2017/7/9 峰谷川坊主谷・坊主小屋沢遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
峰谷川坊主谷・坊主小屋沢遡行計画書
作成者:久光
■日程 : 2017/7/9(日)
■山域 : 奥多摩
■在京本部設置要請日時 : 2017/7/9 20:00
■捜索要請日時 : 2017/7/10 8:00
■メンバー(計4人)
CL久光 SL丸山 谷口 吉田

■集合
7/9(日)
6:30 西武池袋線小手指駅北口ロータリー
または
7:15 JR青梅線東青梅駅北口ロータリー

■交通
□行き
東青梅駅—(久光車)—坊主谷出合(約1:20)
□帰り
坊主谷出合—(久光車)—東青梅駅(約1:20)

■行程
坊主谷出合—(3:30)—終了点—(1:50?)—入渓点(計5:20)
※時間と余力があれば鷹ノ巣山往復
鷹ノ巣山避難小屋より山頂まで往復1時間
※体力、力量、時間的に問題がなければ奥集落方面には行かず、浅間神社付近から西南西~南西に延びる尾根で林道へ下山
・参考:「奥多摩・大菩薩・高尾の谷」p38

■エスケープルート
坊主小屋沢出合まで:引き返して右岸の林道から入渓点へ。
坊主小屋沢出合から標高1300m地点付近まで:1150m付近取水堰より水源巡視路で浅間神社経由奥集落へ
1300m地点付近以降:
左岸の尾根に上がり登山道経由で奥集落へ。
※ただしメンバーの状況次第では積極的に水源巡視路—浅間神社—南西尾根で入渓点へ下山

■地図
2.5万分の1地形図「奥多摩湖」「丹波」
エアリア「奥多摩」

■備考
□日の出・日没
7/9 日没 東京 19:00
7/10 日の出 東京 4:34

□警察
青梅警察署 0428-22-0110

□悪天の場合
前日17:00までに判断

峰谷川坊主谷遡行記録
■作成: 久光
■日程: 2017/7/9(日)
■山域: 奥多摩
■天候: 晴
■メンバー: CL久光 SL丸山 谷口 吉田(雷鳥外)

■行動記録
8:58 駐車地点発
9:06 坊主谷出合
9:33 小ゴルジュ
10:36 7m滝上
11:28 五連瀑1段目5m
12:32 二俣
13:49 取水槽
15:01 浅間神社
15:43 林道
15:49 駐車地点

■記録
ふじみ野の実家を6時に出発。6時半に小手指駅で谷口と吉田を、7時半に青梅市梅郷の都営駐車場で丸山を拾う。青梅から峰谷までは50分弱で、かなりスムーズに走行できた。峰谷からの峰谷林道の路盤はだいぶ悪く、たまに底をする嫌な音がする。入渓点まで行っても帰りに歩く距離が長くなるだけなので、エスケープルートにしておいた尾根の突端付近の広くなっているスペースに駐車する。入渓点も近いので入渓準備をし、沢装備で出発。

10分弱歩いたところで、坊主谷出合の橋から入渓。先週の鬼石沢と比べれば水量は大分多い。少し濁った水に、黒光りする岩が奥多摩を感じさせる。出合すぐの堰堤二基は簡単に越えられた。遡行図ほどすぐには滝が出てこず、30分ほどの単調な河原歩きの末、ようやく小ゴルジュに着く。
小ゴルジュの小滝群は、水線突破の方針で丸山から1段目の滝を登る。しかし、お助けありでも吉田は苦戦していたので、丸山、谷口は水線沿いを登り、久光、吉田は右岸の巻道から巻いた。巻き道は明瞭。途中、バンドを伝ってゴルジュ途中の滝上に降りようとしたが、吉田には微妙かなと思い、大人しく最後まで巻く。丸山、谷口も問題なく通過。

その後は小滝が小気味よい間隔で続き、アスレチック的で楽しい。3×7mは、吉田のみお助け紐を出す。基本的に初心者のみお助けを出すか出さないかレベル。
7m滝はロープを出し、久光リード、谷口、丸山、吉田の順で水流左側を登った。滝上で谷口に支点構築とビレイの講習を行う。

その後、いくつか小滝を登って五連瀑。3段目までは簡単に越え、4段目12m大滝は右から。右壁を少し登ってバンド状を通り水流右側に出る。久光リード、谷口、丸山、吉田の順で登り、残置と木で二か所中間支点を取った。グレードはⅢ級程度。5段目は右が簡単だが、左を丸山について吉田が登った結果詰まってしまい、久光が上からお助け紐を出す。

五連瀑を過ぎると二俣で、1:1で流入する左の中ノ谷には大きなワサビ田跡があった。二俣より先も登れる小滝が断続的に出てくるが、水量が減り、ワサビ田跡が増えてくる。途中、小廊下状になっている箇所は少し興味深い。少し飽きてきたころに奥集落の簡易水道の取水槽が出てくる。エスケープルートとして設定しておいた水源巡視路の起点である。

これより先、上流は遡行図によれば平凡であり、尾根までつめ上げるモチベーションもないので、水源巡視路で下山することとした。この道は奥集落へつながる水道のパイプに沿って作られている。なお、もともとの計画書では「峰谷川坊主谷坊主小屋沢遡行」としていたが、そういえば坊主小屋沢とシダノ沢の合流地点は取水槽より上流なので、坊主小屋沢は結局遡行しなかったこととなる。

水源巡視路は、随所に鉄パイプと鉄板で組んだ桟道や階段が組まれており、一般登山道とは違う雰囲気を醸し出す。桟道は傾いて崩落寸前、トラバース道も大分崩壊しつつあるので、決して歩きやすい道ではない。ただし、かなりの区間で鎖による手すりもあり、2017年現在では、極端に危険な箇所はない。
一度、高度感のあるルンゼを渡るところで吉田が足をすべらせ、滑落しかけた。鎖に掴まって事なきを得たが、かなりひやりとした。
右手が植林帯になると、道も現役の作業道になり、それなりにしっかりしてくる。やがて浅間神社の鳥居の前で、ちょうど尾根筋から奥集落方面へ曲がる登山道と合流する。小休止して、我々は車が停めてある尾根の先端を目指して、道のない尾根を下る。尾根は少し滑りやすいが、歩きにくいほどではない。先端近くになって斜度が増したため、作業道に沿ってトラバースし、植林地を少しだけまっすぐ下って林道着。歩いてものの5分ほどで駐車地点に着く。

林道沿いの峰谷川はそこそこ遡行価値のありそうな渓相で、駐車地点の直下には5mほどの滝があった。少しだけ滝壺に飛び込んでみるなどして遊び、下降で火照った体を冷やす。その後車で、今回の水源巡視路の終点であり、東京都では数少ない「天空集落」の奥集落に立ち寄ってから帰路についた。
(滝名称は『東京起点沢登り120』に対応)

■反省
・遡行図を忘れたのは猛反省。
・吉田が落ちかけたのは、傾いた桟道の連続が終わり、少し歩きやすくなったところだった。気が抜けてしまい、少々油断が生じていたかもしれない。もっと注意喚起すべきだった。
・今回に限った話ではないが、特にバリエーションの場合、継続的に参加するのであれば主体性を持って行動するのが大事。経験者とはいえ間違った判断や行動をするリスクはある。現在地同定やルート判断など、自分でも考えて口に出してみるのが重要。ただ漫然と誰かについていくだけでは、誰かの誤った判断で自分の命も危険にさらすことになる。沢は危険なところであるという自覚は常に持っておいてほしい。

■感想・備考
・初心者を連れていくには手頃な良い沢だった。アクセスに劣るためかそこまで人気はないが、水根沢より余程よい。水量も多く、夏は特に楽しめる。奥多摩はまだまだ開拓しようがあると思った。
・下りの奥集落へつながる水源巡視路は、大分崩れかけていたが、かつての山の暮らしに思いを馳せるにはよい道だった。