2018/6/2 湯場ノ沢オキノ万六沢遡行・ナカノ万六沢左俣下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
湯場ノ沢オキノ万六沢遡行・ナカノ万六沢左俣下降計画書 ver. 1.0
作成者:丸山
■日程 6/2(土)(荒天の場合中止、前日までに判断)
■山域 奥多摩
■在京本部設置要請日時 2018/6/2 20:00
■捜索要請日時 2018/6/3 10:00
■メンバー(計5名)
CL丸山 SL木口 杉山 梶原 橋本
■集合・交通
ココス南町田店駐車場に6:35(橋本)
北野駅北西の隆文堂前に7:10(木口、杉山、梶原)
丸山車で小坂志林道へ(50分程度)
■行程(予定時間)
8:00 駐車スペース着
8:30 出発
10:00 ナカノ万六沢出合
12:00 詰め終わり
12:20 沢下降開始
14:00 ナカノ万六沢出合
15:00 帰着
(計6:30)
(https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-552426.html)
■エスケープルート
湯場ノ沢:引き返す
オキノ万六沢:引き返すか、そのまま詰めて小坂志林道で下山
尾根上:小坂志林道で下山
ナカノ万六沢:引き返して小坂志林道で下山するか、そのまま進む
■地図・遡行図
2万5千分1地形図「五日市」
山と高原地図「奥多摩」
湯場ノ沢オキノ万六沢:奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート p.179
ナカノ万六沢:遡行図なし
■共同装備
ツェルト(チャーリー)
救急箱(苺)
8.6mm×30mロープ
お助け紐
ハーケン・カム・ナッツ
ハンマー(ロカ)
ハンマー(チコ)
アッセンダー
■遭難対策費
100円×5人
計500円
■備考
日の入(6/2)18:55
五日市警察署 042-595-0110
湯場ノ沢オキノ万六沢遡行・ナカノ万六沢左俣下降記録
作成者:丸山
■日程 2018/6/2(土)
■山域 奥多摩
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計5人、敬称略)
SL木口 梶原 杉山 橋本 CL丸山
■総評
新人2人を迎えた初心者向け沢山行としての企画であったが、危険を感じるようなところもなく、小滝の登攀やゴルジュの雰囲気など、沢の良さを楽しめる沢だったので丁度良かった。しかし、遡行沢・下降沢ともに、上部がゴーロのみであったのはいただけなかった。
■ヤマレコ記録
(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1488724.html)
■時間(括弧内は計画時の予定)
8:44(8:30) 出発
9:54(10:00) ナカノ万六沢出合
11:31(12:00) 詰め終わり
11:53(12:20) 沢下降開始
13:23(14:00) ナカノ万六沢出合
14:31(15:00) 帰着
■ルート・周辺概況
※遡行図は奥多摩大菩薩高尾の谷123を使用。滝の落差・表記は同資料に従った。
・小坂志林道の途中にはロープが張られているが、外して車で入れる。林道は未舗装だが普通車で問題はない。ただし車が汚れる。
・湯場ノ沢出合手前の路肩に駐車可能。すぐに入渓できる。
・最初の3mナメ滝は水線直登でⅡ、F1(5m)は水線右直登でⅢ-程度。その間にやや深い瀞があり、右左岸ともにへつりを楽しめる。
・トバノ万六沢出合を過ぎると、3m滝(Ⅱ)、幅広4m滝(Ⅱ)、2段4m滝(Ⅱ)と、容易な小滝が続く。3m滝と幅広4m滝の順は、遡行図と逆であった。
・ナカノ万六沢を分けると、水はだいぶ減り、容易な3m滝を越えてゴーロがしばらく続く。
・ゴーロに飽きた頃ゴルジュが現れ(500m)、3-4m程度の滝が4つほどある。難しいものでもⅢ程度。
・ゴルジュ後590mまでの間にF2(多段7mナメ滝)、F3(多段8mナメ滝)、3m滝があるが、滝というよりもただのナメに近い傾斜で、容易。
・倒木帯は概ね腐ったか流されたらしく、それほど面倒ではないが、この先滝も出てこないので、飽きる。
・思い出したころに現れるとされる4m滝は埋没したのか、見つからなかった。
・詰めに藪はないが、それほど楽というわけでもない。山椒が多く、掴むと痛い。
・ナカノ万六沢左俣の下降は、620m附近までは伏流しがちなゴーロであり、特に何もなく単調。
・620m附近からは、ゴルジュ状になり、5×8mナメ滝、2m滝、6mナメ滝、3m樋状滝、3m滝、3m幅広が立て続けに現れるが、いずれも難しくなくクライムダウン可能。沢の規模の割に立派なゴルジュで、ナカノ万六沢左俣唯一の見どころ。
・左岸から右俣を合わせると、5mのナメを経て再び伏流しがちなゴーロとなり、平凡なまま出合に至る。
■行動記録(敬称略)
・入渓まで
小坂志林道を快走して湯場ノ沢に架かる橋に着くと、その手前路肩が広めなのでそこに駐車。アプローチが超楽で素晴らしい。橋上から出合を見ると、本には1:1と書いてあるが、どう見ても2:1か3:1くらいで本流の方が多い。湯場ノ沢の方は水が少なく、それほど期待はもてないが…、とりあえず入渓準備。初めての人がいることもあって多少時間がかかり、予定より少し遅れて出発。橋を渡って右岸から斜面を降りて入渓。
・トバノ万六沢出合まで
入渓してすぐに、沢名の由来ともなっている鉱泉跡のコンクリート貯水槽がある。僅かに硫化水素臭がするが、鉱泉の匂いなのか、水が腐っているだけなのかは微妙である。少しして最初の3mナメ滝が現れ、さっそく水をかぶって直登。易しいので最初の滝としては丁度良い。その先で瀞があり、腰まで浸かるのを厭わなかった木口以外はへつったが、杉山は油断して失敗し、結局腰まで漬かった。続いてF1(5m)が出てくる。どう見ても右岸から容易に巻けるが、練習のためロープを出し、木口がリード。中間支点をとるほどのこともなく難なく登り、全員でロープを使った登攀を実践した。
・ナカノ万六沢出合まで
ナカノ万六沢出合までにある3つの小滝は、いずれも全員直登。初心者でもほどよく楽しめるところである。ナカノ万六沢出合に着いてナカノ万六沢を見ると、思った以上にしょぼい沢で、下降意欲がちょっと低下。
・詰めまで
ナカノ万六沢出合のすぐ先に3m滝があるが、傾斜は緩く登った感じはあまりしない。その先はゴーロとなり、10分ほどしてやや飽きた頃にゴルジュ出現。ゴルジュ中にはⅢ程度の滝もあったので、練習も兼ねて一応お助け紐を使用。途中に落ちていた倒木が死神の鎌のような形をしていて、木口をモデルに記念撮影して爆笑。ゴルジュを抜けると程なくしてF2とF3のナメ滝があったが、滝というほどのものでもなく歩いて越える。最後に3m滝を越えると、噂に聞いていた面倒な倒木はないものの、ゴーロだけの単調な沢となる。ここから1時間程度ひたすら登って、尾根に詰めあがった。詰めた斜面は山椒が多く、うっかり掴むと痛い。
・沢下降開始まで
詰め上がったところの近くに程よい倒木があり、腰かけて昼食休憩。時間に余裕もあるので長めに休憩後、北へ向かう。進むこと僅か4分で、右に伸びる尾根を見送り、下降開始点に到着。先頭の木口はうっかり通り過ぎそうになっていたが、気を付けましょう。
・ナカノ万六沢下降
最初の斜面下降はやや急だがザレていないので比較的降りやすい。初心者向けにはちょうど良かった。多少滑った人もいたが、難なく谷に降り立つ。しかし水流はなかなか現れず、降りやすいが何もない谷が続く。やや荒れた山径のようですらあり、極めて短調。ただただ下っていくと、右俣との合流点がかなり近づいたころに漸くゴルジュ状となって、滝が現れる。難しいものはないが、初めてということもあり、1つ1つ慎重にクライムダウン。ゴルジュを抜けると右俣が合流し、再びの凡流。しゃべりながら下って、本流に合流。
・湯場ノ沢本流下降
2段4mを右岸から巻き下り、幅広4m滝と3m滝をクライムダウンし、トバノ万六沢出合を経て、F1(5m)を右岸から巻き下り、再び瀞をへつった。途中、橋本は滑って肩まで浸かって少し寒そうだった。最後に3mナメ滝で、練習のため懸垂下降。全員問題なくスムーズであった。そのまま下って林道に上がろうとしたところで、アオダイショウに遭遇。無毒ヘビとはいえ、本能的に驚いた。
・下山後
随分早く下山したので、訓練山行の下見のため南秋川本流の橘峡へ行ったが、工事中で入渓禁止になっており、残念ながら訓練山行には使えそうになかった。そこで泳いだり、焚火したり、ハーケンを打って抜く練習をしたりしてだべること90分。さらに車に戻ってからお菓子交換会が始まって20分以上だべってから、昭島の銭湯「富士見湯」へ向かう。富士見湯は銭湯なので460円だが、シャンプー類も備え付けてあり、露天風呂やサウナ、電気風呂、ジェットバスに加えて低温~高温の浴槽が用意されており、非常に良い。しかも、待合室に大量の雑誌や漫画があり、自由に読めるようになっていて、いくらでも時間を潰せそうである。1時間以上入浴してから、19時過ぎに銭湯の駐車場で解散とした。
■備考・感想
・入渓してすぐにアサギマダラを見つけたが、翅に「オガタネ 2004」と書かれていた。調べてみたところ、どうやら種子島からはるばる飛んできたらしい。さすがは渡りで有名な蝶である。
・湯場ノ沢は簡単な滝が続き、初心者向けの沢として使えなくはないが、上部に何もなくゴーロが続くのが残念。
・水は少なく、行くなら春か秋。
・「小坂志川流域一押しの沢」と本には書いてあるが、ウルシガ谷やキットウ谷の方が良いと思う。
・ヤマビルなし。
・山中での人との遭遇なし。
・焚火もお菓子交換会も楽しかった。たまには山行後のだべりも良い。
・昭島の「富士見湯」は良い銭湯だった。たまには山行後の風呂も良い。
・初沢の人を連れて行くときは、もう少し定評のある沢へ行った方が良さそうである。
・奥多摩にラバーソールは向かない。
■コメント
・木口は、もっと積極的にお助け紐を出しましょう。少なくとも初心者には、迷ったら出す。
・ちょっと単調さの目立つ沢だったが、橋本・梶原ともに、また沢に来てくれそうなので良かった。今後の活躍に期待。
・滝のクライムダウンは、途中でスタンスを確認するのが難しいので、予め上からオブザベーションして、どこに足を置きながら下るか考えるとスムーズにできるはず。
・普段の沢山行では焚火もお菓子交換会もないので勘違いしないでね(笑)。
■反省
・救急箱とツェルトを車の中に置いたままで山行をやってしまった。意味がない。持参者と分担者の両者がきちんと把握しておき、お互いに声をかけて忘れないようにするする必要がある。