2016/8/7 丹波川・一之瀬川遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
丹波川・一之瀬川遡行計画書
作成者:丸山
■日程 2016/8/7(日)
■山域 奥多摩
■捜索要請日時 8/8 9:00
■メンバー (計2人)
CL丸山 SL久光
■交通
大常木沢下降点に7時集合,片方の車を大常木谷下降点に置き,1台で三条新橋に行って入渓
■行程
三条新橋-90-手取淵-150-一之瀬川出合-160-大常木谷出合-40-大常木谷下降点
(計7:20)
※コースタイムは奥多摩大菩薩高尾の谷123ルートを主に参考にした.
※余力があればおいらん淵を覗く。
■エスケープルート
引き返すか,青梅街道または一之瀬林道に上がる
■地図
2万5千分1地形図「柳沢峠」
山と高原地図「金峰山・甲武信」または「大菩薩嶺」
遡行図:http://blogs.yahoo.co.jp/well_ksandw/11602626.html
■遭難対策費
100円×2人
計200円
■備考
日の入(8/7)18:44
日下部警察署 0553-22-0110
上野原警察署 0554-63-0110
丹波川・一之瀬川遡行記録
作成者:丸山
■日程 2016/8/7(日)
■山域 奥多摩
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計2人、敬称略)
CL丸山(35),SL久光(34)
■総評
泳ぎが核心となる沢登りを初めて行ったが,適度な難易度で楽しかった。しかし,水が汚いのはいただけない。
■GPSログ
http://yahoo.jp/yd9Q3O
■時間
7:39 三条橋発
8:13-25 手取淵
8:32-50 胴木滝
10:11 一之瀬川出合
10:11-10:56 おいらん淵へ寄り道
12:09-12:48 第2ゴルジュ
13:23 大常木谷出合
13:43 遡行終了
13:57 大常木谷下降点
■行動記録(敬称略)
大常木谷下降点に集合し,久光車で三条橋へ。駐車場の空きは2台程度と少なかったが,無事に停められた。なお,この橋の名は「三条新橋」と遡行図などに書かれているが,銘板に記載された名は「三条橋」である。三条橋のたもとから河原へ続く道を下ると,国道トンネル工事の発破があって危険のため入るなと書いてあるが,日曜日は休工しているので問題ない。
暫く単調な河原を歩くと,急にゴルジュ状になり,犬戻りと呼ばれるところか。水が白茶色に濁っていて汚いのであまり泳ぐ気がしないので丸山はへつり気味に進もうとしたが,無理で結局浸かって進む。久光は最初から泳いでいた。その後もゴルジュが続き,適度な泳ぎやへつりを交えながら楽しく進む。
手取淵は,左岸をずっとへつって越えた。残置スリングがあるが,使わなくても通れる。適度な難易度。失敗して流されるのも楽しそうだが,結局失敗しなかった。
胴木滝は,ロープを出して丸山がリードで水流左を登り,立木で支点を取って久光を確保。滑りやすいがホールドはあり,3級。久光は登攀中滑って滑落しそうになったということなので,ロープを出しておいてよかった。左岸から簡単に巻けるが,ここは滝を突破したほうが楽しい。
その後もゴルジュは続くが,難所は無く,ゴルジュを抜けると2条4m滝があった。滝の間の大岩が適度な登攀難度で面白く,ちょっとボルダー的である。
10分弱の単調な河原歩きを経て,丸山入道淵。土砂で埋まって浅くなっており,少し泳ぐだけで越えられる。
一之瀬川本流出合手前にある大きく明るい淵では久光が飛び込んで遊んでいたが,丸山は水の汚さから遠慮。
その後10分弱で一之瀬川本流出合に着いたが,余力があるのでおいらん淵を見に行くことにする。銚子滝と呼ばれることもある7m滝は,リード丸山,ビレイ久光で水流左を登る。下部の難しいところ(3級)に残置ハーケンが一つあり,以降はランアウトするが,易しいので問題ない。登り切って少し進んだところにボルト2つで終了点がつくられていたので,それを利用して久光をビレイ。すぐ上流においらん淵の主瀑(これがおそらく本当の銚子滝)があるが,その手前に激流の淵があり,突破できそうにない。丸山はいろいろ試して突破を試みたが,無理だったので諦め,引き返す。7m滝は左岸の立木を利用して懸垂下降。30mロープでちょうどの長さだった。
一之瀬川出合に戻ると,7人パーティが休憩している。挨拶して一之瀬川へ入ると,水が格段に綺麗(とはいえ,一般的な沢に比べればまだまだ汚い)。
いくつかの難しくない淵を越えると,第1ゴルジュに至る。丸山は右岸を泳いで落ち込みの下まで行き,水流中にある岩をホールドとして水線沿いに登った。久光は右岸の岩壁に乗り,トラバースして落ち込みの上へ行こうとしたが,後少しのところで残置スリングに手が届かず進めない。さらに上にある残置スリングに誘われ,一旦大きく巻こうとするも,ロープ無しでは不安ということで,再度戻った。結局,丸山が右岸を少し登って残置スリングの向きを変え,久光の手が届くようにして越えた。その間に,7人パーティに追いつかれた。
すぐに第2ゴルジュとなる。ここは一之瀬川最大の難所として知られ,多くのパーティが諦めて巻いている。とはいえ,流芯を横切ることさえできれば突破できそうなので,ロープを結んでトライする。まず,久光が2トライしたが,全力で泳いでも猛烈な水流に流され,少しも進めない。次に丸山も2トライ。表層の流れが強いのは明らかなので,潜水を試みるが,進む方向を間違えて失敗。さらに久光が2トライ。やはり進まない。そして丸山がもう1トライ。潜水して前へと進んだところ,漸く激流の横断に成功し,岩壁への取り付きに成功。ここまで行ってしまえばあとは容易で,軽く登って突破成功。空身になっていたので,荷物と久光とをロープで手繰り寄せて2人とも突破完了。ここでも7人パーティに追いつかれていたが,彼らは2回程度のトライ後,諦めてリーダーが左岸を巻き,残りのメンバーをロープで引き揚げたようだった。
続く4m幅広滝は,水流右を登った(容易)。その後もゴルジュはあり,多少淵があるが,特に問題になるようなものは無く,だんだん単調になり,しばらくして大常木谷出合。丸山は2か月前にも来たばかりである。ここからは2か月前にも歩いた場所だが,時間も向きも違うので少し印象は違った。意外と長い河原歩きを暫くすると,尾根への取り付き点があり,遡行終了。あとは急登の尾根をひたすら登り,駐車地に着いた。
■予定時間との比較
矢印の左が予定(奥多摩大菩薩高尾の谷123のコースタイムが主)、右が実際
三条新橋-90→46-手取淵-150→106-一之瀬川出合-160→147-大常木谷出合-40→34-大常木谷下降点
コースタイムを大幅に短縮したため,おいらん淵に寄り道しても時間が余った。淵が埋まり気味だったため時間がかからなかったのだろうか。
■見つけたもの
・壊れたTG-3:久光がゴミ回収として持ち帰ったが,壊れていなければ良かったのに。
・鹿角:最近沢に来るたびに見かける。
■感想・備考など
・一之瀬川本流第2ゴルジュを潜水により突破した記録は見つからなかったが,それほどの泳力が無くても突破できる有効な方法である。今後ここを遡行するパーティは潜水を試してみるといいだろう。
・丹波川の水は汚過ぎる。透明度が1mもない。臭いはそれほどでもないのが救い。
・大常木谷もそうだったが,この周辺の沢の岩は滑りやすい。一方,ホールドは豊富になりやすい岩質のようだ。
・おいらん淵に寄り道している間に7人パーティに追いつかれ,第1・第2ゴルジュでは並行して突破することになった。かっこいい姿を見せられたから良かったかな。
・ロープは30m一本で十分。
・ウェットスーツが無いと,真夏であっても寒いであろう。
・気合い入れて7時に集合したら,早く終わりすぎた。
・車2台は楽だが,家から丹波山まで運転するのは大変。帰りは渋滞しているのでもっと大変。
・ヤマビルはもちろん無し.
・国道のトンネル工事が終わるまでは,平日の入渓は控えたほうがいいと思われる。
・久光のウェットスーツデビューであり,嬉々として泳いでいた。
・車が2台用意できない場合は,遡行してきた経路をそのまま下降すれば,林道と国道を歩くより遥かに楽しめると思う。
■反省
・渡渉する場所を適当に選んで渡渉しようとした結果,丸山は2回ほど流された。渡渉する場所をもっと慎重に選ぶべきである。
・第2ゴルジュを突破するために丸山がパドルグローブを着用しようとしている時,右手分が流されて行方不明になった。水面の上で物を出し入れするときは特に落とさないように注意すべきである。
・第1ゴルジュの突破の際は,ロープを出した方が安全だった。
■コメント
・今度,ホラの貝ゴルジュに行きましょう。
■沢の評価
【奥多摩】
多摩川系丹波川本流 160807三条橋からおいらん淵下まで遡行
2級、綺麗1+、登攀1、珍奇3、辛苦1、推奨2
多摩川水系では極少ない大水量のゴルジュを遡行できる場所である。ゴルジュの迫力は中々のものだが,上流に集落があるため水が汚いのが難点。一之瀬川と比較すると,滝の登攀が出来る点が魅力となる。
多摩川系丹波川・一之瀬川本流下部 160807大常木谷出合まで遡行
2級(第2ゴルジュ巻いた場合)、綺麗2、登攀0、珍奇3、辛苦0+、推奨2+
多摩川水系では極少ない大水量のゴルジュを遡行できる場所である。水は丹波川本流よりは綺麗。丹波川と比較すると,難しいゴルジュの突破に挑戦できる点が魅力である。河原歩きが意外と長いのが欠点。