2017/8/18 夜明島渓谷遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
夜明島川左俣遡行・右俣下降計画書 
作成者:丸山
■日程 : 2017/8/18(金) 日帰り
■山域 : 八幡平
■在京本部設置要請日時 : 2017/8/18 20:00
■捜索要請日時 : 2017/8/19 10:00
■メンバー(計4人)
CL丸山 SL久光 迫野 木口

■交通
□行き
鹿角より丸山車で登山口まで

□帰り
駐車地点より丸山車で松尾鉱山経由田沢湖まで

■行程
入山口—(3:00)—右俣・左俣出合
・左俣遡行(2:00)
・右俣下降(2:00)
右俣・左俣出合—(2:00)—入山口

■エスケープルート
右俣・左俣出合:引き返す
右俣・左俣:登山道経由、国道341号(大場谷地)へ。曽利の滝バス停最終: 15:56

■地図
map25000より作成

■備考
□日の出・日没
8/18 日の出 盛岡 4:50
8/18 日没 盛岡 18:28

□警察
鹿角警察署 0186-23-3321

□悪条件の場合
林道が通行止めの場合、大場谷地から入山。

夜明島渓谷遡行記録
作成者:丸山
■日程 2017/08/18(土)
■山域 八幡平
■天候 曇り時々晴れ後雨
■メンバー・オーダー(計3人、敬称略)
SL久光 木口 迫野 CL丸山
※時々入れ替わりあり

■総評
夜明島川は難しい沢で,予定していたような遡下降は全くできず,完全敗北となった。難しい沢というのがどういうものなのかを,併設された遊歩道のおかげで容易に知ることができた点は良かった。日本の滝100選である茶釜の滝を見ることができ,また,途中までではあるが,30m級の滝である白雲の滝にトライできた点も良い経験になった。

■GPSログ
https://yahoo.jp/e--M8g8

■時間
8:05 夜明島林道通行止地点付近駐車スペース発
8:29-50 泊滝(観瀑および巻き)
9:17-23 跳ね滝
10:17-25 白布の滝の沢出合
10:44 二俣
11:14-12:44 白雲の滝(雲上の滝)
12:54 二俣
13:15-45 茶釜の滝
14:14-43 白布の滝の沢の探索
15:43-16:10 泊滝(巻き)
16:30夜明島林道通行止地点付近駐車スペース着

■行動記録(敬称略)
・行先の決定
前日湯ノ沢を遡行した後,翌日の天気予報も不安定な中,鹿角の周辺で行先を考えるが,ピンとくる沢がない。さんざん悩んだ末,沢としての遡行記録は少ないが,日本の滝100選を見られることが約束され,滝巡りを趣味とするCL得の夜明島渓谷を採用した。途中までは遊歩道が整備されているが,左俣・右俣ともに上流部は道がなく,それらの遡下降を企てたが…
・夜明島林道
かなり長いダート林道で,通行止めとなっていることも多いとのことだったが,幸い遊歩道入り口のかなり近くまで車で入ることができ,適当な余地に駐車。路面状況は悪くなく,2輪駆動の一般車で問題なし。遡行準備をして林道を遊歩道入口まで歩くが,通行止め地点より先の林道は荒れ果てていた(歩行には問題なし)。
・泊滝まで
遊歩道の入り口には立派な案内板があるが,遊歩道に入って数分で道は不明瞭となり,ゴーロ歩きとなる。側壁が荒々しく立派になったかと思うと,すぐに泊滝(17m)が出てくる。なかなかの迫力。一見,左からトラバース気味に登れそうにも思えたが,難しそうなのでやめる。しかし後で上からこの滝を見てみると,登れそうには見えなかった。左岸に遊歩道の梯子があるが,傷んでいるため慎重に1人ずつ上がり,高度感のある巻き道をたどっていくと,滝の随分上に出る。ここから梯子を使って滝のすぐ上へとほぼ垂直に降りるが,この梯子がなければ難儀しそうなところであり,遊歩道様々といった感じである。
・畚(もっこ)滝
泊滝の上は樋状の流れで遡行できそうな感じだったので遡行すると,すぐに2段4+7mの畚滝が現れる。上段はともかくとして下段は登れそうだったので丸山が取り付いてみるが,見た目以上に難しく,いろいろなルートを試みたが登れない。諦めて引き返し,この滝も垂直梯子の遊歩道を使って巻くことにする。梯子はしっかり固定されており安心感がある。
・跳ね滝まで
畚滝を右岸から巻くと右岸に大岩壁のあるゴーロが少しあり,すぐに11m樋状の跳ね滝が現れる。整った滝で綺麗だが,明らかに直登はできず,左岸手前から巻く。この滝は遊歩道がなくても巻きやすい滝であろう。
・夫婦滝~虎の尾の滝
続いて現れる2条4mの夫婦滝は,左壁を容易に登る。すぐに4mの禊の滝が現れ,右壁左壁ともに直登可能(Ⅲ)。ようやく現れた登れる滝でちょっと嬉しくなる。が,次の虎の尾の滝(6m樋状)はまたしても登れず,右岸から巻く。すると沢はゴーロとなり,単調なのが結構長い(20分以上)。
・二俣まで
単調なゴーロをしばらく進むと次第に巨岩が現れだし,ナメを交えた巨岩帯となり,少し面白くなる。右岸からは10mナメ滝(白布の滝)として水量のある支流が合流し,見栄えが良い。その後しばらくは簡単な小滝や小釜がいくつも続くような渓相となり,退屈はしないがそれほど面白くもない。正面に大岩壁が見えてくると,二俣に至る。
・白雲の滝まで
もともとは左俣遡行後右俣を下降する計画だったので,右俣を少し偵察にしてから左俣へ入ることにして,右俣へ行く。すぐに左に梯子のついた10m滝が現れ,これより先を偵察するのは大変そうなので,引き返して左俣へ向かう。左俣に入ると6m,2段7m,5mの滝があるが,いずれも遊歩道が脇にあるので容易に越える。丸山は水線直登も試みたが特に問題になるようなものはない。
・白雲の滝登攀
白雲の滝は目測30mほどの落差のある滝で,水量も多く,見栄えのする滝である。傾斜もきつくなく登れそうに見えたので,丸山のリードで右壁に取り付く。下部にハング気味の部分があり少々厄介だが,そこを越えると快適なクライミングで,ハーケンを1本打つ。しかし登っていくにつれて岩が逆層になり難しくなってくるため,右の草付きに逃げつつ,30mロープ一杯のところで立ち木にロープを固定,セカンドの木口の登攀を待つ。この立ち木の場所はあまり安定していないので,さらに安定したところを求めてフリーでもう少し登り,テラスといえるところにもう1本のロープを固定し,セカンドが登り次第このテラスまで来られるようにした。が,全然木口が登って来ず,仕方がないので様子を見に行くと,下部のハング気味の部分が登れないようだった。結局木口はこの滝の登攀をあきらめ,パーティとしても敗退を決断。登攀欲のあった迫野が途中まで登るとともにハーケンを回収し,スリングを捨て縄として残置して懸垂下降。一時的に晴れ間と虹も見え,敗退は残念だったが悪い気持ちはしなかった。
・茶釜の滝
左俣を引き返し,右俣最初の10m滝の左の梯子を上ると,8m滝が現れるがこれも明らかに登れず,またしても梯子を登って巻く。その上の5m滝は右岸・左岸ともにへつりながら登れたが,すぐ上の4+7m2段滝はまたまた登れない滝で,右岸から遊歩道を使って巻く。すると目測70m程度の茶釜の滝が見え,確かに大瀑布で見応えがある。しかし遊歩道は小尾根上の部分にあり,滝壺へは行けない。ここはせっかくの機会なので懸垂下降で滝壺に行くことにして,丸山と迫野のみ滝壺へと下った。小尾根からでもよく見えていたので滝壺に降りたからと言ってどうというほどのこともないが,やはり滝を間近で感じられるのは良い。登り返してから,引き返しを始める。しかし,もともとの計画ではこの滝を下降してくる予定であったが,どこからどう下降できるのか分からず,明らかに難し過ぎそうであった。
・引き返し
基本的には来た道を引き返すのみだったが,一部で違うルートを通った。白布の滝は美しく,上流にもナメ滝が続いていそうだったので少し遡ってみたが,少しのゴーロの後15mナメ滝があり,これもなかなか美しかった。時間の関係でここで引き返したが,遡行記録のない沢と思われ,この上流も気になる。巨岩帯には胎内潜りのできる岩があり,帰りはここを通ったが,雰囲気は良かった。夫婦滝~虎の尾の滝の連瀑帯は,左岸を大きく巻く遊歩道を通って下山したが,かなり楽。最後に泊滝の巻き道では梯子に不安のある取り付き点で懸垂下降をしたが,大して危険ではない場所であった割に,そこで時間がかかっている間に雨が降ってきたので,さっさと下山したほうが良かった。最後は大雨になり,沢装備もそのままで急いで車に乗り,山行は終了。帰りの林道では,土砂降りの中,林道の洗堀が進む現場を見ることになった。

■コメント・感想
・傾斜が緩くて登れそうに見える滝もホールドが少なく,全然登れないのはもどかしい。現時点での我々の遡行技術では,沢登りとしての楽しみには欠ける。とはいえいつの日か行こうと思っていた茶釜の滝へ行けたのは良かった。CLの趣味にお付き合いいただきありがとうございました。
・夜明島渓谷は観光秋田三十景(昭和27年選定)の1つだが,観光地としては危険すぎる。とはいえ,泊滝巻き道の取り付き以外では,梯子がしっかり整備されていたのは好印象。
・この日に限らず,今年の夏は不安定な天気が続き沢に行きにくかった。
・せっかくの大きい滝が完登できずに残念だったが,いつかリベンジしてみたいものである。
・クライミング力向上に努めましょう。
・積雪が多いためか立ち木が曲がっていたため,初めて捨て縄残置での懸垂下降をしたが,問題なかった。

■沢の評価
今後はメーリスに流さず,ドライブ上のファイルを随時更新していくこととする。
https://drive.google.com/open?id=0B7TlBNjdUv9kRnExcGNnbERhdk0