2018/5/20 芦川濁沢遡行・蛇沢下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
芦川 濁沢遡行・蛇沢下降計画書 ver. 1.0
作成者:丸山

■日程 5/20(日)(荒天の場合中止、前日までに判断)
■山域 御坂
■在京本部設置要請日時 2018/5/20 20:00
■捜索要請日時 2018/5/21 10:00
■メンバー(計3名)
 CL丸山 SL谷口 ○迫野  ○久光

■集合・交通
 6:54に相模湖駅前小ロータリー集合、丸山車で濁沢付近の駐車スペースへ(60分程度)、高速代1010円

■行程(予定時間)
  8:10 出発
 10:40 裏見の滝
 12:50 890m奥ノ二俣
 13:50 詰め終わり
 14:00 蛇沢下降開始
 16:00 千波滝上
 17:00 千波滝下
 17:45 蛇沢下降終了、舗装路へ
 18:00 帰着
 (計9:50)
 ※1時間以上遅れた場合はエスケープを選択する
 (https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-546327.html)

■エスケープルート
 濁沢:引き返すか左岸尾根に詰める
 稜線付近:濁沢左岸尾根または蛇沢左岸尾根で車に戻るか、登山道で四尾連湖へ下山
 蛇沢千波滝まで:蛇沢を横切る径路から前畑集落を経て下山
 それ以降:そのまま進む

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「市川大門」
 濁沢:東京起点沢登りルート120 p.207 など
 (http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade6/nigorisawasokouz.jpg)
 蛇沢:遡行図なし

■共同装備
 ツェルト(チャーリー)
 救急箱(苺)
 8.6mm×45mロープ
 8.6mm×30mロープ
 8.6mm×30mロープ
 ハーケン・カム
 ハンマー(ロカ)
 ハンマー(チコ)
 アッセンダー

■遭難対策費
 100円×4人
 計400円
■備考
 日の入(5/20)18:48
 鰍沢警察署0556-22-0110
 蛇沢記録(逍遥渓稜会)
 (http://shokeikai.web.fc2.com/2010/20101103hebisawa.html)

芦川 濁沢遡行・蛇沢下降記録
作成者:丸山

■日程 2018/5/20(日)
■山域 御坂
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
 SL谷口 CL丸山 迫野 久光
 ※オーダーはこれを主体とし、適宜変更

■総評
 初の遡行となる御坂山域で、代表的な沢とされる濁沢を遡行した。水量は少なく、綺麗さには欠けるものの、滝登りの楽しい好渓であった。下降した蛇谷は、殆ど記録がなかったが、入谷で苦労した以外は、予想よりも滝やナメが多く、悪くなかった。2本の沢に加えて限界集落や古道の散策も楽しみ、充実した山行であった。

■ヤマレコ記録
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1473420.html)

■時間(括弧内は計画時の予定)
  8:20 (8:10) 出発
 10:51-10:54 (10:40) 裏見の滝
 12:13 (12:50) 890m奥ノ二俣
 13:03 (13:50) 詰め終わり
 13:26 (14:00) 蛇沢下降開始
 16:51 (16:00) 千波滝上→エスケープを決定
 17:24-17:43 前畑集落散策
 17:58 県道へ下山 (17:45 蛇沢下降終了、舗装路へ)
 18:20 (18:00) 帰着

■ルート・周辺概況
 ※遡行図は東京起点120を使用、滝の落差・表記は同資料を参考にした。
 ・芦川流域の沢は中央道甲府南インターからのアクセスが良く、距離のわりに朝早く着くことができる。
 ・この山域の沢は岩が崩れやすく、落石・浮石も多く、藻で滑りやすい。そのため要注意。ホールドは細かいが多い。
 ・入渓点周辺の県道路肩に駐車可能
 ・濁沢の滝名に関しては諸説あるが、3段40m滝を「雄滝」別名「乙女の滝」、20m幅広滝を「雌滝」別名「二条の滝」、20m樋状滝を「白竜の滝」、12m滝を「裏見の滝」とした。雄滝の別名を白竜の滝とする説や、「中の滝」という滝が存在する説もある。
 ・3段40m雄滝は下段Ⅲ-、中段Ⅲ、上段Ⅲ+程度。
 ・続く12m滝と10m滝は遡行図で巻きが案内されているが両方左壁を直登できる(Ⅲ+)。
 ・20m雌滝は立ち木に頼って左岸から巻く。いいところでワイヤーロープが垂れている。「その空の下で」の弘田氏はこの滝を途中から直登している。
 ・20m白竜の滝は直登不能。左岸のバンドに残置ロープがあり、巻きやすい(部分的にⅢ+)。
 ・12m裏見の滝は直登不能。左岸から容易に小さく巻ける。
 ・2段8m滝は右壁を直登できるがやや難しい(Ⅳ)。右岸の巻きは容易。
 ・15mスラブ滝は右岸から巻く。落ち口にトラバースするよりは、少し大きめに巻いたほうが安全そうである。
 ・奥の二俣先の10m滝はⅢ程度、次の12m滝はⅢ+程度で直登可能。この沢のハイライトというほどの滝ではない。
 ・詰めはやや長く、ザレており大変な方である。
 ・蛇沢左俣を忠実に詰めた先は急傾斜のザレルンゼであり、ここの下降は無ロープでは厳しい。
 ・蛇沢左俣には、上から順に4m滝、3段10m滝、3段8m滝、4mナメ滝があるが、いずれも容易にクライムダウン可能。
 ・右俣が合流した先には2段6mナメ滝、2mナメ滝があり、どちらも容易。その先暫く凡流となる。
 ・凡流の先で2m滝を下ると、2段20m滝がある。左岸から45mロープ丁度で懸垂下降可能。
 ・2段20m滝のすぐ下に14m滝があり、左岸から懸垂下降可能。
 ・その先7m滝は、容易にクライムダウンできる。その後3mナメ滝、5m滝、3mナメ滝、2段15m滝、10m滝が、ナメを交えながら続く。左岸に薄い踏み跡があり、いずれもロープ不要で容易に巻ける。
 ・取水施設が現れ、連続するナメと小滝を下っていくと、すぐに千波滝の上に出る。この滝の下降は一筋縄ではいかないだろう。
 ・千波滝のすぐ上の左岸には径路(地形図よりも大幅に蛇沢寄りを通っている)があり、これを辿れば前畑集落に導かれる
 ・前畑から垈へ直接下る破線路は見つからなかった。曽川出合方面へ降りる径路はやや荒れていたが通行に支障はなかった。地形図の表記とはやや違う位置を通っている。

■行動記録(敬称略)
 ・3段40m雄滝まで
  県道に駐車し、濁沢左岸のU字溝を辿って入渓。この上ない入渓しやすさである。2分ほど歩くと、いきなりの3段40m雄滝。それなりに美しい。まずは下段を左岸から、中段を水流左から登る(Ⅲ+)。中段はぬめりが酷く、ホールドがある割には登りにくい。迫野はお助け紐を要した。上段はロープを出し、丸山がリード。左岸を登り、木の根やカムで3か所程度中間支点を取って登った(Ⅲ+)。後続も問題なし。
 ・白竜の滝下まで
  続く12m滝と10m滝は、45mロープで丸山がまとめてリード(Ⅲ+)。12m滝ではカムで中間支点を取った。ハーケンも打とうとしたが、岩が割れただけだったので諦めた。この先少々ナメが続いてそれなりに楽しめるが、程なくして20m雌滝が現れる。二条の滝という別名もあるようだが、この日は3条であった。これもなかなかの美瀑。弘田氏による途中から直登の記録もあるので、とりあえず途中まで左岸から巻いて検討するが、直登の場合ドシャワーとなるので、やめて巻く。上部は木の根に頼る登りとなり、やや厳しいが、ワイヤーロープに助けられる。雌滝の上では登れる小滝とナメが暫く続き、癒されるところ。
 ・白竜の滝
  白竜の滝は迫力のあるゴルジュの中を落ちており、見応えがある。東京起点120では右岸からの巻きが案内されているが、残置ロープもある左岸巻きを選択。最初の一段がやや難しいのでお助け紐を出し、それ以降は谷口以外はフリーで通過した。圧倒的なゴルジュの割には、巻きやすい。
 ・裏見の滝まで
  白竜の滝上は小釜と小滝が続き美しいが、のっぺりした岩のため直登は厳しい。左岸を巻いていくと、謎の石垣が現れる。何のための石垣なのか探ろうとしたが結局わからず、そのまま進んでいくと、いくつかの小滝を容易に楽しく越えて、裏見の滝に至る。一応裏見をしてみてから、左岸を容易に小さく巻いて滝上に出る。
 ・二俣まで
  裏見の滝の先は暫く平凡で、沢脇の植林地を歩いてショートカット。読図しながら進んでいくと、また滝が現れ始める。最初の4m滝は容易で、続くナメ滝を歩いて越えると、2段8m滝。この滝は下部が立っていてやや難しいが、丸山は右壁を何とか直登(Ⅳ)。それを見ていた3人は右岸から巻いた。その先もいくつか小滝を越え、左俣が2段8m滝として入る二俣に至る。
 ・奥の二俣まで
  遡行図通りに二俣を右に入り、5分ほどで15mスラブ滝。水は少ないが、それなりに立派である。定跡どおり左岸から巻くが、グズグズで落石も多く発生し、あまり良くない。途中から落ち口へトラバースするのが一般的なようだが、ロープを出すべき場面となるため、それを避けて大きめに巻く。その結果、落ち口より5m程度上に出たが、好都合な木の根がありクライムダウンで沢床に戻った。その先10分程度で奥の二俣。
 ・登山道まで
  奥の二俣を右に入ると程なくして10m滝が現れる。特段難しくない滝(Ⅲ)だが、最初に登ろうとした谷口が最初に乗った岩が大きく崩れ、肝を冷やした。登攀中にこれほどの崩落が起これば、無事では済まない可能性も高い。続く12m滝は、ロープを出すか検討したが、下降沢がほぼ未知の沢なので先を急ぐことにして、丸山がフリーで登る。Ⅲ+程度あったので、後続はお助け紐で確保した。水量はすでに非常に少なく、滝というより濡れた棚である。沢登りはこの滝で終わりで、詰めに入る。比較的急斜面でザレており、やや苦労したが、谷筋を忠実に詰めていくと20分程度で登山道に着いた。谷口は途中から左岸尾根に乗ったが、無駄に登らされるものの、登りやすかったらしい。
 ・蛇沢入谷まで
  登山道は想像以上に明瞭であり、エアリア掲載外のマイナー山域なのに意外である。登山道上で昼食休憩後、蛇沢方面へ移動して下降開始点を探るが、どこも急斜面であり厳しい。結局、左俣を忠実に詰めた先であるルンゼから下降を開始するが、ザレ急斜面なので懸垂下降とした。しかし、このザレ急斜面はしばらく続き、結局30mロープや45mロープ2本をフル活用して5ピッチの懸垂下降をした。かなりのタイムロス。
 ・千波滝上まで
  谷に水が出てきたころにザレ急斜面も収まり、普通の沢となる。容易な小滝こそあるものの平凡な沢を1時間も下っていくと、急に大きい滝(2段20m)が出現。巻き下れないので、懸垂下降とする。するとすぐ下にも大きめの滝(14m)があり、また懸垂下降。この2つの滝は、それなりに見応えがあって良い。その先3分程度で今度は7m滝があるが、丸山・迫野は右岸を巻き下り、先に進んでいた久光・谷口はクライムダウンした。ここは、クライムダウンのほうが良かったようである。この先もナメや小滝が続き癒しの渓相。10m程度の滝もあったが、いずれも左岸から容易に巻き下った。暫くして現役のように見える取水施設があり、入谷に手間取ったこともあってここからのエスケープを決定。とはいえせっかくなので千波滝の直上まで往復する。取水施設の下もナメやナメ小滝が続いて綺麗で、癒されながら下っていくと、徐々に眼前が開け、千波滝の落ち口に至る。ここからは滝壺まで見通すことはできないが、かなりの高さがあるということは分かり、なかなか爽快なところである。ここから取水施設まで戻って、エスケープ開始。
 ・前畑集落まで
  取水施設が現役であるからにはここへ至る道があるだろうと思ったが、意外と無い。そうは言ってもすぐ近くに径路があることは分かっていたので、適当に登っていくと、すぐに径路に出た。この径路は洗堀の進んだ古道感あふれる道で、趣がある。途中、植林地内にあった小屋では身延線の運賃表が壁として使われていたが、妙な再利用である。途中からは洗堀が進みすぎて谷のようになっている旧経路を避け、その左岸側を歩いていくと、地形図掲載の軽車道に出た。ここからの下山路も分かりにくく、少しさまよってから廃屋の脇を下ると、正しそうな径路に出た。これで明るいうちの下山は確約されたようなものなので、ちょっと反対側へ歩いて前畑集落内を散策。廃屋が目立ち、神社すら廃屋と化しているような限界集落であったが、それでも2軒程度には住民がいるようであり、古来の土地を守り続けていることに感銘を受けた。
 ・帰着まで
  前畑集落を後にして先ほどの径路を辿っていくと、やや荒れているながらもしっかりと作られた径路であり、車道ができる以前は前畑にとっての主要道だったようである(後日今昔マップにて確認)。予定では、地形図に載っている垈方面へ下る徒歩道を下る予定だったが、その分岐は見当たらず、結局曽川出合方面へ下った。芦川沿いに出ると道は車道となり、橋を渡って県道に出る。最後のお楽しみとして県道上から千波滝を観瀑したが、さすがに遠すぎて迫力がない。今日は果たせなかったが、いつかあの直下にも行きたいものである。観瀑後はのろのろと県道を歩いて車に戻った。

■備考
 ・上流に民家もないのに水が濁っていて、なぜだかは分からないが沢名のとおりである。
 ・白竜の滝の上流左岸側に石垣と平場があるが、何のためのものかは不明。昔はこの辺りに釣り禁止の掲示があったらしいが、目につくことはなかった。
 ・水は少なく、春か秋に遡行すべき。梅雨時の増水時もいいかもしれない。
 ・ヤマビルなし。
 ・山中での人との遭遇なし。前畑集落内でもなし。

■反省
 ・蛇沢の下降時に2人ずつに分かれたが、離れすぎたので良くなかった。
 ・途中でお助け紐を紛失した。要買い直し。2千円程度の損失。
 ・白竜の滝手前の小滝で丸山はカメラを落とした。無事だったが、場所によっては回収不能となるので要注意。

■コメント
 ・別れて行動するときは、少しでも悩みそうなところがあったら止まってください。