2016/8/10-13 白山

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
白山山行計画書
作成者:平岩
■日程 8/10-13 ※8/9夜発 14朝着,予備日1日(8/14)
■山域 白山
■捜索要請日時 2016/8/15 9:00
■メンバー 計8名
CL平岩 SL吉川 遠藤 木下 木下 天野 飯田 吉田
■集合
21:50 東京駅八重洲中央口1階(八重洲地下中央口ではなく1階です)

■交通 計15350円
[行き] 
・北日本観光バスきまっし号5100円 8席確保。
21:20東北急行バス東京営業所(東雲)—21:50浅草駅前—22:05上野駅前—22:30東京駅八重州通り(八重洲地下街22番出口付近)—6:00金沢駅前
・北陸鉄道株式会社白山登山バス2200円
6:45金沢駅東口1番乗り場—8:55別当出合
*万が一遅れた場合
A 当日でも席が空いていれば→東京駅八重洲南口23:10-青春ドリーム金沢1号(金沢工業大学前行)-07:40金沢駅前 5200円
B 東京06:16-かがやき501号(E7/W7系)(金沢行)-08:46金沢 7,340円+指定席 6,980円
そして、
金沢駅東口09:25-白峰方面路線バス-白峰車庫 1300円
白峰車庫-タクシー-別当出合 約19km 6000円ぐらい?

[帰り] 
・濃飛バスまたは北陸鉄道バス 1850円 予約制。
北17:30白川郷 -18:45金沢駅東口
濃13:50-15:05,北15:20-16:45,北15:55-17:20,北16:25-17:50
濃飛バス予約センター 0577-32-1688 (9:00~18:00)
北陸鉄道予約センター 076-234-0123 (9:00〜18:00)
(・富山地方鉄道 予約制076-433-4890 (8:30~19:00)
17:10白川郷-18:35 富山駅前 15:30-16:55)
・北日本観光バスきまっし号 6200円 5席確保。
23:00金沢駅前(金沢都ホテル前)-6:30東京駅八重洲通り-6:45上野駅前-6:55浅草駅前-7:30東北急行バス・東京営業所(東雲)
※きまっし号は、登山用のザックをバスのトランクに積みこみ可(電話で確認済み)

■行程 前日夜発 山中3泊4日 予備日1日
[1日目]別当出合-0:50-中飯場-1:30-甚之助避難小屋-0:20-南竜道分岐-0:20-南竜ヶ馬場野営場 計3:00
[2日目]サブサック行動。南竜ヶ馬場野営場-2:20-御舎利山-0:10-別山-0:10-御舎利山-2:00-南竜ヶ馬場野営場 計4:40 
 *余裕があれば 別山-0:20-別山平御手洗池-0:35-別山 計0:55
[3日目]南竜ヶ馬場野営場-2:20-御前峰-0:30-百姓池-1:10-お花松原-1:00-北弥陀ヶ原-0:20-地獄覗-2:00-ゴマ平避難小屋 計7:20
[4日目]ゴマ平避難小屋-1:00-シンノ谷水場-2:00-妙法山-2:00-野谷荘司山-2:00-馬狩-1:00-荻町 計8:00
■エスケープルート
南竜ヶ馬場野営場まで: 別当出合へ引き返す
別山周辺:南竜ヶ馬場野営場へ引き返し別当出合へ
北弥陀ヶ原まで: 室堂ビジターセンターを経て別当出合へ引き返す
ゴマ平避難小屋周辺:中宮道を経て中宮温泉へ(ゴマ平避難小屋-5:20-中宮温泉)
それ以降:そのまま進む
■地図
2.5万分の1「白山」「新岩間温泉」「鳩谷」」/山と高原地図「43白山」

■遭難対策費
メンバー 8人×200円×3泊=4800円
■備考
日の出 8/10 04:57, 11 04:58, 13 05:00,14 05:01 
日の入 8/10 18:59, 13 18:55, 14 18:54(全て白山山頂)
石川県警白山警察署076-216-0110
岐阜県警高山警察署0577-32-0110

南竜ヶ馬場野営場  300円 現地0776-54-4526/予約076-259-2022 ※野営場利用には予約必要なし
白山室堂 0761-21-9933

大和タクシー 076-266-5166
石川交通 076-231-4131
白山タクシー 05769-5-2341

*荒天時中止:バス乗車日の前日である8/8 17時までに判断
*温泉:白川郷の湯 700円 7:00~21:30
*おまけ:8月12日の夜半から13日未明にかけてペルセウス座流星群の活動の極大。
(和田家 300円 9:00~17:00),(野外博物館 合掌造り民家園 600円 8:40~17:00)
*混雑状況の目安:8/11(木・祝),13-15:月遅れ盆,15-17:旧盆

■参照:
白山観光協会HP http://www.kagahakusan.jp/index.html
北陸鉄道株式会社 http://www.hokutetsu.co.jp/tourism-bus/hakusan
濃飛バス http://www.nouhibus.co.jp/highwaybus/toyama/
白川郷観光情報http://shirakawa-go.org/kankou/
気象庁噴火・警戒予報 http://www.jma.

白山山行記録
作成者:平岩
■日程 2016/08/10-13
■山域 白山
■天候 10晴れ一時曇り 11晴れ 12晴れ後曇り 13晴れ
■メンバー(オーダー・敬称略)12日以降は吉田と飯田が逆
CL平岩 吉田 飯田 木下亮平 天野 SL吉川 木下清晶 遠藤
■記録(CLが記録メモを紛失したため、1,2日目の行動記録は遠藤さんの記録による。)
・1日目
09:25 別当出合
10:06-10:19 中飯場
11:01-11:10 別当覗
11:50-12:05 甚之助避難小屋
12:33-12:41 南竜道分岐
13:15 テン場

・2日目
05:08 テン場
06:03-6:23 油坂ノ頭
07:25-7:37 一本
07:54-8:05 御舎利山
08:18-8:38 別山
09:42-9:53 天池
10:50 テン場

・3日目
04:17 テン場撤収
04:38 南竜山荘発
05:18-05:30 トンビ岩
05:54-06:00 一本
06:25-06:48 室堂
07:34-08:05 御前峰
08:53-09:00 中宮道分岐
09:45ヒルバオ 雪渓通過
10:05-10:15 お花松原着
11:12-11:24 北弥陀ヶ原の東の端の方
12:25-12:35 一本
13:25-13:43 三俣峠着
14:25 2077mのピーク通過
14:50 ゴマ平避難小屋着

・4日目
05:00 ゴマ平避難小屋発
05:40-05:50 1650~1700m辺り?で一本
06:37 滝ヶ岳脇通過
06:55-07:05 一本
07:38 シナノキ平避難小屋通過
08:05-08:16 トチノチ坂一つ目の水場付近
09:15-09:24 1314m地点付近
10:11-10:14 清浄坂後小休止
10:41 中宮道登山口


[0日目]
 21:50東京駅八重洲中央口集合。全員集合時間前に集まっていた。地上を通ってバス乗り場へ移動後、きまっし号乗車。乗車客に登山者がほぼいないため、我々8人のザックがトランクを占領していた。座席は三列シートなので快適。夜に弱い私は爆睡。人によっては寒さと乾燥であまり寝られなかったようだが、金沢駅-別当出合間のバスで睡眠をとることができたそうだ。


[1日目]
○金沢駅〜別当出合
 05:50金沢都ホテル前着。別当出合へ向かうバス停では既に7,8人が並んでおり我々の後ろにも列が続いた。車両は路線バスというよりか観光バス。1本増便されたことで、吉田くんが乗り場に落とした乗車券を走って回収しにいく時間ができた。セーフ。
 市ノ瀬で降りる客はほとんどいない。別当出合は登山客でごったがえしていたが、3,4日目に長時間太陽に照りつけられながら歩けるのか多少不安になっていた。

○別当出合〜甚之助避難小屋〜南竜ヶ馬場野営場(砂防新道)
 コースは整備されており歩きやすい。休み場所を探しながら歩いていたら中飯場に着いた。天気がよかった上に中飯場後は終始眺めの良い道なので、暑い。とにかく暑い。道の傍に雄宝香、黄苑、信濃弟切、白山薊、白山女郎花、白山防風等 (家に帰ってきてからグーグル片手に同定なので怪しい。)の花々が咲き乱れているため気分はよかったけれども、後ろの方から(暑すぎて)今後の行程を不安視する声も聞こえてきた。甚之助避難小屋に着くやいなやガスが周りを覆ってくれたため体力回復し、野営場への道を進んでいく。分岐後野営場までの道は花も景色も美しく、白山に来てよかったと既に満足していた。

◯南竜山荘・南竜ヶ馬場野営場
 なだらかな斜面上に赤い屋根の小屋、草原には花が咲き、ハイジ風の世界。遠くまで来た甲斐がある。綺麗で大変使い勝手の良い山荘・野営場だった。南竜山荘には水洗トイレがあり野営場利用者も 24時間使用可。テン場代を1日毎に払うのは少し面倒だが、こんなに綺麗な所で一人300円/日なら喜んで山荘まで払いに行く。(山荘-野営場間は往復10~15分ぐらい。) 山荘と野営場の間にある小川の水が冷たく1,2日目共に水遊びを楽しめた。テン場は広く、炊事舎と汲み取り式トイレがある。夕飯は吉田くんの豚肉の生姜焼きとわかめスープ。作り方で一議論あったが美味しかった。19:30になっても空が明るいため20:00頃まで星空観察をした。それでもうすら明るいため流星は見えなかったが、夏の大三角形や蠍座やカシオペヤ座などは綺麗に見えた。


[2日目]
 3:30起床。朝ごはんは飯田のコンソメスープパスタ。ステラ組が朝食を作っている間に、ペルセウス座流星群の観察に勤しむ。私は3つしか見つけられなかったが吉田くんはかなりたくさん見つけたようだ。花と星という山行目的は十分達成されたので、もう帰っていい気がしてくる。

○南竜ヶ馬場野営場〜油坂の頭〜御舎利山〜別山
 エアリアにはガレ場に危険マークが何箇所かついているが、言うほど危険ではないため慎重に歩けばメインザックでも問題ないだろう。3日目の中宮道の方が危なかったと思う。ガレ場だったり低木林・花畑の中を歩いたりと道の様子も多彩、ほぼずっと展望も良いので、白山に行くなら別山へいくのも勧める。
 油坂の頭は大変展望がよく、御嶽山はもちろん北アルプスや八ヶ岳などが見える。赤紫色の猫じゃらしみたいな花は伊吹虎の尾、桃色の小花が集まったようなのは下野草、黄色いタンポポのようなのは寒地顔剃菜というらしい。
 御舎利山からは別山、明日登る御前峰共に見えた。室堂だけでなく南竜ヶ馬場野営も見えたので、明日あれを登るのかという声がちらほら。チブリ尾根を降りる登山者がおり、写真を撮ってもらう。別山山頂には鳩ヶ湯新道から上がってきているトレイルランナーなど、そこそこ人がいた。四方八方山しかないので、最高の景色。日本海も見える。
 ここからは来た道を野営場へ向けて戻る。帰路は飯田に先頭を歩いてもらった。既に太陽がだいぶ上がっているため暑くなってくる。テン場に「山が 好き ガスが好き」と書かれたTシャツを着た二人組がいたのを思い出し、慣れないコールアンドレスポンスをやりたくなる。「山が好き?」「ガスが好き!」。地形図には赤谷の川は水色で書かれていないが、この夏の暑い時期にも普通に水が流れていた。

○南竜ヶ馬場野営場再び
 テン場に戻ってからはまったり。別山から御手洗池へ降りるのをやめたのは、テン場からアルプス展望台への往復をやるほうがよさそうだからだったのだが、別山へのピストンで満足したので展望台へのピストンは中止。山荘で魔法の飲料を手に入れたり、沸かしたコーヒーを川で冷やしたりと楽しく過ごす。このあたりは3日目の負の印象を薄めるために山行記に書いてくださいね。
 しかし、ここで重大な事実が発覚する。野営場に公衆電話があるのがわかっていたので2日目に電話すればいいや、と思っていた白川郷—金沢駅間のバスが、既に1席しか空いていないというのだ! 白川郷—金沢駅間では有料道路を使うためタクシーだと馬鹿高くなるので、白川郷—富山駅間のバスを調べると、17席空きがあった。急遽そちらの交通に変更してもよいかという話をメンバーに持ち出す。富山駅—金沢駅間は電車で1220円1時間なのだが、優しいメンバーは了承してくれた。山荘内でお水を手に入れていた方々にも話をだすと、富山に行くのは構わないが、「3日目野営場-御前峰のピストン 4日目野営場-別当出合」というゆるい行程でもいいのではないかという意見がでてくる。今日までの行程で概ね満足しており、これ以降重たいザックを背負ってきつい日差しにあたり続けながら長時間歩く利点があまりないからだ。メンバーは精神的楽さを求めてそちらの行程に惹かれかけていたが、体力的には北縦走路を取っても問題なさそうだったのと、CLが白川郷へ行きたいという気持ちを捨てきれなかったのとで、とりあえず明日はゴマ平避難小屋までいき、明日の様子(体調・天気・道)をみて、中宮道か北縦走路か選ぶことにする。その後は山荘内の休憩所で大富豪大会と夕飯。吉川さんの煮物と鯖の味噌煮とごはん、遠藤さんが運んで来てくださったゼリー、ごちそうさまでした。この晩も天野くんと星空観察を粘った。流星は見えなかったが北の空の星がよく見えた。


[3日目]
 3:00起床。ステラ組の流星観察はかなり成果があったようだが、あいにく私は赤ダン組だったのでこの日は朝食準備で見られず。朝は天野くんの味噌ラーメン。具として持ってきていた乾燥味噌汁の具のわかめが結構美味しかった。

○トンビ岩コース
 涼しい内に距離を稼ぐため4:30発。南竜ヶ馬場と別山を背に、室堂まで300m近い高さをゆく。よく整備された道で歩きやすいが、花はそんなに見られず。最短はトンビ岩、花はエコーライン、眺望は展望歩道という位置付けらしい。室堂付近に雪渓がわずかに残っていた。

○室堂ビジターセンター
 白山の一大拠点なので、何でもあり大変綺麗。テン場だけはないが、水場お手洗い食堂郵便局大量のスタンプ公衆電話スマホ充電器etc. 100円で暖かいお茶を水筒に入れてくれるサービスがあり(量は問わないようだ)、吉川さんがもらっていた。唐突にVC全体をあげてラジオ体操第一と第二が大音量で流れ始め、広場にいる人が皆やりだす。白山神社の宮司さんまでやっているため同調圧力がすごかった。

○室堂ビジターセンター〜御前峰〜中宮道分岐
 VC後の道はしばらく石段。今日も晴れているので絶景を背負いながら歩く。高さは300mもないのであっという間に御前峰につき、奥宮でおみくじをひいたり写真を撮ったり。VCの客はまだあまり登ってきておらず、山頂は混んでいなかった。ここで赤いウェアを着たUさんに出会う。少し話をしてみると、Uさんの息子さんがお茶小だということが判明。徽音祭の話から陶芸の話がでて、陶芸部の飯田と話が弾んでいた。Uさんは室堂へ降りるとのことなので、徽音祭で陶芸作品用意して待ってます的な別れをするが、翌日このUさんに大変お世話になることに。
 御前峰からお池へくだる道はガレ場。白い岩が眩しい。今年は雪が少なかったからか、油ヶ池は干上がってムース状の泥になっていた。今回は行程に組み込んでいないが、大汝峰はずっしりした山。登るならザックをデポしてピストンだろうというような話が出ていた。空の下の方にうっすら雲がかかっていたが、日差しは相変わらずきつい。

○中宮道分岐〜お花松原〜2349mのピーク〜北弥陀ヶ原
 分岐後はお花松原へむけて一気に200m近くくだる。最初のうちは、急だね暑いねぐらいで済んでいたが、松原に近づくにつれて道が荒れ気味になってくる。雑草と黄色い花が咲き乱れる中を突破していく感じ。2組しか(1組は室堂-お花松原を往復するグループ、もう一組はゴマ平から来たおじさん。)すれ違わなかったので、こちら側の道は利用者が少なく、整備も行き届いてないことがわかってくる。あまり歩かれていない道だと知ってはいたが、お花松原の黒百合は有名[例年はこの時期が盛りらしいけれど、今年は雪が少ないため2週間以上前倒しbyゴマ平で出会った中宮道おじさん]なので、もうちょっとましだと思っていた。私はメンバーへの申し訳なさでいっぱいになってくる。雪渓は小さく、コースとはだいぶ離れたところに残っており、遠藤さんが保水タオルを浸していた。(年によってはコースも雪渓の中らしい。) 2349mのピークは低山歩きの様相を呈してきており、亮平さんと私は楽しんでいたが、他のメンバーは暑くてあるいはテントが重くてだるそうであった。名前はないが低山だと思って登ればよいピークだったと思う。
 北弥陀が原は、池塘が枯れちゃった尾瀬、といった感じ。アルペンガイドによると「御嶽山や北アルプスの峰々を背景にした景観は日本庭園風」らしいのだが、我々の荒んだ心にはやたら草の生い茂った荒れ地にしか見えない。道標は壊れまくっているし、いかがなものか。

○北弥陀ヶ原〜地獄覗き〜間名古の頭
 北弥陀ヶ原後しばらくは、高低差のあまりない道を、白山薊と(枯れた)黒百合の上にぼぅっと浮かぶ白い深山猪独の花畑をみながら歩ける。よい。この辺りまでは皆来たことを後悔していなかったと思う。その後地獄覗きの位置を手前に勘違いし、後から「地獄覗き」の道標が現れる。多少ショックだったがまだよい。問題はこの後。地形図では基本的にピークの右側に道がついている表記だが、左側を歩いていたような気もする。ピークも巻かずに登っていたような気もする。何個のピークを登ったのか巻いたのか判然としない。CL失格。「山が好き ガスが好き」と脳内で念じていたら、幸い曇りはじめて気力回復。登山道がどんどん崩れていってしまっているようで、エアリアに危険マークがないのが不思議な道である。ひどい所だと片足ぎりぎりの道幅、申し訳程度についている白いロープも折れそうな枝についていて、こんなはずじゃなかったんだけどなぁと思い始める。間名古の頭のトラバースが始まったあたりからさすがに現在地がしっかり特定できたので希望がわいてくるが、相変わらず道は崩れ&荒れ気味。

○三俣峠〜ゴマ平避難小屋
 峠で作戦会議。昨日は8時間ぐらいでもまぁと言っていたSLの吉川さんが、これはエスケープにした方がよいかもしれないと言い始める。先輩方は皆、道の荒れ具合と暑さとを危惧なさっており避難小屋で明日の行程について考え直そうという結論がでた。その後はおこじょあたり(野営場におこじょがいた)に化かされていたので、記憶が曖昧。道自体は太めで歩きやすいものに変わったが、脇に笹が生え、コオロギとトンボが頻繁に現れ、だいたいピークの右側をトラバースという同じような道・光景を見続けたために、既視感が強くなってくる。前回の巻道との違いを見つけられない限り我々はこの山からでられないのではないか、というSF的な発想にたどりつくぐらい、消耗していたようだ。だんだん私は開き直って元気になってしまい楽しくなってくる。
 やっとのことで避難小屋手前の急登のくだり?の道にたどりつき、慎重におりる。飯田が真っ青になっており、歩みも遅くなっていたので心配だったのだが、後日本人に尋ねると「そんなにつらくなかった」らしい。見た目と気持ちとでずれはあるのだろう。

○ゴマ平避難小屋
 道のりが多少ハードだった分、避難小屋が事前のリサーチ通り綺麗で救われる。水場までは小屋から50mあるので、代わりばんこに水汲み。私たちの他は、三方岩から登ってきたおじさん、中宮道を登ってきたおじさん、大白川から登ってきたおじさん(←17:30に小屋着)の三人。中宮道おじさんは昨日もこの小屋に泊まっており、「昨日は女性二人組がいて、またゴマ平に下りてくるようなことを言っていたが、君たちが会ってないならもう下りて行っちゃったんだろうね」的な情報をくれた。明日の行程の再検討の結果、中宮温泉への下山に決定。[中:行程短い。ただし帰路に乗り換えが多く厄介。 白:行程は長いが合掌造りの家を見られる。ただし今日と同じペースだと16時頃下山、17時10分発富山行バスということで観光する時間はあまりない。] 一階で調理、二階に寝床を作った。夕飯は遠藤さんが運んできてくださったハヤシライスと味噌汁。この晩も美味しくごはんが炊けたので、毎回ご飯炊きがうまくいった素晴らしい山行であった。明日の行程が短くなったので3:30に目覚まし時計を設定し就寝。


[4日目]
 朝は清晶さんのカップラーメン。久しぶりにジャンクなものを食べて元気がでた。

○ゴマ平避難小屋〜カエデ坂〜イチイ坂〜シナノキ平避難小屋
 普通の登山道からしたら荒れている方だが、昨日がひどかったのでマシ。ゆるやかに登ったりくだったりを繰り返す。基本的にブナあるいはダケカンバ林の中を進むが、たまに右手側の眺望が開けると白山・白川郷ホワイトロードが見え、左手側が開けると白山の地獄尾根が見えた。脇に見えた額紫陽花のような花は、どうも糊空木のようだ。 シナノキ平の避難小屋は外からみる限りしっかりしていた。

○シナノキ平避難小屋〜トチノキ坂〜清浄坂〜中宮温泉
 中宮道おじさんから「蛇がいるから、休憩の時に座る前に注意した方がよい」と言われただけあって、一匹トチノキ坂で道の脇にいるのを見つけた。トチノキ坂の水場付近は、昨日が思い起こされるような細く、崩れそうな道が断続的に続く。この時期だと水場に汲めるほどの水量はない。遠藤さんがサンショウウオを発見なさったようなので、綺麗な水であることはたしかだ。清浄坂前に「馬のせご」があり「細い尾根 通行注意」とエアリアには書いてあるが、何を今更という感じ。岩がむきだしだけれどトチノキ坂付近よりは安定して歩ける。このあたりから道の上に糞が頻繁に見られるようになる。結構大きく、道の真ん中にどーんとあるので、何の生物かこわくなってくる。遠藤さんや吉田くんが「獣臭い」と言っていたように、何か動物の香りがしばしばした。クマだったら嫌だと思い、なるべくおしゃべりしながら歩くことにする。
 幸い大きな動物には遭遇せずに湯谷の川の音がするあたりまで降りてこられた。これ以降は、膝から下は藪漕ぎ。つる状にゲートを作っていた赤紫色の花は、どうも葛の花みたいです。生い茂る草の上にかろうじて残る踏み跡をトレースしながら、中宮温泉へ向かい、最後はやけに一段が高い階段を降りて中宮道登山口に到着。

*番外編
○中宮温泉
 薬師の湯という無料足湯付近でUさんに再び会う! Uさんは12日に下山後車中泊をし、白山山麓を時計周りに移動後、中宮温泉に浸かりに来ていた。こちらはエスケープルートを取っている手前、偶然会ったことに驚きを隠せない。にしやま旅館と木戸温泉[どちらも日帰り入浴550円]があるが、露天風呂のあるらしいにしやま旅館を選び、Uさんも合わせてくださった。
 ここで最後の問題が発生する。中宮温泉を通る白山市コミュニティバスめぐーるは、なんと平日にしか運行していないらしい!今後の参考までに備考に下山方法を載せておいた。タクシーが来れない場合は、14:30頃まで待ってくれたら、にしやま旅館のマイクロバスで送ってくれると言われたけれど、ちょっと遅い。とりあえずタクシーを2台予約かと思っていたら、Uさんが瀬女まで2往復送ってくださるとおっしゃってくださる。Uさんのご好意に甘えて、4人ずつ瀬女の道の駅まで送っていただいた。

○瀬女〜金沢駅
 瀬女のそばちゃソフトは、蕎麦の実フレークをかけるソフトクリームの元祖らしい。Uさんオススメなので食べたら、とても美味しかった。昼食?を取ったのち、別当出合からきている北陸鉄道のバスであやうく補助席になる所だったが、バス会社の人の優しさで増発便に乗れ、8人で貸切乗車し無事に金沢駅到着。この後はぐだぐだ観光したり宴会をしたりして、23時発のバスを待つ。飯田と私はあいの風とやま鉄道富山行きの終電で富山へ向かい、次の旅にでた。

■総括
白山は良い山であり、遠征した甲斐はあった。花盛りを過ぎていた割には、道の脇に多数の花々が咲き乱れていてうつくしく、コースやテン場もメジャールート付近はよく整備されていた。白山南西域と山頂付近以外はあまり人に歩かれていないため静かな山歩きを楽しめるが、その分道もハードモード。高山も低山も荒れた道も歩け、花も星も川も温泉も楽しめた盛りだくさんの夏合宿となった。

■反省
・登山道の事前調査が甘い。
今回は登山経験豊富な先輩方と行くことができたので何事もなく済んだが、もし自分と1年生とだけだったら、悩む局面がたくさんあったと思う。(そうだった場合、中宮道は取らずに観光新道あたりのコースを取るつもりではあったが。) 雷鳥基準の記録がない山域へいく場合はなおさら、道の荒れ具合や獣の出現度等に注意を払う必要がある。
・デマンドバスは早くに予約しておくべきだった。観光地に下山の場合は特に。
・共装と食当の順番の兼ね合いをよく考えるべき。共装が重い方を日程の後半の食当に回してしまった。
・お盆の金沢の飲食店は混んでいる。すし玉など混んでいるのでもってのほか。

■雑感
・南竜ヶ馬場の小屋と花畑の写真を個人的に5月頃に見て、「行きたい」と思っていた山だったので、実施できてよかった。
・記録内で花や風景をやたら褒めちぎっているが、CLは一度も日本アルプスへ行ったことのない八ヶ岳だいすき人間なので、高山に行き慣れている人が行くともの足りないかもしれない。技術面で難しいところのある山ではない。
・白山には多彩なコースがあるので目的に合わせて選ぶのがよいだろう。白山のよいところをつまみぐいするなら別当出合—御前峰や別山周辺で十分だし、がっつり歩きたいなら北縦走路や石徹白道などをとればよさそう。別当出合から登るとテン泊装備は浮く。特に室堂付近には軽装の子供連れやご年配の方が多かった。
・全体的に幸運だった。メンバーに助けられた上、山行中に出会った方々が親切だったので、色々どうにかなった。ありがとうございました。

■備考[中宮温泉での交通]
・2016/08/13現在、中宮温泉—瀬女間のバスは平日のみ運行。(http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/otherdata/bus/index.html?1004#section2)
・中宮温泉—瀬女(セナ)間 車で20〜30分。13km。ただし、タクシー会社は瀬女までだと乗らせてくれない。
・中宮温泉—鶴来(ツルギ)間 車で1時間。タクシーだと一万円強? ほぼ全てのタクシー会社が域外のため、たぶん下記二社しか来てくれない。
かわおくタクシー(個人) 090-9761-6712 /かなやタクシー 076-272-0085(ジャンボタクシーは無し)
・にしやま旅館は、事前に連絡さえあれば要望に合わせて送ってくれる。連絡のない場合は思い通りの時間に送ってもらえるかわからない。