2018/5/6 蛇谷遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
蛇谷遡行計画書 ver. 1.0
作成者:久光

■日程 5/6(日)(荒天の場合中止、前日までに判断)
■山域 鈴鹿
■在京本部設置要請日時2018/5/6 20:00
■捜索要請日時2018/5/7 8:00
■メンバー(計4名)
 CL久光 SL丸山 ○迫野 ○谷口

■集合・交通
 丸山車で滋賀県側から石榑峠へ

■行程
□アプローチ
 石榑峠—(0:30)—蛇谷出合
□遡行
 蛇谷出合—(1:00)—四連の滝—(0:30)—CS滝5m—(1:15)—二俣—(1:00)—竜ヶ岳山頂
□下山
 竜ヶ岳山頂—(0:50)—石榑峠
 (計5:05)
 ※コースタイムは「関西起点の沢100」p.166及び山と高原地図による

■エスケープルート
 標高650mガレ谷出合まで:引き返すか左岸金山尾根登山道に詰め、石榑峠または宇賀渓へ
 標高650mガレ谷出合から:右岸中道登山道に詰め、石榑峠または宇賀渓へ

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「竜ヶ岳」
 遡行図:関西起点沢登りルート100 p.166

■共同装備
 ツェルト(チャーリー)
 救急箱(苺)
 8.6mm×30mロープ
 お助け紐
 ハーケン・カム
 ハンマー(ロカ)
 ハンマー(チコ)
 アッセンダー

■遭難対策費
 100円×4人
 計400円

■備考
 いなべ 日の出(5/6)4:58
 いなべ 日の入(5/6)18:43
 いなべ警察署 0594-84-0110

蛇谷遡行記録
作成: 久光

■日程: 2018/5/6(日)
■山域: 鈴鹿
■天候: 曇後晴
■メンバー: CL久光 SL丸山 迫野 谷口

■行動記録
  6:17 石榑峠
  6:31 登山道出合
  7:27-7:36 宇賀川本谷遡行開始地点
  8:05 蛇谷出合
  8:53 四段滝下
  9:46 ゴルジュ状8m滝下
 10:40 CS滝5m下
 12:07 二俣
 12:34 奥の二俣
 13:07 登山道出合
 13:12-13:20 竜ヶ岳山頂
 14:06 石榑峠

■記録
 紀伊半島遠征の五日目にして、四日連続沢企画の最終日。前夜に石榑峠三重県側の麓でテン泊し、5時起床で峠へアプローチした。石榑峠の駐車場で装備を整え、車をデポして出発。
 出発してしばらくは石榑峠旧道の三重県側を歩く。この道は現在車両通行止だが、かつては国道にもかかわらず整備状況が悪く、有名な「酷道」の一つだったよう。大型車の進入を妨げる有名なコンクリートブロックや、幅員狭小のうえ両側に側溝があってすれ違い困難な急坂は、往時の困難を想像させるに十分である。
 15分ほどで登山道に入り、宇賀川本谷沿いに下る。宇賀川はしばらく堰堤の多い微妙な沢だが、下るにつれて花崗岩の美しい渓相になる。道は渡渉を繰り返し、滝は梯子で巻くなど一般登山道としてはレベルが高め。入渓点までは意外に時間がかかってしまった。
 魚止滝7mより入渓。魚止滝7mは丸山が先行して取り付いたが、滝壺が深くいきなり濡れそうなので他3人は巻く。登山道を途中まで使い左岸を簡単に巻ける。丸山によれば右壁直登はIV程度。宇賀川本流は水量も多く、ナメと小滝の連続で大変美しい。よい沢であることを予感する。
 30分ほどで蛇谷出合着。出合の本流側はつばめ滝8m。一方の蛇谷は細いゴルジュの中に小滝をかけている。もちろん蛇谷の方に進路をとる。いくつかの小滝を越えて、2段13m滝は左側から巻いた。さすが人の多い沢だけあって、鎖が残置されている。まもなくして先ほど下ってきた登山道と交差する。
 登山道が横切ると五階滝。下段は右からアプローチした。上に支点用のボルトが設置されていたが、難しくはなかった。
 チョックストーン2条5m滝は右の水流際を登り、真ん中からチョックストーンを乗り越して越えた。
 四連の滝の最初の一段はロープを出し、久光-丸山-迫野-谷口の順で登る。残置は終了点としてボルトが一つだけあった。それほど難しくなく、スムーズに越えることができた。むしろロープを片付けている間に丸山に先行させた2段目の方が若干難しく(III+)、ロープを出すならこちらだった。
 ゴルジュ状8m滝はロープを出し、丸山トップで久光迫野谷口の順に右岸からトラバースするように登った。8m滝自体は予想されたより簡単だったが、ゴルジュの中に懸かる次の3m滝が丸山曰くどうしても困難。結局8m滝上からそのまま更に左岸を巻き上がってトラバースし、3m滝を越えた。このトラバースもあまり良くない。この辺りが沢の核心だったと言えるかもしれない。
 これより上、半分ほどの長さを残して蛇谷は比較的平凡な流れとなる。滝は時折出てくるが、直登できるか簡単に巻け、特にコメントするほどのものはない。
 奥の二俣の先で沢は開放感のある低い笹藪の中の細流になるので、遡行を終了して装備を解除する。振り返ると、手前の草原には所々満開の白い花を咲かせた木(シロヤシオ)が点在し、眼下には伊勢平野が広がり、遠くには工場地帯を挟んで伊勢湾までが見渡せる。なかなかの絶景。
 尾根の登山道までは、笹薮の中の獣道をたどって20分程度の登り。鹿が多いらしく、鹿糞がそこここに落ちている。実際に一頭いるのも目にした。
 尾根に出るとほどなくして山頂。連休だけあって、ハイキング客で賑わっている。
 山頂から石榑峠は登山道を下った。花崗岩の山だけあって、マサ土のザレた道は大変滑りやすい。特に久光のスニーカーは底がすり減っていて、思ったより苦労した。
 何だかんだで予定より大分遅れた2時過ぎに下山。装備を片付けてそのまま東京に帰る。連休も最終日まで遊び歩く人はそこまで多くないらしく、横浜までの道は一切渋滞なしでスムーズに流れていた。15時前に峠を出発し、8時半頃に戸塚駅着。充実した紀伊半島遠征の五日間を反芻しつつ、余韻に浸りながら家路についた。
 ※滝の名称は「関西起点の沢ルート100」に基づく

■反省・備考
・四段滝二段目の処理は全体的に粗末だった。ロープは一段目よりは二段目で必要だったし、その二段目を十分見もせずに、ロープを持たない三人に、先に登ることを促したのは誤りだった。悪いことに二段目はお助け紐の出しにくい滝で、結果的に全員フリーで登ることになってしまった。
・ザレた花崗岩の山の登山道をすり減ったスニーカーで下山するのは避けるべき。滑って大変苦労した。