2017/3/28 コジオスコ山
コジオスコ山 山行記録
■作成: 山本
■日程: 2017/03/17(金)
■山域: Snowy Mountains
■天候: 晴れ
■メンバー: 山本、谷口、平岩、寺垣
■行動記録
8 :15 Charlotte Pass
9 :45 Seamans Hut
10 :15 Rawsons Pass
10 :43-11 :22 Mt. Kosciuszko
11 :35 Main Range Walk方面分岐
13 :01 Carruthers Peak
13 :48 Blue Lake
15 :03 Charlotte Pass
※コジオスコ山まではSummit Walk、コジオスコ山以降はMain Range Walkを歩いた。Charlotte
Passを起点にコジオスコ山をループするコースで、コースタイムは合わせて7~9時間。
■記録
□Charlotte Pass ~ Seamans Hut
ランチバッグと地図(私物っぽい)を宿の主人にいただいて出発。宿泊していたStillwell LodgeからCharlotte
Passまで車で送迎してもらい、Summit
Walkを歩き始めた。実は自転車が許可されている道なので、極めて平坦である。熟慮の末、残念ながら寺垣さんは体調不良でお休みとなってしまった。
最初の1時間ほどは霞がかっていたが、毎朝のことらしい。雲の白に隠れた虹や稜線にかかる雲海、さらには朝焼けも見ることができて朝から気分がいい。流石にカンガルーはいないが、植生が面白い。この辺りはオーストラリアらしい高木が多くてまだ暑くないが、高木が消えて下草が目立つようになると、紫外線が痛い。日焼け止めは必須です。
しばらくするとSnowy Riverにかかった小橋に出た。日本の教科書に登場するレベルの有名河川の源流ということで、筆者はうきうきしていた。せっかくなので水を飲んでみたが、若干お腹が痛くなった気がした。ここでアジア系と欧米系が混在する5人組パーティーと出会い、おしゃべりしたり集合写真を撮ったりした。一人の若い女性は昨年6月にエベレストのベースキャンプまで行ったらしい。結局彼らとは抜きつ抜かれつで山頂まで行くことになった。川を過ぎると前方に小屋が見え、これがSeamans
Hutである。マレーシア出身のもう一人の女性の話では、昔冬のブリザードで探検家が遭難死したことを反省して避難小屋が建てられたそうだ。
小屋に入ってみると、ストーブや薪に非常食(腐ってそう)、さらには探検家のレリーフや遊び道具のトランプがあった。
□Seamans Hut ~ Mt. Kosciuszko
そろそろ大陸最高峰まで近づいてきたが、どれがコジオスコ山なのか分からない。いくらオーストラリアとはいえこの辺りは2,000m峰がいくつも存在するので、コジオスコ山の存在感は薄い。Rawsons
Passでは立派なトイレが利用できる。ここはThredbo方面からKousciuszko
Walkが合流する箇所で、一気に人が増えた。一大スキーリゾート地Thredboからのコースの方が楽だしメジャーなのだろう。国立公園らしく、方向案内の看板も本気を出していた。
植生保護のため、峠から山頂までは登山道が網や石で囲われていた。意外と山頂までは遠く、山体をループする形で30分ほど歩くと山頂に到着した。ということで、七大陸最高峰のうち一つ目を制覇した。うーん、何だろうこの違和感。実は大陸最高峰の範囲については、オーストラリア大陸とオセアニアの間で解釈に幅があり、コジオスコの地位は盤石とは言えない。下山後、谷口くんはニューギニア島のプンチャック・ジャヤ峰(4,884m)とニュージーランドのクック山(3,724m)について熱心に調べていたが、どちらも素人には厳しすぎる山であるようだ。
コジオスコ山頂にはレリーフとピラミッドがあり、その由緒を感じさせるが、全くSeven
Summitsを押し出していないのには驚いた。もったいないなような。四方を見渡すと、一方では日本の低山に近い少し険しい山地、また一方では大陸らしいなだらかな陸塊が見られ、ここはどこなのだろうと思った。写真撮影などを終えて落ち着くと、宿で買ったランチバッグを食べた。結構ボリュームがあり、食べきる前に風が強くなって寒くなった。
□Mt. Kosciuszko ~ Carruthers Peak
コジオスコ山から降りて、分岐からMain Range
Walkに入る。ここからはひたすら稜線歩きとなるので、個人的にはコジオスコ山よりもむしろこちらの方がメインディッシュであった。左右にピークや青い湖が現れ、一応氷河地形らしく変化に富んだ景観が散見される。とはいえ、地形や植生に興味がない人にとっては単調で長いハイキングだと感じるのかもしれない。日本語の音楽をかけながら歩いているとCarruthers
Peak(2,145m)に到着した。といっても、日本とは違ってピークを示す案内板も何もない。
□Carruthers Peak ~ Blue Lake
少し降りると車と重機が入っており、登山道を草の塊と岩で補強していた。どうやら国立公園の管理者は車で登山道まで入ることが可能であるらしい。ここ以外でも道の補修が何ヶ所かで見られ、意外にこの国立公園は環境の整備や保護に熱心という印象を受けた。
メインの登山道から少し外れた道でBlue
Lakeという大きな湖まで行けるということで、少し寄り道してみた。最大深度28mの割と大きな湖であり、そして分岐から意外と遠い。これも長い年月をかけて雪が作った湖で、オーストラリアらしくなさが面白い。これもSnowy
Riverの源流の一つで、滝が見られる北側の壁は、登れるのならば面白そうだった。後日談を挟むと、Blue
Lakeは気に入ったので、ギフトショップでポストカードを買ってしまった。
□Blue Lake ~ Charlotte Pass
緩やかに高度を下げていく。西表島の話をしていた記憶がある。
事前調査では、Main Range Walkは’’Very
Steep’’と紹介されていたので多少用心していたが、ここまで急な箇所は一か所もない。と思っていると、最後に目的地の峠まで登る舗装道が残されており、ここが単調さも相まって一番きつかった。なんて味気ない最後なのだろう。
そんなこんなで宿に到着し、コジオスコ山のポストカードを買って今回の遠征は終わりを迎えた。
■総括
大陸最高峰の登山というよりは、起伏の少ない安定陸塊のハイキングであったが、これはこれで趣があった。つらい登りを省略して、険しさこそないものの高山にも劣らない景観の稜線上を終始歩くことができたので、とても気持ちよかった。冬から春にかけては、日本の雪山の代わりに温かいオセアニアの山を歩いてみるのもありかもしれない。
また、海外登山ということで山以外の懸念事項も多かったが、無事日本に帰国出来てよかった。
■感想
・手ごろな値段とサイズの地図は入手困難。よほど現地ギフトショップの通でない限りは、ネットで地図を探して印刷することをおすすめします。今回はたまたま宿の主人にもらえました。
・遭難は考えにくいですが、今シーズン夏季営業していた宿ではWi-Fiが使えないので、下山連絡は不可能でした。不安な人は現地で使える携帯をレンタルすることをおすすめします。
・コジオスコ山の場合、大陸最高峰とはいえ登頂自体はかなり容易です。問題は現地までのアクセス一点に絞られ、夏季は公共交通機関がないため、自力でたどり着く必要があります。
・お土産は、国立公園の入り口に当たるJindabyneという町のビジターセンターで買うのがおすすめです。一応Seven
Summitsの内の一つということで、いい感じのTシャツが売っていました。閉館時間の関係上、私たちは買いそびれてしまったので、次に行く人がこの悔しさを晴らしてくれることを願っています。
・海外登山一般に言えることですが、トラブル対応を考えると、現地言語で電話対応できるレベルの人が最低1人いれば安心かなと思いました。身振り手振りで日常会話が何とかなるレベルでは不十分でした。
・怪我人、病人が出た場合への備え(全員で登るのか、誰が残るのかetc.)が不十分だったので、次回以降は改善したいです。