2016/9/5-9 屋久島山行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
屋久島 山行計画書(Ver 1.1)
作成者:朝倉,久光
■日程 9月5-9日(島内3泊4日)
■山域 屋久島
■在京本部設置要請日時 2016/9/8 18:00
■捜索要請日時 2016/9/9 10:00
■メンバー(計10人)
CL朝倉 SL寺垣 久光 遠藤 木下 舩津 平岩 薩摩 川瀬 小沢
■集合
2016/9/5 12:30 成田国際空港 第3旅客ターミナル2階 Jetstar チェックインカウンター前
※構内図 http://www.jetstar.com/_/media/images/japan-and-korea/japan/airports_and_terminals/aat_nrt_t3.jpg?la=ja-jp
■交通
行き(9/5-6,船中泊)
成田空港1345-(Jetstar GK625)-鹿児島空港1545 [6,790円]
鹿児島空港-(南国タクシー 約1時間20分)-谷山港 [3,000円+高速代]
鹿児島・谷山港1800-(フェリーはいびすかす)-種子島・西之表港2140
種子島・西之表港0500-(フェリーはいびすかす)-屋久島・宮之浦港0700 [2,860円]
宮之浦港0800-(屋久島交通 栗生橋行)-合庁前0835 [830円]
合庁前0916-(屋久島交通 紀元杉行)-ヤクスギランド0959 [760円]
ヤクスギランド-(タクシー 約20分)-淀川登山口 [7,000円/台 迎車料込]
帰り(9/8-9,鹿児島まで)
白谷雲水峡1440-(屋久島交通 宮之浦港行)-宮之浦1507 [520円]
最終バス1610発,民宿「やくしま89」宿泊
屋久島・宮之浦港1330-(フェリー屋久島2)-鹿児島・鹿児島本港区南埠頭1740 [3,300円]
※1 鹿児島空港から谷山港への予備ルート(すべて間に合い得る最終ケースを掲載).
ルート1
鹿児島空港1600-(鹿児島空港連絡バス 谷山線)-卸本町中央1655 [1,450円]
卸本町中央-(タクシー 約15分)-谷山港 [3km 1,500円/台]
ルート2
鹿児島空港1620-(鹿児島空港連絡バス 鹿児島市内線)-鹿児島中央駅前1658 [1,250円]
鹿児島中央駅1712-(JR指宿枕崎線)-坂之上駅1731 [280円]
坂之上駅-(タクシー 約15分)-谷山港 [3km 1,500円/台]
ルート3
鹿児島空港1630-(鹿児島空港連絡バス 鹿児島市内線)-鹿児島中央駅前1710 [1,250円]
鹿児島中央駅-(タクシー 約30分)-谷山港 [17.7km 4,420円/台]
※2 往路でフェリーはいびすかすに乗れなかった場合は翌日高速船またはフェリー屋久島2を利用.
※3 飛行機にはさらに手荷物料金・支払手数料・旅客施設使用料がかかり,実質1人あたり片道8,750円.
※4 フェリー代金は学割適用料金(フェリーはいびすかすではJRの学割証が必要).
※5 沢隊は屋久島到着後,タクシーを利用してヤクスギランドまで急行する可能性が高い.
宮之浦港-(タクシー 約1時間)-ヤクスギランド [36.1km 8,800円/台]
※6 本隊は余力があればヤクスギランドから淀川登山口まで歩くことも可能.
ヤクスギランド-2:20-淀川登山口
■隊構成(敬称略)
1日目(9/6)
本隊:CL寺垣,SL木下,平岩,薩摩,川瀬,小沢
沢隊:CL久光,SL遠藤,朝倉,舩津
2日目(9/7)
本隊:CL朝倉,SL寺垣,木下,平岩,薩摩,川瀬,小沢
沢隊:CL久光,SL遠藤,舩津
3日目(9/8)
本隊:CL朝倉,SL寺垣,久光,遠藤,木下,舩津,平岩,薩摩,川瀬,小沢
※現地の状況によっては3日目も2隊編成とする可能性あり.
■行程
1日目(9/6)
本隊
淀川登山口-0:50-淀川小屋
計 0:50
※登山開始が遅れる可能性を考慮して短めに計画している.ヤクスギランド散策で適宜時間調整.
沢隊
ヤクスギランド-0:30-沢津橋(入渓)-5:00?-石塚小屋沢出合-1:30?-淀川小屋
計 7:00
※17時までに淀川小屋に到着できないことが見込まれる場合,右岸道路へエスケープ.
□2日目(9/7)
本隊
淀川小屋-1:50-花之江河-0:20-黒味岳分岐-0:30-投石平-1:00-栗生岳-0:50-宮之浦岳-0:25-焼野三叉路-1:40-第一展望台-0:40-新高塚小屋
計 7:15
※途中,黒味岳分岐-0:45-黒味岳-0:35-黒味岳分岐をピストンしても可.
沢隊
淀川小屋-3:00?-湯泊歩道/登山道-1:00-花之江河-0:20-黒味岳分岐-0:30-投石平-1:00-栗生岳-0:50-宮之浦岳-0:25-焼野三叉路-1:40-第一展望台-0:40-新高塚小屋
計 9:25
3日目(9/8)
本隊
新高塚小屋-1:00-高塚小屋-0:10-縄文杉-0:25-大王杉・夫婦杉-0:50-ウィルソン株-0:25-大株歩道入り口-1:10-楠川分かれ-1:00-辻峠-0:20-白谷山荘-1:00-白谷雲水峡バス停
計 6:20
■エスケープルート
本隊
第二展望台まで:淀川登山口に引き返す
第二展望台から楠川分かれまで:荒川口へ
楠川分かれ以降:そのまま進む
沢隊
淀川小屋まで:右岸の道路/登山道へ
淀川小屋から左俣出合まで:淀川小屋に引き返す
左俣出合から登山道出合まで:左岸の登山道へ
※1 沢隊2日目の行程はハードなので,1日目で体力の消耗が激しいメンバーは本隊に編入する.
※2 緊急時の行動原則については,別途メンバーおよび在京責任者の間で事前に合意事項を定める.
■地図
1:25,000 尾之間,栗生,宮之浦岳
山と高原地図59 屋久島
遡行図および記録 太田五雄『屋久島の山岳:近代スポーツ登山65年の歴史と現在』2006 南方新社
※Google Booksにて閲覧可.https://goo.gl/pxsbAh
■遭難対策費
400円×10人
■備考
□日没
18:37 頃
□日の出
5:56 頃
□入場料・協力金
ヤクスギランド 300円
白谷雲水峡 300円
□ラジオ周波数
NHKラジオ第一 鹿児島:576kHz
NHKラジオ第二 鹿児島:1386kHz
NHK FM 鹿児島:85.6kHz 種子島:84.4kHz
□沢隊 悪天時の対応
・沢登りは不可能だが本隊は決行の場合
本隊に合流.
・下流は水量が多く遡行不可だが上流は遡行可の場合
1日目に淀川登山口から入山し,花之江河まで遡行する可能性もあり.コースタイムは下記の通り.
淀川登山口-0:50-淀川小屋-4:30-花之江河-1:30-淀川小屋 計6:20
・1日目は悪天で2日目が好天の場合
1日目をカット,本隊と同ルートで入山し,淀川小屋泊.2日目の行程のみ予定通り実施する.
□沢隊 コースタイムの参考文献
http://www.bunanokai.jp/archives/4863
http://www.yamareco.com/modules/yr_plan/print.php?plid=119785
□飛行機に載せる荷物について
受託手荷物(15kgまで支払い済) http://www.jetstar.com/jp/ja/help/articles/checked-baggage
機内持ち込み荷物 http://www.jetstar.com/jp/ja/help/articles/carry-on-baggage
□宿泊施設
民宿やくしま89 0997-42-0723
〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦187-1
http://yakushima89.com
□バス・タクシー会社
南国タクシー 0120-226-151 099-222-6151
種子島・屋久島交通 0997-46-2221
まつばんだ交通 0997-43-5000
屋久島交通タクシー(宮之浦) 0997-42-0611
屋久島交通タクシー(安房) 0997-46-2321
屋久島交通タクシー(尾之間) 0997-47-2018
安房タクシー 0997-46-2311
□交通機関リンク
Jetstar http://www.jetstar.com/jp/ja/home
南国タクシー http://www.nangoku-taxi.com
鹿児島空港連絡バス https://nangoku-kotsu.com/ashuttle
フェリーはいびすかす http://www.yakushimaferry.com
フェリー屋久島2 http://ferryyakusima2.com
ジェットフォイル トッピー&ロケット http://www.tykousoku.jp
屋久島交通タクシー http://yakutaxi.com/contents/cars.html
屋久島交通バス時刻表 http://yakukan.jp/doc/pdf/yakubus160312.pdf
□その他リンク
屋久島のガスカートリッジ販売店 (http://www.iwatani-primus.co.jp/guslist.html#3)
登山・アウトドア専門店 屋久島アンデス (http://r575087.bizloop.jp)
□過去の記録
2013年度 屋久島山行 記録
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
屋久島ハイキング計画書(Ver 1.0)
作成者:朝倉
■日程 9月8日(木)
■山域 屋久島
■在京本部設置要請日時 2016/9/8 19:00
■捜索要請日時 2016/9/9 10:00
■メンバー(計10人)
CL朝倉 SL寺垣 久光 遠藤 木下 舩津 平岩 薩摩 川瀬 小沢
■集合
2016/9/8 5:00 民宿ハッピ
■交通
行き
民宿ハッピ-(レンタカー 約30分)-白谷雲水峡駐車場
帰り
白谷雲水峡駐車場-(レンタカー 約30分)-民宿ハッピ
■行程
駐車場-1:20-白谷山荘-0:40-辻峠-0:50-楠川分かれ-1:10-大株歩道入口-0:30-ウィルソン株-1:30-縄文杉-1:15-ウィルソン株-0:25-大株歩道入口-1:10-楠川分かれ-1:00-辻峠-0:30-白谷山荘-1:00-駐車場
計 11:20
■エスケープルート
縄文杉まで:引き返す
それ以降:そのまま進む
■地図
1:25,000 宮之浦岳
山と高原地図59 屋久島
■遭難対策費
100円×10人
■備考
□日没
18:37 頃
□日の出
5:56 頃
□入場料・協力金
白谷雲水峡 300円
□ラジオ周波数
NHKラジオ第一 鹿児島:576kHz
NHKラジオ第二 鹿児島:1386kHz
NHK FM 鹿児島:85.6kHz 種子島:84.4kHz
□バス・タクシー会社
南国タクシー 0120-226-151 099-222-6151
種子島・屋久島交通 0997-46-2221
まつばんだ交通 0997-43-5000
屋久島交通タクシー(宮之浦) 0997-42-0611
屋久島交通タクシー(安房) 0997-46-2321
屋久島交通タクシー(尾之間) 0997-47-2018
安房タクシー 0997-46-2311
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
屋久島山行記録
作成者:朝倉
■日程 9月5-9日(島内3泊4日)
■山域 屋久島
■天候
0日目:曇のち雨
1日目:曇時々雨
2日目:雨のち曇
3日目:晴時々曇
4日目:晴時々曇
5日目:晴時々曇
■メンバーとオーダー(3日目ハイク,計10人,敬称略)
SL寺垣-薩摩-船津-川瀬-小沢-久光-平岩-木下-遠藤-CL朝倉
■タイムスタンプ(3日目ハイク)
05:40 駐車場
05:45 登山口
06:00 さつき吊橋
06:50 引き返し
07:25 白谷山荘
07:50 辻峠
08:40 楠川分かれ
10:00 大株歩道入口
10:20 ウィルソン株
11:40 縄文杉
13:10 ウィルソン株
13:35 大株歩道入口
14:40 楠川分かれ
15:30 辻峠
16:20 白谷山荘
16:45 さつき吊橋
17:00 駐車場
■記録
9/5 屋久島山行 0日目(屋久島へ)
12時半の成田空港第3ターミナル集合は13:45発の飛行機に対してそれなりの余裕を持ったつもりであったのだが,荷物検査でいくつかのトラブルが発生したこともあり,かなりバタバタとした出発になってしまった.最終的には全員無事予定の飛行機に搭乗できたので,全体としては結果往来というところではあった.
飛行機は滑走路が混み合っていたらしく離陸までに時間を取られて20分程度の遅れとなったが,鹿児島では空港から谷山港まで直行のタクシーを手配してあったので,そう慌てずに済んだ.何れにせよ余裕のある計画が功を奏した形で,遠征における「ゆとり」の大切さを痛感した.
谷山港は噂には聞いていたがおよそ一般の人間が近づこうと思うような場所ではなく,貨物コンテナに囲まれた殺風景なところである.乗り込んだフェリーも貨物船の一部船室に客を入れているというような体で,小綺麗とは言い難かったが,特に居心地が悪いということもないのでコスパを考えれば文句も言えないという印象である.夕焼けを見ながらデッキで食べるカップ麺はなかなか良かった.
日が落ちてからは種子島に着くまではメンバー全員でカードゲームを興じるなど,和やかな時間を過ごした.帰港後はメンバーにより寝支度をして就寝したり,沢遡行の予習をしたりと各々有意義に時間を過ごした.午前0時頃に消灯,就寝.
9/6 屋久島山行 1日目(エスケープ)
朝,私が目を覚めたときには既に船は種子島を出航し,沖に出ていた.少し波が高いのかそこそこ揺れが強く,船酔いをしたメンバーもいるようであった.夜中はかなり強く雨が降っていたようだが,幸い止んでいた.適当におにぎりを頬張り,荷物を整理していると屋久島に到着した.
起きてからそう時間が経っておらず眠いのと荷物が重いのとに一部の人には船酔いまで加わり,皆ふらふらしながら屋久島に上陸.そして,まだ人もまばらの宮之浦の街をほんの少し歩き,全員で観光センターのコインロッカー前に移動した.ここで,本隊と沢隊は別行動をとることになった.すなわち,私を含む沢隊の4人は下界にデポする荷物を本隊の人に預け(これは観光センターが8時に開いたところで48時間を超過して荷物を置くことの了承を得た上でコインロッカーを使用するためである)そこからすぐにタクシーに乗り込んだ.
タクシーでヤクスギランドに向かう途中,安房のV字渓谷がきれいに見える観光スポットとして有名らしい松峰大橋を通りかかった.運転手さんに一時停車してもらい,一旦車を降りて橋から渓谷を見下ろすと,なるほどそれは確かに絶景であった.平地は宮之浦と安房の市街地以外は信号もなく,極めてスムーズに移動できたが,山道に入ると道幅も狭くなり,ときよりヤクザルやヤクシカといった動物も見かけられるようになったので,運転も慎重になっていた.ともあれ,約1時間の乗車でヤクスギランドに至る.
タクシーを下りると,ヤクスギランド内を入渓点まで30分少々歩くということで靴紐を締めるなど準備をし,協力金300円も支払ってヤクスギランドに入った.そこは,名前の通り屋久杉だらけであった.行程が長いため先を急いでいた我々は,1つ1つの杉をよく観察することはなかったが,途中「千年杉」と看板のかかった杉のところでのみ歩みを止め,上を見上げてその大きさに目を見張るなど少しは観光客らしいこともした.
そうこうしていると,入渓点の沢津橋に至った.どのポイントをもって橋から沢に降りるかで若干手間取ったが,結局一番楽に降りられそうに見えた左岸上流側より沢へと下降する.沢の様子は一見して「水が多い」状態であった.この時点で引き返してもよかったが,ともあれ一度入渓してもう少し様子を見てみようということになり,準備をして入渓.すぐにひざ上まで水に浸かる.そこそこの流れもあり,気を抜いたらすぐに足をとられるだろう状況であった.
それでも50mほど遡行を試みると3mぐらいのフォールが出現.水量が少なければ直登も可能かもしれないが,今の水量ではとてもそれはできそうになく(登攀自体は可能かもしれないが,万一落下したら助かりそうにない)この調子ではとてもこの沢を遡行できそうにないとそろそろ本格的に判断せざるをえなくなってきた.現地に赴くまでは,遡行を断念する場合はいつでも左右の尾根にエスケープできると気楽な考えをもっていたが,実際には思った以上に斜面が急でいつでもどこでも尾根線に詰められるというほど甘い状況ではなかった.
この地点においてメンバー一同撤退の判断が妥当と思っている様子であり,最終的に沢隊 CL の久光さんによって「エスケープ」の判断が下された.私自身,残念ではあるがこの状況ではどう考えても至極真っ当な判断であったと思う.入渓した地点まで慎重に引き返して沢装備を解除し,再びヤクスギランド内を30分強歩いて,ヤクスギランド入り口にあるログハウスまで戻った.
この時点で,我々沢隊はタクシーを拾って登山口に向かい,本隊よりも一足先に本日の宿泊地である淀川小屋へ行こうという話になっていた.いずれにせよ,ひとまず沢隊がエスケープした旨を本隊にも伝えておいた方がよいだろうということで,私から本隊メンバーに電話をかけた.本隊 CL の寺垣さんの携帯は圏外でつながらなかったため,平岩さんと通話をし,現状を報告し合い,一旦通話を切った.
私はこの通話で1つ気がかりな情報を得た.すなわち,平岩さんがヤクスギランドに向かう途中,バスでたまたま乗り合わせた男性から「南方の熱帯低気圧が台風に変わるらしい」という話を聞いたというのであった.台風12号が直前に屋久島上空を通過したことに安心していた我々にとって,これは寝耳に水であった.慌てて気象情報を確認すると,熱帯低気圧は台風に変わるらしいどころか,既に立派な台風13号となって明朝にも屋久島に上陸しかねない位置に迫っていた.この台風はさして強力でもなく,かつ速度が早いため明日の午後には屋久島上空を抜ける見込みであったため,このまま山行を続行することは不可能ではないようにも思われたが,台風の下山中に留まるのは穏やかな状況でないため,エスケープを念頭におかねばならないと覚悟した.ともかく,このような情報を得てしまったからには山行隊全体で議論をする必要があると判断し,再び本隊のメンバーに電話をして(今度は本隊 SL の木下と最初に連絡がついた),ヤクスギランドの散策を楽しんでもらって構わないが,長居はせず,なるべく早くログハウスに戻るようにと依頼した.午前11時頃のことである.
木下との電話からおよそ30分で,本隊が到着・合流し,ログハウス2階の大テーブルを占拠して今後の動きを決める緊急会議を開始した.台風は近づいている上,交通の便も良いとは言い難い場所であるため,あんまりのんびりと議論していると身動きがとれなくなる恐れがあると思ったので,私は山行を続行する場合,下山する場合の2通りについてそれぞれの取りうる戦略を簡潔に説明し,すぐに「続行」か「下山」かの基本方針を決定する多数決をとった.結果,全会一致で「下山」の方針が決定した.各メンバーが「下山」を選択したのにはそれぞれの理由があるだろうが,少なくとも私個人としては,続行は必ずしも危険というところまでいかないもののリスクを否定できず,またこの状況の下で山に入っても辛いことが多い一方であまり楽しくないだろうという判断があった.下山と決まったので,私はこの時点で在京責任者にエスケープの連絡を入れた.
さて「下山」と決まってからもやることは多かった.さしあたって,当日の宿泊地を見付ける必要があった.手始めに元々の計画で下山後に宿泊するつもりであった「屋久島89」に連絡を入れたが,この日は満室で対応できないという.ここからは10人態勢で空きのある宿探しとなった.すなわち,久光さんが見つけた島内の宿の宿泊代・連絡先の一覧が載った観光案内所のウェブサイトを見ながら,条件のよい宿へ片っ端から電話をかけるということをした.今日当日の宿泊で,10人という大人数を泊める空きのある妥当な料金の宿などという都合のよい所があるだろうかと,一時は絶望的な気分になったが,最終的に平岩さんが「民宿ハッピ」を見つけてくれた.聞けば,一泊1人2,500円で10人を泊めることができるという.願ってもない条件であった.すぐに予約を入れ,ひとまず宿の確保は済んだ.
次に移動手段が問題となった.ヤクスギランドからはバスで下界に下りることもできたが,向こう数日も屋久島の下界で過ごすことを考えれば,この際この時点でレンタカーを借りるのがよいのではないかということを私から提案した.しかし,これもまた今から直ちに10人の人間とその荷物を載せられるレンタカーの手配ということで簡単ではなく,再び10人態勢で付近のレンタカー屋に片っ端から電話をすることになった.当初我々が理想としていた条件は,5人乗り乗用車2台・ヤクスギランドまで配車可能・3日間(72時間)レンタル可能・宮之浦で返却可能とかなり厳しかったため,なかなか条件を満たせるレンタカー屋を見るけることができなかった.この頃,既に13時近くであった.そのため,我々はあまりもたもたしていると日が暮れてしまうという危機感を持ち始め,ひとまずレンタカーをヤクスギランドまで運転できるメンバー3人(遠藤さん,久光さん,木下くん)をタクシーで先行して下界に降ろそうかなどという話もしていた.すると,非常に親切な女性の方が自分の車で市街地まで何人か乗せてくれると提案してくださった.これは本当にありがたい話であった.そういうわけで,その方の車に乗って前の3人に先に下界へ向かってもらった.一方,ログハウスに残ったメンバーはその後もレンタカー屋探しを続け,ついにカミヤマレンタカーなら即日乗用車2台を手配できるということがわかり,その場で用意を依頼した.そして,先行の3人にこの旨を連絡し,無事15時過ぎに全員で民宿ハッピまで下山した.
民宿ハッピでは中・小2つの部屋に案内された.宿のご主人は腰の曲がったお爺さんではあったが,非常に元気の良く親切な方で,この先3泊しても大丈夫だと言ってくださった.荷物を置いて一息着くと,今度は落ち着いて今後の動きを議論することができた.その結果決まったことは
- 明日(9/7)は台風が最接近するため島内一周ドライブをする
- 明後日(9/8)は天気も回復するようなので縄文杉までハイキングをする
- 屋久島滞在の最終日(9/9)午前は海水浴をする
ということだった.我々は屋久島「山行」のためにこの島に来たはずであったが,ここに完全な屋久島「旅行」の計画が成ったわけである.ここまでくると,もはや台風や山行のことは一度忘れることにして,精一杯屋久島観光を楽しむべきであると,私も気持ちを切り替えることにした.
ひとまず,その日は近くの「ワイワイランド」なるスーパーにて買い出しを行い,食当の小沢くんの指揮のもと,ラーメン・餃子・チャーハンという豪華な中華料理を自炊し,これを美味しく食したのであった.
9/7 屋久島山行 3日目(ハイキング)
朝4時に起床.ご飯が予約通り炊けていないというトラブルはあったものの,食当の船津を中心に手際よく雑炊を作り,予定通り5時過ぎに車2台そろって宿を出発した.まだ日の出前であったため,白谷雲水峡まで暗い中の運転ではあったが,道は比較的きちんと整備されており楽であった.
駐車場到着後,すぐに歩き始めるための用意をし,ヘッドランプを点灯して歩行開始.数分だけ車道を歩いたが,白谷雲水峡のゲートを通過してからはよく整備された散策コースを辿る.この頃は弱い雨であったため雨具を身につけていたが,日の出前であったこともありそれでも涼しく感じるような気温であった.
既に述べたように,この前半のルートは非常によく整備された遊歩道で道標等もしっかり立っていたのであるが,そのことで道を間違えるはずがないと油断していたのと,あたりが暗かったために重要な道標を1つ見逃して周回ルートに入り込んでしまい,15分ほど歩いてからそのことに気が付いた.すぐに引き返したが,これにより30分程度時間をロスした.
間違えた分岐地点に戻る頃にはだいぶ明るくなっており,改めて見るとどうしたら見落とせようかというほど堂々と道標が立っていた.周囲が暗かったのと道の反対側の看板に気を取られたためにパーティ全員がこれを見落としたようであった.
白谷山荘から楠川分かれに至るまでは至って普通の登山道であった.楠川分かれから先大株歩道入口まではトロッコの軌道跡上を歩くようになっており,線路中央部分に木道がひかれていることもあって,この区間は延々と長いものの非常に歩きやすかった.途中には手洗いや水汲み場もあったので,これらも必要に応じて活用した.
大株歩道入口には「縄文杉に行く場合,遅くとも午前10時にここを通過すること」という趣旨の看板が立っていたが,我々はきっかり10時にそこを通過することとなった.古株歩道もまた,そこそこ勾配のある登山道であったが,確かに巨大な屋久杉が随所に見られて特徴的であった.約20分の歩行でウィルソン株に至る.
ウィルソン株から先はいよいよ深い林の中をおよそ1時間歩く.先頭を歩く寺垣さんは途中ガイドの真似をして後続のメンバーに「これはスギです」などの解説をしてくれていたが,それを見ていたのか本物のガイドに「いいガイドですね」と絡まれる一幕もあり愉快であった.
思った以上に長い行程であったが,最終的に正午前には縄文杉に到達した.残念ながら今は杉とその周辺の植生保護のため縄文杉のすぐ近くに寄ることはできなかったが,今年4月にできたという展望デッキからその姿を眺めるだけでも屋久杉の中で実に圧巻の巨木であるということがよくわかった.
縄文杉近くの休憩スペースで少し長めの休憩をとり,今度は来た道を引き返す.朝駐車場を出発してから10時間近く経って私を含む後方の3人が「暑い,疲れた」などと言いながらトボトボ歩く中,一番前を歩く寺垣さんと薩摩さんは最後までハイテンションで笑い声が絶えることがなかった.
縄文杉からかなり戻って辻峠で休憩している際,余力のあるメンバーは展望スポットの太鼓岩まで往復した.一方,私を含む4人のメンバーは辻峠で彼らの帰りを待っていたが,付近に巣でもあったのかこの間にハチに周囲を旋回され,怖がっている人もいたようだった.幸い30分弱で全員が太鼓岩から帰還するまで誰もハチに刺されることはなかった.太鼓岩からは下界の良い景色を見下ろすことができたらしい.辻峠滞在がやたらと長くなってしまったが,暗くなる前には下山する必要があるので,太鼓岩に行ったメンバーが一息つくのを待ち,すぐに出発した.
白谷山荘を過ぎたあたりから,木が生い茂っていることもあり,少しずつあたりが暗くなり始めはしたが,最終的に明るいといえる時間にレンタカーを止めている駐車場まで下山することができた.途中,道を間違えたり太鼓岩に寄り道したりしたことで少し余分に時間を取られているとはいえ,結局ほぼコースタイム通りの11時間超ハイクとなったので,それなりに強い疲労感があった.
下山後は車を運転して一旦宿に戻り,荷物を取り替えるなどしてすぐに近くの温泉に向かった.山歩き後の入浴はいつでも癒やされるものである.湯上がりの後,今日は食当が決まっていないため夕食をどうするかという問題が浮上した.疲労度の違いなのか「絶対に肉は食べたくない」派と「絶対に肉が食べたい」派に分かれてしまい議論が一瞬紛糾したが,最終的には「ならば両方作って好きな方を食べればいいだろう」ということになってメニューは冷やし中華と野菜炒めに決定した.
野菜炒めの調理には少し時間がかかったものの,皆満足に夕食を食べ,さらに夜には酒宴も開かれた.非常に充実度の高い1日であったことは間違いない.
9/8 屋久島山行 4日目(指宿へ)
我々は「山岳愛好会 雷鳥」の山行隊であるが,今日の午前中だけは「海洋愛好会 ナマコ」と称し,宮之浦から20分ほど車を走らせて一湊の海水浴場に行った.天気は非常によく,日差しが眩しい.水着を持参したメンバーはそれに着替え,そうでないメンバーもそのままの格好のまま砂浜でビーチバレーを興じたり記念の写真撮影をしたりした.
20分ほどそうして過ごした後,海で泳ぐ多くのメンバーを海水浴場に残して,私・遠藤・平岩・木下の4人(これは要するに海に入りたくなかった人たちである)は別働隊として車2台で一時宮之浦に戻った.そして,宿から全員分の荷物を港に移動させ,フェリーやくしま2の搭乗名簿に全員分の名前を記入し,昼食の店を探し,お土産を先に購入するなどしておいた.それから11時半ごろに水浴勢を一湊の海水浴場まで迎えに行った.全員で宮之浦に移動する.
昼食は港付近の「四季亭」という和食屋でそれぞれ刺身定食などを注文・賞味した.この場で全員分の学生証を回収しておき,私はフェリー乗り場へ行って先に全員分のチケットを学割料金で購入した.10人分もの学生証を手にするとはなかなか奇妙な体験ではあった.遠藤・木下の2人にはガソリンを満タンにしてレンタカーの返却をしてもらい,残りは平岩さんの道案内の下,お土産屋でお土産を購入してから港まで来てもらった.こういう複雑な役割分担のおかげで,なんとか出航の20分前に全員揃ってフェリーに全員で乗船することができた.鹿児島に着いてからの企画・運営は SL の寺垣さんに一任してあるので,私個人的は全員で無事屋久島を出られてほっと一息つかないわけにはいかなかった.
さて,フェリーは予定より少し遅れて18時頃,鹿児島のフェリーターミナルに到着した.寺垣さんが手配してくれたジャンボタクシーに乗り込み,鹿児島中央駅まで移動する.ここでレンタカー屋に寄って再びレンタカー2台を借り出して,直ちに指宿へ向かう.
指宿までの道は私の想定よりも長く2時間程度で,慣れない道で案内も難しい上に道は混み合っていて,この移動は思った以上に大変であった.さらに宿泊地「田舎や」は20:00までにチェックインしないと追加料金が発生するという状況で,少し焦りもした.このとき私が乗っていた車は久光さんが全行程を運転してくださり,私はずっと助手席で下手な道案内をしていたが,これは本当に助かった.もう1台の車では木下と遠藤さんが途中でドライバーを交代したそうである.この交代の時間のためなのか,我々とは違うルートをとったためなのかはわからないが,結局私の乗る車の方が先に田舎やに到着し,平岩さんがチェックインをした.このとき20時を10分ほど過ぎていたが,追加料金は勘弁してくれたようである.田舎や自体は周囲に畑しかない本当に田舎らしいところにあるコテージ群であったが,内装は非常に綺麗であった.男女それぞれ1棟ずつという割り振りである.
夕食の店は平岩さんが調べてくれていたが,田舎やさんのご主人がそこよりも美味しいとクーポンまで出してすすめてくれたので予定を変更し「長寿庵」というレストランに行くことになった.そこで30分弱ほど遅れて指宿に到着したもう1台のメンバーとも合流し,遅めの夕食となった.ここでも各々好きなものを注文したが,私はせっかくだから名物を食べようということで黒豚のとんかつ定食を注文し,その豪華な内容を楽しんだ.帰りに宿までの運転があるので皆お酒は控えていた(どのみち夜には酒宴を張るという事情もあるが).
夕食後は近くの大型スーパーに寄り,翌日の朝食に必要な材料や若干の酒類,東京(お茶大)へテントを宅配するためのダンボール箱などを確保して宿に戻った.それからは,女子・男子の順に貸し切りの温泉に入る.しかし,この温泉がやたらとぬるい.「36度の人肌だから長時間入ってものぼせない」などと宣伝文句がかかれていたが,ぬるくてあったまったものではない.尾之間の熱すぎた温泉と足して2で割るとちょうどよいと感じた.
入浴後は全員一度男子コテージに集まり,明日の計画を話し合い,ざっくりと「午前中は開聞岳を眺めて温泉に入り,昼食後に鹿児島中心部に戻って時間があれば桜島に行きたい」という方針を定めた.その後は寝たい人は寝,飲みたい人はささやかなる酒宴を開いて移動の疲れを癒やしたのであった.
9/9 屋久島山行 5日目(指宿・鹿児島観光)
朝5:50頃,私と遠藤さんの2人で田舎やから JR 指宿駅まで久光さんを送りに行った.久光さんはここから佐賀空港に移動して中国へと向かう予定だからである.帰りにコンビニに立ち寄ってテントなど不要のものをお茶大宛に送った.メンバーが1人減り,テント類も東京に向けて厄介払いしたことによって今日は車内の空間にもいくぶん余裕ができた.
朝食・チェックアウトを済ませると9人2台の車に乗り,まずは長崎鼻を目指した.そこは薩摩半島の最南端で,開聞岳を海に浮かべてみることのできる絶景スポットである.女子4人と舩津が元気いっぱいに岩場を歩いて岬の先端に意気揚々と向かって行ったが,運転者3名と小沢くんは眠い目をこすりながらベンチに座って待っていた.岬から戻ってきた薩摩さんなどから我々は「週末のお父さん」扱いをされたが,あながち間違ってもいない.よく考えてみれば雷鳥は,インカレサークルなのにウェイ感があまりない一方で家庭力(ナニソレ)はなかなか高いのである.
その後さらに池田湖に赴いて今度は池田湖に浮かぶ開聞岳を眺めたり,例の元気に溢れたメンバー方がイッシー像にまたがったりアスレチックではしゃいだりしているときも状況は似たような感じであった.
さて,池田湖を出るとお待ちかねの温泉タイムである.我々は全員「砂蒸し風呂×露天風呂セット券」を購入し,まずは砂蒸し風呂「砂湯里」から入ることにした.絶壁を削って作ったような階段を下って海岸に降り立つ.そこに建てられた受付・更衣棟で貸し出された浴衣に着替え,9人並んで横になってスタッフに砂をかけてもらう.これが熱い.とにかく熱い.そして砂が重い.寒い時期に入るには心地よいだろうが,ただ歩いているだけで汗ばむような陽気であるのに,何を好き好んでこんな熱いところに入り込むのか,などということを考えたくもなるわけだが,それは抑えてこの稀有な体験を楽しんだ.実際,普通のお風呂に入っているとき以上に全身が中までしっかり温まるのである.15分程度を目安に出ろと言うことであったので,私はきっちり15分経ったところで砂から出た.
全員が砂風呂から上がり,シャワーで汗と砂を軽く流して着替えた状態で今度は露天風呂「たまて箱温泉」に向かう.男子風呂と女子風呂が日の偶奇により入れ替わるようであったが,この日は男子風呂が海側,女子風呂が山側であったようだ.女子風呂のことはわからないが,海側の露天風呂は非常に広く,また開聞岳を望む景色はまさに絶景といえるものであった.お湯の温度も適切なもので,この温泉は本当に良いところであった.
なんだかんだと午前中に時間を使ってしまったため,温泉から上がって近くのレストランで昼食をとったのは14時近くのことであった.レンタカーの返却時間に間に合わないというほどでもなかったが,桜島に行っても何もせず引き返すぐらいの時間しかなさそうであったので,桜島渡航は諦め,市街と桜島を一望できるらしい城山の展望台というところに行くことにした.
指宿からの運転はまた2時間の長きに渡るものであった.行きは久光さんにすべて運転を任せたこともあり,この日は最初から最後まで私が1台の車を運転した(もう1台は遠藤さんと木下くんの2名交代制だったようだ).道も混んでおり,さすがにこの鹿児島戻りの運転は少々つらいものがあったが,川瀬さんにもらったガムで眠気を覚ましたこともあってなんとか事故なく展望台に至った.展望台での景色は,確かに鹿児島市街と桜島を一望できる良いものであった.
このときすでにレンタカー返却時刻の18時が1時間に迫っていたため,我々は無理せずガソリンスタンドに寄ってガソリンを満タンにした上でレンタカー屋に戻り,無事車の返却を行った.返却後は夕食を食べて解散しようと思ったが,20:10鹿児島空港発のフライトまで2時間を切っていた上,皆あまりお腹が空いていないということだったので,ほぼ会計精算の場所として利用することのみを目的に駅ビルのラーメン屋に入った.とはいえ,私を含む何人かはラーメンを注文してこれを平らげている.
その後はまた少し慌ただしく,そのまま陸路で実家へ帰るという寺垣さんに別れを告げ,他のメンバーはバスで空港へと向かった.往路で色々学習するところもあったので今度はスムーズに荷物の預入等の搭乗手続きを済ませ,残る8人全員揃って成田行きの飛行機に登場することができた.その後私は眠りこけてしまったため成田に着くまでのことは何も覚えていない.とにかく飛行機は特に問題なく離着陸し,22時頃成田空港第3ターミナルにて解散して各自帰路についた.
元々そう余裕のある計画でもなかった上に,台風襲来もあってかなりバタバタした場面もあったが,全体としては急遽の「屋久島満喫旅行」としてなんとか形をなしたのではないだろうか.計画よりも山を歩いていないにも関わらずかなり体力を使ったが,それも全力で屋久島と鹿児島を楽しんだ結果である.無事にこの遠征を終えられたこと,ほとんどすべてが計画外になってしまってもそれを楽しむことができたこと,すべて今回の参加メンバーがそれぞれ努力してくれたおかげであり,この点にとても感謝している.機会があれば宮之浦岳登頂はいつか台風の少ない時期にリベンジしたい.
■反省点
まったく計画通りにならなかった上,それ自体は台風のためであって特に反省すべきところでもないと思うので,主に移動に関する知見を書き並べることになる.
・午後の集合であったにも関わらず,冒頭から遅刻者が出た.集合時間は余裕をみて設定していたが,これによりその余裕が消し飛んで搭乗までかなりバタバタした.集合時間は十分余裕をもって設定し,なおかつ参加者は当然のことながらその時間をきちんと守るべきである.
・飛行機には「預入できないもの」「持込できないもの」「いかなる方法でも運搬できないもの」がある.山行隊の場合,所持品が多く確認が大変だが,事前にこれらの区別をよく確認してパッキングする必要である.
・撤退の判断には勇気がいるが,安全には代えられないし,撤退してもつまらない結果になるとは限らない.創意工夫と努力によって楽しい旅行に切り替えることだって可能である.本山行はそのことを我々に力強く教えてくれた.
・体力の配分は十分先のことを推測して行う必要がある.
■総括
山域までの距離・参加人数を考えても規模の大きな山行であり,CLとして難しい決断を迫られる場面も幾度かあった.先輩方および同期によるアイデアや体力面での支援,後輩たちの前向きな気持ちに支えられ,台風の襲来を受けて撤退の判断をしてもなお,この山行を安全かつ楽しいものにすることができた.