2017/11/19 水無川沖ノ源次郎沢遡行・金冷シ沢下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
水無川沖ノ源次郎沢遡行・金冷シ沢下降計画書
作成者:丸山
■日程 11/19(日)(荒天の場合中止,前日までに判断)
■山域 表丹沢
■在京本部設置要請日時 2017/11/19 19:00
■捜索要請日時 2017/11/20 10:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL谷口 迫野 久光
■集合・交通
ファミリーマート秦野鶴巻店に7:05に集合し,戸沢駐車場まで丸山の自宅車で
(55分程度)
駐車料金300円
■行程(予定時間)
8:00 戸沢駐車場着
8:15 出発
8:45 本谷F1
10:15 書策新道横断点
10:20 沖ノ源次郎沢出合
11:20 沖ノ源次郎沢F2登攀終了
13:00 金冷シ
14:20 金冷シ沢下降終了
15:05 書策新道横断点
16:00 戸沢駐車場
(計8:00)
※時間が足りなそうな場合は,沖ノ源次郎沢左岸尾根に早めに詰めて金冷シ沢へ入る
※寒すぎる場合は書策新道で沖ノ源次郎沢へアプローチ
■エスケープルート
沖ノ源次郎沢出合まで:引き返すか,書策新道で下山
沖ノ源次郎沢:引き返して書策新道で下山するか,左岸尾根に詰める
金冷シ周辺:天神尾根で下山
金冷シ沢以降:そのまま進む
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「大山」
山と高原地図「丹沢」
遡行図:丹沢の谷200ルート p.17
■遭難対策費
100円×4人
計400円
■備考
日の入(秦野11/19)16:36
秦野警察署 0463-83-0110
水無川沖ノ源次郎沢遡行・金冷シ沢下降記録
作成者:丸山
■日程 2017/11/19(日)
■山域 表丹沢
■天候 曇り時々晴れ一時雪
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
CL丸山(35) 久光(34) 迫野(35) SL谷口
■総評
昨年6月に下降して以来,遡行もしてみたいと思っていた水無川本谷前半部を遡行し,それなりに登り応えのある沖ノ源次郎沢の棚も登ることがで
きたので,6時間程度と短い山行ではあったが,まとまりがあって良かった。寒さにより行ける沢が限られるこの時期の沢登りとしては,十分満足
できるものであった。
■GPSログ
https://yahoo.jp/84ZKMx
■時間
7:12 ファミリーマート秦野鶴巻店発
7:51 戸沢駐車場着
8:18 出発
8:45 本谷F1
9:55 書策新道横断点
9:59 沖ノ源次郎沢出合
11:28沖ノ源次郎沢F2登攀終了
12:15 遡行終了
12:34 金冷シ沢下降開始
13:09 金冷シ沢下降終了
13:38 書策新道横断点(水無川本谷下降終了)
14:10 下山
■行動記録(敬称略)
※遡行図は丹沢の谷200ルートを使用、滝の落差は同資料に基づく。
・戸沢駐車場まで
戸川林道を走っていると,タクシーに追いついた。こんな悪路を走らされるタクシーも大変である。悪路とはいえ前回の山伏峠に比べると非常に近
いアプローチで,40分の運転で戸沢駐車場に着いた。早めに駐車場に着いた割にはなぜか出発準備に時間がかかり,予定より3分遅れで出発。
・沖ノ源次郎沢出合まで
昨年のセドノ沢の時にも歩いた道筋を辿り,水無川本谷へ入渓する。途中で渾々と水が湧いているが,それが温く感じられ,冬の到来を感じさせ
る。その先には堰堤があり,これを巻くために昨年はなかった鎖が付けられている。せっかくなのでその鎖を使って巻いてみるが,足場が狭く,意
外と悪い。わざわざ鎖を設置するくらいなら,堰堤を直登する梯子でも付けた方が良かっただろうに。
堰堤を越えてからはゴーロ歩きが暫く続いて,F1。F1は右岸の鎖に沿って登る(Ⅲ)。すぐ上にF2があり,久光だけ左壁を,他は右壁を登った(Ⅲ
+)。F2からは10分ちょっとのゴーロ歩きを経て,F3。これは右壁からだが,多数ある残置スリングを使わないならばⅣ-程度で,やや難しい。すぐ
のF4はFナンバーをつけるほどのものでもなく難無く越え,本谷前半では最大のF5が現れる。これはロープを出して久光がリードしたが,安全を重
視し(?)残置されている鎖を使っていた。丸山,迫野,谷口の順で登っていると(鎖不使用でⅢ+),後ろから2人パーティが現れ,F5を巻いて抜い
ていった。聞けば,本谷を詰めるとのこと。行先が同じでなくて安心。この滝には穴があり,シャワークライムなら胎内潜り的な登り方もできそう
であった。
F5のすぐ上で書策新道と交わり,そこから4分のゴーロ歩きで沖ノ源次郎沢出合に着く。
・沖ノ源次郎沢
出合について見上げるとF2に先行パーティが取り付いている。こんなマイナー沢で遡行が重なるとは意外である。その下のF1は沢というよりも本谷
の側壁のようにも見える。これは丸山がリードし,難しくない割に残置支点が多いので支点を4か所もとって,左壁を快適に登った(Ⅲ+)。滝上に
は人工終了点も多いが,立木を終了点とし,他3人も難無く上がる。久光のみクライミングシューズに履き替えていたが,快適とのこと。
すぐ上のF2も,丸山のリードで右壁を直登。最初がハング気味でやや難しいが,何とかA0なしでクリア。中上部もF1よりは難しいが,残置支点はF1
よりは少なく,1か所はカムで支点をとった。全体としてⅣ+。終了点は岩に打たれた残置を組み合わせて使い,他3人も登った。
F2より上は小さい棚ばかりであるが,登り方次第ではⅢ+~Ⅳ+程度となるものもあり,それなりに面白い。全て巻かずに登った。遡行図の3mCSを越
えるともう先には何もないらしいので,時間は問題ないが,ゴーロ歩きを続けたくないこともあり遡行終了とする。
・金冷シ沢入渓まで
沖ノ源次郎沢から左岸の尾根に乗ろうとすると,何やら踏み跡があり,トラバースしながら金冷シ沢方面へ向かっている。これは有難いとこの踏み
跡を追っていくと,いとも簡単に尾根を越えることができた。この踏み跡が金冷シ沢の枝谷と交差していたところで,この枝谷を下降して金冷シ沢
を目指すことにしたが,途中地形が険しくなり,落石が多発してやや危険であった。とはいえロープを出すこともなく,無事に金冷シ沢に降り立
つ。この辺りで雪が少しちらついた。
・金冷シ沢
遡行図にある2つの小滝はよく分からず,適当に下降していると6m滝が現れ,これを右岸から巻き下る。夏ならシャワークライムも可能かも。続く
12m滝も右岸から巻き下れそうだったが,快適に懸垂下降できそうだったので,滝上の立木を支点に懸垂下降。30mロープでちょうどだった。この滝
下には鳥の糞状に白い模様(石英脈?)が入っている岩があり,面白い。その先小滝を2つ容易に下ると,「金冷シ沢」と書かれたプレートに迎え
られ,本谷へと合流。
・水無川本谷下降
2条4m滝は気付かぬうちに通り過ぎ,2条3mも問題なくクライムダウン。しばらくして現れるF6は厳しく,右岸を大きく巻く。このF6はⅣ-あって,
本谷でも特に難しい滝らしいが,また来るときのためにとっておく。これを巻き降りたところで木ノ又大日沢が合流し,すぐに沖ノ源次郎沢出合。
ここからは朝も歩いたゴーロを3分ほど下って,書策新道に出る。
・書策新道
書策新道は廃道とされており,一部にはやばい崩壊地があるが,全体としてはアップダウンが少なく歩きやすい。途中朽ちかけた丸木橋を渡って遊
ぶ(丸山,迫野)。源次郎尾根と合流するところで別隊と出会ったが,沖ノ源次郎沢を先行していたパーティとのこと。沖源を詰めてから源次郎尾
根を下ってきたらしい。年配者が多いパーティだったが,そういう老い方をしたいものである。それにしても下降しやすい道だったので,ここでも
随分と時間が短縮され,結局14:10などという,稀に見る早さの下山となった。
■備考・感想
・シーズン一番の寒さとなった日だったが,膝下しか濡れずに済む沢の組み合わせだったので,問題なく楽しめた。とはいえ登攀の待ち時間は寒
い。特に沖ノ源次郎沢F1とF2の登攀待ち時間は、滝上で風通しがよく、落差が大きいので待ち時間も長かったため、最も寒かった。2人で行けばこ
の待ち時間は無くなるだろうが,そもそも人数が少ないと行く気が出ないので難しい。
・ヤマビル見かけず。多産地だがこれほど気温の低い日には出ないらしい。
・時間が足りないわけでもなかったのに短絡コースを選択した結果,随分早い下山となった。それでもまとまりがあり,充実した山行だったので良
かった。
・魚影なし。
・あまり濡れないので春や秋にもお薦め。水無川本谷も,水量の割に全然濡れない。
・沖ノ源次郎沢は,クライミングシューズの方が登りやすいだろうが,それほど難しくはないので沢靴でも問題はない。
・沖ノ源次郎沢は上部に何もないらしいので,今回のように金冷シ沢へと乗っ越して下降するのは効率的と思われる。沖源遡行の新たなスタンダー
ドとなっても良いのではないか。
・降水確率0%だったのに雪が降るとは思わなかったが,ちらついた程度なので問題はなかっ
た。
■反省
・水のない枝谷の下降は,岩が脆いので避けた方がよかった。
■雑感
・既に水無川流域の主だった沢は殆ど遡行もしくは下降したことになった。丹沢のような近場で,行きたい沢がだんだんなくなってくるのが心配で
ある。