2017/2/5 開聞岳・霧島

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
開聞岳・霧島山行計画書ver.1.0
作成者:山本

■日程 開聞岳: 2/5(日)、霧島: 2/18(土)
※開聞岳は予備日なし、霧島は2/19(日)を予備日に設定
■山域 霧島・開聞岳
■在京本部設置要請日時 2017/2/5(日)、2017/2/18(土) それぞれ20:00
■捜索要請日時 2017/2/6(月)、2017/2/19(日) それぞれ10:00
■メンバー(計1名)
CL 山本
■集合
開聞岳 開聞駅7:00
霧島  霧島神宮駅7:30
■交通
□開聞岳
・行き
JR指宿枕崎線 枕崎 6:08/7:32→開聞 6:55/8:19
・帰り
JR指宿枕崎線 開聞 14:08/16:48→鹿児島中央 15:49/18:41
※時間に余裕があれば西大山駅で途中下車する予定

□霧島
※いわさきバスは一日乗車券(1100円)を利用
・行き
JR日豊本線 鹿児島中央 5:39/9:00→霧島神宮 6:28/10:01
いわさきバス 霧島神宮駅 8:00/10:20→大浪池登山口 9:00/11:20
(または、霧島神宮駅7:51→丸尾温泉⑤8:20から丸尾温泉⑤8:31→大浪池登山口8:50に乗り換え)
・帰り
いわさきバス えびの高原 13:00/15:30→霧島神宮駅 14:06/16:36
(または、えびの高原16:00→丸尾②16:26から丸尾③18:26→霧島神宮駅18:36に乗り換え(ただし後者は日曜運休))
JR日豊本線 霧島神宮 14:08/16:33/17:53/19:21→鹿児島中央 15:14/17:40/18:52/20:21

■行程
□開聞岳(2/5)
開聞駅から二合目登山口まで(約2km)
…往路、復路とも徒歩の予定だが、タクシー利用の可能性あり(山と高原地図に約5分、700~800円との記述)
二合目登山口-0:15-二合目半-0:45-五合目-0:30-七合目-1:10-開聞岳山頂-0:50-七合目-0:20-五合目-0:30-二合目0:25-半-0:10-二合目登山口
(計4時間30分)
※かいもん山麓ふれあい公園にロッカーありとの情報

□霧島(2/18)
大浪池登山口-1:00-大浪池休憩所-0:50(右回り)-韓国岳避難小屋-1:00-韓国岳-0:20-五合目-0:30-えびの高原-0:25-不動池-0:35-御池展望台-0:20-分岐-0:20-白鳥山-0:30-白鳥山分岐-0:25-えびの高原
(合計6時間15分)
※積雪の程度に応じて軽アイゼンを使用
※硫黄山周辺は火山ガスによる立ち入り規制が行われており(平成29年1月13日現在)、新設された登山道を利用して硫黄山を迂回
※帰りのバスに間に合わない場合、後半の池巡りコースはカットする可能性

■エスケープルート
□開聞岳:引き返す

□霧島
韓国岳まで:大浪池登山口まで引き返す
韓国岳からえびの高原まで:えびの高原へ下山(ただし硫黄山の火山活動の状況次第では大浪池登山口へ引き返す)
えびの高原から御池展望台まで:えびの高原へ引き返す
御池展望台から白鳥山まで:白鳥山分岐方面をショートカットしてえびの高原へ下山
白鳥山から:そのまま進む

■地図
2.5万分の1 「開聞岳」「えびの」「韓国岳」「霧島温泉」
エアリア 「58 霧島・開聞岳」

■遭難対策費
200円×1人
計200円

■備考
日の出 開聞岳(2/5)7:08頃、霧島(2/18) 6:57頃
日の入 開聞岳(2/5) 17:56頃、霧島(2/18) 18:07頃
指宿警察署開門駐在所 0993-32-2231
霧島警察署 0995-47-211
あづまタクシー(開聞) 0993-32-3121
いわさきバス国分営業所 0995-45-6733
霧島公園タクシー 0995-78-2454
霧島山の火山活動に関する情報提供(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/kiki-kikikanri/kurashi/bosai/kirisima.html)
えびの市防災情報(http://www.city.ebino.lg.jp/display.php?clist=0013)
霧島観光えびの高原(http://www.pmiyazaki.com/kirishima/)
2010年度九州山行記録
2015年度大分遠征記録

霧島・開聞岳山行記録
■作成: 山本
■日程: 2017/2/5(日)、2/18(土)
■山域: 霧島・開聞岳
■メンバー: CL山本
■行動記録
(1)開聞岳(2/5)
□天候 雨
□記録
6:55 開聞駅
始発で夜明け前の無人駅に降り立つ。事前情報の通り、辺りにはロッカーはおろかコンビニすらない。2週間分の生活用品やらPCやらが入った満杯のザックとトートバックを抱えながら、ロッカーを探しにふれあい公園まで向かう。スーツケースで来るのを断念せざるを得なかった量の荷物で、はっきりいって地獄である。開聞駅前には登山道までの経路を教えてくれる案内が多くて助かった。

7:00 指宿市役所開聞支所
役場の前まで来た時、役場の方で登山者用の荷物を預かってくれるサービスがあると書いてある看板を見つけた。何故か役場の閉館時も施設のお留守番をしている管理者が預かってくれるらしく、頼んだところ快諾してくれた。ザックとトートバックを預け、サブザックに持ち替えて出発した。
役場からふれあい公園まではひたすら上り坂が続き、メインザックを背負わないといけなかったかと思うとぞっとする。坂からは薩摩富士の名に相応しい成層火山のきれいな山体がはっきり見える。
完璧な円錐形と螺旋状の登山道、それに加えて海を望む珍しさ、これらを高く評価した深田久弥は1000mにも満たない開聞岳を例外的に百名山としたそうだ。後から読むとよく分かる。

7:30 かいもん山麓ふれあい公園
ロッカーがあるらしい管理棟には寄らずに、そのまま登山口へ向かう。季節外れの桜が咲いていてびっくり。トイレを済ませた後、昨日から調子の悪かったカメラのセットアップを試みる。変に設定をいじってしまいオートフォーカスがおかしくなっていたようだ。

7:41 二合目登山口
五合目までは樹林帯が続く。火山灰地なので雨が降るとぬかるんで転びやすい。出発してすぐに登山者5人とすれ違った。雨が降るから帰った方がいいという有難い忠告をいただいたが、薩摩半島南部に来る機会なんてもう二度とないかもしれないので、丁重に断らせていただいた。

7:51 二合目半
規模の小さいゴルジュ帯がいくつか見られ、そこも赤土なので珍しいなと思った。降水確率100%なので覚悟はしていたが、三合目辺りから雨が降ってきた。いつもは邪魔で仕方ない樹林帯に感謝するなんて…この段階ではパーカーが若干濡れた程度だった。

8:12 五合目
五合目は、ヘリコプターの救助ポイントになっていることから分かるように、開けた場所であり北から東にかけて眺望がいい。曇りのコンディションでも町の方は見通せた。そういえばブラタモリが別府温泉に行っていたな…なんて思い出したりした。
五合目からは雨が強まり、雨具を取り出せそうな場所もなかったのでひたすら濡れた。パーカーは濡れ雑巾状態で、サブザックの中にも浸水してしまった。特にカメラが濡れたのには絶望。帰りたくなった。

8:30 七合目
若干雨をしのげる場所があったのでこの辺りで雨具を着た。頭が濡れないだけでも大分ストレスがなくなるものだ。七合目を過ぎると樹林帯が減って岩の多い地形が増える。かなり大きい溶岩がいくつか見られ、御嶽山みたく噴火されると小屋のない開聞岳では助かりようがないなぁなんて思ったりした。7.1合目は屋久島と種子島を望める(はずの)展望スポット。(記憶が定かではないが)八合目か九合目を過ぎたあたりにある5mほどのハシゴもいい感じ。九合目を過ぎて歩いていると近くに雷が落ち、一人で頂上に向かう身としては、頂上に行くだけ行ってすぐに降りようと思わざるを得なかった。

9:10 開聞岳山頂
924mの山頂はあっという間に着いてしまった。今上天皇が皇太子時代に登った際の記念碑がある。当然ながら辺り一面真っ白だったので爽快感はなく、雨の中登り切った達成感とカメラが濡れたつらさだけがこみ上げてきた。360度展望がある(はずだった)のでパノラマ動画だけ撮って、山頂滞在時間5分ほどで帰途についた。山頂には温度計があり、この時気温は約3℃だったが、動いていたのでそれほど寒さはなかった。2017年2月8日放送「笑ってコラえて!」(日本テレビ系列)では、大晦日カウントダウンで渋谷・スクランブル交差点に集まる若者とは対照的な少々残念な人々として、開聞岳山頂で初日の出を見る登山者が特集されていた。今年は50人ほどいたそうなので、多少の人権はあるでしょう。ちょうど登った3日後に見ただけあり、とても思い入れがある放送となった。

9:49 七合目
雨は多少弱まったが、それでも止むことはない。登りでは気付かなかった大きな洞が七合目の少し手前にあった。かつて山伏が修行に使ったもので、仙人洞というらしい。樹林帯に入ってしまうと服が乾いてきて余計に寒くなった。一人でいる時に物音がすると案外怖いもので、鹿の鳴き声が聞こえるだけでそわそわしていた。

10:37 二合目登山口
5時間ほどかかる予定のコースだったが、急いで下山したかったので3時間弱で往復していた。ふれあい公園で見つけたデータによると平均で往復5時間半ほどかかるとのこと。
下山後はふれあい公園に行って登頂証明書(100円)を作った。食料も置いているのを見つけて、寒すぎたのでカップラーメンを買って食べた。本当にどうしようもなく寒かったので、低体温症に陥ると本当に死にうるなぁと感じた。
その後は荷物を預けていた役場に戻って荷物を返却してもらった。少しお話をしていると管理人の方と仲良くなることができ、閉館した役場の中で着替えさせていただいたり、管理人室のコタツで寛ぎながらお茶とどら焼きをいただいたり、雨の中3つ隣の西大山駅まで車で送迎していただいたりした。田舎の年配の方は温かいなぁと改めて感じた。

□感想
・開聞岳は山頂の眺望が素晴らしく(屋久島や種子島も見えるそう)、晴れた日に登ればすごく楽しめると感じました。雨の日に独立峰に行ってもつらいだけです。
・開聞岳に電車で行く場合、ロッカーは指宿市役所開聞支所とかいもん山麓ふれあい公園管理事務所の2ヶ所で利用できます。後者にはメインザックがかろうじて入る程度の古いロッカーが4つ設置されています(訪問時1つ故障)。ただし駅から徒歩で20分弱かかり、荷物が重いとつらいでしょう。おすすめは後者で、玄関近くに比較的大きく新しいロッカーが4つ設置されています。駅から歩いてすぐで、何といってもここは閉館時(休日や早朝を含む)も管理人室に行けば荷物を預かってくれるのでかなり助かりました。
・天候の悪化が読めている場合は、少し暑くても早めに雨具を着る方が結果的には不快指数を低く抑えられると学びました。


(2)霧島(2/18)
□天候 晴れ
□記録
10:01 霧島神宮駅
種子島の疲れからか、独房みたいな最悪のホテルに泊まったからか、起床に失敗。鹿児島中央9:00発登山口11:20着という遅刻になってしまう。ところが、バス停の時刻表を見るとネットで見た最新の時刻表よりも本数が少ない…恨んでも仕方がないので、スーパーで昼食を買い、駅の足湯でゆっくりしていた。この時点で後半の池巡りは諦め、大浪池登山口~韓国岳~硫黄山~えびの高原(3時間45分)のルートに決めた。コースタイム通り歩くと最終バス(16:00)を逃すので、さっさと歩いて最悪間に合わなければヒッチハイクで帰ることにした。1時間ほど待つとバスが来て乗り換えの丸尾に着いた。いかにもな温泉街で足湯も多いが、せっかくなので霧島いわさきホテルまで散策してバスを待つことに。30分ほど待ってバスで大浪池へ。

12:52 大浪池登山口
噴火の際の避難シェルターが出迎えてくれた。石畳の立派な登山道で若干残雪も見られるが、特に代わり映えもなくひたすら登りなのでかなりつらい。かなりの数の山おばさんとすれ違ったが、こんな時間に登り始めているせいか変な目で見られがちだった。

13:13 大浪池休憩所
大浪池の展望が良い。摩周湖を思い出した。暑すぎたのでタイツを脱ぎ、ここからは青い大浪池を横目に避難小屋まで東回りコースを歩く。昼間で霧氷を見られないのは残念だが、東には桜島が見えてくる。火山湖や氷河湖は深い青で気持ちいい。吹き抜ける風が強くなり、寒くなる。

13:49 韓国岳避難小屋
西回りコースと合流し、10~20人ほどは泊まれそうな避難小屋に到着。前日の雨で足場が悪い。韓国岳まではひたすら登りが続き、これまたつらい。
半分ほど登ると大浪池越しに桜島を眺められる絶景スポットがある。いやーきれい。また、南東に新燃岳(山頂から半径2km入山禁止)と高千穂峰とをはっきりと見ることができ、改めて火山に来たことを実感する。高千穂峰は古事記への記載以来、戦時中に至るまで神道的な礼賛を受けてきた特別な山で、深田久弥も霧島山としての記述では9割方を高千穂峰に割いている。新燃岳の噴火で霧島縦走が出来ない現在、高千穂峰は当時ほどの存在感がないかもしれないが、いつかまた縦走で訪れたい場所である。
ここまではつらかったが、一気に疲れが吹っ飛んだ。徐々に植生は下草以外消えていき、火山性の岩が多くなる。吹き曝し状態で大分寒い。この辺りで後述の単独行おじさんを追い抜いた。帰りのバスに間に合いそうなことも分かったので、少し気が楽になった。

14:24 韓国岳
強風でとにかく寒い。手がかじかむほどで、夏の富士山ほどには寒かった。火口はとても立派で、やっぱり来てよかったなぁと思わされる。山頂では自分以外に1組のご夫婦さんと単独行おじさんの3人がいた。このご夫婦さんとは帰りのバスまで一緒で、仲良くさせていただいた。単独行おじさんは相当山に登っているようで、普段は九重を拠点とし、先週は木曽駒ケ岳に行って来たそうだ。吹雪気味で肩まで新雪が積もる悪天候の中、5人でラッセルを繰り返して何とか登頂を果たしたらしい。話を聞いてみると1月は西穂高や立山、八ヶ岳に遠征、来月は槍ヶ岳に一人で行くらしく、思っていたよりも山の人らしい山の人で驚いた。写真撮影を手伝い、大浪池方面に戻る彼と別れた。

15:00 一合目
韓国岳を離れるとすいすい降りてこられた。眼下には硫黄山、不動池、えびの高原など目につく景勝が多い。個人的に特に気に入ったのが甑岳で、山頂部を噴火で飛ばしたきれいな火山だった。2010年の九州山行では甑岳に登っているようで、羨ましい。今回は白紫池、御池、甑岳と後半部は諦めざるを得なかったが、遠くから眺めるだけでも十分きれいだった。
硫黄山に近づくと黄色がかった山体と立ち入り禁止が目につき、登山道から離れて認められた範囲で近づき、火山ガスを吸わせていただいた。温泉っぽい硫化水素の匂いはどちらかといえば好きだが、少し頭が痛くなったので、真似はしない方がいいと思います。

15:15 えびの高原
えびの高原に到着したが時間に余裕があるので不動池に立ち寄ることにした。硫黄山方面は徒歩での立ち入り禁止箇所があり、噴火警戒レベル1を実感した。

15:23 不動池
青くて綺麗だが、大浪池には及ばない。池巡りよりも韓国岳登山の方が楽しいと思う。

15:49えびの高原
足湯で温まって、バスで丸尾に向かった。ここでもまた1時間以上バスを待たないといけなくなってしまい(土日祝は本数が少ない)、弁当を食べながら足湯に浸かっていた。
なぜか足湯で日本横断中のインド系イギリス人と仲良くなり、バスで霧島神宮駅まで一緒に帰った。彼はAirbnbというアプリで見つけた駅近くの安民宿(民泊?)に泊まるそうで、せっかくだから蕎麦屋で夕食を共にすることに。ところが蕎麦屋は地元のスナックになれ果てており、そしてなぜか郷土料理(天ぷらも!)と焼酎を格安でご馳走になった。寝坊のおかげで予想外の出会いと楽しみにありつくことが出来、これだから田舎旅はやめられないなぁと改めて思った。

□感想
・南九州らしい景色を楽しむことが出来て、かなり満足度の高い山行となりました。那須岳や富士山や阿蘇山で火山にハマった人、これから火山に登ってみたい人は一度行ってみるといいと思います。
・電車もバスもかなり少なく、欲張りな山行にしようとするとアクセス難易度が高いです。鹿児島あるいは宮崎方面からアクセスする際は、レンタカーの使用をお勧めします。


■総括
・開聞岳ではアイゼン不要。
・今回は使いませんでしたが、冬の霧島には軽アイゼンを持っていくことを強くお勧めします。気温の高い日でも残雪が見られます。また、風が強く寒いです。
・霧島では、新燃岳への入山が許可されると、本州とは一味違った縦走を楽しめます。合宿等でぜひ。
・冬はスキーや雪山もいいですが、九州の山は降雪もなく、いい選択肢だと思いました。