2016/10/15-16 鳳凰三山
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
鳳凰三山縦走 計画書ver1.1
作成者 山本
■日程 10/15(土)、10/16(日) 一泊二日予備日なし
■山域 南アルプス
■在京本部設置要請日時 2016/10/16(日) 18:00
■捜索要請日時 2016/10/17(月) 9:00
■メンバー(計2人)
CL山本 SL谷口
■集合
10/15(土) 甲府駅08:40
■交通
□行き
・JR中央線普通 新宿06:03→立川06:49→高尾07:07→甲府08:38
立川以西は学割適用不可なようなので各自確認して下さい。
・山梨交通南アルプス登山バス 055-223-0821
甲府駅09:00/10:00→夜叉神峠登山口10:12/11:12 1420円
※遅れた場合
特急あずさ1号 新宿07:00→立川07:21→甲府08:28
□帰り
・山梨交通南アルプス登山バス
広河原10:20/12:45/14:30/15:10/16:40
→竜王駅12:00/14:20/16:10/16:50/18:15
→甲府駅12:15/14:35/16:25/17:05/18:30
竜王まで1790円 甲府まで1950円
・JR 竜王→甲府 毎時2本 所要4分 190円
・JR 甲府14:48/15:38/15:59/16:23/16:53/17:30/18:08/18:22/18:37/18:46/18:59/19:45/・/22:07
→新宿17:15/18:04/18:37/18:55/19:32/19:50/20:30/20:53/21:05/21:16/21:33/22:18/・/00:37
・JR+京王
終電 甲府22:07→高尾23:36→新宿00:25
・JR特急
甲府15:55/16:10/・/18:33/18:56/19:42/・/21:09
→立川16:57/17:22/・/19:42/20:12/20:44/・/22:14
→新宿17:26/17:51/・/20:07/20:35/21:06/・/22:37
■行程
[1日目] 夜叉神峠登山口-1:00-夜叉神峠-4:00-苺平-0:20-辻山-0:20-苺平-0:30-南御室小屋
合計6時間10分
※夜叉神峠・苺平間は、過去記録を参照する限りではコースタイムが長く見積もられすぎており、実際は3時間弱で歩けるようです。
※苺平にザックをデポして辻山(頂上の西側好展望)へピストンします。往復40分ほどとのことですが、時間の余裕はあまりないので甲府駅でバスに乗り遅れた場合はパスします。
[2日目] 南御室小屋-1:30-薬師岳-0:45-観音岳-1:10-地蔵岳オベリスク-1:30-白鳳峠-2:00-白鳳峠入口-0:15-広河原
合計7時間10分
■エスケープルート
・観音岳あたりまで;夜叉神峠へ引き返す(南御室小屋経由)
・観音岳あたりから;広河原へ進む 又は 鳳凰小屋経由で御座石温泉へ
・薬師岳周辺で緊急に稜線から下りる必要がある場合;中道で青木鉱泉方面へ
■地図
二万五千分の一地形図 「鳳凰山」「夜叉神峠」
山と高原地図 「41 北岳・甲斐駒」
■遭難対策費
200円×2人 計400円
■備考
□日没日出
日没10/15(土) 17:10(甲府)
日出 10/16(日) 05:53(甲府)
□雨天時 前日19:00までに判断・連絡
□ラジオ周波数
・NHKラジオ第一:甲府;927kHz,東京;594kHz
・NHKラジオ第二:甲府;1602kHz,東京;693kHz
・NHK FM:甲府;85.6MHz,東京;82.5MHz
□警察署電話番号
山梨県警 南アルプス警察署 055-282-0110
韮崎警察署 0551-22-0110 (東側)
北杜警察署 0551-32-0110 (北側)
□山小屋・温泉の連絡先・料金・設備等
・夜叉神峠小屋
角田英司055-288-2402
水場往復30分
○南御室小屋
090-3406-3404
テント500円/人 素泊まり4500円/人
水場あり
・鳳凰小屋
0551-27-2018
テント800円/人 素泊まり4000円/人
トイレ、水場あり
・広河原山荘
090-2677-0828
水場あり
・御座石温泉
細田都子0551-27-2018
水場あり
・青木鉱泉
090-8595-6142(現地)
水場あり
・名取温泉
竜王駅から徒歩10分
500円 無休
※薬師岳小屋は休業中
□参照
2013年鳳凰三山
2014年鳳凰三山
鳳凰三山縦走山行記録
■作成: 山本
■日程: 2016/10/15(土)、10/16(日)
■山域: 南アルプス
■天候: 快晴
■メンバー: CL山本 SL谷口
■行動記録
一日目
10:37 夜叉神峠登山口
11:19-11:27 夜叉神峠小屋
12:18-12:27 杖立峠
13:22-13:32 苺平
13:41 辻山への近道入口(2523m地点)
13:50-14:45 辻山
14:53 辻山への近道の入り口
15:08 南御室小屋
二日目
6:31 南御室小屋
7:03-7:25 2708m地点
7:38 薬師岳小屋
7:44-8:15 薬師岳
8:40-9:03 観音岳
9:53-10:48 地蔵岳
11:24-11:30 高嶺
12:06-12:14 白鳳峠
14:03 白鳳峠入口
14:18 広河原
■記録
□一日目
荷作りとカメラのセットアップ作業で時間が融けていき2時間睡眠で朝を迎えたが、何とか起床に成功した。ここまで来ると気分が悪くて逆に眠くない。山梨交通バスの夜叉神方面行きが混雑すると聞いていたので、寝坊対策も兼ねて一本早い電車で8時過ぎに甲府駅に到着。結果的にこれは正解で、9時過ぎのバスに並んでいた人の半分ほどは乗れずに次のバスを待つ羽目になっていた。
夜叉神峠登山口に着くとすでに肌寒く、夜のテント泊が思いやられる。少し歩いて到着した夜叉神峠には小屋があって驚いた。夜叉神峠には白峰三山を後ろに抱く新しいレリーフがあって渋滞していた。1時間も歩いていないのにこの眺望はなかなか幸先がよく、写真撮影が捗る。ちなみにここ夜叉神峠が私の一眼レフデビューの地となった。
夜叉神峠から苺平までは単調な登りで、大して急登でもないので少し早めに歩く。山と高原地図のコースタイムでは登り4時間とあるがこれは大嘘で、今回は休憩を除いて1時間46分で苺平まで歩き切った。なかなか快調なペースで、辻山に行っても日没までに余裕をもって行動できそうだ。杖立峠などの看板に書いてあるコースタイムも特に登りで長く見積もられすぎており、この点についてはすれ違った他パーティーとも意見が一致した。
苺平でサブザックに持ち替え、看板に示された苺平から辻山への分岐に進もうとしたところ、おじさんから少し先にある辻山への近道の存在を聞かされる。エアリアにはないが地形図に載っている道で、目印も分かりやすいそうなので近道を使うことにする。近道入口はテープではっきり示されており、ここにザックを置いて辻山に向かう。辻山に着くと西側の展望が一気に開け、仙丈ケ岳から農鳥岳あたりまでの稜線や鳳凰三山がはっきりと間近に見える。快晴かつ無風のベストコンディションでこの展望を見せつけられたので1時間弱もカメラ活動に精を出してしまった。辻山は隠れた名所でおすすめ。下りはテープがないと迷いやすいためエアリアで点線表示されているのも分かる。
近道入口から南御室小屋まではすぐで、思っていたよりも余裕をもって到着できた。1日目は大体どの区間も山と高原地図のコースタイムの半分ほどで登れたのでまずまず順調。小屋に着いたのは15時過ぎで、テン場は大部分が埋まっていた。小屋目の前に水場(水は冷たくおいしい)がありトイレも臭くないのでなかなかいい環境のようだ。小屋のおじさんに今朝は-3.5℃だったと聞かされて笑うしかない。夕食はカレーとふりかけで米3合をいただいた。おかずなしのふりかけだけでも十分おいしいので、一泊なら最悪食当はふりかけと米だけ持ってくればいいと思う。谷口は小屋で鳳凰三山のピンバッジを買っていた。日が暮れると満月が東の空に現れたが、目ぼしい撮影場所がなく残念。暗闇の中で明りを灯す色とりどりのテントが私は好きで、ついつい何枚か写真を撮ってしまう。日没後は外に出たくないレベルで寒くなっていたので、テント内でおしゃべりに花を咲かせて19時に就寝。テント内の会話は全て隣のテントのおじさんに筒抜けだったようだ。
□二日目
4時に起床。靴下を2枚履いて上は4枚着ていたのに寒すぎて快眠とはいかなかった。靴下を2枚履いて上下雨具を着て寝るくらいでいいと感じた。谷口は夜中にトイレに行ったらしく、ご愁傷様です。朝食はパスタで、2人で400gくらいペロッと食べてしまった。2日目は時間に追われているわけでもなく、日の出前に出発する意味もなく、寒すぎて何もしたくなかったのでゆっくりと行支度をしていたら6時半スタートになってしまった。
5枚着て歩き始めたが、氷点下なのでちょうどいいくらいの体感温度だった。薬師岳までノンストップで進む予定だったが、2708m地点の岩場で西側の眺望がよかったのでここで休憩して写真を撮る。昨日は少し霞がかっていた北岳が目の前に佇んでいて素晴らしい。東面の大岩壁は流石にロッククライミングのメッカ、品格すら感じる。薬師岳までの途中に休業中の薬師岳小屋があり、基礎から改修中だった。薬師岳は花崗岩質の白砂地であり、広い山頂に花崗岩の巨岩がいくつもある。登れそうな巨岩があって登らないわけにはいかないので、交互に岩に登って一眼の練習をこなした。薬師岳まで来ると南東に雲海を突き抜けた富士山がはっきりと視認され、御鉢や山体の美しさ、その巨大さにただただ驚く。岩に登ると富士山や北岳を掴む感じの写真が撮れるのでなかなかよい。
薬師岳から観音岳はすぐで、白砂とハイマツの稜線を歩きながらアルペン的興趣に浸ることができる。燕岳の稜線に似た印象を受けた。快晴の休日とあって観音岳の山頂は大渋滞で、写真待ちの列ができていた。観音岳まで来ると北西の甲斐駒ケ岳と北東の八ヶ岳まではっきりと見えてくる。昨日の辻山もよかったが、ここ観音岳があっさり抜いてしまった。観音岳から見える薬師岳方面の稜線上の登山道はこれぞアルプスの稜線といった素晴らしい景色で、東に見える富士山がさらに彩りを加えている。
観音岳から地蔵岳は少し遠く、近づくにつれ少しずつ地蔵岳のオベリスクが大きくなっていく。気付けば東側に韮崎市と南アルプス市の市街地がうかがわれ、山梨らしい扇状地が広がっている。東側には八ヶ岳だけでなく金峰山・瑞牆山も見えるはずだったが、無知なので名前は分からないけど高い山だなぁとしか感じられなかった。地蔵岳への分岐点である赤抜沢ノ頭は看板の場所が分かりにくいので注意が必要。稜線から少し降りて地蔵岳のオベリスク基部に到着した。深田久弥が小林秀雄を伴って登った地蔵岳である。深田は『日本百名山』に以下のように記している。
「地蔵岳の絶頂に、二個の巨石が相抱くように突っ立っている。古人はこれを大日如来に擬して尊崇したところから、法皇山の名が生じたと言われている。その後徳川時代の中期から地蔵仏の信仰が盛んになって、この巨石も形が似ているので地蔵仏と呼ばれるようになった。」
確かに地蔵岳には石の地蔵が数多く並べられておりその由緒を感じさせられる。雷鳥の過去記録(2013,
2014)ではオベリスクの頂上まで登っていなかったが、せっかくなのでテッペンまで行こうということになる。バリエーションよりは気が楽だが死なない程度にスリリングな岩登りで楽しい。整備されきった登山道を歩くよりも…。正面から直登しても頂上の岩の足元まではたどり着けるが、後ろから回ったほうが楽。真後ろに「ホーオ三山」のレリーフがあり、その下の空洞に潜ると逆側まで楽にたどり着ける。この穴に千切れたスリングが落ちていて不気味。巨岩2つの間には残置の短い鎖2本が垂れているが明らかに危険なので断念。2015年まではロープが垂れていてゴボウすれば登れたそうなのだが、今年は何故かロープが消えていて難しい。遊んでいたら結局地蔵岳に1時間弱も滞在していた。
地蔵岳から高嶺を経て白鳳峠に至る稜線では甲斐駒ケ岳がかなり近くなり、北岳も見える角度が変わって沢筋がはっきりと見える。急な下りが多く、この稜線は登りには使わない方がいいだろう。白鳳峠から広河原までの下りはまずゴーロから始まるが、ハイマツと色の変わった広葉樹に囲まれて気分がいい。常念山脈の下りもこんな感じだったような。ゴーロまでは調子が良かったが、林道に入ると急に膝に負荷を感じ始めてつらくなる。鉄ハシゴが何ヶ所か見られたが、こんなところにロープやハシゴを付ける余裕があるならオベリスクの頂上からロープの一本でも垂らしてほしい。この下りでは2人とも疲れ果ててしまい結局コースタイムと大差ない結果だった。せっかくだし広河原にテント泊して明日北岳まで10時間のピストンをしよう、なんていう冗談半分の話をしていたが、下りで完全に心が折られて北岳行きは立ち消えることとなった。
白鳳峠入口まで降りて左に歩いていくと広河原のバス停がある。案の定大混雑しており、帰りのバスは入口のステップに座る羽目になり気分が悪くなった。山梨交通のバスは英語対応の努力が見られるのに、車掌が手作業で切符を切る集金システムが完全に昭和で意味が分からない。甲府駅で旭川ラーメンを食べて無事解散、楽しい山行となった。
■総括
紅葉は若干期待外れだったが、天候に恵まれてそれ以外の見どころがかなり充実しており十分楽しめた。朝晩の寒ささえ耐えれば、つらさを補って有り余るほど綺麗な景色を見ることが出来る。
■感想
・全行程で西側に北岳を始めとする白峰三山を眺めながら歩くことが出来るコースで、お手軽かつ南アルプスを楽しむことが出来てとても満足した。
・紅葉は期待したほどではなかったが、悪いのは時期ではなく色付かない針葉樹であり、一週間遅らせると夜はさらに冷え込みそうなのでこの時期でよかった。
・一眼レフを持参すれば登山はもっと楽しくなる。かさ張りはするものの大して重くない。
・一日目がコースタイム6時間10分(推定)に対し歩行時間3時間9分、二日目がコースタイム7時間10分に対し歩行時間5時間22分と巻くことが出来た。少人数だとペースが自由で歩きやすい。夜叉神峠~苺平のコースタイムが盛られすぎているのはご愛嬌。個人的な課題は荷物が重い際も歩き続けるパワー。
・普段の山行ではゆっくり歩いて休憩は短め、今回は逆にさっさと歩いて要所で長い時間遊んでいた。満足度は後者の方が高い。