2017/11/5 山伏沢下降・西沢遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
山伏沢下降・西沢遡行計画書
作成者:丸山
■日程 11/5(日)(荒天の場合中止、前日までに判断)
■山域 西丹沢
■在京本部設置要請日時 2017/11/5 19:00
■捜索要請日時 2017/11/6 9:00
■メンバー(計5名)
CL丸山 SL谷口 薩摩 杉山 吉田

■交通
海老名駅東口ロータリー一般車乗降場に6:52集合、丸山車で山伏トンネルへ(100分程度)

■行程(予定時間)
6:55 海老名駅発
8:35 山伏トンネル着
8:50 出発
9:30 要所小屋ノ頭
11:30 山伏沢下降終了
12:00 樅ノ木橋
15:00 西沢遡行終了
16:00 帰着
(計7:10)
https://yahoo.jp/KbPcPe
※西沢は右俣より左俣の方が難しいため、二俣までの遡行状況を見てどちらにするか決める。

■エスケープルート
要所小屋ノ頭まで:引き返す
山伏沢:引き返すか、そのまま進んで世附へ下山
林道:世附へ下山
西沢:そのまま進むか、引き返して世附へ下山
それ以降:そのまま進む

■地図・遡行図
2万5千分1地形図「御正体山」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:丹沢の谷200ルート P.277, P305

■遭難対策費
100円×5人
計500円

■備考
日の入(11/5)16:47
松田警察署 0465-82-0110

山伏沢下降・西沢中俣遡行記録
作成者:丸山
■日程 2017/11/5(日)
■山域 西丹沢
■天候 晴れ
■メンバー(計5人、敬称略)
CL丸山 SL谷口 薩摩 吉田 杉山

■オーダー
樅ノ木橋まで:丸山,吉田,薩摩,杉山,谷口
樅ノ木橋から:丸山,杉山,薩摩,吉田,谷口

■総評
山伏沢は噂通りにナメの秀逸な沢で,難しいところもなく優れた癒し系の沢であった。西沢も下部は癒し系であったが,あえてやや難易度の高い中
俣に入ったことによって,登攀要素もある充実した山行となった。また紅葉も沢中の標高帯で見頃であり,寒くもなかったので,ちょうどいい時期
に訪れることができたと思う。

■GPSログ
https://yahoo.jp/wST3km

■時間
6:57 海老名駅東口一般車乗項場発
8:17-24 道の駅どうし
8:36 山伏トンネル旧道駐車スペース着
8:48 出発
9:16-9:20 要所小屋ノ頭
9:40-9:56 入渓準備
11:38 山伏沢下降終了
11:56-12:00 樅ノ木橋
13:20-13:24 西沢中俣・右俣出合
15:37-15:54 詰め終わって沢装備解除
16:25 要所小屋ノ頭
16:51 下山

■予定時間との比較
6:55 海老名駅発   OK!
8:35 山伏トンネル着 OK!
8:50 出発      OK!
9:30 要所小屋ノ頭  早いじゃん!
11:30 山伏沢下降終了 少し遅れたなぁ
12:00 樅ノ木橋    追いついたぞ
15:00 西沢遡行終了  やっぱり中俣は結構厳しかったなぁ
16:00 帰着      沢装備解除に随分時間がかかった…

■行動記録(敬称略)
※遡行図は丹沢の谷200ルートを使用、滝の落差は同資料に基づく。但し,同書で西沢左俣とされている支流をここでは西沢中俣とした。ここで
は,西沢左俣を,下記ブログで紹介されている支流とする。
http://shiro77.cocolog-nifty.com/kumo/2016/04/post-0f2b.html
・駐車スペースまで
道はよく空いていて,標高が上がるにつれて色づいてくる木々を眺めながら,快適なドライブを楽しんだが,他のメンバーは良く寝ていた。道の駅
どうしは朝から随分混んでいたが,トイレに待つほどではなかった。
・要所小屋ノ頭(水の木分岐)まで
今日の沢はアプローチや下山が比較的長いので,入渓準備は入渓時にすることにして,さっさと出発する。表丹沢などと比べると薄い踏み跡の登山
道だが,整備はなされており快適。ところどころ富士山が見えたり,眺望が開けたり,部分的に綺麗な紅葉を見たりと楽しみながら,予定より少し
早く30分ほどで要所小屋ノ頭に着く。
・入渓準備まで
要所小屋ノ頭から直接西沢に下降するのは如何にも無理そうなので,ひとまず南の尾根に入る。少し進むと,沢に向かって下降できそうな斜面に
なっていたので,ヘルメットだけ着用して沢へ向けて下降開始。しかし傾斜が徐々に急になり,立ち木が多いから何とか谷まで降りられたものの,
もう少し厳しければ懸垂下降を要する雰囲気であった。この時点でハーネスを着用していなかったので,ここは反省点。谷に降りたが水はなく,少
し下降してから広い場所で入渓準備。共装のモンベルの沢タビが履きにくいようで,想定外に時間がかかる。
・山伏沢下降
最初に現れた滝らしい滝は7m滝で,最初にしては本格的なクライムダウンとなりそうだったため,丸山が吉田,薩摩,杉山にお助け紐を出してクラ
イムダウン。ホールドは多く下りやすいが,初っ端から少し水をかぶる。少し進むとナメが現れ,ナメで有名な沢がその片鱗を見せ始める。快調に
下っていくと,2段5×8mと4×7mのナメ滝が続けて現れ,なかなかに美しい。この辺りまで下って見頃になってきた紅葉や支流の4段15m滝と相まっ
て,丹沢としては秀逸な景観である。
そのまま下っていくと5段15×30mとされる滝があり,これまた美しい。右のトラロープを使って下る。続くナメを進んでいくと,今度は10×15mと
される滝が出てくるが,水線下降は厳しそうなので,右岸を巻く。人気沢のわりに薮っぽい巻きだが,危険さはない。なお,遡行図にはこの滝の右
にトラロープがあると書かれているが,見当たらなかった。この滝も夏の遡行ならシャワークライムできるかもしれない。
山伏沢でも最大の見どころはここまでで,この先も多少のナメはあるものの,沢幅いっぱいの美しいナメはなく,割合単調に進んでいく。吉田は,
途中の釜でバランスを崩し股下まで濡れて寒がっていた。最後の見どころである4×7m滝を楽しく下ると,あとはゴーロ歩きで,金山沢林道終点か
ら続く踏み跡へと至る。
・金山沢林道
車が入らなくなって久しい林道と思われるが,歩く分には十分歩きやすいので,歩きながら行動食をとる。会話に夢中になって遅くなる人たちに発
破をかけて急いだ結果,想定外だった入渓準備での遅れを取り戻して樅ノ木橋に着くことができた。
・西沢 中俣・右俣出合まで
樅ノ木橋から樅ノ木沢に入渓するといきなり美しいナメと階段状滝があり,期待をもたせるが,滝上はゴーロが続き,沢の蛇行を適宜ショートカッ
トしながら進む。途中にはおそらく小屋があった跡があり,ドラム缶をいじったりして遊んだ。10分ほどで西沢の出合に至り,すぐの堰堤は巨石を
積んだ立派なもの。丸山,杉山,谷口は右壁を登り,薩摩,吉田は左岸を巻いた。滝が少ないときは堰堤を登るのも楽しい。
その先は少々のナメ(山伏沢には全然及ばない)があった後,やや飽きてきた頃にあまりY字状に見えないY字状4×6m滝。難しくないが,練習のた
め谷口以外にはお助け紐を使って登ってもらう。続いて3×7m滝を軽快に越え,ゴーロとなるが,ゴーロの中にV字状に組み合わさった岩があり,こ
れを登るのが割と面白かった(丸山,杉山のみ)。その後数分で一枚岩のナメが出てきて,景観も良いので少し休憩。
すぐ先の倒木5m滝は,左水流中をシャワークライム。簡単だが急いで登らないと濡れて冷える。続いて5×10m滝を容易に越え,ゴーロの優占する沢
を10分ちょっとで,中俣と右俣の出合。
・西沢中俣
時間と体力に余裕はあったので,中俣に入るか右俣に入るか悩んだが,丸山・谷口・杉山の希望に基づいて多数決により,中俣に入ることに決定。
山伏沢や西沢下部は癒し系だったので,最後は登攀系もいいだろうということで。
いくつか小滝を越えて,CS2段8mで,練習のためメインロープを使う。丸山がリードし,ノーピンで登って(Ⅲ)上部の立木に終了点を取って,谷
口・吉田・杉山がアッセンダーで登り,最後に谷口のビレイで薩摩が登った。
次の幅広2条8mは,せっかくのスラブ状の滝だが倒木が景観を壊している。谷口のみ右壁,他4人は,左流心を登った(Ⅲ)が,スラブに慣れていな
い人は苦労していた。右壁の方が簡単らしい。間髪入れずにまたスラブ状の5m滝。流心直登は試したが極めて難しく,丸山と谷口(お助け紐使用)
は右壁(Ⅲ+),杉山と薩摩は左壁を登った。吉田は次の3m滝もろとも右岸から巻いていたが,高巻きは危ないことも多いので勝手にはやらないで
欲しい。その3m滝は丸山・谷口が右の流心(Ⅲ+)を,杉山・薩摩は左のガレを登った。この辺りは,西沢下部や山伏沢とは違い,登攀的に面白
く,良い。
少し先の6m滝は,丸山が登ってからお助け紐で後続を確保。次のチムニー5mも様々な登路で登ると,ここで二俣。下山は西の方なので西の支流に入
ることにして,8m滝を登攀(Ⅲ)。なおこの8m滝は遡行図では二俣の手前に描かれているが,実際には西の支流にある。8m滝の先には2段6m滝があ
り,丸山・吉田・谷口はこれを登った(Ⅲ・お助け紐使用)が,薩摩・杉山はこれを登らずに左岸から巻いた。この滝の上にはもう何もなかったの
で,薩摩・杉山は谷に戻るのをやめ,他3人も詰めに入る。思ったよりも長く,丹沢では西丹沢にしか残っていない笹薮を軽く漕ぎながら登ること
20分強で,漸く稜線。
・下山まで
モンベルの沢タビは,履くのも大変なら脱ぐのも大変で,引っ張りっこして何とか脱ぐ。その様子の滑稽さに爆笑。こんなことに妙に時間がかかっ
ていたら日没が近づいてきて,沢タビを脱いだらせっせと下山。帰りはトンネルをくぐらなくていいショートカットをすると,何か廃墟らしい建物
の奥に出た。この建物,いかにも廃墟のようなのに中には電灯らしきものが点いているように見え,不気味である。そんな建物の脇を素通りすると
舗装路となり,車も見えたので在京に連絡する。
・旧山伏隧道
車に戻る前に在京に連絡したのはこの隧道を見てしまったからであって,廃隧道を見つけたからには気にならざるを得ない。扁額には右書きでただ
「山伏」と書かれていて,いかにも古そうな雰囲気。立入禁止でもないので谷口と2人で入ってみると,残念ながら,ただの無機質なコンクリート
隧道であった。反対側は土に埋もれており,通り抜けもできない。なお,現道の山伏トンネルが開通したのが1982年で,旧隧道の開通は1932年らし
いので,旧隧道は今年で85年目,旧道化してから35年である。それにしては,劣化が少ない割に味もない隧道であると感じた。
・復路車内
帰りも道の駅どうしに寄ったところ、まだ営業していたので見てみたが、特に土産物を買う者もなかった。そこからの長い帰路では、早くも来年の
夏山の話で盛り上がった後,比較的ハードな山行だったためか寝ている人が多かった。

■備考・感想
・吉田、杉山の初沢。初沢としては随分寒い時期になってしまったが,またやりたいと思ってもらえたようで良かった。
・ヤマビルなし。20年後くらいにはこの辺にも来ているかも。
・全体として良いペースで進めたと思うが,日が短くなってきているので,それでも時間に追われてしまった。とはいえ,計画書に予定時間を書い
ておくのは,遅すぎる下山を防ぐために効果的であると感じた。
・2週連続台風の影響で少し増水していたようだった。おかげで普段より滝などには見応えがあったと思われ,良かった。
・ヤマメの魚影が結構濃かった。
・あまり濡れないので春や秋にもお薦めの沢。
・共装のモンベルの沢タビは着脱がしにく過ぎる。何か滑りの良くなるような素材の靴下を履いておくといいかもしれない。
・今年度に入って沢を新たに始めた人が多くてとても嬉しい。来年も楽しみである。

■反省
・沢下降する際は,尾根を離れる時からハーネスを着用しておくべきであった。
・予定時間は,沢装備を着脱する時間も含めて考えておくべきであった。

■コメント
・勝手に滝を高巻くのはやめましょう。高巻きは意外と危険なことが多いので。
・杉山は、取り付いた滝の登攀に2回失敗し、1mほどずり落ちていた。登攀欲があるのは結構だが、服が傷んだり擦り傷ができたり周りをヒヤッと
させたりするのは良くないので、無理はしないように。わざわざ難しい登路をとるのは、沢に慣れて岩を見極める能力を幾分かでも付けてからにし
ましょう。