2015/11/8 勘七ノ沢
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
勘七ノ沢遡行計画書ver.3.0(11/7版)
作成者:遠藤
■日程 11/8(日)
■山域 表丹沢 四十八瀬川
■在京本部設置要請日時 2015/11/8 20:00
■捜索要請日時 2015/11/9 10:00
■メンバー(計2名)
CL遠藤 SL川名
■集合
渋沢駅北口2番乗り場
■交通
*丹沢・大山フリーパスBキップ利用(新宿駅からの場合,交通費は1530円)。
(行き)
小田急線急行・小田原行
新宿駅(6:01)→渋沢駅(7:12)
神奈中バス・大倉行
渋沢駅北口(7:18)→大倉(7:33)
(帰り)
神奈中バス・渋沢駅北口行
大倉(12:15/12:40/13:11/13:38/14:08/14:38......)→(13分)→渋沢駅北口
渋沢駅からは小田急線を利用して適宜帰宅。
■行程(沢遡行2:45,その他2:55)
大倉~(1:25)~《二俣~(0:10)~小草平ノ沢出合~(2:00)~940P~(0:35)~1128P》~(1:30)~大倉
(計5:40)
※『東京起点沢登りルート120』参照
★時間に余裕があれば,小草平ノ沢を下降する。参考までに,コースタイムは以下の通り。
二俣~堀山の家:2:10(遡行の場合)
二俣~大倉:1:25
■エスケープルート
F4まで:引き返す
F4から:そのまま進む
*堀山の家~二俣の登山道に上がれるようであれば,そちらをエスケープに利用する。
■地図
2.5万分の1 「大山」
エアリア 「28丹沢」
■遭難対策費
100円×2人
計200円
■備考
日の出(丹沢山 11/8)6:04
日の入(丹沢山 11/8)16:50
神奈川中央交通秦野営業所 0463-81-1803
秦野警察署 0463-83-0110
2012年記録
2002年記録
勘七ノ沢遡行記録
作成者:遠藤
■日程 2015/11/8(日)
■山域 表丹沢 四十八瀬川
■天候 雨
■メンバー(計2人,敬称略)・オーダー
CL遠藤 SL川名
■遡行記録
7:35 大倉
8:35-9:04 二俣
9:15-10:15 F1
10:20-10:40 F2
10:50 F3
11:00-11:40 F4
12:20-13:00 F5
14:00-14:35 1128P付近(塔ノ岳寄り)
15:40 大倉
今回は雨の日遡行。こんな日は登山者も少ない。渋沢駅から大倉に向かうバスも空いている。しかしそれでも山に行く人はいるのだ。こちらからしてみると,こんな日に一般山行に行く人は相当の好事家なのだが,相手からは沢に行く奴らの方がよっぽど変わり者だと思われているのかもしれない。最近は沢なら雨でも十分楽しめるなと思ってきたところなので,雨とわかっていても中止にはしなかった。もちろんひどく増水するような沢なら話は別であるが,勘七ノ沢で5mmぐらいの雨なら……というところである。
大倉に到着後,入渓準備をし,出発。この時点で,ヒルを発見した。まだいるのか。なお,今回はヒルの被害なし。
◆F1(7m)
振り返ってみると,本遡行,最初にして最大の難所。ここは川名さんにリードをやってもらい,遠藤はビレイ。最初のリードでここは結構厳しい気がする。
セオリー通りに左壁から上がる。残置ハーケンもあるので,所々で中間支点を取りつつ登攀。遠藤はトップロープで上がるが,最初がかなり難しいように思われた。リードだとズルっと滑って,ボチャンしそうである(といっても低い所なので,まず怪我をすることはないが)。ホールドを探しつつ,残置スリングの助けも借りながら,どうにか登る。
上に登り,セルフビレイをとった後で,支点の作り方の復習と流動分散・固定分散の説明。リードを終えた後,支点を作り,上でビレイをする流れを確認し,ボルトやハーケンに支点をとる方法を学ぶ。今まで,トップロープで引き上げてもらった後,何となく見ていた支点の作り方が明瞭になった。
◆F2(6m)
ここも遡行図の通り,左岸からトライ。パッと見たところ,テラス状の場所までは残置もなかったので,ロープは使わず。テラスまでならば,窪沿いに難なく行ける。しかし,その後はやや恐い。いかんせん,そこそこの高さで,墜落するとテラスではなく滝下まで行きそうなので,怖気づいてここでロープを出すことに。テラスにもハーケンがあり,その少し先にもハーケンがある。ここで,沢での初リード。やはりロープで繋がっているのといないのでは安心感が違う。登り終えた後,木に支点を取り,ここでビレイ。特にトラブルはなかったが,やはり時間はかかる。
後で川名さんに聞いてみたところ,F2はロープを出さないで,そのまま登るか,お助け紐を出すかでいくと,スピーディーにクリアできるとのこと。まぁ,今回はリードをする側が恐かったので勘弁してもらいたい。
F2の後に大きな堰堤がある。これは右側から越えることになる。堰堤に近い岩場を登るのが一般的なのかもしれないが,今回はやや遠くから,落ち葉を踏みしめながら登る。こちらのルートの方が,傾斜は緩いが,掴みどころがあまりなく,かえって難しかったかもしれない。
◆F3(7m)
右壁をへつる川名さんと,失敗して深い釜に落ちるリスクを考えてあえて水に浸かりながら進む遠藤と。ただ,この滝は冷たい思いをするだけで,登るのは簡単。ロープもいらない。川名さん曰く,それほどこのへつりは難しくないので,よい練習になるとのこと。真夏なら考えるんですが……。
◆F4(2m+10m)
2mは良しとして,問題は10mである。10m滝下をやや上がったところからビレイをしてもらう。初めはトラバースで,その後チムニー状(窪)を登る。ここもちょこちょこ中間支点を取れるので安心。ただ,ロープが引っかかるのは厄介。上に上がると,ハーケンが2つ。ここに支点を取って,ビレイ。勘七ノ沢は,ナメ系ではなく登攀系であり,様々な支点の取り方を学べるので,リードの経験を積むには良いのかもしれない。
ここから先は堰堤パレード。5つの堰堤が待ち構えている。最初の2つは左岸から巻くということであったが,川名さんは直登,遠藤は端っこの方からどうにか乗り越える。残りの3つは仕事道を利用してかわすらしいが,どうも3個目の堰堤は左側から登るのが正解のようだ。手前に仕事道はないかと探したが,どうもまともに歩ける道ではない。3個目を乗り越えれば,右岸を尾根方面に登って行く仕事道らしきものがあるので,それを使って4,5個目は難なくクリアできる。
◆F5(12m)
右岸から直登。ステージ状になっている場所からが本格的な登りとなる。ここも中間支点をいくつか作れるので安心。上にはボルトやハーケンがなかったので,やや上がったところの木に支点を作り,ビレイを行った。手近な場所に手頃な支点を作る場所を見出せず,さらにやや遠くの木にスリングがかかっているのを見つけて,やや支点を作る場所に迷った。
途中,1個目の支点を作った後,すぐにまた残置ハーケンが出てきたので2個目の支点を作った。どうもいつもと違うなと思いつつも,逆クリップにもなっていないからと先に進んだところ,途中で動かなくなった。川名さんに指摘されて気づいたのだが,Zクリップになっていたようだ。1つ目の支点から余り離れていなかったので,そこからロープを外して難を逃れた。また,意識せずロープと岩の間に足を入れてしまっていた。これもフォールの際に足を取られて頭が下になる危険があるので,気をつけたい。リードでやってはいけない危険な行為(他に逆クリップや手繰り落ちとかが当てはまりそう)のうちの2個をやることになるとは。反省。
F5を終えた後,一本。
ここでロープの役目も終了。この先は小滝が連続するゴルジュ帯。なかなかの景色で,なるべく濡れないように進んでいく。割と楽しい。堰堤を越え,3m滝らしきものを越え。いよいよ詰めである。遡行図には「適当な枝沢から大倉尾根を目指す」と書かれている。どうしようかと思案して,結局940m付近の二俣から1128Pを目指して詰めることに。ぬかるんでいることもあってか,非常に道が悪い。傾斜も急で,歩くと結構疲れる。それでも枝沢沿いに這い上がっていくと,伐採がなされた人工林が見えてきた。尾根は近そうである(丹沢の詰めはこんなもんとのこと)。ここまで来ると,だいぶ歩きやすくなってくる。そして,植生保護の柵を越えて,大倉尾根に到着。1128Pの少し上であった。
近くのベンチで装備解除し,雨の大倉尾根をズンズン進む。途中,10人ほどの登山者に会ったが,こんな雨でも人が来る人気の山なんだなぁと改めて実感。大倉到着後は装備の泥を落とす。ロープも沢足袋もスパッツもみんな泥だらけである。その後は雨で濡れたんだか何で濡れたんだかよくわからない服のままバス,電車に乗り込み,他のお客さんからやや避けられつつ帰宅。ボロボロの格好で,湿っていて,沢臭いんだから仕方ない。特に都内に入って丸ノ内線などに乗ると,汚いものを見る目が厳しい。
■反省・備考
・川名さんの提案もあって,勘七ノ沢でリードデビュー。行程が取り立てて長いわけでもないのに,えらく時間がかかった。ヌンチャクのかけ方の失敗をしないよう,またスピードアップするために,慣れる必要がある。
・登攀を楽しむ沢。滝が比較的多いか。ナメ系の沢に比べれば当然濡れる機会が増えるので,11月の雨の日に行くのは寒いかもしれない。リードの練習には良い。
・看板や残置が多い。それだけメジャールートだということがわかる。
・リードはかなり緊張する。リードもトップロープも墜落は禁忌とはいえ,リードの方が落ちたときのダメージが大きいことを思うと,精神的に疲れる。
・どのルートを取るか,どこでロープを出すかの判断は難しい。遡行図や記録で予習はしていくものの,現場に行ってみると迷うことも多い。ロープを出すか否かは「落ちたときにどうなるかを考えて決める」。
・備忘録
ヌンチャクの扱い:
上下,左右に気をつける(固定されている方が下,進行方向の逆側にゲート)
リードでやってはならないこと:
逆クリップ,Zクリップ,手繰り落ち,ロープと岩の間に足を挟む等
登攀を終えてから:
①木や岩にスリングを巻きつけるorボルトやハーケンに流動分散を作る(ねじるのを忘れない)。
②セルフビレイをとる(クローブヒッチ)。
③ビレイ解除を指示する。
④ロープを引き上げる。
⑤ビレイの準備をする(カラビナとATCを使い,トップロープと同じシステムを構築する)。
⑥トップロープで後続のメンバーに上がってもらう。
⑦後続メンバーが安全確保をした後,ビレイを解除する。
■コメント
初めてリードをやりましたが,やはり大変でした。しかし,それも沢の楽しみの一つなんだなと実感した次第です。なるべく早くリードに慣れようと思います。