2017/8/17 中ノ沢・湯ノ沢遡行・下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
中ノ沢・湯ノ沢遡行・下降計画書
作成者:久光
■日程 : 2017/8/17(木)
■山域 : 八幡平
■メンバー(計4人)
CL久光 SL丸山 迫野 木口
■集合
□東京出発組
8/16(水)
22:30 バスタ新宿 4F高速バスターミナル

□現地合流組
8/17(木)
6:15 JR盛岡駅西口ロータリー

■交通
□行き
・東京出発組
8/16 22:50 バスタ新宿—(KBライナー301便 秋田行)—8/17 6:00 盛岡駅西口バスターミナル

・合流後
JR盛岡駅西口ロータリー—(丸山車)—曽利滝駐車場 約1時間

□帰り
曽利滝駐車場—(丸山車)—宿泊地

■行程
□湯ノ沢遡行
曽利滝駐車場—(0:30)—トキワ沢出合—(0:20)—970m滝マーク—(0:30)—1050mハング滝—(0:50)—湯ノ沢・登山道旧道出合—(0:40)—避難小屋—(0:45)—秋田焼山—(0:35)—登山道旧道-

□トキワ沢下降
湯ノ沢・旧道出合—(1:30?)—中ノ沢出合—(1:00?)—曽利滝駐車場

時間があれば曽利滝まで下降の上、曽利滝懸垂下降を検討。

※コースタイムはmugen3.com/kitatouhoku25.html参照
■エスケープルート
湯ノ沢・登山道旧道出合—(0:50)—地熱発電所—(1:05)—曽利滝駐車場

■地図
map25000より作成

■備考
□日の出・日没
8/18 日の出 盛岡 4:50
8/18 日没 盛岡 18:28

□警察
仙北警察署 0187-53-2111

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
中ノ沢・湯ノ沢遡行・トキワ沢下降記録
作成者:久光陽太

■日程 : 2017/8/17(木) 日帰り
■山域 : 八幡平
■メンバー(計4人)
CL久光 SL丸山 〇迫野 〇木口

■天気
曇り

■行程
9:15 駐車場発
9:20 入渓点
10:20 20m大滝(970m地点)
10:57 20m大滝上
12:10 ハング滝7m
 13:40 登山道出合
14:27 トキワ沢出合
15:35 湯ノ沢出合
17:19 曽利滝上
18:10 曽利滝駐車場

■記録
そもそも今回の計画は、丸山・迫野が生物採集を兼ねて東北遠征をするというので、それに便乗して東北の泊まり沢に行こうという企画だった。元々の行き先は八幡平・葛根田川。久々の泊まり沢に大分前から心は踊っていたが、梅雨空のような悪天続きの今夏、果たして予報は雨。中止か様子見か、直前まで迷う。
 結果、雨の降らない秋田方面への転進も視野に、行くだけ行って様子を見ることにする。何も決まらないままバスタ新宿から木口と夜行バスに乗り、固い座席の上で何度目かに目覚めるとそこは盛岡だった。
 盛岡駅前で丸山車と合流。車上で改めて予報を見るも、岩手の天気は好転せず、葛根田川は断念する。転進する沢の候補は前日に絞った虎毛川と湯ノ沢。結局、近い日帰り沢で、より雨の影響を受けなさそうな湯ノ沢に決定した。
 盛岡駅から入渓点の曽利滝駐車場までは車で約2時間。盛岡からしばらくは断続的に雨が降っていたが、峠を越えて秋田側に入ると止み、晴れ間すら垣間見える。山の中の国道沿いに設けられたささやかな駐車スペースが曽利滝駐車場で、ここに車を停め準備をする。
 道路の反対側から藪を突っ切って入渓。断続的にナメと小滝の連続する美しい沢。水量はそこそこあり、滝はどれもエメラルドグリーンの深い釜を持つ。滝自体の難度は高くないが、取り付くには釜を泳いだりへつったり。夏の沢登りには最高である。上流に温泉があるだけあって、水は少なからず酸味がある。何ヶ所か、小滝の途中や側壁が赤茶色に染まっているところがあり、近づくとお湯が滾々と湧き出ている。さすがは温泉の沢である。
 入渓から1時間ほどで地形図に滝記号のある20m滝に到着。この滝は上部がハング気味になっており、水線右側から右ルンゼにエスケープするのが一般的らしい。登攀は一筋縄にはいかなかった。
 今回は、丸山トップで迫野・久光・木口の順に直登を試みた。丸山は水中メガネをフル活用し、シャワークライミングで上部のハングを越えて滝上へ抜けることに成功。しかし、アッセンダーで登った迫野は、落ち口で岩に引っかかったロープに邪魔され、ハングを越えられない。
 会話しようにも滝音で何も聞こえないので、久光が途中まで登っていってロープをもらい、改めて右ルンゼから攻めることを試みる。ただ右ルンゼも微妙で、灌木伝いの嫌な登りを強いられる。最上部のハングを木の根伝いに越え、木イチゴの藪でボロボロになってようやく抜ける。
 再び美しいナメと小滝を楽しみつつしばらく進む。この沢最後のハング滝7m(1050m付近)はロープを出し、久光リード・迫野ビレイで水流右側を登る。テラス状の部分が逆層で少し怖いがホールドはたくさんある(Ⅲ)
滝を越えると周りの木は低くなり、水が酸味を増し、水温もいよいよ高く、温泉の沢という雰囲気を増す。やがて岩には黄色い硫黄がこびりつきはじめ、水はエメラルド色に変わる。水温は40℃程度。小滝の釜でお湯に浸かるなどして冷えた体を温め、温泉を全身で楽しむ。
 登山道出合付近で水は消え、荒涼としたガレ歩きになる。所々に噴気口があり、白煙こそ出てはいないが熱気を感じる。中には硫黄の黄色い結晶がびっしりと張り付き、まるで異世界のようである。
 頃合いを見てザレの尾根をトラバース気味に越え、反対側へ。そこそこの斜度があり、途中で木口にお助けを出した。
 反対側のトキワ沢は草原の窪地に始まり、徐々に高度を下げていく。湯ノ沢と異なり水温は高くなく、目立った滝もない。ただし、水の透明度はとても高く美しい。1時間ほどで湯ノ沢出合についた。湯ノ沢は登ってきた美しい小滝やナメを飛び込みやスライダーを繰り返しながら下り、大変爽快。
 丸山の希望により曽利滝も探勝することになっていたので、最初の入渓点を越えてもしばらく下る。やがて沢は柱状節理の六角模様の中を流れ、曽利滝に吸い込まれる。滝上は、ウォータースライダーのようなトイ状のスラブから、直上で柱状節理のナメになっている。右岸のへつりから、ナメに転じたところで慎重に流れを越えて左岸に移り、突端の木を支点に曽利滝を懸垂下降する。ロープは30m2本を結んで使用。曽利滝は大きくハングしているため、途中から派手な空中懸垂になり、ロープの長さギリギリで下についた。
ロープを回収し、滝を俯瞰する小尾根につけられた道を歩けば、10分ほどで駐車場着。充実感とともに車に乗り、花輪市街に下山した。

■反省・感想・備考
・20m滝で途中から巻きに変えた判断は微妙だった。
・火山のリスクについてどう考えるかという点に、全く無頓着に登ってしまったきらいはある。火山の中でも沢筋は危険地帯である以上、直近の火山活動くらいは調べた方が良かったが、急な計画でそれを怠ってしまった。
・岩にこびりついた硫黄のようなものが物珍しく、触って流すなどして遊んでいたら、強酸性の水に肌がやられた。指の指紋がなくなり、翌日までヒリヒリした。
・ナメと小滝の美しさ、温泉の珍奇さ、下降の楽しさ、どれを取っても最高の沢。