2018/2/22 三峰山・大山

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
三峰山・大山山行計画書確定版(2月21日)
作成者 木下

□日程 2月22日(木) 日帰り
□山域 丹沢
□在京本部設置要請日時 2018/2/22 1900
□捜索要請日時 2018/2/23 0900

□メンバ(計4名)
 CL木下 SL川瀬 平岩 山本

□地図
■2万5千図 「厚木」「大山」
■山と高原地図 「28/29丹沢」
    
□行程(通過目安時刻)
 煤ヶ谷バス停0830
 →主稜線0950
 →三峰山1130・1150
 →唐沢峠1300
 →大山1415・1435
 →阿夫利神社駅1540
 →大山ケーブルバス停1620
 [歩行計7時間10分]
 ※特に破線区間の積雪量やトレースなどの状況次第でエスケープルートにより下山
 ※唐沢峠1330を目安として不動尻・広沢寺温泉へ下山
 ※阿夫利神社駅1600を目安としてケーブルカーを利用、最終は1630
    
□エスケープ
 煤ヶ谷へ引返す
 破線区間両端の分岐から不動尻・広沢寺温泉へ下りる
 大山表参道を下りる(ケーブル利用)
    
□集合
 小田急線本厚木駅改札0735

□交通
 ※「丹沢・大山フリーパスBきっぷ」(ケーブルなし)を利用すると多少安くなります(バス利用特典サービスと同程度)。
 ただし往路バスは途中の上飯山までがフリー区間なので乗越し分の220円は清算する必要があります。
 また伊勢原へ下山後に鶴巻温泉へ移動するような場合は、本厚木で下車する際に途中下車扱いにするため、係員に申出るべしとされています。
■行き
 ・小田急小田原線
  新宿0627/0636(/0648)→本厚木0719/0730(/0738) 500円
  新宿0645→本厚木0726 あさぎり1号(新百合ヶ丘と相模大野に停車) 570円増し
 ・神奈中バス
  本厚木駅5番0740→煤ヶ谷0815 480円IC可
  次は1時間後
■帰り
 ・神奈中バス
  大山ケーブル→伊勢原駅北口
  毎時2~4本 25分310円IC可 最終2215
 ・小田急小田原線
  伊勢原→新宿 毎時6本 約60分590円
  伊勢原1659→新宿1749 はこね92号 620円増し
■エスケープ時
 ・大山ケーブルカー
  阿夫利神社→大山ケーブル
  毎時3本 最終1630以外は00・20・40分発 630円 ICで切符購入可
 ・煤ヶ谷発バス
  本厚木駅行 毎時1本 最終2104
 ・広沢寺温泉入口・七沢温泉入口発バス
  厚木バスセンター行 毎時2本 32分360円 最終2205
  伊勢原駅北口行 毎時1本程度 25分300円 最終2051
 ・タクシー
  相模中央交通 0570-066-311 0463-66-9043
 ・小田急小田原線
  本厚木→新宿 毎時6本 約50分500円

□共同装備
■救急箱(エーデルワイス)
■ツェルト(チャーリィ)
    
□温泉
■かぶと湯温泉
 山水楼 1000円 1100-1700
■広沢寺温泉
 玉翠楼 1000円 1000-1600
■七沢温泉
 福松   900円
 盛楽苑  900円 1100-1800
 七沢荘 1000円 0800-2100
 中屋  1000円 0900-1930
 玉川館 1000円 1130-1700
 福元館 (入浴のみ無し?) 1100-2000
■伊勢原温泉
 ニュー天野屋 800円 1100-2100
 帰りのバス途中産業能率大から徒歩20分? 温泉入口バス停は毎時1~2本
■鶴巻温泉
 大和旅館 1080円 1100-1600
 鶴巻温泉駅徒歩6分
 弘法の里湯 800円(平日) 1000-2100
 鶴巻温泉駅徒歩2分
    
□遭難対策費
 100円/人*5人
 計500円

□日没日出
 2/22日没(横浜):1730
 2/23日出(甲府):0624

□ラジオ周波数
■NHKラジオ第一:東京594kHz
■NHKラジオ第二:東京693kHz
■NHK FM:東京82.5MHz

□警察署電話番号
 神奈川県警厚木警察署  046-223-0110 (大山まで 清川村・厚木市)
 伊勢原警察署 0463-94-0110 (大山から下山路 伊勢原市)
 秦野警察署  0463-83-0110 (大山西側 秦野市)

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
三峰山・大山山行記録
作成者 木下
□日程 2月22日(木)
□天候 曇一時雪、山上は霧

□メンバとオーダ
 SL川瀬 平岩 山本 CL木下

□計画
 煤ヶ谷バス停0830
 →主稜線0950
 →三峰山1130・1150
 →唐沢峠1300
 →大山1415・1435
 →阿夫利神社駅1540
 →大山ケーブルバス停1620

□実行程
 ※破線手前から不動尻へエスケープした
 煤ケ谷バス停0821・0842
 →東尾根上400-550m地点0930・0940
 →主稜線上750-800m地点1047・1100
 →三峰山頂1142・1200
 →破線分岐
 →不動尻登山口1315
 →広沢寺温泉駐車場トイレ1407・1417
 →広沢寺温泉入口バス停1437・1446

□天候・路面状況とエスケープ判断についての反省
 天気予報は前日には一日中晴または曇だったものが、当日朝には朝晩雨または雪、昼間は曇で最高気温6℃というところまで悪化し、その後もやや下方修正されていたらしい。家を出た時点から暗い曇で、バスを降りた頃には細かな霰もぱらついた、山の上は低いところまで雲に覆われているようだった。
 せっかく登山口まで来たのだし、昼には雨が上がる、すなわち雲も少し引くだろうという朝の予報を信じて出発した。三峰山の先にある破線区間については、尾根が広く谷へ下りてしまう危険が指摘されており、次の小ピークを目指して歩かなければいけないことが考えられたので、あまりガスが濃いようなら不動尻へエスケープする心積りは早い段階からあった。実際に天候がよくなることはなく、高度を上げるにしたがってむしろ悪化し、主稜線上ではガスが濃い時には視程数十メートル程だったので、迷わず不動尻へ下山した。ガスの水分は時折雪となって降ってきた。
 このガスや破線区間の不明瞭とは別に、事前に指摘されていたことであるが、岩場・鎖場や凍結・降雪による危険にも注意を要した。積雪は0cmから数cm程度、深い所でも十数cmで、アイゼンを使うには薄く少なかったが、殆どは凍結して氷になっており、更にそれが当日降った薄雪に覆われて見た目にはわからないので気を遣った。かなり痩せた尾根や狭いトラバースの急登、木の梯子などがことごとく滑るようになっていたから、最も正しい解としては、入山前かあるいは主稜線上の凍結に出くわしたその場で引返すことだったろうと思う。凍った岩場は登るより降る方がはるかに危険だからだ。しかし今回は、これはもう引返して降るのがかなり怖いかもしれないと思った時には山頂の方がずっと近く、地図を見ると山頂から下山する道の方が難所は少ないようだったので、そのまま進んでしまった。つまり判断が遅かったということで、今回安全に下山できたのは単に確率論的な結果に過ぎない。引返せないかもしれない領域に足を踏み入れた時点で、制御できる絶対な安全はなく、9が何桁並ぶとしてもそれは偶然の確率なのである。

□ルート状況
■三峰山のルートと山行計画
 9月の西丹沢縦走に続いて丹沢の山を歩こうと考えたとき、コースタイムが手ごろでアクセスも悪くない大山三峰山が目に留まった。展望はなく、人も少ない。下の方はのどかな里山の味わいだ。一方山の上は、標高は低いが丹沢らしい雰囲気がかなり濃い。崩落した急な谷、ヤセ尾根、鎖場、梯子など気が抜けない。今回のような雪のある時期にはあまり向かないが、無雪期には面白いだろう。不動尻への下山路は沢も近い。
 難所は山頂北側に多く続く。南側にも引続き岩場などがあるが、難易度や連続する距離、それに登り降りの斜度などを考えても、北から南へのルートの方が歩きやすいように思う。逆に引返しにくくなるとも言える。ルート上には「無理をしないで引き返す勇気が必要です」という有名な(?)看板もいくつか立っている。山頂までは大きなベンチが所々にある。
 山頂からやや幅広の尾根に出るとすぐに道は左へ逸れて降りはじめる。これが破線分岐だったらしく、明確な道標はなかったように思う。破線部を南へ行くなら、尾根を強いてそのまま進むことになる。次の小ピークを見失うと左右の谷に引込まれてしまいそうだ。唐沢峠から大山へは、小田急線の車窓からでもそれと分かる長い急登だ。
 不動尻から先、延々と舗装道を歩く。長い真暗な山神隧道は一人だと怖いだろう。広沢寺温泉の宿屋は一軒きりで、だいぶ寂れている様子、やる気があるかどうか。広沢寺温泉も七沢温泉も風呂代は全般にやや高い。
■交通など
 行きのバスは本厚木駅北口から出るが、バスロータリィは狭く、駅出口から少し離れて横断した道路上にバス停がある。宮ヶ瀬湖の方まで行くハイカが多いようだ。大山フリーパスだと220円を乗越し精算する。
 広沢寺温泉入口から帰りのバスは厚木バスセンター行きだが、終点一つ手前が本厚木駅で、駅へ続くバス通り商店街の入口で降りられる。こちらはフリーパス範囲内。
 本厚木駅にはミロードという駅ビルがあってレストラン街が入っているが、たまに不定期で休館になるらしく、週の半ば(特に木曜日?)は休みにあたりやすいのだろう。当日はちょうど休館日で、箱根そばにも入れなかったので、駅前商店街の王将に入った。店は色々とある。

□雑感
 予報ではかなり気温が低く、岩場の凍結が予想された。さらに朝、晴か曇だったはずの空はどんよりと今にも降り出しそうで、そのまま中止にして宮ヶ瀬ダムを見物してもよかったが、せっかくなら行けるところまで行ってみようということに合意して、登山口へ向った。雲は低いところまで垂れ込めて、一時は霰も降ってきた。それでも登山口から逸れて公衆便所へ向う道沿い、民家の庭には梅が咲いて、春を感じる。農道のような小道から山に入ると、木の葉や蜘蛛の巣や凍った路面に先の霰が薄く積って、粉砂糖を吹いたよう。
 主稜線までは何ということのない静かな里山歩き、ガスが濃くて不動尻へ下りる短いルートに変更することは殆ど確定的だから、むしろつまらないくらいなものだ。しかし主稜線に乗って暫くすると雪が増え、ガスが濃くなり、そして二度目の小休止の直後からツルツルの急登になった。積った雪も、表面の霰を見て踏込むと下は殆どが氷になっているからタチが悪い。最初の急登を登り切って、ではアイゼンを着けようかと思うと、その先は雪のない道。この調子だから結局アイゼンは使わなかった。
 それではどこまで登れるだろうか。この道は降れないと思う前に引返さなければいけない。こういう時はCLが一番苦しい。どうしても通過するのが怖い難所に出くわして引返すというのではなく、行けば行けるが徐々に難しくなっていく道を見誤らずに切り上げられるかという勇気。滑る急登を這うようにして登ったり、軍手が張りつくようなキンキンに冷えた鎖を掴んで岩場を通過したり、凍ったヤセ尾根やツルツルの階段を進んだり、引返すとしたらいちいちアイゼンを着脱すれば何とかなるとは思うものの、もっと手前でやめるべきだったのかもしれない。
 しかしだいぶ山頂に近づいたようだった。あと少しなら登ってしまえ、ということではなくて、ここまでの難所の連続を戻るよりは、山頂から先へ進む方が楽なのではないかと思った。もちろん、「進む方が楽であることに賭ける」ような状況になる前に引返さなかったせいである。山と高原地図を確認するとやはり危険マークは三峰山の手前に出ている。念のため全員に帽子と手袋を着けさせて進むことにした。
 山頂はやはりすぐだった。先の休止から小一時間とは思えないほど長く感じた。川瀬さんが羊羹を配ってくれたり、平岩さんがテルモスのお湯でスープを淹れてくれたりしたのはたいへん心を安らげた。大山へは行かずに不動尻に下りるので時間に余裕はあるが、あまり長居していても寒い。
 山頂から降りに入っても難所は続いたが、すぐに広い尾根に出て、もうすぐ破線との分岐かと思う間もなく道はゆるりと左へトラバースし始め、その後稜線に復帰することはなかった。ヤセ尾根を離れて気が緩むが、こちらもザレ気味の急な降りで滑りやすい。沢の近くまで降って行くとまた鎖場があるがここはもう凍っていないので夏と変わらない。沢沿いの細い道を行くのは丹沢らしくてよい気分だ。
 不動尻の登山口へ出てから長い長い舗装道をゆく。不気味な山神隧道は手を打つとキュウィンと弾むように反響して面白い。トンネルの先で小さな茶畑や蜜柑の木のある古い農家を見て、その内に広沢寺と温泉のある集落に出た。山頂から歩き通しだったので一度休憩して、山の上では寒かった身体も下りてきたら温まったので風呂へも寄らずに、そのままバス停へ向った。
 今回の山は時間こそ短く、身体はさほど疲れなかったが、気を遣って歩いたので頭が疲れた。駅までの三十分程の間にも三人は居眠りしていたようだ。本厚木で我々は、雷鳥らしく餃子の王将に入った。使ったのは頭ばかりだから、中華丼と餃子のセットなど食ったのでは収支が合っていないだろう。

□反省
 ・小さな山であっても、きちんと気合を入れて歩きましょう。雪の有無にかかわらず。
 ・前後の間隔をきちんととって歩きましょう。特に難所では前を歩く人のペースが頻繁に変わりますし、ルートを取り直して引返してくることもあります。自分のスリップや落石が前後に影響することもあります。逆に自分が難所を通過して安全な位置までたどり着いたら、一旦止まって間をあけてやって来る後続の安全を確認しましょう。
 ・疲労を感じていなくても、ある程度歩いたら一度止まって水や行動食を補給するのは重要です。その後に急登や難所があるかもしれませんし、次のポイントまで意外と長く歩くことになるかもしれません。少なくとも、次はどのあたりまで歩きましょうという合意は、パーティである程度形成していないといけません。つまりリーダや先頭が声をかけないといけません。何も意思表明が無い場合、メンバは50分程度で止まるものと想定して歩くものです。

□謝辞
 本山行遂行にあたりCLの気を引締めてくださった久光さんに感謝いたします。

□備忘録
 こんどのダイヤ改正で小田急線から御殿場線へ直通する特急は改称され、伝統ある「あさぎり」の名が消滅する。CLは記念に、往路・新百合ヶ丘→本厚木であさぎり1号に乗車した。