2016/12/10 三間川下降・遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
三間川下降・遡行計画書 Ver.1.1
作成者:丸山
■日程 12/10(土)
■山域 房総半島
■在京本部設置要請日時 2016/12/10 19:00
■捜索要請日時 2016/12/11 9:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL朝倉 山本 萬木
■アプローチ
JR浜川崎駅周辺に6:10に集合し,丸山車で入渓点周辺へ(1:50程度)
※東京湾アクアラインのみ高速道路使用予定:800円
■行程
駐車地-20-入渓点-60-車道の下-20-開墾場の滝(30)-20-左俣出合-120-林道-10-駐車地
(計4:40)
http://yahoo.jp/ywH5bO
※コースタイムは設定されていないので,予定時間を記した(休憩含まず)。
※時間と体力に余裕があれば,支流にある滝の探勝および,開墾場の滝のトップロープでの登攀を試みる
■エスケープルート
適宜引き返すか進んでから,車道に上がる
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「坂畑」
遡行図(?):http://yamadaisuki9026.blog.fc2.com/blog-entry-8.html
■遭難対策費
100円×4人
計400円
■備考
日の入(君津12/10)16:29
君津警察署 0439-54-0110
三間川下降・遡行記録
作成者:丸山
■日程 2016/12/10(土)
■山域 房総半島
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
CL丸山(35),萬木(雷鳥外),山本(37),SL朝倉(36)
■総評
暖かい時期はヤマビルが猛威を振るうため遡行に向かないとされる清澄山周辺の沢へ初めて行ってみたが,滝こそ少ないものの,長大なナメや白く立派な側壁など,いい意味での房総らしさを楽しむことができた。
■GPSログ
http://yahoo.jp/L5HgZw
■時間
8:42 駐車地発
9:02 三間川入渓
9:47 林道の下
9:58-10:47 支流の探索
11:03-12:12 開墾場の滝
12:39 左俣出合
14:09 遡行終了
14:13 駐車地着
■予定時間との比較
矢印の左が予定,右が実際
駐車地-20→20-入渓点-60→45-車道の下-20→25-開墾場の滝(30→69)-20→27-左俣出合-120→90-林道-10→4-駐車地
支流探索0→49
計4:40→5:31
■行動記録(敬称略)
浜川崎駅6:10集合としたが,車の到着が5分ほど遅れたため,集合場所が間違っているのではないかという疑念を抱かせて混乱を招いたようで,申し訳ない。とはいえ車の到着は交通事情により遅れることもあるということを理解しておいてもらえるとありがたい。
浮島から東京湾アクアラインに入ると,早速渋滞しており,のろのろと千葉県へ向かう。こんな時間に千葉県へ向かう車は大方,ゴルフ客だろう。アクアラインを抜けて木更津金田で高速を降りると,そこから先は快調。無料化されている房総スカイラインを抜けて,トイレ休憩を兼ねて濃溝の滝に寄り道する。濃溝の滝は最近話題のスポットだけあって,朝から結構混雑している。さてその滝を見ると,まあ普通の川廻しの滝であり,特別感動的なものではない。滝の奥には無粋な護岸が見え,人工的な感じがしてよろしくない。また,壁面に房総に特徴的な地層が見えないことから,コンクリート吹き付けされているのかもしれない。滝を見た後はよく整備された木道を歩いて駐車場に戻り,漸く沢へと向かう。
分かりにくい分岐を曲がって林道香木原線に入ると,トンネル崩落の恐れのため通行止めと書いてあったが,バリケードは横にどけられていて,地元の人は普通に入っている様子だったので,無視してそのまま進む。林道東山線との分岐にちょうどいい広場があったので,そこに駐車。
そこで入渓準備をしたが,丸山以外3人ともハーネスの履き方を間違えていたので,大いに反省すべし。ここからは林道を歩いて三間川へ向かう。林道三間線には素掘り隧道でもあるかと思ったが全部コンクリで,期待外れ。大して面白い林道でもなかったので早めに三間川へ入渓したが,入渓したすぐ上流に下降の面倒そうな堰堤があったので,ここで入っておいて良かった。入渓路は車も通れそうな緩勾配で,非常に入渓しやすかった。
沢に入ると,案の定水は冷たい。とはいえ感覚がなくなるほどでもなく,問題ない程度。前情報通りの滑床が,少々のゴーロや倒木を交えながらも続き,どんどん進む。時折見える白い側壁,青空,黒い滑床,鮮やかな紅葉とのコントラストが美しい。
しばらく歩くと少し飽きてきた頃に,林道下の川廻しに着く。ここのためにライトを持ってきたが,それほど暗くもないので問題なく通過できた。四角い穴で不安定そうだが,意外と大丈夫なのだろう。その先は滑床も広くなり,より見応えが出てくる。
少し進むと右岸から支流が入っていたが,遡行図によるとこの支流にオーバーハングした白壁や突破不能な大滝があるらしいので,ここまで順調なこともあり探索してみることに。支流に入るとすぐに,確かにオーバーハングした,かなりの高さの白壁があり,圧巻。そこから進むこと暫くで,そこそこの規模の滝があり,ちょっと越えにくかったので,萬木にお助け紐を出した。さらに進むと,妙に流路整備された河道があったりコンクリートがあったりして興味深かったが,突破不能な大滝は現れない。そのうちに遡行図にない堰堤が出てきて,突破不能な大滝が本当にあるのか怪しんできたが,とりあえずもう少し進む。しかし,もう1つ堰堤が出てきたところで,遡行図で滝があるとされる場所も大きく越えていたので,あきらめて戻ることにした。どうやら,遡行図を作ったのが房総の沢しか歩かないじいちゃんなので,先ほどのちょっと越えにくい滝が突破不能だったのだろうと結論付けた。越えにくい大滝は下降もやや面倒だったので,萬木にはお助け紐を出した。朝倉も結構苦労していた。
本流に戻って下降を続けると,すぐに開墾場の滝の上に着く。思ったより立派な滝で,なかなか迫力がある。時間に余裕もあるので,左岸にトップロープ登攀用にロープをセットしてから,全員で懸垂下降。萬木は初懸垂下降で手間取りもあったが,結果的には問題なかった。このあたりで,滝見客に遭遇。
トップロープ登攀は,まず丸山が挑戦(ビレイ朝倉)。ホールドが乏しく非常に滑りやすいためなかなか難しかったが,何とか登り切った(5.10a程度?)。リードはできそうにない。次に山本が挑戦(ビレイ丸山)したが,途中までで断念。最後にロープ回収と萬木のビレイ練習のため,丸山が右の草付きを登ったが,これも割と難しい。その間,山本はさらに右の巻き道(残置ロープあり)を登っていたが,これまた結構きわどいとのこと。ロープを木に掛けなおして2人が懸垂下降した後,ロープを回収して出発。なかなか楽しめる滝であった。
その後が三間川で一番美しいところ。沢幅いっぱいに広がるナメに小滝が架かり,側壁や青空と相まって素晴らしい。左俣出合も近づいてきたところで,側壁に穴が開いている。水路隧道のようだが,CLが穴好きなので,ちょっと狭いが入ってみると,程なくして反対側に抜け出て,民家が見えた。どうやら,左俣出合を通り越して下流へ出てきたようだ。隧道を引き返すと,行きには見つけていなかったコウモリがいた。ビビる山本と気に入って突っつく萬木との対比が面白い。本当に冬眠しているようで,つついても全然飛ばなかった。
穴探索はこれくらいにして沢下降を続けると,すぐに左俣出合に至り,左俣へ入る。入るとすぐに川廻しがあったが,これを抜けて振り返るとトンネルのすぐ隣に流路があり,わざわざトンネルをくぐった意味がなかった。直後に,2m程度の小滝があったが,割と越えにくそう。丸山が左岸を巻き気味に登ろうかとしたが,失敗して滑り落ちたのでやめて全員で左岸から巻く。
この滝のすぐ上には,左俣最大の滝8mがある。滝壺が大きく深いので落ちないように慎重にして,左岸から滝前に行き,直登。階段状で登りやすいが,やや滑りやすいので萬木にはお助け紐を出した。これにて,本日の見所は終了。梯子状の堰堤を登ったり,泥濘や倒木に不愉快な思いをしたりしながら進むと,だんだん水は減ってきて,詰めの様相。林道から不法投棄されたゴミを尻目にひたすら斜面を登れば,大したことはなく林道東山線に出た。林道東山線を歩くことわずか4分で,駐車地に着いた。
この後,片付けをして,車で移動しながら山本に下山連絡をしてもらい,15:05くらいには東京行バスの平山停留所で解散した。
■見つけたもの
・キクガシラコウモリ(?):水路トンネルの中で。大きさから恐らくキクガシラコウモリ。
・サワガニ:色彩はBL型。萬木が標本にすると言って持ち帰った。
・アブラハヤ(?):沢山泳いでいた。水面上から見ただけなので魚種は確定できないが恐らくアブラハヤ。
■備考
・香木原林道はトンネル崩落の恐れがあるため通行止となっていたが,ゲートは横にどけられており問題ない。
・開墾場の滝で,滝見目的と思われる人数人と出会った。
・開墾場の滝の懸垂下降やトップロープ登攀には30mロープが丁度いい。
・ヤマビルは見かけなかった。
■感想
・寄り道した支流には,つるはしによる流路整備など,昔の人の手が入った跡が色濃く残っていたが,現在は人間生活とかかわりのない場所であるだけに,不思議に思った。
・房総の沢も意外とよかったので,来シーズンも1本くらい行ってみようかなと思う。
■沢の評価
【房総半島】
小糸川系三間川本流 161210林道上流から左俣合流点まで下降 [raicho 12146]
1級(開墾場の滝直登を除く)、綺麗2、登攀1+、珍奇2、辛苦0、推奨2
広大な滑床が沢幅いっぱいに広がり,ところどころに小滝が架かる渓相は,高く評価できる。左右の高い側壁も立派。まともな滝は川回しによる人工滝である開墾場の滝のみだが,見応えあり。この滝の直登は難しく,リードで登るのは厳しそう。巻きも悪いらしいので,下降したほうが良さそうである。
小糸川系三間川左俣 161210遡行 [raicho 12146]
1級下、綺麗1、登攀1、珍奇1、辛苦1+、推奨1
滝は2つあり,1つは階段状で面白い景観。倒木が多く,ナメが泥で埋まっているところも多いのが難点。詰めは,倒木が多くて面倒だが短いので大変ではない。