだが,そういうことを話せる人がいるというのは結構大事なことだと思う。ただ,バタイユを引いて,尾田くんに「闇が深い」と言われてしまったのはう~ん。
 中央道の渋滞のせいで新宿に着いたのは22:00近く。明日は月曜日だというのにこんなに遅くなり申し訳なかった。それでも皆さんは1限はないようで。こっちはこれからゼミの準備をしなければ……と思いつつ,夜の新宿で夕飯所を探す。結局,ねぎしに決定し,ドタバタと牛タンを食す。その後,23:00過ぎに解散。皆さんお疲れ様でした。

■総括
紅葉の時期に中アのハイライトコースを歩くというミーハー山行であったため,混雑で閉口する部分もあったが,好天の中,最高の縦走であった。
■反省・備考
・とにかくこの時期は混むので,余裕ある行動を!
1泊2日で同コースをこなすのであれば,前泊は必須である。避難小屋も混むので,最悪の場合を想定してテントかツェルトは持っていこう(檜尾避難小屋付近に張れる)。もしくは,最初から小屋泊にしてしまうのもありかもしれない。
・コースタイムが長めなので,速めに歩くことが多かった気がする。もう少し休憩を短めにして,ゆっくり歩くというのもありかもしれない。
・高山病に注意したい。特に寝不足の場合や疲れがたまっている場合はなりやすい。
・寒さ対策も万全に。秋のアルプスは一歩間違えると冬山になる。
・ロープウェイ利用で高度を稼げ,軽めの鎖場や岩場も登場するので,アルプス入門に最適。2泊3日にしてライトな夏合宿にしてもよいだろう。
・ツェルトの張り綱は整備済み。
■コメント
 私としては心地よい秋山行でした。メンバーの皆さんも楽しんでもらえたのではないかと思います。もし木曽駒・空木だけでは寂しいという人がいれば,南北縦走を目指すしかないですね!
そのうち計画されることを期待しています。
 毎年,10月が一般山行としてテント泊ができる最後の時期になってきますので,積極的に山行にご参加ください。部会でお知らせした通り,10/17,18に八ヶ岳に行く予定です。そちらも是非どうぞ。