2016/8/19 井戸小屋沢遡行・大ベタテ沢下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
井戸小屋沢遡行・大ベタテ沢下降計画書 ver.1.0
作成者:丸山
■日程 2016/8/19(水)
■山域 谷川
■在京本部設置要請日時 8/19 21:00
■捜索要請日時 8/20 10:00
■メンバー (計2人)
CL丸山 SL迫野
■交通
丸山車で万太郎谷沿いの林道終点附近へ行き前泊
■行程
林道終点-15-入渓点-90-井戸小屋沢出合-180-二俣-60?-吾策新道(30?)-大ベタテ沢下降(180?)-30?-林道終点
(計4:45+5:00?)
※井戸小屋沢の遡行時間は沢登り銘渓62選による.その他は予想。
※万一朝から天気が悪い場合,米子沢への転進を検討する。
■エスケープルート
井戸小屋沢:引き返すか,そのまま進んで吾策新道で下山
吾策新道:吾策新道で下山
大ベタテ沢:そのまま進む,引き返して吾策新道で下山
■地図
2万5千分1地形図「茂倉岳」
山と高原地図「谷川岳」
井戸小屋沢遡行図:沢登り銘渓62選 p.217
大ベタテ沢遡行図:http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade5/page020.htm
■遭難対策費
100円×2人
計200円
■備考
日の出(8/24)5:09
日の入(8/24)18:25
南魚沼警察署025-770-0110
井戸小屋沢右俣遡行・大ベタテ沢左俣下降記録
作成者:丸山
■日程 2016/8/19(金)
■山域 谷川岳
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計2人、敬称略)
CL丸山(35),SL迫野(35)
■総評
井戸小屋沢は非常に素晴らしい沢。景観としては今までで最高の沢だったといっても過言ではない。大ベタテ沢左俣は全然遡行価値がないが下りやすかった。ハコネサンショウウオが沢山見られたのはGOOD。
■GPSログ
http://yahoo.jp/9l8iHo
■時間
5:57 駐車地発
6:10 本谷入渓
7:43 井戸小屋沢出合
9:00 大障子沢出合
11:04 井戸小屋沢二俣
12:24 登山道
13:03 大ベタテ沢左俣下降開始
15:15 大ベタテ沢二俣
16:01 大ベタテ沢出合
16:47 駐車地着
■行動記録(敬称略)
院試(筆記)が終わった当日夜に東京をたち,関越で新潟へ。1時前くらいには林道の最奥へ着き,テントを立てて就寝。翌朝は5時ごろに起きて,入渓準備も済ませてから6時ごろ出発。大石で封鎖されて車は通れないが,歩行には問題ない林道を10分ほど歩くと,入渓点となるスリット堰堤に至る。早速入渓してスリットを通り抜けるが,序盤は平凡な川。しばらく進むとナメが出てきて,少しテンションが上がってくる。下降してくる予定の大ベタテ沢出合のあまりのしょぼさに驚きつつ進むと,魚止滝4mに出会うが,左から難なく登る。
良くなってきた渓相を楽しみつつ,ハーケン打ち・抜きの練習もして,また小滝を越えると,著名なオキドウキョウの瀞となる。左岸に巻き道もあるそうだが,平水なのでゴルジュを進む。泳ぎもなく難なく突破。その上には2条4mの滑り台滝があり,2人同時に滑ったりして楽しむ。その後すぐに,井戸小屋沢出合。
井戸小屋沢に入ると水量は少なくなり,丹沢や奥多摩にありがちな感じになるが,小滝が連続し渓相は相変わらず良い。滝上から滝壺にかけてちょうどよく倒木が倒れかかっている4m滝があったので,倒木伝いに登ってみたが,これも面白かった。ここで熊を見た。逆くの字滝8mは,直登が厳しそうだったので右から容易に巻いた。
いくつも小滝を越えながら遡行を続けると,だんだんと開けた沢となり,素晴らしい渓相と遠景とが360度見渡せる,この上ない景色となる。非常にいい気分になって進み,しばらくで大障子沢出合。遡行図にある通り,確かに本流は90度折れ曲がっており,うっかり直進して間違えそうである。曲がってすぐに3mの小滝があるが,これがやや難しい(4級)。落差はないので怖くはないが,迫野には使うべきホールドを指示しながら登ってもらった。その後のCS小滝は登れず,右岸から巻いた。
この先も開放的で,しかもナメと小滝が続く優れた渓相が続くが,難しい滝はなく快適。水量が減ってきて徐々にしょぼくなってくる沢に寂しさを感じつつ,沖障子沢出合で不要となったウェットスーツも脱いで,暫く進むと,二俣に到着。左俣は難しい滝が多く面倒な割に綺麗でもないというので,楽な右俣へ入る。ここから岩質が変わり,脆くなった。その先も小滝が現れるが,脆くてやや不安なので適宜お助け紐を出しながら進む。だんだんと水は消え,藪っぽくなるが,詰め上がるぎりぎりまで沢筋はあり,大した藪漕ぎはない。登山道が見えた時点で,登山道に向けて本格的な藪漕ぎ(笹)を開始したが,1分も経たずに登山道着。本当に素晴らしい遡行であった。
少し休憩の後,登山道を下降する。良くも悪くもない登山道という感じだが,高山なので眺めは良い。登山道に少し飽きてきた頃に,大ベタテ沢左俣下降開始点に着く。ちょっと迷ったが,時間的に問題もなく,地形的にも降りられそうなので,沢下降を選択。少しやぶを漕ぐと,すぐに沢筋が出てきた。この沢筋はちょっと整備が疎かな登山道程度には歩きやすく,ぐんぐん下れたが,いつまでたっても水が出てこない。滝もスラブもないので沢下降に飽き飽きした頃,漸く多量の湧水があり,沢らしくなる。冷たくておいしく飲める水。
ここで丸山がたまり水で何か動くものを発見,よく見るとサンショウウオではないか。ということで,サンショウウオ好きの迫野は撮影に余念がなくなる。しばらく時間をかけて撮影した後,下降を続けるが,少し小滝が出てきはしたものの,大したものではなく,よくない渓相。そのまま右俣と合流。右俣と合流してからは小滝があり少し渓相が良くなったが,すぐにインゼルのゴーロとなり,藪っぽくてひどい渓相に。そのまま本谷に合流。
本谷ではスライダーや飛込を交えて楽しく下降したが,ウェットスーツを脱いでいたので迫野は体が冷えすぎたらしく,終盤に足を攣っていた。最後,単調なゴーロ,スリット堰堤,林道を経て,駐車地に着く。17時前のちょうどいい時間であった。
■見つけたもの
・ツキノワグマ:沢で熊を見たのは初めて。すぐに走り去った。
・ハコネサンショウウオ:幼生や亜成体が見られ,成体らしき影も見た。
■感想・備考など
・とにかく素晴らしい遡行だった。
・平日だったこともあり,山中では誰にも会わなかった。
・メインロープは使わなかった。初級者同伴でもロープは30m一本で十分と思われる。
・ウェットスーツを脱いだタイミングもよかった。
・院試翌日だったが,非常に充実していてよかった。
・ヤマビルはもちろん無し.
■コメント
・噂には聞いていたが上越の沢は確かに素晴らしかった。また行きたい。
・大ベタテ沢の隣にあるカラホリ沢は遡行・下降記録共に見当たらないので,多分何もないだろうが,機会があれば下降してみたい。
■沢の評価
【谷川岳】
信濃川系魚野川万太郎谷井戸小屋沢右俣 160819遡行
2級、綺麗3、登攀2、珍奇2、辛苦1+、推奨3
近景・遠景ともに非常に美しい小釜とナメの連続が随所にあるだけでなく,アプローチの万太郎谷にあるオキドウキョウの瀞場や適度な困難さと充実感のある詰め,小難しく面白い小滝など,沢の魅力に満ちている沢であり,非常にお薦めできる。
信濃川系魚野川万太郎谷大ベタテ沢左俣 160819下降
1級、綺麗1、登攀0+、珍奇1、辛苦2、推奨0
遡行価値は全くと言っていいほど感じない。この山域に来てこの沢を登るのは勿体ない。大きな滝やスラブはなく降りやすいので,登山道での下山をしたくない場合にはこの沢で下山することは薦められる。