2017/9/18 前大沢遡行・モミソ沢下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
前大沢遡行・モミソ沢下降計画書 
作成者:丸山
■日程 9/18(月)日帰り 悪天の場合中止(当日5:00までに判断)
■山域 表丹沢
■在京本部設置要請日時 2017/9/18 20:00
■捜索要請日時 2017/4/10 10:00
■メンバー(計3名)
CL丸山 SL木口 朝倉
■集合・アプローチ
7:01に渋沢駅北口2番バス乗り場集合
神奈中バス:渋沢駅北口7:02-7:17大倉
丹沢大山フリーパスBきっぷ使用を推奨

■行程
大倉バス停-60-前大沢出合-100-第2堰堤上-90-終了点-10-大倉尾根(40?)-45-大滝上
-30-大滝下-70-モミソ沢出合-80-前大沢出合-60-大倉バス停
(計9:45?)
http://yahoo.jp/bK9i4u
※コースタイムは東京起点沢登りルート120とウォーターウォーキングによる(やや
長め)
※モミソ沢以降のコースタイムは遡行の場合であり,下降の場合は短くなると考えら
れる
※時間と体力に余裕があれば,モミソ沢の滝の登攀を試みたり,懸垂岩でトレーニン
グをする
※ルート図では,戸沢林道の歩行は省略した。

■エスケープルート
前大沢:引き返すか,右岸作業道に乗るか,左岸尾根に詰める
大倉尾根:登山道で大倉へ
モミソ沢:モミソ沢を下降するか,左岸尾根に詰める
水無川本流:戸沢林道へ

■復路の交通
大倉発時刻:1510,1538,1555,1610,1618,1638,1655,1708,1735,1748,1808,1838,1908,
1938,2008,2039(最終)

■地図・遡行図
2万5千分1地形図「大山」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:「丹沢の谷200ルート」P85,87
「ウォーターウォーキング」P.18-21

■遭難対策費
100円×3人
計300円

■備考
日の入(秦野9/18)17:49
秦野警察署 0463-83-0110

前大沢遡行・モミソ沢下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/09/18(月)
■山域 表丹沢
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計3人、敬称略)
SL木口 朝倉 CL丸山
※時々入れ替わりあり
■総評
3連休の予定が台風で完全に潰されてしまったので,せめて一回くらいフィールドへ
行こうと思って企画したが,台風による増水が懸念されたため普段水量の少ない沢に
した。しかし台風後でも夏としては水量が少なすぎ,一方水量の多い水無川中流は渓
相が良くなかったこともあって,やや期待外れな面のある山行であった。しかし前大
沢とモミソ沢は,丹沢に通う沢屋としては押さえておきたいと思っていた沢であり,
少しでも水量の多いときに行けたのは良かった。

■GPSログ
https://yahoo.jp/Pvapst

■時間
7:31 大倉バス停発
8:11-8:29 倉見山荘前のゴーロで遡行準備
8:32 前大沢入渓
8:46-9:10 2条6m滝
10:30 遡行終了,詰め始め
11:04-11:29 大倉尾根
12:21-13:00 モミソ沢大棚
14:49 モミソ沢出合
14:51-15:33 懸垂岩トレーニング
16:25-17:10 沢装備解除,ヤマビル退治(倉見山荘前)
17:47 大倉バス停着

■行動記録(敬称略)
※遡行図は丹沢の谷200ルートを使用、滝の落差も同書による。
・大倉バス停まで
小田急が3分ほど遅れて渋沢駅に着いたため,予定のバスに乗れず,駅で15分ほど待
ちぼうけ。仕方がないので早めに共装を渡したり,登山者カードを書いたりして時間
をつぶす。大して混みもしないうちに発車し,順調に大倉に着いた。やはり,台風の
強風が残っているこんな日に山へ行く人は少ないのだろう。
・倉見山荘前まで
水無川流域なんていつもだったら車でアプローチするところだが,諸事情により自家
用車を使えないので仕方なく林道を歩く。今日はSLの木口に基本的に先導してもらう
ことにして,意外と失敗することも多いアプローチから地図を見て歩いてもらう。流
石に厄介なところもないので,問題なし。ガイド本通り40分程度で入渓点に着いたの
で,アプローチとしてはこのくらいなら許せる。
・前大沢2条6m滝まで
前大沢は本当に貧相な出合で,これに入るのかという感じだが,すぐに滝が出てく
る。5m滝,4m滝,4m堰堤はいずれも容易に越えて,すぐにこの沢の核心といわれる2条
6m。水線直登が好きな木口が左の水流に,簡単なところを行きたい朝倉は左壁に取り
付き,丸山はとりあえず下で様子を見たが,どちらも苦戦。特に木口は落ちると危な
い高さまで登っていたので,丸山が後ろから登って支え,スリップや残置ボルトへの
セルフビレイも交えつつ,何とか登攀(Ⅳ+)。その間に朝倉も滝を越えたが,今度
は高巻きすぎてしまい,沢床に戻れなくなっている模様。ザレ斜面を踏み固めるなど
して何とか通れるようにし,事なきを得た。
・ゴーロ帯まで
続く5m滝は左クラックに残置が沢山あるが,使わなくても登れる(丸山)し,水流中
央も登れる(木口)。堰堤の手前にある壁状3mは,右岸から巻き気味に越えるのが普
通だが,丸山は水線直登を試みたところ,難しいが可能であった(Ⅴ)。堰堤は右岸
から巻く。倒木に埋もれたナメ滝と堰堤を越えると,水は伏流してゴーロとなる。沢
自体が短いので,ゴーロはそれほど長くない。
・遡行終了まで
ゴーロが終わるとまた連瀑帯となり,快適に登れるので水は少ないがそれなりに楽し
い。いくつかⅣ-程度の厄介な滝もあるので,適宜お助け紐を出す。660m付近で水は
涸れ,いくつか涸れ棚を登ると沢形もなくなるため,遡行終了。
・詰め
割としっかりした詰めで,結構大変。薮はないが崩れやすい。ヤマビルもいるので不
用意に立ち止まるのも良くなく,ちょっと辛い。
・大倉尾根
よく整備された登山道で歩きやすいが階段が少しあって,やや面倒。朝倉がバカ尾根
だとさんざん言っていたが,堀山ま歩くくらいなら別にいい。
・モミソ沢大棚まで
モミソ沢の下降開始から沢形がはっきりするまでは結構長く,沢下降の始めとしては
面倒な方であった。逆に詰めてくる場合も大変であろう。沢形がはっきりしてしばら
くで水が出,小滝も現れたので,これがずっと続くのかと思ったが,また伏流し,結
局涸れ沢のまま大棚の上に出た。この区間に遡行価値はほぼなく,モミソ沢は大棚を
登ってやめにする人が多いというのも頷ける。
・モミソ沢大棚
左岸立ち木から懸垂下降し,丸山と木口は練習としてリードで登ってみた。確かに落
ち口付近が下からの見た目以上に厄介で,事故が起きやすいのも納得である。残置支
点は非常に多いので,その点は安心。
・モミソ沢出合まで
大棚を下ると沢はすぐにゴルジュになり,水量は少ないのにゴルジュが立派なので驚
かされる。ゴルジュ内には小滝(Ⅲ程度)が連続し,噂には聞いていたものの,予想
以上にいい渓相。しかしクライムダウンが連続するので,クライムダウンに不慣れな
朝倉は苦戦。丸山や木口がスタンスの場所を伝えながら降りる。
・懸垂岩
表丹沢の岩トレ場として著名なモミソ岩だが,今日は台風の影響もあってか貸し切
り。せっかくの機会なので丸山と木口は左から取り付き上の立ち木までリードで登り
(Ⅲ-程度),懸垂下降した。易しすぎるがこれでもかというほど残置支点があるの
が不思議であり,支点打ちの練習にも使われているのかもしれない。朝倉も試みた
が,外岩かつリードに不慣れなようだったので,途中で諦めて降りた。
・水無川中流
ウォーターウォーキング(WW)の本では,代表的なWWルートとして紹介されている
が,適当に歩いていたら最も面白そうなところを巻いてしまい,結局単調な沢という
印象しか残らなかった。戸川林道を歩くよりは良かったかもしれないという程度であ
る。難所は特になし。台風の影響で水が濁っていたのもマイナスポイント。
・沢装備解除&ヤマビル退治
倉見山荘前で沢装備を解除すると,木口と朝倉からは,ヤマビルが出るわ出るわ。随
分やられたようで,ヤマビル忌避剤をかけたり塩をかけたり石で潰したりして退治す
るのに時間がかかった。流石に時間をかけ過ぎたような気もするが,もう下山は約束
されていたので良いであろう。
・バス停まで
戸川林道を歩きながら下山連絡し,のんびり歩いていたが,風の吊橋を渡り始めるこ
ろに,バスの時間にギリギリだということに気づき,最後は走った。

■備考
・木口と朝倉は5か所くらいずつヤマビルに吸血されていたが,丸山は吸血被害な
し。ヤマビルが付着しても見つけやすい装備が,ヤマビル対策には有効と思われる。
もちろん,頻繁に付着確認をする必要があるのは言うまでもない。
・ヤマビルに噛まれると,もしくは噛まれかけると数日間痒くなるので害は大きい。

■コメント・感想
・核心だと分かっている2条6mに木口をフリーで取り付かせたのは良くなかった。丸
山が下から支えなかったら下まで落ちていた可能性が高い。残置も多いので,この滝
はロープを出すべきである。とはいえ,フリーで登っている滝から落ちることの怖さ
を学べたのではないかと思うので,次に活かしてほしい。
・モミソ沢大棚はⅣ級あると言われるので,これをしっかりと不安なくリードできた
ことは自信持ってもいいかもしれない。
・ヤマビル多すぎ。とはいえ,表丹沢のアクセスの良さと登れる滝の連続はやはり捨
てがたい。
・クライムダウンの練習のため,御殿下でも登攀後にクライムダウンしながら降りて
みるのもいいのではないだろうか。
・台風の後の沢の選択は難しい。今回は台風の後にもかかわらず沢の水量が少なすぎ
たが,行く沢次第では多すぎた可能性もある。