2017/6/10 ヌク谷左俣右沢遡行・右俣下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
ヌク谷左俣右沢遡行・右俣下降計画書
作成者:丸山
■日程 2017/6/10(土)
■山域 奥秩父
■在京本部設置要請日時 6/10 21:00
■捜索要請日時 6/11 10:00
■メンバー (計3人)
CL丸山 SL久光 迫野
■交通
相模湖駅前ロータリーに6:53に集合し,西沢渓谷駐車場まで丸山の自宅車で(80分程度・高速代580円)
■行程
西沢渓谷駐車場-20-ヌク沢橋-90-近丸新道横断点-45-二俣-155-終了点-20?-ヌク沢右俣左俣中間尾根-ヌク沢右俣下降(60?)-鶏冠山林道(30?)-ナレイ沢右岸支流下降(60?)-ナレイ沢橋-15-西沢渓谷駐車場
http://yahoo.jp/Et4HN8
(計5:25+2:50?)
※コースタイムは東京起点沢登りルート120による。?付きはコースタイムなしにつき想定時間。
※時間に余裕がない場合,ヌク沢右俣下降やナレイ沢右岸支流下降はせず,ヌク沢右俣左俣中間尾根やヌク沢左岸尾根を下る.
■エスケープルート
ヌク沢橋まで:引き返す
近丸新道横断点まで:引き返すか,近丸新道に詰める
二俣まで:引き返して近丸新道へ出る
鶏冠山林道まで:鶏冠山林道から下山
ナレイ沢橋まで:そのまま進むか、右岸のヌク沢左岸尾根に乗る
■地図
2万5千分1地形図「金峰山」
山と高原地図「金峰山・甲武信」または「雲取山・両神山」
遡行図:東京起点沢登りルート120 P.180-181
■遭難対策費
100円×3人
計300円
■備考
日の出(6/10)4:28
日の入(6/10)19:02
日下部警察署 0553-22-0110
ヌク沢左俣右沢遡行・右俣下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/06/10(土)
■山域 奥秩父
■天候 晴れ時々曇り
■メンバー・オーダー(計3人、敬称略)
CL丸山 迫野 SL久光
※時々入れ替わりあり
■総評
序盤は単調な渓相と面倒な高巻きに辟易させられたが、最後の堰堤を越えてからはま
ともな沢になり、大滝は確かに面白く、非常に良かった。右俣は大したものはなかっ
たが、遡行図を書くことで新たな気付きがあり良かった。天気も良く、全体としては
満足の1日となった。
■GPSログ
https://yahoo.jp/QOxJVG
■時間
9:22 西沢渓谷駐車場発
9:39 ヌク沢橋
10:50 近丸新道横断点
11:54 二俣
14:21 終了点
14:58 ヌク沢右俣下降開始
16:28 ヌク沢右俣下降終了
17:03 鶏冠山林道を離れる
17:41 西沢渓谷トイレ
17:55 西沢渓谷駐車場着
■行動記録(敬称略)
※遡行図は東京起点120を使用、滝の落差も同書籍による。
・西沢渓谷駐車場まで
相模湖駅へ向けて運転していると迫野から寝坊連絡があり、考えた末特急列車で大月
へ行ってもらい、大月で合流することに。予定通り来た久光と相模湖駅で合流し、時
間調整のため一般道で大月駅へ。15分ほど待って、8時頃に迫野とも合流。遅れた分
高速に乗って取り返そうかとも考えるが、10分速くなるのに480円かかるらしいので
やめて、一般道で西沢渓谷へ。予定より30分程度の遅れで着。駐車場はほぼ一杯だっ
たが、上段の駐車場の奥の方に何とか残り2台分程度の空きスペースを発見し駐車。
・ヌク沢橋まで
観光客が多い。途中トイレに寄った。
・近丸新道横断点まで
最初の堰堤は左岸から越える。踏跡は濃い。その後は単調な沢歩きが長い。やっと小
滝が現れ、4つほどを容易に越えていくと、5×6m幅広ナメ滝。傾斜は緩いがホールド
がなく水線直登はできないので、右壁を登ったが、滑りやすいうえにホールドは乏し
い(3級+)。この先左岸に大きな崩壊地があり、昨年軌道跡を辿った時に通ったこ
とを思い出して、懐かしむ。転石が多いナメを過ぎると、6m滝。遡行図通りに左壁と
右岸の境を丸山がフリーで登り(4級A0)、お助け紐で後続を確保しようとするが、
長さが足りないのでメインロープで確保。1人ずつエイトノットで登ったが、中間エ
イトを使った方が速かった。続く7m滝はドラム缶が印象的。丸山・迫野は右壁を登
り、久光は左岸を巻いた。この先暫く単調。
・二俣まで
2つ目の堰堤は左岸を巻くが、大高巻きになる上、高度感もあり悪い。新しい堰堤な
のに、どうして堰堤に梯子を付けておいてくれないのか。この先ところどころにナメ
もあるが、見応えのあるようなものはなく、全体としては単調。3つ目の堰堤も左岸
高巻き。これまた思った以上に登らされて面倒。堰堤上は水が溜まっている。その先
左岸に迫力のある崩壊地を見て、単調な沢を只管歩いていくと、また堰堤。右岸を巻
く。すぐに次の堰堤が見え、ここに来て初めて現れた残置トラロープに従って右岸巻
き。もっとトラロープを残置しておいてほしい場所は前にあったのだが。
・大滝下まで
左俣に入って1つ目の堰堤は遡行図では左岸巻きとなっているが、右岸の方が楽そう
に見えたので右岸を巻いた。これまたそこそこ面倒な高巻きだったが、左岸も大変そ
うに見えたのでどっちもどっちかもしれない。ここでようやく堰堤から解放され、ま
ともな渓相になる。確かに倒木は多いが割合綺麗な連瀑(容易)を次々越えていく
と、大滝の下へ出る。途中にある奥の二俣はやや分かりにくいが、とりあえず右へ右
へと進めば問題ない。
・大滝下段100m
下から見ると確かに100mほどの高さ分が見渡せるが、実際には見通しのいい連瀑帯と
いった感じ。右壁と水線を交えてかなり登ってから、最上部のみ左壁を登った。特に
難しいところはない(3級)が、標高も上がってきているので濡れると寒い。
・大滝中段80m
幅の広い大岩壁。とりあえず中央部からフリーで直登を開始したが、20mほど登った
ところで久光と迫野は行き詰まり、右岸樹林帯へ移動。丸山はさらに中央部の直登を
続けるが、50mほど登ったところでやや難しくなり、右往左往するがやはり厳しいの
で、先に樹林帯から登っていた久光にロープを出してもらって直登(4級)。このあ
たりは残置ハーケンも多数あり、登攀のポイントとなっているようである。3人合流
してからは左壁を登ろうとしたが、ちょっと難しく結局は巻き気味に右岸の樹林帯と
の境界付近を登った。
・大滝上段50m
丸山と迫野は水線と右壁を交えて登った(3級)が、左壁から登ろうとした久光は草
付き斜面で行き詰まり、セミになってしまった。丸山が上部から回り込んでお助け紐
で確保し事なきを得る。その先、滝が樋状になるあたりで小さく左岸を巻こうとした
迫野は行き詰って、水線を直登(3級+)した丸山がお助け紐で確保。樋状部は全員水
線を直登(3級+)。これにて大滝は終了し、なかなか達成感がある。
・右俣下降開始まで
大滝上は急に平和な沢になるが、ナメもあって渓相は悪くない。しかしあまり進むと
下降予定の右俣から遠ざかってしまうので、適当に切り上げて左岸をトラバース。地
形は穏やかで、鹿のおかげか笹薮も薄く、順調に進む。鹿糞が多い。右俣が近づくと
急に地形は険しくなり、弱点を探りながら下降。降り立った沢は、ガレガレであっ
た。
・ヌク沢右俣下降
ガレた沢を少し下ると右俣本流に合流し、荒れてはいるがナメが出てくる。ゴーロと
ナメ滝を下っていくと沢はゴルジュ状になってくるが、相変わらず簡単に下れる。林
道の橋が見え、そのまま問題なく林道へ出れるかと思った頃、12m滝が現れる。落ち
口から左岸方面へトラバースして下れそうだったが、岩が脆いので断念し、左岸を少
し登って立ち木から45mロープで懸垂下降。落石が多発し危険な思いをするが、何と
かロープ末端まで降りる。そこから滝下へ至るには急なザレ斜面を下る必要があっ
た。滝下からは左岸を獣道でトラバースして林道に出られたが、ここも高度感があっ
た。
・鶏冠山林道
林道の末端付近はかなり荒れていて車は通れそうにないが、少し進むと整備されてい
る。途中、先ほど登攀した大滝が見られ、あんなところを登ったのかと感慨深い。
・ヌク沢左岸尾根
ピンクテープが沢山貼られていてわかりやすいバリエーションルートだが、尾根の末
端部はやや不明瞭になって、鶏冠山林道に出た。カラマツ、アカマツの落葉が多く
フェルト底だと滑りやすい。
・駐車場まで
5時半を過ぎるとさすがに人も減ってきている西沢渓谷ではあるが、なぜかこんな時
間に駐車場と反対方向へ歩いている人もいて、「?」となった。
・自宅まで
無能な中央道に乗っても6分しか早くならないらしいので、帰りも一般道で帰った
が、自宅まで3時間以上の運転は結構疲れた。
■備考
・ロープが2本あってよかった。いろいろなルートで登れる滝を登るときは、ロープ
が複数本あると、行き詰っても助け合うことができる。
・東京が真夏日でも標高2000m近くともなると相当涼しい。もっと防寒を意識するべ
きである。丸山は途中でウェットスーツを着た。
・久光のコンパスが壊れた。
・車アプローチの場合でも、遅刻者がいた場合の合流などを考えておくと役に立ちそ
うである。今回は、ちょうどいい時間にスーパーあずさの運行が偶然あったので良
かった。
・初級者同伴の場合は大滝でもロープを出す必要があると思われるが、その場合はか
なり時間がかかりそうである。
・大滝登攀後戸渡尾根に出て登山道を下るルートが一般的だが、右俣左俣中間尾根を
下って鶏冠山林道を下山する方が楽そうである。
・今回、丸山はヌク沢右俣で遡行図を取りながら歩いたが、なかなか勉強になったの
で、今後も未知沢を歩くときにはやってみたい。
・迫野は鹿の頭蓋骨とオオミズアオ(蛾の一種)を拾って持ち帰っていた。
・大滝上段を登攀し終えた頃小雨が降った。すぐに止んだが、一番標高の高いところ
で降られたので寒かった。
・迫野の寝坊原因は携帯電話の不具合。今後同じような不具合が起こるかもしれない
のでアラームを二重に仕掛けるべきである。
■コメント
・今年の夏はホラの貝ゴルジュに行きたいと思います。
■沢の評価
【奥秩父】
富士川系笛吹川ヌク沢左俣右沢 170610遡行 [raicho 12324]
2級上、水量中~小、綺麗1+、登攀2+、珍奇3、辛苦2、推奨2
バランスの悪い沢で、最後の堰堤までは長く単調だが、その先は連瀑帯と登れる大滝
があり遡行価値が非常に高い。また、6つもある堰堤の高巻きは非常に面倒である。
最後の堰堤より先だけ遡行したいところだが、そのためには鶏冠山林道を随分歩く必
要があるのでアクセスが悪い。230mもの大滝を登れる沢は近隣になく、一登の価値が
ある。
富士川系笛吹川ヌク沢・右俣 170610鶏冠山林道まで下降 [raicho 12324]
1級上、水量小、綺麗1、登攀0、珍奇0+、辛苦1+、推奨0+
左俣の遡行記録が多い中でなぜか遡行記録のない右俣だが、ガレが多く、ところどこ
ろにあるナメも荒れ気味なので、遡行価値は低い。最も見応えのあるのは林道から見
える12m滝である。林道より下部の二俣までは堰堤が連続し、見るからに遡行価値が
ない。遡行の場合は、林道上流の12m滝の処理に苦労するかもしれない。