2016/4/2-3 乗鞍岳
乗鞍岳雪山山行計画書
■日程
2016/4/2-3 朝発1泊2日予備日なし
■山域 北アルプス乗鞍岳
■捜索要請日時 2015/4/4 8:00
■メンバー
CL久光 SL川名 遠藤 木下
■集合
2016/4/2(土) 6:00
駅すぷれすレンタカー 新宿南口店
■交通
□行き
駅すぱあと新宿南口店—(久光車)—Mt.乗鞍スキー場 高速代 4120円(ETC)
駐車場—(Mt.乗鞍スキー場リフト×3)—かもしかリフト終点 12回回数券 4100円/4人
□帰り
Mt.乗鞍スキー場—(久光車)—駅すぱあと新宿南口店 高速代 4120円(ETC)
■行程
□1日目
かもしかリフト終点—(1:40?)—位ヶ原山荘(計1:40?)
幕営地周辺で雪上歩行練習、滑落停止訓練、ビーコン捜索訓練、雪洞訓練等
□2日目
位ヶ原山荘—(2:00)—肩ノ小屋—(0:50)—剣ヶ峰—(1:20)—肩ノ小屋—(1:20)—位ヶ原山荘—(2:00)—三本滝レストハウス—(0:40)—Mt.乗鞍スキー場駐車場(計8:10)
(コースタイムは野村仁『ヤマケイ入門&ガイド 雪山登山』山と渓谷社 2012 に準拠)
■エスケープルート
引き返す
■地図
二万五千分の一地形図:「乗鞍岳」
エアリア:「乗鞍高原」
■備考
□日没
4/2 Mt.乗鞍スキー場 18:19
□日の出
4/3 Mt.乗鞍スキー場 5:26
□警察
・松本警察署 0263-25-0110
□荒天の場合
前日17:00までに判断
□遭難対策費
200円×人
□その他
乗鞍高原温泉 湯けむり館 720円
乗鞍岳雪山山行記録
■作成: 久光
■日程: 2016/4/2-3
■山域: 北アルプス
■天候:
・一日目 晴れ
・二日目 曇時々雪
■メンバー: CL久光 SL川名 遠藤 木下
■オーダー:
・山頂まで 遠藤-木下-川名-久光
・山頂から 川名-木下-遠藤-久光
■行程
□一日目
11:45 リフト終点発
12:37-12:42 一本
13:27 県道
13:35-14:22 滑落停止訓練
15:05 位ヶ原山荘
□二日目
5:35 位ヶ原山荘
5:55-6:10 位ヶ原急登上部
6:49-6:57 肩の小屋口トイレ
7:35-7:40 肩の小屋
8:42 朝日岳のコル
9:50 蚕玉岳
9:02-9:12 山頂
9:53-10:06 肩の小屋
10:27 県道2140m地点
10:50-12:05 位ヶ原山荘
13:17 スキー場上部
13:56 下山
■記録
□一日目
早朝6:00に新宿三丁目のレンタカー店に集合、中央道経由で松本へ。10:20 乗鞍休暇村着。天気は晴れ。やはり少雪か、路上に雪は全くなかった。出発準備・ビーコンチェックを済ませ、レストハウスでリフトの回数券を購入。3回×4人でちょうど12枚綴りが消化できる。
リフトを乗り継いでMt.乗鞍スキー場最上部へ。翌日に今シーズンの営業を終えるスキー場にも雪は乏しく、下部ではほとんど走路分だけ雪を盛ってつなぎ合わせている状況。上部も土混じりの雪で、あちこちで地面が露出している。
かもしかリフト最上部より早速冬道となる山スキーコースを歩く。ここからはさすがに雪山らしくなり、昨年5月の激薮も、さすがに雪の下に埋もれている。上部からは次々に山スキーヤーが滑走してくる。颯爽とした滑りが羨ましい。こちらはツボ足で、仏役の川名・遠藤と、鬼役(しかし鬼になりきれていない)久光が、木下に雪道の歩き方を講習しながら進む。木下、慣れない雪道はきつそうである。
県道直下で、山頂方面と位ヶ原山荘方面への赤テープが分かれる分岐と立て看板を確認。予定通り県道に出た方が行動しやすいと判断し、通り過ぎて道に上がるも、上がってみれば随所で完全に雪の斜面と一体化しており、急斜面のトラバースを強いられる状態。道理で森の中にルートを付けているわけだ。
さすがに危険なので赤テープに従うこととするが、横に良い斜面があったので、その前に滑落停止の講習を行う。滑落初期停止技術と反転式の両方を練習。一通り終わったところで位ヶ原山荘横に移動し、設営。
設営後、最初に横の斜面を用いてアイゼン歩行練習、ついでビーコン捜索訓練を行う。講師川名。本当は深く埋めて掘り出すところまで行いたかったが、その代わりに今回は川名によるV字コンベア方式の講習で代替。県道上の積雪は185cmだった。
夕飯は木下による寄せ鍋。やはり雪山といえば鍋である。夜は星が見事だった。就寝前に明日の気象・ルートの確認と、ウェイポイント・ベアリングのすり合わせを行う。
□二日目
3:30起床。朝食は川名によるちからラーメン。リフィルのカップヌードルに餅を入れるパターンは初めてだが、結構アリ。棒ラーメンよりは断然良い。
5:35出発。最初からアイゼン・ピッケルで行動。起床時には晴れていたのだが、既に空は雲に覆われている。雪の表面は硬く締まっており油断していたが、位ヶ原に上がる急登で違和感があり、上部で川名が弱層テストをすると、約4cmと約20cmに顕著な弱層あり。下部で弱層テストを行い樹林帯を通るべきだったと反省。
位ヶ原に出るとガスで視界が悪く、たまに遠くの県道脇のポールが見える程度。昨夜決めたベアリングで直進する。最初のウェイポイントは県道の橋の予定だったが、埋もれていて発見できず。肩の小屋口トイレ付近から延びる小尾根を同定したところで、それに沿うルートに変更。
肩の小屋口トイレは封鎖中であるものの、既に下まで掘り出されており、風を避けながら一本。視界は悪く、再びコンパスナビゲーションにより肩の小屋へ。途中冬毛の雷鳥2匹と遭遇した。テンションが上がる。
肩の小屋で再び一本。肩の小屋はターニングポイントで、視界の悪さから引き返すことも検討していたが、風が強くないこと、コンパスナビゲーションの出来も悪くないことから、前進を決める。雪質が不安だったので、朝日岳への斜面下でもう一度、講習を兼ねた弱層テスト。ハンドテストで、久光、川名がそれぞれ肩で40cm、肩で20cm。問題なしと判断。
朝日岳への急登はアイゼンを効かせて登る。この辺りから雪が降りはじめる。コルに出ると稜線上は風も強い。凍傷に注意する。雪はクラストしている。夏道の木柵の上部が露出しているのを見つつ、地山の露出している風上側に寄りながら歩く。蚕玉岳を越えてひと登りすると、まもなく山頂に着いた。山頂小屋は確認できなかったが、風下側の雪の下だったようだ。山頂神社で風を避けながら一本。
ここからはゴーグルが曇った遠藤に代わり川名がトップを務める。コルまでの下りはアイゼンを効かせて一歩一歩慎重に。コルからは朝日岳を巻いて肩の小屋に向かうが、視界は非常に悪い。ベアリングで直進する。そろそろ見えるはずのところまで下っても小屋が見えないのでGPSを切ると、数度ずれてしまったらしい。方向を変えて数十m歩くと、ガスの中から目の前に小屋が忽然と現れる。目の前の小屋も見えない恐ろしさを知る。
位ヶ原は行きに橋が発見できなかったので、県道のカーブ(2440m地点)をウェイポイントに設定。ガスの中を直進すると、肩の小屋口トイレを経て、県道脇のポールを確認できる地点に到達。GPSで位置が正しいことを確かめ、方向を変えて位ヶ原山荘へ。小屋に降りる急斜面は、行きの反省により樹林帯を下った。
テントを撤収してスキー場へ下る。このタイミングで小屋のトイレを借りた木下は100円徴収されたらしい。ここからは歩行練習も兼ねてワカンを装着。スキールートまでは樹林を突っ切って下りる。スキールートに合流してからは、時折颯爽と滑り降りていくスキーヤーを羨望の目で眺めつつ、時折シリセードも交えながらひたすら下る。前回は芝の斜面だったスキー場上部に到着後、更に営業最終日のスキー場を歩くこと50分、ようやく休暇村に下山。「湯けむり館」で入浴後、中央道経由で帰京した。
■反省・備考
□二日目の位ヶ原に上がる斜面は、登る前に雪質テストを行うべきだった。朝一番で表面が固く締まっていたことで油断した。また、樹林伝いに登れる以上そうすべきだった。
□文登研各班のすり合わせの難しさを感じた。研修に参加した3人が別々の班で講習を受けたのは、様々な技術を学べたというメリットもあったが、それぞれの講師の間で流儀の差が結構あったようだ。雷鳥としてどの技術を使うかというのは、今後決めていくべきだろう。
□ウェイポイント、ベアリングの設定はその場でもできるが、4班方式で事前に設定しておくのは便利。
□今回はスタッドレスオプションと価格の都合により、店舗なし(自分で貸し駐車場から出庫する)の某格安レンタカー利用となったが、事故・規約違反時の罰金(最高15万円)など色々怖かった。もうすこし安心な会社で借りるべき。
■感想
□良いとはいえない視界の中で前進の判断をしたのは、悪視界以外のリスクが少なかったというのも大きい。コンパスナビゲーションのよい訓練となった。那須岳山行の繰り返しになるが、一定の安全が確保できるならば、悪条件下の行動もよい経験となる。
□このような条件で木下を連れても比較的安心して行動できたのは、久光と遠藤が昨年来ており、ルートの概況が頭に入っていたという理由もあった。新人を連れていくなら一度行ったことのある場所にすべきだ、という先輩方の教えを噛みしめた。