2017/7/29 大久保沢遡行・西沢渓谷探勝
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
大久保沢遡行・西沢渓谷探勝計画書
作成者:丸山
■日程 7/29(荒天の場合翌日に延期)
■山域 奥秩父
■在京本部設置要請日時 7/29 20:00
■捜索要請日時 7/30 10:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL木口 久光 山本
■アプローチ
相模湖駅前ロータリーに6:53に集合し,西沢渓谷駐車場まで丸山の自宅車で(80分程
度・高速代580円)
■行程
西沢渓谷駐車場-50-鶏冠谷出合-60-ホラの貝沢出合-150-ホラの貝ゴルジュ出口-60?-
鶏冠谷出合-20?-大久保沢出合-60-軌道跡-60?-西沢渓谷駐車場
(計5:20+2:20?)
https://yahoo.jp/h04UDV
※時間か体力に余裕がなければ、大久保沢はカットする
■エスケープルート
引き返して遊歩道で戻る
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「金峰山」
山と高原地図「金峰山・甲武信」または「雲取山・両神山」
遡行図:奥秩父の谷100ルート P.56 P.66
■遭難対策費
100円×4人
計400円
■備考
日の入(7/29)18:53
日下部警察署 0553-22-0110
大久保沢遡行・西沢渓谷探勝記録
作成者:丸山
■日程 2017/07/29(土)
■山域 奥秩父
■天候 雨時々曇り
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
CL丸山 山本 久光 SL木口
※時々入れ替わりあり
■総評
空梅雨だからと油断していたら大増水していて撤退を余儀なくされ、結局おまけ程度
に考えていた大久保沢を遡行した後、西沢渓谷を探勝した。大増水の西沢渓谷は恐ろ
しいほどのド迫力であり、それを体感できた点で、雨中の山行としては悪くなかっ
た。しかし、ホラの貝はおそらく来年まで持ち越しとなり、以前から楽しみにしてい
ただけに残念である。
■GPSログ
https://yahoo.jp/blHeR9
■時間
8:27 西沢渓谷駐車場発
9:07-24 鶏冠谷出合で入渓準備
10:00 6m滝上より撤退開始
11:35-12:32 大久保の滝
12:58 大久保橋(遡行終了)
13:44 七ツ釜五段の滝
14:35 三重の滝
15:28 駐車場着
■行動記録(敬称略)
※遡行図は奥秩父の谷100を使用、滝の落差も同書籍による。
・西沢渓谷駐車場まで
予定時刻少し前に相模湖駅前に着くと、既に木口と久光が待っていて、随分早い電車
で来たらしい。山本はこちらが想定したぎりぎりの電車に乗ってきたが、前以て地図
で示したにもかかわらず違う場所へ行き、結局遅れての合流。相模湖ICから中央道に
乗って、高速代節約のため大月で下り、一般道で。フルーツラインは相変わらずの快
走路でスピードを出したくなるが、[お察し下さい]山本が止めてくるため、中途半
端なスピードになる。
・鶏冠谷出合まで
駐車場から直登して上の道路へ行き、少し歩くと名もないような小さい枝沢が右手に
見えたが、濁流になっており、不穏である。ナレイ沢も心なしか濁っている。ここは
まだ電波が通じるので24時間雨量を調べてみるが、周辺の観測所では昨日は雨は殆ど
降っていないようだ。トイレに着くころ雨が降り出し、用を足したあと少し様子を見
る。近くにある古いネトリ吊橋を見てみたところ、踏板の多くが脱落し、先日行った
秩父にある「無能吊橋」さながらの「無能」さである。高度も相当あり、渡るとすれ
ば同等の恐怖感がありそう。雨はすぐに止むわけでもなさそうなので歩を進めていく
が、いつもは清冽な水が流れているはずの笛吹川が何か濁っており、不安感が高ま
る。この辺で局地的な豪雨でもあったのだろうか・・・。とりあえず進んで鶏冠谷出
合に着くと、最近架けられた橋があるが、対岸の陸地であるはずの部分に水が流れて
おり、明らかに水が多そうである。とはいえ遡行を試みることにして、ここで入渓準
備。
・6m滝まで
明らかに増水している雰囲気だが、とりあえず遡行に問題はなく、最初の6m滝下に辿
り着く。豪瀑。左壁の斜上するクラックを登るのが通常の登攀ルートだが、今日はそ
こにも水が流れており、クラックの下も怒濤の滝壺と化していて取り付けそうにもな
い。既に今日の東沢本流が遡行不能なのは目に見えていたので、ここで撤退しても良
かったが、右岸の岩がちょうど登れそうなので、せっかくなので登ってみる。ホール
ドが細かく少なめで適度に難しい(Ⅳ)。練習のため、後続もお助け紐で確保して登
る。ここからさらに進むか検討したが、流されたときにこの6m滝を落ちる可能性があ
るのがリスクであると判断し撤退開始、ここから懸垂下降。綺麗な岩壁なので、割と
気分よく懸垂下降できた。
・徒渉訓練
このままでは時間が余ってしまうので、せっかく増水した東沢本流を生かし、久光の
提案で徒渉訓練を行うことになる。ここは電波が通じるので末端交換三角法を調べ、
実践。時間はかかるが、安全性は確かに高そうである。また、4人組でのスクラムや2
人組での肩組みによる徒渉も試し、単独での徒渉の場合と比較したところ、確かに多
少は安定感があるような気がした。
・大久保の滝まで
徒渉訓練の後は淡々と西沢渓谷歩道を歩き、歩道から大久保の滝が見えたところで
50mほど引き返して、ルンゼを下った。最後だけ厳しい地形となり、6m程度懸垂下
降。西沢本流は東沢本流よりなぜか水温が低く冷たいが、少し遡ると大久保の滝。観
瀑台から見ると結構立派な滝のようだが眼前にすると小さく傾斜も緩い滝で、15m程
度か。木口のビレイで丸山が取り付く。下部は水線を直登し、濡れるが易しい。中間
のテラスで立ち木から支点を取って、そのまま右壁を登ろうとしたが、スタンスが崩
れてフォール、テラスに落ちる。もう一度右壁に挑戦するが、やはり難しいのでやめ
る。メガネをゴーグルにかえて水流をくぐり、左壁を登って(Ⅲ+)、立ち木を終了点
とした。久光、木口、山本の順で登り、この沢の核心終了。
・大久保橋まで
大久保沢は、遡行図には釜やナメや小滝が書いてあるので、そんなにつまらなくもな
いだろうと思っていたが、何もない。倒木の多い単調な沢歩きを30分弱こなして、大
久保橋に上がった。雨が強くなってきたが、このまま帰ったら早すぎるし、せっかく
増水した西沢渓谷を見たいので、帰りたがる山本をスルーして西へ向かう。
・七ツ釜五段の滝まで
この遊歩道は森林軌道の跡地であり、随所にその痕跡が残されているため、多少は面
白みのある道。大雨の中帰ってゆく可哀相な観光客を尻目に、雨なんて無関係な格好
をしている我々は渓谷へ向かう。遊歩道としての軌道跡終点にはトイレがあり、その
奥にはその筋では有名な「この先通行不能」看板があった。この奥にも軌道跡は続い
ているが、崩壊地が多く、篤志家のみに許される領域である。そのうち行ってみた
い。軌道跡を離れて下ると歩きやすい木の階段となっており、整備のありがたみを実
感。沢沿いに降りるとまずは不動滝を遠望し、続いて現れるのが七ツ釜五段の滝。日
本の滝100選の1つで、釜と滝との共演が素晴らしい。普段は碧く透明感な水が滔々と
流れているはずだが、今日は茶色味がかった水が轟々と流れ、大迫力である。こんな
滝壺に入ったら流れから出られずに死にそうだと思ったが、この先もそんな滝壺だら
けであった。
・三重の滝まで
七ツ釜五段の滝から少し下ったところで瀞があり、突破が面白そうだったので泳いで
みたが、浅くて簡単に突破できてしまい面白くない。カエル岩は結構カエルっぽい。
母体淵はいかにも抜けられなさそうな滝壺で恐ろしげ。続いて落差1mくらいのナメ滝
と釜があったので、滝壺の流れを体感するために丸山と久光はお助け紐をつけて泳い
でみた。反転流は足のつくところへ流れるため問題ないが、滝の直下のサラシ場には
複雑な流れがあり、入ると浮き沈みを繰り返して身動きが取れない。結局お助け紐に
引っ張られて脱出したが、何もつけずに入れば簡単に死にそうであり、滝壺の恐ろし
さを実感できた。体格差を考え、久光は滝直下には入らず。山本と木口は見ていただ
けだったが、見ただけでも恐ろしさはある程度伝わったものと思う。その先貞泉の
滝、竜神の滝と見ごたえのあるゴルジュが続き、釜には白泡が満ちていて美しくも恐
ろしい。あまりフグらしくもないフグ岩やよく分からないウナギの床も通過すると分
岐があり、下方向に三重の滝の観瀑台があるとのこと。行ってみると、三重の滝自体
はさっきからたくさん見てきた多くの滝と変わらず(とはいえ大迫力)だが、その下
の廊下状ゴルジュが綺麗な切り立ち方をしていて凄い。何だか突破欲に駆られるゴル
ジュだが、同じことを考える人はいるようで、突破記録があった
(http://ricky3211.web.fc2.com/article20120616nisizawa.html)。
・駐車場まで
三重の滝から少し進むと先ほど登った大久保の滝の観瀑台であり、そこからは朝歩い
た道を引き返すだけである。相変わらずの雨の中なぜか西沢渓谷方面へ向かう1グ
ループを除き閑散としている道を淡々と歩き、駐車場に戻った。
・相模湖駅まで
今日も中央道は渋滞していて一般道より少しも早くならないらしいので、相模湖駅ま
で一般道。丸山が運転すると山本に怖がられそうなので、久光が運転した。
■備考
・徒渉訓練できたのは良かった。末端交換三角法は、徒渉する沢の幅のわりに長い
ロープを必要とするが、2本連結でも可能と思われる。また、結構時間がかかる。
・帰ってから調べたところ、前夜と朝4時台頃に局地的な大雨が降っていたようであ
る。このような局地的な雨による大増水はこのウェブサイトから知ることができるか
もしれない。
http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/radar/google-maps/
・徒渉訓練中わざと流されてみたり、お助け紐をつけて渦巻く滝壺に入ってみたりす
るという、安全を期したうえで危険を体感するのは、危険意識を正しく持つうえで有
意義である。
・西沢渓谷は山というよりは観光地で、すれ違いに挨拶をするようなところではない
かもしれない。
・この七ツ釜五段の滝で丸山は46つ目の日本の滝100選。
・西沢渓谷でキャニオニングやラフティングをするなという掲示があり、キャニオニ
ングはともかくとしてラフティングなんて誰がやるんだよと思ったが、記録があって
驚いた。http://class-5.blogspot.jp/2013/11/blog-post_18.html
■コメント・感想
・集合場所はきちんと確認しましょう。[検閲により削除]
・絶対にリベンジしてやる。https://yahoo.jp/0-JakY
■沢の評価
【奥秩父】
富士川系笛吹川西沢大久保沢 170729大久保橋まで遡行
1級上、水量小、綺麗0+、登攀1+、珍奇0、辛苦1+、推奨0+
遡行記録の少ない沢で、奥秩父の谷100ルートに掲載されているのみ。西沢への合流
点にある大久保の滝15mだけの沢で、遡行図に掲載されているような釜やナメ、小滝
は見当たらず、遡行価値は全くない。大久保の滝はそれなりに登り応えもあるので、
この滝だけ登攀して下降することを推奨する。
富士川系笛吹川西沢渓谷歩道 170729歩行
水量極大、綺麗3、登攀0、珍奇3、辛苦1、推奨3
日本の滝100選にも選ばれている七ツ釜五段の滝を含む西沢渓谷は、非常に素晴らし
い渓相である。こんな沢を遊歩道で安全に楽しめるというのはお得であり、沢や滝が
好きな人は必見である。部分的には遡行・登攀を楽しむこともできるらしい。駐車場
からのアプローチが意外に遠い。