2017/4/29-30 熊野古道中辺路

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
熊野古道中辺路山行計画書
作成者:平岩
■日程 2017/4/29(土)-30(日)
■山域 その他
■在京本部設置要請日時  2017/4/30 18:00
■捜索活動要請日時 2017/5/1 9:00
■メンバー 1名
CL 平岩

■交通
□行き
紀伊田辺-滝尻 熊野本宮線(明光バス・龍神バスの共同運行) 30〜40分 960円
紀伊田辺発 6:35 6:50 8:02 9:10 10:15
□帰り
本宮大社前-川湯温泉 熊野本宮線(明光バス・龍神バスの共同運行)
12:40 14:37 15:10 16:45[最終] 10分

■行程
[1日目]
滝尻王子-0:15-不寝王子-1:20-高原熊野神社-0:45-大門王子-0:30-十丈王子-1:25-大坂本王子-0:30-牛馬王子-0:10-近露王子[アイリスパークに宿泊] 計4:55
[2日目]
近露王子-0:48-比曽原王子-0:20-継桜王子継桜王子-0:15-中の川王子-0:30-小広王子-0:15-熊瀬川王子-0:55-岩神王子-0:52-湯川王子-1:22-猪鼻王子-0:15-発心門王子-0:30-水呑王子-0:30-伏拝王子-0:55-祓戸王子-0:03-熊野本宮大社 計7:30

■エスケープルート
高原熊野神社まで:高原熊野神社(高原霧の里休憩所)へ進む
〜近露王子付近:近露の集落へ
〜継桜王子付近:野中の集落へ
〜熊瀬川王子付近:小広王子口バス停へ
〜湯川王子付近まで:ひきかえして道湯川バス停へ
〜発心門王子:発心門の集落へ
〜水呑王子付近:水吞の集落へ
それ以降:そのまま進む

■地図
2.5万分の1:「栗栖川」「皆地」「発心門」(「伏拝」)
熊野古道ウォークマップ:「中辺路」滝尻王子〜熊野本宮大社

■遭難対策費
1人×1泊200円=200円

■雨天時
前日17:00までに判断。雨天の場合はハイクを中止し路線バスで観光。

■備考
*日の入:18:39 日の出:5:09(4/30熊野本宮大社)
*各所連絡先
和歌山県警田辺(たなべ)警察署 0739-23-0110
和歌山県警新宮(しんぐう)警察署 0735-21-0110
アイリスパーク 0739-65-0410
龍神自動車 0739-22-2100
*参考
熊野本宮観光協会 http://www.hongu.jp/kumanokodo/
田辺市熊野ツーリズムビューロー http://www.tb-kumano.jp
参詣道安心情報マップ http://www.sekaiisan-wakayama.jp/walk/anshinmap.html
龍神自動車株式会社 http://www.ryujinbus.com/shuttle_bus/time_fare/time_fare.html

熊野古道中辺路山行記録
■日程 4月29,30日(土,日)
■山域 その他
■天候 29:晴れ+通り雨 30日:晴れ
■メンバー CL平岩

■記録
1日目
1100滝尻王子 1120不寝王子 1146剣山 1154飯盛山 1210発 1242高原熊野神社 1245発 1247霧の里休憩所 1256発 1332高原池 1343大門王子
1412十丈王子 1425悪四郎屋敷跡 1446一本 1454発 1502上多和茶屋跡 1533大坂元王子 1550牛馬童子バス停 1603道の駅中辺路 発 1613牛馬童子像 1626牛馬童子像へ復帰 1639近露王子 1656アイリスパーク

(午後の時間が余りそうだったので、1日目の朝は熊野本宮大社や滝、廃隧道や廃村へと丸山さん・萬木さんに連れていって頂きました。継桜王子や近露付近も車で走ったので、逆ルートで翌日のコースを予習する形に。とても面白かったです、ありがとうございました。)

○滝尻王子~大門王子
  歩き始めで体が慣れていない状態で、飯盛山まで200m近く登らないといけないので少々きつい。出発時間が比較的遅いからか、この後の行程も、3組程としか抜きつ抜かれしなかった。みな日帰りザックなので身軽そう。私のテン泊装備は浮く。とにかく浮く。
 飯盛山は視界が開けているのでお昼休憩を取った。テレビ塔以降は舗装道。高原熊野神社が近付くと道沿いに民家が増える。某政党のポスターを貼っている家が多く、歩いているだけでなんとなく地域の傾向がわかるので面白い、と思っていると、高原霧の里休憩所に到着する。ここは小さな小さな道の駅のような表構え。自販機や手作りおにぎりが売られ、展望も良い。
 しばらく集落内の舗装道を進むと、注意看板の前にたどりつく。「ここより近露王子までは民家がなく、連絡の方法がありません。所要時間は約四時間ですので、出発にはお気をつけください。 中辺路町」と脅してあるように、これ以降は登山道。最初は手入れがされているために日が射す明るい杉林に感動していたが、段々飽きてくる。アッブダウンは細かくあるが、メインザックでも特に問題はない。

○大門王子~アイリスパーク
 十丈王子に来る頃には少し疲れていたようで、ここで押印帳にスタンプを押すのを忘れたまま通過してしまう。痛恨のミス。(かなり早い段階で中辺路完歩証明書をもらうのを諦めることに…)
 似たような景色が続き飽きてきたのと、上多和茶屋跡で一瞬獣の匂いがしたので怖くなったのとで、とりあえず適当に思い付いた歌を歌っていた。レパートリーがなくなってバラライカを歌い始めた頃に他のパーティーに会ったので、恥ずかしくて死にそうになる。このパーティーは夫婦+アジア系の外国人で、詳細はよくわからないが、私の装備を憐れんでパイナップルタブレットをくれた。
 大坂本王子の近くに「三体月観賞地」があったが、スルー。一度林道と交差するもすぐに登山道へ戻る。
 牛馬童子口で国道311号線に近寄るので、道の駅中辺路で夕飯用にめはり寿司を購入した。ここで呑気に過ごしていたら、通り雨に降られることに。雨が弱まった所で発ち、1日目のラストスパート。ここから「牛馬童子像 800m」の看板が立っているが、看板のお気軽そうな感じに対してがっつり登山道なので、途中で引き返してきたと思われる観光客もいた。童子像のあとは分岐まで戻らないと近露へ行けないのだが、めはり寿司を入れた袋が破れたアクシデントで正常な判断力を失い、10分程間違えて登山道ではない尾根(380m地点付近)を歩く。このミスでわかったのだが、「熊野古道脇(中辺路)に」あるピンクテープは基本的に登山道を示しているわけではないようだ!
 童子像まで戻って林の中をトラバースすると、すぐに林が終わり(この後地形図では登山道がないが、ウォークマップに載っている通り実際はある)、後は石畳を下る。雨上がりだったので石が濡れており、歩くのに難儀した。近露の集落到着後アイリスパークまで意外と距離があるが、無事にたどりつき今日の行程はおしまい。アイリスパークは素泊まり5000円と値が張るけれども、敷布団やアメニティグッズが用意されていたり温泉があったりと普通に下界なのでしょうがない。

2日目
0602アイリスパーク発 0612古道へ 0628楠山坂登り口 0654比曽原王子 0712野中の清水 見に行く 0721継桜王子社 0745中川王子 0815登山道入り口(道湯川)で一本 0821発 0846草鞋峠 0830熊瀬川王子
0902迂回路分岐 0915露頭のそばで一本 0923発 1029林道で一本 1038発 1120三越峠 1218赤城分岐 1223船玉神社 1245発 1255猪鼻王子 1336立ち話を15分ぐらい 1345水呑王子 1420伏拝王子 1432発 1520祓戸王子

○アイリスパーク~熊瀬川王子
 楠山坂登山口までは車道歩き。ここが一番熊野古道への案内表示が少なかったかもしれないが、近露小中学校や近露神社が地形図と対応させる目安となる。登山口は杉林を登っていくが、すぐに舗装道にでる。その脇には何軒か古道を歩く人向けの宿がある。ここから小広トンネル少し後までずーっと舗装道歩きなので特段記述することはない。登山客ではない観光客も楽しめるエリアなので、名所を見て回る分には良い。
 新高尾トンネル付近で、有田から来てるおじさん(近露~本宮で日帰り)と会い、話しながら歩いたのでメインザックにしてはかなり飛ばしたが、それでも問題ないレベルでずっと舗装道。私は登山道手前で休んだので、ここで有田おじさんとは別れた。
  熊瀬川王子までは、相変わらず人口林の中を歩く。アッブダウンが多いので、熊瀬川王子までの体感時間は長かった…。熊瀬川に着くと、本来の熊野古道ではなく、迂回路を通るように指示する看板が現れる。http://www.city.tanabe.lg.jp/kankou/kumanokodou_ukairo.html でこの情報を確認していたものの、計画書は迂回路経由ではないもので作っていたので反省。 迂回路は、岩上峠までは広葉樹の多い明るい低山を歩くようで楽しい。熊野古道中、一番景色は開放的。天覚山までの尾根の道と雰囲気が似てるような。登って峠を越えると、ひたすら針葉樹の林の中をトラバース。とかげみたいなもの2種を頻繁に見たが、谷沿いにちょろちょろ水が流れているからいたのだろう。

○熊瀬川王子〜発心門王子
 林道と合流以降は林道を歩く。地形図には徒歩道の表記があるがこれには「迂回路」という看板は立てておらずあまり歩かれていないようだ。450mの計曲線と林道が交わる辺りで登山道に復帰。湯川は関連する伝承がなかなか面白い所だが、ウォークマップの「だんだん急な登り坂になる」という表記通り急になっていくので、だんだん気温が上がってくる時間帯というのもあって辛い気持ちに圧されていた。
 三越峠で林道を横断。地形図[2014年調整版]では未だに道ノ川の集落があるかのような表記(複数の建物や水田の記号あり)がされているが、ここは1973年に廃村になっているので、代わりに杉の木が植えられている。40mぐらい下り、音無川沿いをしばらく歩くと平らな砂利道になる。赤木越(湯ノ峰温泉へ)との分岐にはお手洗いや休憩所があったが、少し進んだ船玉神社の脇でお昼休憩をとった。

○発心門王子〜熊野本宮大社
 発心門王子の手前は70mぐらい登るが、脇の林道を走る軽トラックが見えるので切なくなってくる。発心門王子にはバス停があり、バスで本宮へ向かう軽装備の観光客が見受けられた。おそらく本宮-発心門王子を歩き(現地で宣伝されているコース)、バスでまた本宮へ戻るのだろう。発心門から水呑までは集落内の舗装道をひたすら歩くしかない。私のザックが大きくて目立ったようで、分割して熊野古道を歩いたり大峰山を歩いたりしているという電線管理のおじちゃんに声を掛けられ、15分ぐらい立ち話をしてしまった…。
 水呑王子付近には洋風の古い合宿所(?)があるが、これは小学校の廃校後に観光施設として使われていたものらしい。ここを抜けると再び登山道。伏拝へ向けて下り。このあたりも本宮から歩いて来ていると思われる観光客が多い。茶畑が多く、無人販売所で茶葉も売っている。伏拝王子の前の茶屋もにぎわっている。ここでは吉野からツェルト泊を重ねて大峯奥駈道を歩いて来ているおじさんと会い、「中辺路よりも小辺路の方が登山道部分が長くて面白いんだけどなぁ」と言われてしまう。おじさんはここでコーヒーを飲んで本宮に戻り、明日は大雲取越えをするらしい。タフさに敬服。
 三軒茶屋跡のそばにはお土産どころがあり、おばさんが漬け物(何の植物かは忘れた)をくれた。おいしい。九鬼ヶ口関所跡以降、祓殿王子までも大変整備された登山道なので相当歩きやすい。観光客でも手軽に古道歩きが楽しめるようになっている。滝尻から歩かなくてもここを歩くだけで十分では…と一瞬思ったが気が付かなかったことにして歩く内に、ニュータウン(?)のような区画整理された住宅街が見えてくる。すぐに車道歩きになる。あとは乱立する看板の指示に従って歩けば、熊野本宮大社へ着く。

総括
 中辺路は道標やお手洗いや水場がかなり整備されており一人でも歩きやすい。ただ、道の性質というか歴史上、林道や舗装道と交差することが多く、展望が良い場所もないので、登山というよりは里山の集落を渡り歩くハイクとなる。山桜や新緑の季節に、山岳修験が盛んだった頃に思いを馳せながら歩く分には良いコースだろう。

雑感
・道標やお手洗いや水場や自販機は、田辺市が出している「熊野古道めぐり地図帳」(熊野古道ウォークマップ)に書いてある通りに在る。和歌山県観光連盟( http://www.wakayama-kanko.or.jp/walk/index.html )に熊野古道関連のウォークマップのPDFが掲載されている。熊野本宮観光協会( http://www.hongu.jp/access/areamap/ )や田辺市熊野ツーリズムビューロー( http://www.tb-kumano.jp )のHPも歩く際の参考になる。
・有田から来てたおじさんによると、四季折々の熊野古道を歩いてみたが、GWの新緑の頃が一番気候もよく新緑の中を気持ちよく歩け、ここ10年は毎年この時期に歩いているとのこと。やはり夏は暑くてきついようなので、急遽この時期にして良かった。

反省
・1日目の朝に熊野本宮大社へ行っているため、その際に本宮のロッカーに大峰山用のテン泊装備を預ければよかったかもしれない。そうすればさくさく歩け、川瀬温泉や湯ノ峰温泉に行くバスに間に合っただろう。15:10発の後はだいぶバスの間隔があくので、行くのを断念した。
・私の[熊野古道を歩くにしては]重装備に声を掛けてくるおじさんやおばあちゃんと立ち話をして止まっている時間が長く、2日目の行動時間が9時間11分にもなってしまった。私はあまり一人歩きが向かないようだ。