2016/10/16 米子沢遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
米子沢遡行計画書 Ver. 1.1
作成者:久光
■日程 10/16(日) 前夜泊日帰り予備日なし

■山域 巻機山・登川

■在京本部設置要請日時 2016/10/16 20:00

■捜索要請日時 2016/10/17 10:00

■メンバー(計2名)
CL久光 SL川名

■集合
10/15(土) 20:00 東武東上線ふじみ野駅西口ロータリー

■交通
□往路
久光車で桜坂駐車場へ(約2:30) 高速代3140円(ETC割引料金)

□復路
久光車でふじみ野駅へ(約2:30) 高速代3140円(ETC休日割引)

■行程
□〇日目
桜坂駐車場で前夜泊

□一日目
駐車場—(1:30)—4段40m滝—(2:00)—上部ゴルジュ—(2:30)—避難小屋/登山道—(0:10)—前巻機山—(0:30)—1586m地点—(0:25)—六合目—(0:40)—五合目—(0:50)—桜沢駐車場(計8:35)
※余裕があれば避難小屋より巻機山往復。
避難小屋—(0:50)—山頂—(0:30)—避難小屋
※コースタイムは『沢登り銘渓62選』、山と高原地図参照。

■エスケープルート
・ゴルジュ帯入口まで:引き返す
・ゴルジュ帯入口から:そのまま進む
※ゴルジュ帯周辺の中流域で非常事態が発生しやむを得ない場合、巻機山~米子頭山の尾根にエスケープし、巻機山頂経由で下山する可能性も検討する。

■地図・遡行図
2万5千分1地形図「巻機山」
山と高原地図「越後三山」
遡行図
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-16-a2/well_ksandw/folder/429183/74/6030474/img_0

■遭難対策費
100円×2人

■備考
□日の出
巻機山頂 (10/16) 5:44
□日の入
巻機山頂 (10/16) 17:14
□警察
南魚沼警察署 025-770-0110
□温泉
金城の里 320円
湯らりあ 400円

米子沢遡行記録

■作成: 久光

■日程: 2016/10/16

■山域: 巻機山・登川

■天候: 快晴

■メンバー: CL久光 SL川名

■行動記録
5:58 桜坂駐車場発
6:18 第十堰堤
6:48 滑ノ沢出合
7:29 栂ノ沢出合
8:03 日影沢出合
8:50 大ナメ
9:46 右俣出合
10:19-10:41 登山道出合
10:47 巻幡山頂標識
10:56 巻幡山頂ケルン
11:16-11:26 巻機山避難小屋
12:08-12:18 一本
12:26 五合目
12:45 桜坂駐車場

■記録
□〇日目
前日20時にふじみ野駅で川名を拾い、関越をぶっ飛ばして六日町へ、さらに国道291号を経由して清水集落の奥の桜坂駐車場へ。そういえば、この道こそがかの有名な(?)点線国道、清水国道の続きであることは現地に足を運んで初めて気づいた。桜坂駐車場で車中泊。

□一日目
5時起床、日の出時刻の出発を目指すも、少し遅れて5:58駐車場発。いくつかある駐車場は全て車で溢れ、登山客の多さを伺わせる。トイレの脇に登山届のポストあり。駐車場料金所まで戻って、第四駐車場の奥の林道に入る。途中、米子沢遡行者への注意喚起の看板が数か所。

一度、林道の途中にあった赤テープに騙されて沢に降りるも、まだまだ巻きの面倒な堰堤があり、しんどいので林道に復帰。そのまま辿っていくと、「米子沢入口」の看板あり。親切すぎだろオイ。看板に従って脇道に入ると、道はそのままゴーロの河原へ。ちょうど中央にスリットの入った堰堤(第十堰堤というらしい)の前だった。ここまで水は全くない。増水時には駐車場脇の堰堤からも水が流れるというから、水量は少ないようだ。
気を取り直して入渓。ほぼ同時にもう一隊、3人パーティが遡行を開始しており、抜きつ抜かれつつ、ゴーロの河原をひたすら登る。川名に先行してもらったら流石の速足で、なかなかしんどかった。

遠くに色づいた山肌を一直線に駆け上がる滑ノ沢が見えるころ、足元にも水が流れ出し、気分も徐々に高揚する。程なくして最初の10m滝が現れ、右から登る。その次の8m滝は左右どちらからでも登れるが、ヌメリに注意。いきなりナメの連瀑帯が現れ、ようやく始まった美渓としての米子沢に、思わず声を上げる。スケールの大きさ、開放感、紅葉の始まった木々、快晴の青空。何を取っても良い。ただ、谷筋なので中々日が差さず、風が冷たい。

滑ノ沢出合から、小滝を巻くつもりで中間尾根の赤テープに従うと、そのまま大滝の巻道が始まった。さすがの人気沢、踏み跡は登山道並みに濃い。昔の記録で「落ち口あたりで右にそれて藪漕ぎ」的な記述があったことを思い出し、見当をつけたところで藪に入ってみたが、予想違いでだいぶ下に出てしまい、元の巻道へ戻ることに。結局、太い踏み跡が落ち口の直上まで通じていた。藪との格闘でだいぶ時間を費やし、その間にまいたはずのもう一パーティに追いつかれてしまった。

滝上はすぐインゼル。左右どちらからでも行けるが、もう一パーティが右に行ったので我々は左の滝を登る。ほどなく合流してしばらく行くと栂ノ沢出合。ちょっと休憩。ちょくちょく出てくる小滝を超えつつ更に進めば、正面に支沢の流れ込む17m滝。斜度はなく問題ない。ここでようやく3人パーティを追い抜く。

17m滝を過ぎるといよいよ谷幅が狭まり、やがてゴルジュになる。序盤のいくつかの滝は、ホールドがしっかりしているので、慣れていればそんなに問題なく登れる。日影沢を過ぎて、釜のある2段滝は、滝上に見える赤テープを信じて右から登る。すると、そのまま左岸からゴルジュ最峡部を見下ろし、7m滝を巻く踏み跡へ。よく踏み固められてはいるものの、立った壁の中腹をトラバースする形で、掴むものも草くらいしかなく、かなり高度感がある。ロープを出すにも残置はないので、初心者帯同だと辛いだろう。

2条18mを緩傾斜の右から超えたあたりから、徐々に開けた渓相に。次の2段15mは左から。落ち口手前でちょっと手こずる。一瞬ナメが現れ、「大ナメか?」と期待したがまだだった。ヌメリとコケでつるつる滑る3段15m滝を右から慎重に超えて、ついに大ナメ。ちょうどここで金色の朝日が顔を出し、色づいた山肌を染める。息を飲む美しさ。久光の足が攣りそうだったこともあり、休憩して補給する。その間に写真を撮るなどする。

大ナメはひたすらフリクションをきかせて登るが、乾いているところが少なく、歩きにくい。滑ったらそう簡単には止まらなそうなので、手足を使ってそろそろと進む。滝が現れ始めると徐々に源頭部の渓相になり、沢はなだらかな傾斜で、草原の丘の間を縫うように流れる。この辺りから、遠くの稜線にちらほらと登山者の姿が見え始める。ロープの張られた入渓禁止の右俣を分けると水量が減り、やがて避難小屋の水場に。直前で入る支沢と、赤テープの張られた立派な水場道でそれと分かる。

我々は折角なので、遡行図にある池塘まで遡行してみることにする。小滝をいくつか越え、左の支沢に入ると水が涸れる。谷はやがて草原の斜面へ。枯れた草原を吹き渡る風が心地よい。結局目指した池塘は行き過ぎてしまったが、上から見ると池塘の直下は急斜面で、直接つめ上げるのは大変そうだった。最後は巻機山頂直下の登山道に出る。ちょうど紅葉が見頃とあってか、表丹沢を彷彿させるほどの人出。ひっきりなしにハイカーが通る。

片付けをしている時に、東大ワンゲルOBの方が偶然通りかかった。川名とかすかに面識があったらしく、少し立ち話をする。遡行が速いと褒めてもらえたのは嬉しかった。階段状の登山道を少し上がると、拍子抜けするほどすぐに山頂の標識。ただしここは最高点ではないので、池塘の間の木道を5分ほど歩いて最高点を踏む。ケルン以外に何もない。ついでにワンゲルがよく行くらしい白毛門—巻機の道抜け地点を見て、白毛門方面への稜線を望む。ロマンを感じる。

ここまで来てもまだ11時前。先輩方の爆速下山の記録が一瞬頭をよぎり、もしかしたら雷鳥記録更新なるかも?と淡い期待を抱きつつ、気づいたら走って下っていた。川名先行。途中寄った巻機山避難小屋は新築の木の香りのする建物で、トイレも超清潔。中腹は紅葉が美しく、時折立ち止まって写真を撮る。下山は結局12:45で、普段からすると信じられない早さだった。

帰りは金城の里で汗を流し、道の駅で魚沼産コシヒカリを食べ、上里SAまでは高速、上里から先埼玉県内は下道でたらたらと帰った。

(滝・支沢の名前はhttp://blogs.c.yimg.jp/res/blog-16-a2/well_ksandw/folder/429183/74/6030474/img_0に準拠。)

■反省・備考
・前にメーリスで告知があったにも関わらず、お茶大部室の閉館日を忘れて30mロープの取り出しに失敗。もう一本を直前に丸山君から渡してもらうことになってしまった。
・前評判通り、滑り落ちたらアウトの箇所が結構ある。ナメの水流の中のコケが滑りやすい。
・ロープ、お助け紐の出番はなかった。ただ、沢慣れていない人がいる場合は確保が必要と思われる滝が随所にあり、残置支点もほとんどないため、ある程度沢に慣れてから行った方がよさそう。
・久光はフェルトの沢足袋、川名はラバーソールの沢靴だったが、ラバーソールは苔に弱いらしく、滑って大変そうだった。フェルトの方が楽かもしれない。
・紅葉は中腹が見頃。笹やハイマツがメインの上はそもそも紅葉しなさそうだが。
・あまりに順調に進んだため、下山は2001年佐藤さんのタイムに挑戦しようと張り切ったものの、結局同隊記録の下山時刻より遅くなってしまい悔しがっていたのだが、後でよく見れば、そもそも出発からして彼らより1時間遅かったらしい。

■感想
・最高。