2017/5/28 本間沢遡行・太礼ノ沢下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
本間沢遡行・太礼ノ沢下降計画書
作成者:丸山
■日程 5/28(日)予備日なし
■山域 裏丹沢
■在京本部設置要請日時 2017/5/28 20:00
■捜索要請日時 2017/5/29 10:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL迫野 萬木 木口
■アプローチ
相鉄・小田急海老名駅東口ロータリー一般車乗降場に6:30頃集合し,丸山車で本間橋
へ(70分程度)
■行程
本間橋-30-入渓点-100-樋状大滝-50-最後の滝上-35-本間の頭・無名の頭間鞍部-50?-
円山木の頭・太礼の頭間鞍部-150(遡行の場合)-太礼ノ沢出合-25-伝道-25-本間橋
(計6:25+0:50?)
https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-373600.html
※コースタイムは東京起点沢登りルート120とウォーターウォーキング2による.?付
はコースタイムがないので予想
※時間または体力に余裕がない場合は,本間沢遡行後本間沢右岸尾根を下る.その場
合は90分前後で下山可能.
■エスケープルート
本間沢:引き返すか,右岸尾根に詰める
稜線上:本間沢右岸尾根を下る
太礼ノ沢:そのまま進む
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「大山」「青野原」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:「東京起点沢登りルート120」P129,「ウォーターウォーキング2」P27
■遭難対策費
100円×3人
計300円
■備考
日の入(秦野4/16)18:51
津久井警察署 0463-83-0110
本間沢遡行・太礼ノ沢下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/05/28(日)
■山域 裏丹沢
■天候 曇り時々晴れ
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
CL丸山 木口 萬木 SL迫野
※時々入れ替わりあり
■総評
本間沢は評判通りに滝の連続する沢であり、そこそこ難しい滝も含めてかなり面白かった。下降した太礼ノ沢も悪くなく、大水量・大迫力の早戸川本流下降も楽しめ、充実した1日となった。ヤマビルが多いことと、やや寒かったことはマイナスだが、補って余りある楽しさだったと思う。
■GPSログ
https://yahoo.jp/t_fpnE
■時間
8:01 本間橋発
8:17 入渓
9:49-10:28 樋状大滝
10:28-11:00 10m滝
11:32 最後の滝上
12:22 無名ノ頭
12:37-50 円山木ノ頭(休憩)
12:59 鞍部(沢下降開始点)
15:25 太礼ノ沢出合
15:52 早戸川本流下降終了
16:19 本間橋着
■行動記録(敬称略)
※遡行図は東京起点120とウォーターウォーキング2を使用
滝の名称は下記ページによる
http://sudo.life.coocan.jp/040912honma/040912honma.htm
・本間橋まで
海老名駅まで30分で着くと思っていたらそれは門沢橋駅との勘違いで、グーグルのナビによれば40分かかるとのこと、これにて10分の遅刻確定。申し訳ない気持ちになりながら海老名駅に着くと、なぜか迫野しかいない。結局全員集まったのは予定より15分程度遅い6:45頃になってしまった。どうやら、海老名駅東口には、指定した場所以外にも一般車乗降場があったり、ロータリー内の一般車乗降場に降りるための階段が分かりにくいという問題があるらしく、車の中でこの集合場所は「2級上くらい」とかいう話になった。車の流れはまずまず順調で、予定より早く1時間程度で本間橋先の駐車地に着いた。この時点でまだ3台程度は駐車できそうであった。
・入渓まで
本間橋のそばには魚止め森の家があり、トイレを借りようと思いトイレへ行くと、水が流れないのでバケツの水で流してくれとのこと。トイレ内の洗面台の水は流れるのに便器の水は流れないなんて。手動水洗トイレは面倒。遡行準備を済ませ、魚止め森の家から山に入り、やや不明瞭な踏跡を追っていくと、前情報通りに「←本間の頭」という標識が現れ、ここを右に入る。このあたりはヤマビルが多いので、出来るだけ立ち止まらないように歩く。しばらくして、沢筋に出るが、まだゴーロが続いているので沢沿いの植林地をしばらく歩いてから入渓。
・樋状大滝まで
入渓後しばらくはゴーロが続くが、やがて最初の滝が現れると、そこからは小滝の連続。問題になるような滝はない。初沢の木口はなかなか滝を登るのがうまく、また積極的に水線に入って遡行していて、楽しめているようであった。一部の滝で萬木や木口に練習も兼ねてお助け紐を出した。樋状大滝前衛の3mCS滝だけはやや難しく(4級)、迫野のサポートの下、木口はお助け紐使用で登れたが、萬木は足が攣ってしまい左岸からへつって巻いた。後で記録を見ると、この滝は直登せずにへつって巻くのが普通のようである。
・樋状大滝(15mF8)
本日のメイン(とこの時は思っていた)。迫野ビレイで丸山がリードした後、木口、迫野、萬木の順で樋状部を直登。高度感はあり、残置もないがホールドは豊富なので不安なく登れる(3級)。迫野の登攀時、バスケットボール大の落石を起こしていたので、岩の脆さには注意が必要。
・大滝上の10m滝(F9)
東京起点120には「少し難しい」と記載があったので、「少し難しい」程度なら問題ないだろうと丸山がフリーで取りつくが、意外とバランスを要する滝で、難しい。残置ハーケンも2つあり、これならロープを出しておけばよかったと後悔するが、超やばくもないのでそのまま水線左に逃げ気味になりつつも直登(5級-)。ここまでで体が冷えていた萬木は右岸を巻いていた(非常に容易)。下で登る姿を見ていた木口と迫野は登りたいようなので、ロープを上から投げて木口、迫野の順で登攀。木口は難関部で滑り、ロープにテンションがかかり、大丈夫かと心配したが、むしろロープへの信頼度が増して闘志が燃えたらしく、その後3回ほどテンションをかけつつも何とか登り切った。ラストの迫野も難関部で1度テンションをかけたので、やはりこの滝は難しかったようである。ここは、クライミング力の差を考えると木口がラストで登った方が良かった。
・事故多発の8m滝(F10)
東京起点120には「落口へ出るのが極めて難しい」とあり、ウェブ情報によれば事故が多発しているらしい滝。詰まった場合迫野が巻いてお助けスリングを出してもらうことを決めた上で、丸山がフリーで取りつく。確かに下部は易しいものの、上部はホールドが少なくなり、やや難しい。とはいえ前記の10m滝に比べれば易しく、問題なく直登(4級)。お助け紐を出し、木口、迫野の順で登ったが、2人も問題なかった。この滝もかなり濡れるため、冷えていた萬木は左岸を巻いた(容易)。
・無名ノ頭まで
沢の最後の連瀑帯を越えると、二俣。普通はここを本流の左に入るようだが、左へ行っても何もないようなので、あえて記録の少ない右へ入ってみることに。すると、ここは湧水帯となっているようで、苔が非常に美しく繁茂しており、なかなか良い。とはいえそのような好いところはすぐに終わり、単なるガレた涸れ沢になってきたので、早めに右側の尾根に乗ることに。無名ノ頭までは標高差300m近くあり、なかなか辛い詰め。特に、本間沢左岸尾根に乗るまでは傾斜がきつく、大変であった。落石等はあまり起こりやすくない状況だったのが救い。
・沢下降開始点まで
登山道は歩きやすく、多少の標高差もそれほど気にならなかった。自然林が結構美しいが、霧がかかっていた。GWの鈴鹿のように素晴らしい眺望があれば良かったが、そんなものは無し。
・太礼ノ沢下降
小尾根を伝って結構な急斜面を下るが、落石が起きやすく注意を要した。沢筋に降り立つと、見渡す限りの水無しゴーロで、嫌気がさしてくる。ともかく下ると、2m涸棚があるが、容易。まだまだ水は出てこなかったが、下降開始後40分くらいでようやく水が出てきた。しかし単調な沢は続く。しばらくしてようやく滝が出てくると、一転して滝の連続する沢となり、下降としてはなかなか面白い。3段10m滝は右岸、8m滝は左岸、3段20m滝も左岸を巻いて下った。このうち3段20m滝の中段と下段は頑張っても直登が不可能そうであるが、他の滝は遡行なら直登できそうであった。途中、1箇所左岸から湧水あり。核心部は3段20m滝で終わり、後は小滝を適当に下っていくと、早戸川への出合に着いた。出合のすぐ上にある4m程度のナメ滝は下った後登ってみたところ、テクニカルで面白かった(4級)。
・早戸川本流下降
太礼ノ沢下降後は、早戸川本流の河原を歩いたが、次第に傾斜が急になり、スケールの大きい大岩のゴーロとなってきた。右岸の植林地を巻くか大岩の間を縫って下るか迷い、メンバーに意見を求めると、萬木が本流下降をしたそうだったので後者にする。大岩の間を縫って下るのもなかなか難しく、いい練習になるし、大水量で迫力もあって良い。しかしどうしても下れない所があり、右岸を巻いて下った。その先で流れに復帰すると、そこからは何とか下ることができ、飽きないうちに早戸川林道旧終点近くの堰堤上に着いたので、そこで沢下降は終了し、林道ヘ上がった。
・早戸川林道
地理院地図では2重線が引かれているが、実際には端部は車道としては廃道である。歩くには問題ないがヤマビルがいる。200mくらいで現役の林道となる。魚止橋付近のショートカット路をうっかり通り過ぎそうになるが見つけて通り、さらに林道を歩いて本間橋に着いた。
■備考
・稜線上は一般登山道だけあって、多くの登山者と出会ったが、沢中で人と会うことはなかった。
・前週の伊豆の沢よりはるかに水が冷たかった。
・詰めは、獣の気持ちになって4足歩行で駆け上がるのが一番楽だと思う。
・ヤマビルの多いところで、全員が多少は被害を受けた。うっかり家まで持ち帰ってしまった迫野曰く「きゃりーやみゃびりゅには気を付けてね」。その後茹でて食べてみたそうだが、巻貝のような食感でそんなにまずくもなかったらしい。
・早戸川林道は落石などにより通行止めとなることが多いため事前に調べてから計画を立てるべきである。
■コメント
・木口の初沢。入会半月で沢に参加し、果敢に難しい滝に挑む姿には感心した。初っ端から詰めあり沢下降ありの丸山的通常コースだったが、疲れもそれほどではないとのことで、今後に期待。ぜひまた来てください。
・計画書は必ず隅々まで読んでから参加しましょう。
■沢の評価
【裏丹沢】
相模川系中津川早戸川・本間沢 170528遡行 [raicho 12304]
1級上、水量小、綺麗1、登攀2+、珍奇1、辛苦1+、推奨2
早戸川流域では人気の沢で、小滝が連続し、登攀が楽しい沢。やや難しい滝は簡単に巻くことができるので、初級者でも楽しめる。シャワークライムになる滝は多いので暑い時期が良い。詰めは割ときつめ。全滝直登の場合は2級で、難しい登攀も含めて中級者も楽しめる。
相模川系中津川早戸川・太礼ノ沢 170528下降 [raicho 12304]
1級、水量小、綺麗1、登攀1、珍奇0+、辛苦2、推奨1
この沢は水涸れが早く、遡行の場合は水涸れから稜線まで延々と続くゴーロが厄介そうである。他に遡行価値の高い沢が数多くある早戸川流域であえてこの沢を遡行するのは物好きといえるが、下降はしやすく、滝もそこそこあるためお薦めできる。難しい滝はいずれも容易に巻ける。