2016/1/9-10 硫黄岳天狗岳

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
硫黄岳天狗岳縦走計画書 ver.1.1 作成者 川名

■日程 2016/01/09(土)ー10 山中1泊予備日1日 予備日は消極的利用
■山域 八ヶ岳
■在京本部設置要請日時 01/11 18:00
■捜索要請日時 01/12 08:00
■メンバー 2人
CL川名 SL遠藤

■交通
行き
八王子6:35ー9:23茅野駅9:30ーアルピコ交通 \930ー10:08美濃戸口
帰り
渋の湯8:30/11:35/14:55ー\1150ー9:27/12:32/15:52茅野駅
もしくは
美濃戸口11:20/13:20/14:45/16:30ー0:38 \930ー茅野駅

■行程 コースタイムは参考としてエアリアのものを記載
1日目 計3:00
美濃戸口ー1:00ー美濃戸山荘ー0:50ー堰堤広場ー1:10ー赤岳鉱泉
赤岳鉱泉着後は適当な斜面で歩行訓練を行う予定
2日目 計7:00
赤岳鉱泉ー1:50ー赤岩の頭ー0:20ー硫黄岳ー0:40ー夏沢峠ー0:30ー箕冠山ー1:00ー東天狗岳ー0:55 中山峠経由ー黒百合ヒュッテー1:45ー渋の湯
途中退避できる営業中の小屋等: 根石岳山荘、本沢温泉、夏沢鉱泉
*風や気温などの状況によっては硫黄岳までで引き返す可能性が高い

■エスケープルート
夏沢峠まで:引き返す
夏沢峠から東天狗岳:本沢温泉へ、または夏沢鉱泉経由桜平へ
東天狗岳から:そのまま進む

■地図
2.5万分の1 「八ヶ岳西部」「蓼科」
エアリア 「八ヶ岳」

■遭対費 200円

■備考
日の入: 甲府01/09 16:13
日の出: 甲府01/10 06:37
茅野警察署: 0266-82-0110
温泉: ちのステーションホテル

硫黄岳天狗岳縦走記録 文責:川名(34期)

■日程 2016年01月09ー10日
■山域 八ヶ岳
■メンバー CL川名(34期) SL遠藤(35期)
■行程
□1日目 晴
美濃戸口13:06ー14:26休憩14:38ー15:50赤岳鉱泉

 計画では美濃戸口10時頃着のバスに乗る予定だったのだが、川名が遠藤に渡す共装を家に忘れてしまい、出発が遅れる。結局、遠藤には先に茅野駅まで行ってもらい、川名が後から特急で追いかけて、美濃戸口に着くのは13時頃になってしまった。ビーコンチェックをしたのちに出発。
 美濃戸口からしばらくは林道歩き。2014年12月の赤岳の際は、凍っている部分が多く難儀したのだが、今年は本当に雪が少なく、歩きやすい。また、北沢ルートは南沢ルートよりも舗装道が長いというのも歩きやすさを助長している。ただ、歩いてもつまらないという欠点もあるが。途中で間近にカモシカを見れたのが救いであった。堰堤広場から先では舗装道がなくなるが、それでも整備は行き届いていて、渡渉用の橋も立派なものがかかっている。所々凍った部分があるため、チェーンアイゼンがあると歩きやすそうだったが、我々は最後までツボ足で歩き赤岳鉱泉に着。
 着いてまず目に付くのがアイスキャンディーである。連休の初日ということもあってか、かなり繁盛しているようだった。一度体験してみたかったが、今回はそんな時間も装備もないのでスルーして、受付を済ます。小屋泊のみならずテント泊の登山者もかなり多く、テントサイトの確保に苦労した。水が小屋で提供されるという利点もあるが、静かなテント泊を望むのであれば、行者小屋の方が快適な気がする(テント泊代も1人1000円と高い)。本来であれば赤岳鉱泉着後に雪訓をする予定だったのだが、到着が遅れたこともあって雪訓はしなかったが、するとしても赤岳鉱泉付近で雪訓の出来そうな斜面はすぐには見当たらなかった。黒百合ヒュッテのように、小屋のすぐ近くに良い斜面はなさそうな気がする。
 
□2日目 晴
赤岳鉱泉6:30ー6:36大同心沢分岐ー8:02休憩8:12ー8:17赤岩の頭ー8:40硫黄岳ー9:15夏沢峠9:30ー10:04箕冠山ー10:09根石岳山荘10:23ー10:36根石岳ー11:18東天狗岳11:32ー11:54休憩12:05ー12:21中山峠ー12:25黒百合ヒュッテー12:56休憩13:09ー14:10渋の湯

 アイゼン装着し、ヘッデンを点けての出発。途中で川名がアイゼンを左右逆にしていたことが判明し、調整を兼ねて稜線に出る前の森林限界下で休憩。出発時には稜線上が霧に覆われているのが気になっていたが、赤岩の頭に出る頃には霧は晴れていた。稜線は風が強いものの、耐風姿勢を一々取らなければならないほどではない。特に困難はなく硫黄岳に着く。ここから引き返すか渋の湯まで抜けるか少し検討したが、さほど条件が悪いわけではないので、抜けることにする。
 夏沢峠まで行き、小屋前の風が避けられる所で休憩をとる。その先しばらくは傾斜が緩やかで、岩場などの危険箇所もなく根石岳山荘まで着く。ここから中山峠までの約1:30は風をよけられる所がなく、また東天狗岳の南側は要注意箇所で今回の核心であり、気合を入れて臨む。根石岳を越え、本沢温泉への分岐を過ぎた頃までは順調だったが、その先で遠藤の歩くペースがガクッと落ちた。本人によるとシャリバテのようで、強風にさらされる場所ではあったが、とりあえず食事を取らせて休憩をとる。その後も遠藤の調子は良くなかったが、なんとか歩いてもらって安全地帯まで避難してもらうようにする。東天狗岳直下が不安だったが、雪が少なく登りということもあり、さほど困難ではなく東天狗岳に登頂。岩陰で風が避けられる場所があったので、遠藤にはここで再び休んでもらう。少し体調が戻ったようなので、しばらく進み樹林帯に入り、ここでも休息。この頃には随分回復していた。
 もうこの先は危険地帯はないので、気を抜いて歩いていたら川名がアイゼンの爪を引っ掛けて転倒。軽い捻挫で済んだのでまだ良かった。バスまでの時間にも余裕がありそうだったので、黒百合ヒュッテで雪訓をして時間を潰そうと思っていたのだが、前回使った斜面は雪が少なく岩や灌木がむき出しになっていてとても雪訓など出来そうにない。改めて今年の雪の少なさを実感する。仕方がないので渋の湯まで直行して下山する。

■総評
・個人的には基本的な部分でのミスが目立つ山行だった。装備の忘れ物、アイゼンの左右間違い、爪を引っ掛けての転倒などである。久しぶりの雪山だったとはいえ、あまりにお粗末だった。
・予報では2日目の稜線上は風速20m強だったのだが、実際に歩いてみて、多少よろめきはするものの飛ばされたり歩けないというほどではなく、行動に支障はなかった。ただし、これが吹雪いている状況だったり、あるいは殆ど踏み外すことのできない痩せ尾根やナイフリッジを歩かねばならない、という場合であったら、まだ我々の技術では行動を躊躇うだろう。
・今回、2日目の朝にお湯を沸かし、テルモスに入れてから行動したが、寒い稜線上でも体が温まりなかなか良かった。凍傷対策にもなるし、朝の出発が15分程度遅くはなるが、お湯を入れていく方がベターな気がする。
・遠藤のバテについて。行動中の休憩はそれなりに頻繁に取っていたし、その度に遠藤も食事はしていたし、夕食や朝食もしっかり食べていたのだが、バテてしまった。冬山では低温や荷物が重い影響で運動量も多いことから、通常の山行よりも意識的に食事をとる必要がある。また、遠藤にとっては歩くペースが速かったようで、確かに先頭を歩く川名が遠藤を待つという場面は多かった。ただし、今回のペースは一般的に言ってそれほど速い訳でもないので、体力が十分ではないということなのだろう。トレーニングが必要というのはもちろんのこと、不必要、過剰な装備は減らして軽量化するというのも、体力不足を補うためには重要である。
・ゴアライトをシングルウォールのつもりで持ちだしたのだが、いざ山で立ててみたらフライも入っていた。不要な装備を持ちだしてしまったというのは反省。ゴアライトはシングルウォールで軽量というのが利点なので、本体とフライは別々のスタッフバッグに入れるなどして管理したほうが良いと思います。また、テントを持っていくのでツェルトは省略したのだが、今回のように稜線上で休憩を取る必要に迫られた場合や、搬送を考えたうえでも、シングルウォールのテントの場合はツェルトはあったほうが良いだろう。ツェルトの底も解いてすぐにかぶれるようにしておいた方が良い。