2017/6/24 四町四反ノ沢右俣遡行・キュウハ沢左俣下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
四町四反ノ沢右俣遡行・キュウハ沢左俣下降計画書
作成者:丸山
■日程 2017/6/24(土)
■山域 東丹沢
■在京本部設置要請日時 6/24 21:00
■捜索要請日時 6/25 10:00
■メンバー (計2人)
CL丸山 SL久光

■交通
海老名駅東口ロータリー一般車乗降場に6:45に集合し,塩水橋まで丸山の自宅車で(50分程度)

■行程
塩水橋-50-キュウハ沢出合の橋-25-ゴルジュ出合-20-四町四反ノ沢出合-165-遡行終了-180-四町四反ノ沢出合-45-キュウハ沢出合の橋-50-塩水橋
https://yahoo.jp/82oNqP
(計8:55)
※コースタイムは丹沢の谷110ルートによる。キュウハ沢のコースタイムは遡行の場合。
※時間に余裕がない場合,左俣遡行に切り替える。または、キュウハ沢ではなくオバケ沢を下降する(林道まで150分)。

■エスケープルート
四町四反ノ沢出合まで:引き返す
四町四反ノ沢:引き返すか、寿尾根に詰める
キュウハ沢入渓まで:登山道で下山
キュウハ沢以降:そのまま進む

■地図
2万5千分1地形図「大山」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:丹沢の谷200ルート P.99

■遭難対策費
100円×2人
計200円

■備考
日の入(6/24)19:03
厚木警察署 046-223-0110

四町四反ノ沢右俣遡行・キュウハ沢左俣(トヨ沢)下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/06/24(土)
■山域 東丹沢
■天候 晴れ時々曇り
■メンバー・オーダー(計2人、敬称略)
CL丸山  SL久光
※時々入れ替わりあり

■総評
綺麗なゴルジュや登り応えのある滝、美しい尾根などがあり、適度な難易度と癒し要
素とを併せ持つ良い山行であった。ヤマビルの多さと長いアプローチは煩わしかった
が、それを乗り越えてでも行って良かったと思う。

■GPSログ
https://yahoo.jp/GHtzEh

■時間
7:54 塩水林道ゲート
8:37-42 キュウハ沢出合の橋(入渓準備)
9:00 キュウハ沢ゴルジュ入口
9:28 四町四反ノ沢出合
10:56-11:06二俣
11:36-12:26 12m滝
12:56 遡行終了
13:18-37 尾根上で昼食休憩
14:00 キュウハ沢左俣(トヨ沢)下降開始
14:49 二俣
15:57-16:48 キュウハの大滝
17:22-17:31 キュウハ沢出合の橋(沢装備解除)
18:08 塩水林道ゲート
■行動記録(敬称略)
※遡行図は丹沢の谷200ルートを使用
・塩水林道ゲートまで
家を出るのが少し遅くなって海老名駅着が7分遅れそうになるが、直前に久光から連
絡があり、遡行図印刷のため駅ロータリーではなくセブンで合流したいとのこと。セ
ブンであれば違う道から行ったのだが…。結局予定より10分以上遅れて駅前のセブン
を発ち、運転50分弱で塩水橋へ。県道70号線は道が狭い割に交通量が多く、見通しも
悪いので注意が必要。塩水橋周辺駐車スペースは人気のわりに駐車可能台数が少な
く、一杯を覚悟していたがそれほどではなかった。
・林道歩き
今回の沢の最大の欠点は長い林道歩きである。結構本気で歩いたが43分かかった。途
中、木苺を食べるという楽しみもあったが、林道歩きが面倒なことには変わりない。
昔はこの林道も一般車が通れたそうであるが、道は整備されているのに現在通行止め
なのは大変もったいない。せっかくのインフラを生かそうという気の全くない行政に
は呆れるばかりである。玄倉林道もそうだが、休日のみ有料道路として通行可能にす
るなど、行政と市民がウィンウィンになれるような施策はいくらでも考えられるはず
だ。
・堰堤群
キュウハ沢出合の橋で入渓準備の後、右岸から踏み跡に入る。途中、農工大の研究室
が設置したセンサーカメラがあり、わざと写り込む。踏み跡をたどると1つ目の堰堤
の上に出て、少し進むと2つ目。右に梯子があり、高度感はあるが容易に越える。3
つ目と4つ目も左岸から簡単に越え、有名な戦闘機エンジンを探す。遡行図を参考に
左岸枝沢手前を探したが見つからないので諦めて進むと、5つ目の堰堤直前にそれは
あった。どうやら後藤さんの遡行図も完璧ではないようで。ゴミなのか供え物なのか
分からないような缶や瓶、文字の完全に消えた木柱があり、さびれた雰囲気。5つ目
の堰堤も左岸から越える。どの堰堤に梯子があるのが好ましく、ヌク沢(の工事発注
者)にも見習ってほしい。
・ゴルジュ
堰堤群を超えてゴーロを少し歩くと、ゴルジュになる。水量も多く迫力があってなか
なか美しい。最初の3m滝は水流左を直登(容易)。次の4m滝は釜を横切ってから水流
右を直登できるようだが、胸まで浸かりそうなのでやめて、右岸の岩を登ってから巻
く。取り付きがやや難しく、3級+。久光にお助け紐を出した。巻いた先はすぐに沢床
に降りて、続くナメ滝を登り、すぐに表れる3m滝は右壁を登る。さらに2m滝を左側か
ら登ったが、続くゴルジュ出口の4m滝は直登できそうにないので、少し戻って右岸の
岩を登り、これを高巻くと、四町四反ノ沢出合。古い本によればこのゴルジュ出口の
滝は落水覚悟で直登できるらしいが、泳がないと取り付けなさそうであるし、この時
期には挑戦したくない。
 ゴルジュ内で久光は足を何度か攣っていて、その先の遡行が危ぶまれたが、ゴル
ジュ突破後はほとんど発生せず、大丈夫であった。
・四町四反ノ沢二俣まで
低い石積み堰堤を一つ直登し、しばらくはゴーロが続き平凡。やがて現れる4m滝は問
題なく越え、またのゴーロを歩くと、2段8m。遡行図通り左チムニーを登るが、4級-
あるらしいので一応ロープを出す。丸山リードで取り付き、途中1つカムを決めて登
るが、途中で少し右にそれて水流左側を登った結果、4級-はなく、3級+程度。滝上に
は支点がないのですぐ上にある4m滝(遡行図には4級-とあるが実際は3級-程度)も登
り、左岸の立ち木で終了点作成。続いて久光が登ったが、カムの回収の仕方をちゃん
と教えていなかったため手間取った。その後も小滝やゴーロが続いたが、特筆するよ
うなものはなく、楽しく登っていくと二俣に着き、小休止。
・12m滝まで
右俣に入ると小滝が続き、楽しく登っていくと、急に水量が減ってハングした8m滝出
現。明らかに直登できないので、遡行図通りに右岸のザレを登って高巻くことにする
が、ズルズルと悪いので、1人ずつ登る。登ってからトラバースに入るが、トラバー
スに移る部分が分かりにくく、後から来た久光は高く登りすぎてしまい、苦労してい
た。この沢の難所の1つ。すぐ上の5m滝は容易に直登し、12m滝が見える。
・12m滝
一般には高巻きが推奨される滝だが、一部登攀記録もあり、今回まだ物足りなさも
あったので、直登することにする。ルートは、右壁から取り付き、中ほどで水線に入
り、そのまま落口へ。途中ハーケンを1枚打ったが、岩が脆いため効いているかどう
かは疑わしい。水線に入るあたりでもう1枚ハーケンを打とうとするが、ハーケンを
打つことで亀裂が広がり落石が誘発されたため、諦めてランアウト。水線に入ると岩
は安定して登りやすくなるが、冷たさと見え辛さは増すので結局厳しい。高度感もか
なりのもので、恐怖感抜群。全体としては4級程度のクライミングだが、残置は見当
たらなかったし、水をかぶるので、沢で登る滝としてはかなり難しい部類である。自
信がなければリードでは登らないほうが良い。
左岸の立木で終了点を作って、ハンマーは1本だけなのでロープでハンマーを降ろし
てから、久光の登攀開始。登る距離も長く、やや難しいクライミングであるため時間
がかかったが、ノーテンションでクリア。
・遡行終了まで
水量は減っているが、その後も小滝が続き、楽しい沢登りを続けていく。途中、落ち
口にCSのある6m滝は、CSの処理がやや厄介で、久光にお助け紐を出した。遡行図には
4級-の滝があるように書かれているが、どれがその滝か分からないうちに越えてしま
い水涸れとなった。
・中間尾根まで
キュウハ沢下降のため、左岸へ詰めたい。水涸れした場所で左岸を見ると、ちょうど
取り付きやすい感じだったので詰めに入ると、極めて踏み跡がしっかりしている。ど
うやら鹿道のようで、鹿糞も多いが、踏み固められているため非常に歩きやすく、拍
子抜けするほど楽な詰めとなった。尾根が広くなってきて平坦になるとさすがに鹿道
は分散してしまい、ふくらはぎ丈程度の笹薮となる。鹿により刈り揃えられているの
かもしれない。尾根上は穏やかなブナ林となっており、非常に雰囲気がいい。そろそ
ろ下降に入ろうというところで大休止、虫がうるさい。
・キュウハ沢左俣(トヨ沢)まで
詰めの時ほどいい鹿道は見当たらず、適当に小尾根やガレを下っていくと、水が少し
だけある左俣左沢に出た。超標準的な沢下降の始まりという感じ。
・キュウハ沢左俣(トヨ沢)
左俣左沢を少しだけ下降すると、ガレ沢である左俣右沢が合流してくる。右沢に多量
の湧水があり、水量は大幅に増加するが、ゴーロが続く。暫くして2m樋状、7m滝を下
り、やがて現れるのは2段10m滝。ずるずるで悪いが、左岸を巻き下る。直登は厳しそ
うである。その後すぐに本流へ合流。
・キュウハ沢大滝まで
なぜか遡行図に書かれていない幅広4m滝は、丹沢の沢にはあまり無いような滝で印象
的。暫く淡々と下っていくと、5m滝があって、下れないので、左岸を高巻く。特に難
しくはない。その後、沢はゴルジュ状になって、水量も多いのでなかなか美しい。ゴ
ルジュ内2段7m滝は右岸を巻けるように遡行図には書いてあったが、試みたものの岩
壁下りとなり厳しいので、途中から懸垂下降。ゴルジュは終わり、比較的美しい渓相
の中下っていくと、大滝の上に着く。
・キュウハ沢大滝
とりあえず45mロープで懸垂下降してから30mロープで登攀してみることにして、左岸
の立ち木に45mロープをセット。左岸を懸垂下降すると、残置ハーケン発見。この滝
の一般的なルートは左チムニーだが、右壁も登る人がいるようである。無事下降し、
丸山リードで左チムニーに取り付くが、テイクオフから意外と難しい。残置は多く、
中間視点も取りやすい。A0できるようにスリングも垂れているが、使わずに登った(4
級-)。終了点として良いのがないので、残置ハーケンとごついカラビナのようなもの
を終了点とし、続いて久光が登る。しかしどうもチムニーの登攀に慣れていないせい
か、手間取り、体の向きを変えた瞬間に落ち、テンション。ここで戦意喪失し降りた
いとのことだが、ルベルソがロックしてしまい降ろせない。ロック解除の方法を知っ
ているつもりだったが、やっても解除できず、帰って調べてみるとどうやら方法が
違った。一度テンションを外してもらって何とかロープが出るようにし、久光はクラ
イムダウン。丸山は再度懸垂下降し、大滝で遊ぶのは終了。
・林道まで
四町四反ノ沢出合の下のゴルジュの下降は面倒そうなので、左岸の作業道で下ろうと
するが、所々テーピングはあるものの、意外と不明瞭。途中で見失ったが、右岸枝沢
を下ってゴルジュの巻きには成功。その後は5連続堰堤を淡々と下って林道に出た
が、もう5時半近くにもかかわらず、上流へ向かう釣り人とすれ違ったのは意外で
あった。
・林道
林道に出て沢装備を解除するが、対策していなかった久光はヤマビルまみれである。
気を付けていた丸山は被害なし。林道歩きも下りは登りよりだいぶ楽。あまり急がず
に下っても、40分ほどで車に着いた。

■備考
・山行中、出会った人は夕方の釣り人のみ。駐車場の人気さからすると意外と少な
い。
・ヤマビルの多いところで、下山後の久光は5か所ほど吸血され、20個体以上付いて
いた。丸山は腹部を噛まれそうになったが、その前にはがした。ヤマビル対策をした
かしないかの違いである。
・カムやハーケンを中間支点として使用したのは初めてであり、いい練習になった。
・四町四反ノ沢の「四町四反」は、昔、その流域で植林された面積らしい。別名は手
沢。

■コメント
・集合場所の変更を希望する場合は早めに連絡をお願いしたい。
・ハーケンを打つならやはりハンマーは2本用意しておくべき。共装の2本はセットで
運用したほうがいいかもしれない。

■反省
・沢の登攀でロワーダウンをする機会は滅多にないが、今回その必要があったのにで
きなかった。ビレイデバイスの用法は熟知しておく必要があり、今後御殿下で練習し
ておこうと思う。

■沢の評価
【東丹沢】
相模川系中津川本谷川・キュウハ沢四町四反ノ沢右俣 170624遡行 [raicho ]
2級上(12m滝直登で)、水量中~極小、綺麗1、登攀2+、珍奇0+、辛苦1+、推奨2
キュウハ沢本流の立派なゴルジュの突破から始まり、数多くの小滝を直登できる佳
渓。12m滝は難しく、これを登ると2級上。詰めは、鹿道をうまく辿れれば非常に楽で
ある。アプローチの長い林道歩きとヤマビルの多さのせいで遡行者を遠ざけている気
がするが、一登の価値あり。

相模川系中津川本谷川・キュウハ沢左俣(トヨ沢) 170624下降 [raicho ]
2級、水量中~小、綺麗1+、登攀1+、珍奇1、辛苦2、推奨2
四町四反ノ沢より水量は多く、景色はよい。ゴルジュの突破や、大滝の登攀は楽しめ
る。4m幅広滝は特徴的。アプローチの林道歩きがなければ非常にいい沢だが、この面
倒さで遡行意欲がそがれる。詰めは長く大変そうである。水量が多い沢なのにヤマビ
ルが多いため、遡行適期がない。トヨ沢は一般的でないが、遡行価値は本流より多少
劣る程度か。