2017/4/16 新茅ノ沢遡行・ヒゴノ沢下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
新茅ノ沢遡行・ヒゴノ沢下降計画書
作成者:丸山
■日程 4/16(日)予備日なし 悪天の場合中止(当日5:00までに判断)
■山域 表丹沢
■在京本部設置要請日時 2017/4/9 20:00
■捜索要請日時 2017/4/10 10:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL山本 谷口 萬木
■アプローチ
門沢橋駅周辺に6:30(萬木),伊勢原駅周辺に6:50(谷口・山本)頃合流し,丸山車で新
茅山荘周辺へ(40分程度)
■行程
駐車地-10?-新茅橋-70-大滝-70-二俣-70-烏尾尾根(20?)-40?-ヒゴノ沢F4-60-上倉見
橋-30?-駐車地
(計4:30+1:40?)
https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-350744.html
※コースタイムは東京起点沢登りルート120と丹沢の谷110ルートによる,?付はコー
スタイムがないので予想
※ヒゴノ沢のコースタイムは遡行の場合
※新茅ノ沢大滝は巻いてからトップロープで登攀練習
※下山後時間が余ったら懸垂岩でトレーニング
■エスケープルート
新茅ノ沢:引き返すか,左岸の烏尾尾根に詰める
烏尾尾根:新茅荘へ下山
ヒゴノ沢:そのまま進む
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「大山」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:「東京起点沢登りルート120」P89,「丹沢の谷110ルート」P15
■遭難対策費
100円×3人
計300円
■備考
日の入(秦野4/16)18:18
秦野警察署 0463-83-0110
新茅ノ沢遡行・ヒゴノ沢下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/04/16(日)
■山域 表丹沢
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計4人)
CL丸山 SL山本 谷口 萬木
■総評
新茅ノ沢はいかにも表丹沢らしくゲレンデ化しているが,信頼できる残置を使って滝を登れ,オーソドックスな沢登りを楽しんだ。ヒゴノ沢は堰堤が多いものの,中間部には滝が連続し,意外と悪くない沢であった。好天の下,総じて充実した沢始めとなった。
■GPSログ
http://yahoo.jp/_d4Nb7
■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1108474.html
■時間
8:28 駐車地発
8:36 入渓
8:44-9:37 F1
9:39-10:29 F2
10:40-12:01 F5大滝
12:56 二俣
13:58-14:06 烏尾尾根
14:27 セドノ沢本流着
15:04 ヒゴノ沢F4
16:20 上倉見橋
16:40 駐車地着
■コースタイムとの比較
矢印の左が予定,右が実際
駐車地-10?→8-新茅橋-70→124-大滝-70→136-二俣-70→62-烏尾尾根(20?→8)-40?→58-ヒゴノ沢F4-60→76-上倉見橋-30?→20-駐車地
計6:10→8:12
■行動記録(敬称略)
家で朝食を食べていると,山本からLINEが入り,寝坊して30分ほど遅れるとのこと。ということで出発・合流時刻を30分ほど遅らせたが,谷口は既に家を出ていたらしく,早出が無駄になった。寝坊はなるべくやめましょう。
車の流れは順調で,問題なく萬木・谷口と合流したが,山本が来ない。するとまたLINEが入り,合流場所がどこだかわからないとのこと。これは,計画書に「伊勢原駅周辺」と書いておき,詳しい場所をLINEでのみ伝えていて,山本がそのLINEを見逃していたためらしかった。今後は計画書に詳しい合流場所を書くようにするが,LINEの見逃しも避けて欲しい。
伊勢原駅から新茅荘手前の駐車地に向かっている途中の戸川林道は相変わらずの悪路。普段は朝に対向車など来ないのだが,タクシーで奥まで入った登山者がいるらしく,南行するタクシーとすれ違った。好天の日曜日ではあるが,新茅荘手前の駐車スペースは4台程度しか停まっておらず,余裕があった。
遡行準備をしてから歩き始め,程なくして新茅橋手前の下降点に着き,明瞭な踏跡を辿って入渓。すぐにゴルジュ前衛の小滝があり,簡単だが,念のため萬木のみお助け紐で確保。その後すぐにF1。リード丸山,ビレイ山本で登ってから,萬木,谷口,山本の順で登攀。残置が5個以上あり,全て使っていたらヌンチャク等足りなくなるので,適当に跳ばす。季節柄,落ち葉が多く積もっていて登りにくいが,難しくはなく,3級−程度。確保点構築からロープの固定までは問題なかったが,萬木が登る段になって,(実際は問題なかったが)アッセンダーの使用に不安を感じたらしく,クレムハイストに変更したりしていて時間がかかった。また,ヌンチャクの回収について指示を出し忘れていたこと,滝音が意外と大きく,上下間で会話が通じないことも時間がかかった原因であった。
F2はF1から見えるほど近い。リード丸山,ビレイ谷口で登り,山本,谷口,萬木の順で登攀。ここも残置が非常に豊富だが,落葉が多く登りにくい。3級。谷口の登攀までは順調だったが,萬木は登り始める場所を違えて登ろうとしていたことや,そもそもクライミング力の不足もあり,苦戦。とはいえ何とか登ってきた。
F3,F4はF2のすぐ上にあるが,容易な小滝であり,Fナンバーを付けるようなものではない。
F4から少しで,本日最大のF5大滝(12m)。下から見ると,ルートは見えるが,物凄く濡れそうであり,リードで登るのはやはり不安があるので一旦巻いてから,懸垂で降りてトップロープで登ることにする。巻き道は右岸にあり,ロープが張ってあって至れり尽くせりだが,割と不安を覚えるような巻き道であり,残置が無ければロープを出すことを検討すべきである。特に際どいところでは,萬木には残置ロープにアッセンダーを使って登ってもらった。明瞭な踏跡とロープに導かれて大滝の上に出て,少し下ると,残置支点があり,これにロープを固定して懸垂下降。なかなか高度感のある懸垂下降であった。その後,丸山,山本,谷口の順でトップロープ登攀。それほど難しいクライミングは求められないが,ともかく水をかぶるので寒いし,目もろくに開けられないので手探りでの登攀になるのが厳しい。とはいえA0用のスリングも沢山ぶら下がっているので,それを使えば3級程度か。使わない場合は4級程度。
新茅ノ沢のメインはここで終わり,あとは小滝とゴーロのみ。いくつかの小滝で山本や谷口にお助け紐の使い方を実践してもらいつつ,最も水流の多いところを辿ってさくさく登っていくと,湧水地があり,その上流は水涸れ。丸山は湧水を飲んでみたが,普通に美味しかった。
水涸れ後すぐに4mCS滝があり,このクライミングが面白いとのことなので,試してみると,実際面白い。残置スリングがぶら下がっているが,使わなくても4級程度で登れる。萬木以外はこれを登り,萬木は左岸から巻いて,これより上流には何もないらしいので,そのままこの沢を終わる。
ここで谷口と山本は上,丸山と萬木は下を,トラバースしながら烏尾尾根の登山道に向かい始めたが,上の2人から下の2人方面へ落石が発生し危なかったので,下の2人が先行する形を取ることにした。暫く進むと登山道に出て,歩きやすいのでどんどん下る。そのうちにヒゴノ沢方面が植林地となり,下りやすそうだったので植林地からヒゴノ沢方面へ下り始めたが,適当に歩いていたら枝沢へ降りてしまった。とはいえそれほど歩きにくい枝沢でもないようなので,その殆ど水の無い枝沢を下っていくと,問題なくヒゴノ沢本流へ出ることができた。しかし,ここはヒゴノ沢上流堰堤群の中ほどで,まだいくつか堰堤を下る必要がある。本当は,堰堤群より下流に下降したかったのに。堰堤を左岸から3つ巻くと,徐々に渓相が良くなり,小滝やナメが現れ始める。気をよくして下っていくが,途中の小滝では山本が滑り落ちて尻を軽く打った上に荷物を濡らしたり,萬木がクライムダウンで詰まったりといったトラブルはあった。
やがて8mほどもある滝(F2)が現れ,容易には下れそうにない。山本がクライムダウンにかかるが,あまり良くないとのことで,他3人は右岸から大巻する。巻き終わっても山本がまだ来ていないので不安になって滝を見に行くと,山本がクライムダウンで詰まっていたので,易しい方へ導き,事なきを得る。F2は遡行の場合は3級−程度で問題なく登れそうだったが,なかなか美形の滝である。
F2のすぐ下には石積堰堤があり,右岸を巻いた。すぐにF1(8m)があったが,この滝はクライムダウンも巻き下りも難しそうなので,懸垂下降を選択。右岸の立ち木から懸垂下降したが,空中懸垂であり,高所恐怖症の気がある萬木は苦労したようで,時間がかかった。下降後,丸山はF1の水流右側をフリーで登ってみたが,3級程度であった。水流左側に残置支点が多数あり,4級程度で登れるとのことだが,そちらの方が確かに難しそうであった。なぜ多くの人がより易しい右側を選ばないのだろうか。
F1から下は難所は全くなく,林道との間に2つある堰堤は,右岸側に明瞭な巻き道があった。それを辿り表丹沢林道に出て,本日の山行はほぼ終了。下山連絡をしながら適当に歩き,車に戻った。
■見つけたもの
・アズマヒキガエルの卵塊:表丹沢林道にて。この時期に平地でもよく見るが,山本は「グロッ」とか言っていた。
■備考
・新茅ノ沢は,滝名板,残置ハーケン,ボルト,残置ロープなど多数あり,至れり尽くせり。
・好天の日曜日であったが,山中では全く人と出会わなかった。
・開墾場の滝の懸垂下降やトップロープ登攀には30mロープが丁度いい。
・ヒゴノ沢下降中,萬木の手にヤマビル1個体が付いたが,付いてすぐだったためか引っ張るとすぐに離れた。
■コメント
・「ヤマビル対策」と計画書に書いてあるときは,最低でも塩くらい持ってくると良いでしょう。
・レポートはできるだけ終わらせてから来ましょう。
・笛は必要です。
・計画書は全部読みましょう。
・各人,クライミング力の向上に努めましょう。
・周りをよく見て,考えながら歩きましょう。
■感想
・ヒゴノ沢のように堰堤の多い沢は,堰堤ができる前どのような沢だったのか気になる。堰堤の下には滝が埋もれているのか,もともとゴーロの沢なのか。
■沢の評価
【表丹沢】
金目川系水無川新茅ノ沢 170416遡行 [raicho 12223]
1級上(大滝直登を除く)、綺麗1+、登攀2、珍奇0、辛苦0+、推奨2
水無川流域の準メジャー沢で,残置が多くゲレンデ化しているが,確かにそれなりの価値はある。トレーニングにちょうど良い。ゴーロや詰めも特にきつくはないし,小滝が全体的にある点も評価できる。
金目川系水無川ヒゴノ沢 170416右岸枝沢合流点から上倉見橋まで下降 [raicho 12223]
1級上(全滝直登で)、綺麗1+、登攀1+、珍奇0+、辛苦0+、推奨1+
水無川流域ではマイナーな沢だが,中ほどは登れる滝が連続し楽しめる。上部堰堤群へは行かないのが良さそうである。水量は割合多めであり,夏には泳ぎも多少は楽しめそうである。