2018/6/23 霧降川遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
霧降川遡行計画書 ver.1.0
作成者:丸山
■日程 2018/6/23(土)
■山域 日光
■在京本部設置要請日時 6/23 20:00
■捜索要請日時 6/24 10:00
■メンバー(計4名)
CL丸山 SL木口 久光 迫野
■交通
丸山車で霧降の滝駐車場へ行き前泊
■行程
霧降の滝駐車場-40-入渓点-60-霧降の滝下-120-霧降の滝上-90-マックラ滝(遡行終了)-40-霧降の滝駐車場
(計5:50)
※コースタイムはないので予定時間.
■エスケープルート
霧降の滝下まで:引き返すか,右岸を詰める
霧降の滝上から:遊歩道で駐車場へ戻る
■地図
2万5千分1地形図「日光北部」
山と高原地図「日光」
遡行図:(http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade7-1/page028.htm)
■共同装備
救急箱(苺)
ツェルト(チャーリー)
8.6mm×45mロープ
8.6mm×30mロープ
ハーケン・カム・ナッツ
ハンマー(ロカ)
ハンマー(チコ)
アッセンダー
テント(リョクモンエダシャク)
■遭難対策費
100円×4人
計400円
■備考
日の出(6/23)4:23
日の入(6/23)19:05
日光警察署0288-53-0110
霧降川遡行記録
作成者:丸山
■日程 2018/6/23(土)
■山域 日光
■天候 晴れ後曇り後小雨
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
SL木口(39)、CL丸山(35)、久光(34)、迫野(35)
■総評
午後の雨予報もあり、転進として選んだ短い沢だったが、水量豊富で美しく、しかも飽きのこない秀渓だった。特に、日本の滝100選の1つである霧降の滝が直登でき、達成感もひとしおである。ぎりぎりの天候でも存分に楽しむことができ、出かけて本当に良かったと思える素晴らしい山行であった。
■ヤマレコ記録
(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1509879.html)
■時間
前日22時過ぎ いなげや和光新倉店出発
1:15頃 霧降の滝駐車場着
1:30頃 就寝
5:00 起床
5:50 霧降の滝駐車場出発
6:37-48 入渓点
7:53 霧降の滝下
11:52霧降の滝上
13:00-03 マックラ滝(山行終了)
13:52 霧降の滝駐車場帰着
■ルート・周辺概況
※遡行図は作成した。ヤマレコとGoogle Photoにアップ済。
・霧降の滝駐車場は綺麗なトイレがあり、前泊もしやすい。
・霧降川周辺はヤマビルが多く、山行中を通じて要注意。
・観瀑台へ向かう遊歩道の途中から東へ向かう尾根上に踏み跡がある。追っていくと途中で右側に逸れ、地理院地図で縮尺最大にしたときに表示される道に出る。この道を東に向かうと林道に出る。この辺りから北へ向かえば霧降川へ降りられるが、藪漕ぎを嫌うならば、遠回りにはなるが林道を追って藪こぎなし降りることもできる。ただし林道網は複雑なので、GPSがある方が良い。
・霧降川下部は水量豊富で美しい釜や小滝、ナメ、瀞が連続し、素晴らしい渓相。小滝はいずれも容易。600m附近に15mの瀞があり、へつりも厳しいため泳ぎを強いられた。他の記録によれば、腰程度まで浸かれば越えられたらしいが、深くなったのかもしれない。
・霧降の滝下段下部左は容易とする記録もあるが、傾斜は緩いもののホールド・スタンスが乏しく難しい。右岸に垂れ下がる蔦が使えた。
・霧降の滝下段上部も左がルート。山登魂や弘田氏の記録では水線から取り付いているが、その左側を巻き気味に取り付くこともできた。その先ではルンゼ状(Ⅳ-)を上がり、トラバース気味に右上する。これは他の記録と同様。
・上段と下段の間も美しい癒し系。
・上段は水流左から取り付き、中間部まで登って(Ⅲ)、水流を横断し(Ⅱ-)、左岸壁を登る(Ⅲ+)。水流横断部はロープを出さないほうが良い。水流を横断せずに左壁をそのまま登ることも試したが、TRならまだしもリードはできそうにない。
・上段の上には堰堤があり、これを左岸から巻くとインゼルとなる。沢は平凡になるが、廃ハイキングコースがあるのでこれを歩けば楽。
・丁字ヶ滝は普通の滝で、わざわざ見るようなものでもない。この辺りから、ハイキングコースは現役のものになる。
・玉簾の滝は、幅広で美しく、様々なルートからの登攀も楽しめる良い滝。
・玉簾の滝を登攀したら実質的に遡行終了。沢沿いのハイキングコースを歩いてマックラ滝を見に行っても良い。
■行動記録(敬称略)
・前夜
金曜夜遅くまで用事があった迫野と久光のため、遅めの集合。高速に乗ってさっさと日光へ行こうかと思っていたが、Google Mapで調べると、下道でも意外と速いようなので、下道で。実際、国道4号線は非常によく整備された道で、高速並みのスピードで走れた。宇都宮や日光は、意外と近い。駐車場に着いて外へ出ると、星々が煌めいており、翌日の雨予報など感じられない。標高が700mもあることもあって、そこそこ寒く、丸山は上着を忘れていたので寒がりながら急いでテントを立てて、寝た。
・入渓まで
睡眠時間3時間半では不足と言わざるを得ないが、午後からの雨予報とあっては、早出せざるを得ない。頑張って起きて、無理やり迫野を起こし、50分で出発。なかなか速い方。まずは観瀑台へ行って、滝を俯瞰。あれをこれから登ると思うと、武者震いがする。一仕切り見た後、途中の踏み跡に入って、入渓点へ向かう。早速ヤマビルに襲撃され、読図をする余裕もなくスマホGPSを見ながらどんどん歩いて、林道に出る。こうなると、もう林道を離れたくなくなり、遠回り覚悟で林道を辿る。林道網は複雑だったが、電波が通じたこともあって空中写真も確認しながら歩き、藪こぎ無しで霧降川に降りることができた。
・霧降の滝まで
入渓すると早速、美しい小滝や立派な釜に出迎えられる。早速泳ぐ木口とそれに呆れる他のメンバーという対比はもはや恒例である。しかし、いくつか小滝を越えた先で、15m瀞があり、結局全員泳ぐ羽目になったので、「よく泳ぐよね~」とバカにしてばかりはいられなかった。その先も美しいナメや小滝を越えていくと、ついに本日の主役、霧降の滝下段が迫る。
・霧降の滝下段(40m)
霧降の滝下段は大変優美な滝で、見とれてしばし休憩とする。その後、他の登攀記録に従って、中間テラスまで水流左部を丸山トップでフリー登攀しようとしたが、上部で行き詰まる。結局久光が左岸に垂れ下がっていた蔦を使ってテラスに出て、他の3人をお助け紐で引っ張り上げた。他の登攀記録ではここからさらに水線を攻めているが、水流の迫力に圧されて巻き気味に右岸から取り付くことにする。まずは丸山が右岸上部のテラスを目指して側壁の直登を試みたが、滑り落ちたので少し戻って巻き気味にテラスに上がる。ここでセルフビレイをとって、残り3人をお助け紐で上げてから、ロープを出して滝上を目指す。丸山がリードしてまずはトラバース気味に進むと、ルンゼ状の岩窪があり、岩角で中間支点を取ってからここを登る(Ⅳ-)。ここさえ登ってしまえば、あとはトラバース気味に右上するだけで滝上に出て、下段登攀成功。後続も問題なく突破。
・霧降の滝上段(40m)
3人目の久光が下段を登りきった時点で、丸山と木口は上段下へ移動。この間も癒し系で美しいが、下段を登った興奮と、さらにもう1つ控えている大滝への期待とで、緊張が解けることはない。上段は下段ほど優美ではないが、右の側壁が立派で迫力がある。前評判どおり下部は登りやすそうなので、丸山がリード。途中、灌木で大して頼れなさそうな中間支点を一応とって、美味しい木苺のあるテラスまで登る。ここには丈夫な立木があったが、場所が悪く、終了点工作には少し苦労した。ロープを持った久光の登攀を待って、丸山は記録がない左壁の登攀に挑んだが、手がかりの乏しい垂直な岩に阻まれ、登れない。定跡どおり、水流を横断することにする。やる前は寒そうで尻込みしていた水流横断も、いざやってみれば楽しく、左壁の敗退で泥々になった体も洗われて気持ちが良い。しかし、ロープを引いて水流を横断したため、ロープが水流に押されて重くなり、これ以上の登攀が大変。それでも何とか右壁(Ⅲ+)を登って、終了点をつくる。ロープが重すぎるせいでラストの迫野を上げるのには試行錯誤の末、苦労したが、時間はかかったものの登攀成功。達成感MAX。
・下山まで
霧降の滝が終われば、この沢は終わったようなものである。日本庭園状で美しいナメを越え、堰堤を右から巻くと、インゼルの中に廃ハイキングコースを発見。沢筋はこの先平凡なのでこの廃ハイキングコースを絡めて適当に進み、丁字ヶ滝に至る。割と普通の滝で、特に心が動くようなものではなかった。丁字ヶ滝からさらにハイキングコースを進むと、玉簾の滝(2条6m)。これも非常に美しい。丸山は左流芯(Ⅲ)、迫野は右水流の左、木口と久光は右流芯を登ったが、迫野と久光はお助け紐を要した。玉簾の滝で沢遡行は終了し、あとは適当にハイキングコースに出て、マックラ滝まで見に行った。マックラ滝はどう見ても登れないが、下部がハングしているので、木口は懸垂下降したら楽しそうだと言っていた。マックラ滝を見終わった頃に雨が降り出したが、既に濡れているのであまり関係がない。林道と県道を繋いで50分のんびり歩き、駐車場に戻った。
・下山後
雨が強くなってきたため、当初考えていた白雲滝の観瀑を断念。全天候型観光地である鍾乳洞「宇津野洞窟」を目指す。駐車場でのんびりしてしまったこともあって、16時閉鎖とされるGoogle情報が正しければぎりぎりの到着になりそうだったが、とりあえず行く。結局15:50くらいに着いたが、入り口は開いていて一安心。二次生成物の発達は悪く、大した鍾乳洞ではないが、無料で照明まで整備されているのは素晴らしい。一通り散策してから出るが、16時を過ぎても閉める気配はない。そのまま駐車場で帰り方を思案していると、イベント発生。鍵を閉めるおばあさんが来て、フズリナの化石やらミョウガタケ(?)やらを頂く(半ば押し付けられた?)。ともかくも暖かい気持ちを受け取って、帰りも一般道で一路南浦和へ。南浦和駅東口ロータリーはタクシープールばかり大きくて一般車乗降場は殆どなく、使いにくい。
■備考・感想
・霧降川は、美あり癒やしあり登攀ありの秀渓。半日でも満足できるので、東京から日帰りも可能。
・2年前から憧れていた沢を遡行できて良かった。転進最高。
・関東でトップクラスの秀渓だと思うが、ヤマビルが多いのが玉に瑕。久光は4箇所、他の3人も1箇所ずつやられた。
・水量が多く、泳いだり水をかぶったりするので、ウェットスーツがある方が良い。迫野と久光はなかったため、寒そうであった。
・霧降の滝駐車場にある売店のおじさんによると、結構遡行者がいるらしい。観光地なのに遡行者を閉め出さないのはありがたい。登攀風景は、観瀑台からも見える。
・雨が降ってきたのが遡行終了後で良かった。
■コメント
・木口はフェルトソールのシューズも買った方がいいと思う。
・小滝を難しい場所から登るのは程々にしましょう。お助け紐を求めない程度に。
・筆記用具はちゃんと持ち歩きましょう。いざというとき遭対マニュアルに書き込めない。
■反省
・大型の滝の滝身の横断でロープを出すと、水流に押されて物凄くロープが重くなることが分かった。必要性が低いならロープを出さないほうがいいし、出すなら横断してすぐにピッチを切るべきである。
・CLとSLが2人とも地図を浸水させるという失態を犯した。水量の多い沢では地図の防水に留意すべし。
・核心部に限って写真を撮っていないという問題があるので、核心部でも写真を積極的に撮っていきたい。
・丸山は筆記用具を落とした。
■参考(他の霧降の滝登攀記録)
2013年6月 山登魂(初登) (http://yama-to-damashii.outdoor.cc/20130615_kirifuri/01.htm)
2014年8月 弘田猛 (http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade7-1/page028.htm)
2015年6月 たま (https://ameblo.jp/tama-xx/entry-12040410484.html)
本記録は、ウェブ上の記録としては4例目か。