2018/7/8 本間沢遡行・太礼ノ沢下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
本間沢遡行・太礼ノ沢下降計画書 第四版 (2018/7/7時点)
作成者:杉山

■日程 2018/7/8(日)
■山域 丹沢
■在京本部設置要請日時 2018/7/8 20:30
■捜索要請日時 2018/7/9 8:00
■メンバー 3名
 CL杉山 SL久光 梶原

■アプローチ
 杉山、梶原は北野駅前ロータリーに6:35集合。
 久光車で本間橋へ移動(70分程度)。

■行程
 本間橋 -30- 入渓地点 -1:40- トイ状大滝 -50- 最後の滝上 -35- 1300m付近のコル -40- 太礼ノ頭手前のコル -2:40- 太礼ノ沢出合 -25- 伝道 -30- 本間橋
 計7:50
 ※コースタイムは東京起点沢登りルート120及び2017年の記録に準ずる。
 ※時間と体力に余裕がなければ、詰めの後は本間沢右岸尾根(エアリアの破線ルート)で下山。約90分で下山可能(計5:05)。

■エスケープルート
 遡行中:引き返す or 右岸尾根に詰める
 1300mコル~太礼ノ頭手前のコル:本間沢右岸尾根で下山
 太礼沢以降:そのまま進む

■地図・遡行図
 2.5万分の1:「大山」「青野原」
 山と高原地図:「29 丹沢」
 東京起点沢登りルート120 p128 (本間沢)
 ウォータウォーキング2 p27 (太礼ノ沢)

■共同装備
 ツェルト(ブラヴォー)
 救急箱(アゲハ)
 8.6mm×30mロープ
 お助け紐
 アッセンダー

■遭難対策費
 100×3円 計300円

■悪天時
 前日19:00までに判断。
 ※決行です。

■備考
□日の出日の入(本間橋にて)
 日の出 4:35
 日の入 19:02
□警察署電話番号
〇津久井警察署 0463-83-0110
□過去記録
〇2017年 本間沢遡行・太礼ノ沢下降
〇2018年 ヤマレコ 本間沢遡行(右岸で下山)
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1493733.html)
〇2018年 ヤマレコ 本間沢遡行(左岸で下山)
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1512649.html)

本間沢遡行・太礼ノ沢下降記録
作成者:杉山

■2018/7/8(日)
■山域 丹沢
■天候 晴れ
■メンバー 2名
 CL杉山 SL久光

■行程
  8:26 魚止橋
  8:33 本間橋
  8:50 入渓
 10:13-10:59 トイ状大滝
 11:30-11:38 小休憩
 12:09 無名ノ頭
 12:47-12:55 丸山隊と合流、出発
 13:16 コル
 13:32 太礼ノ沢下降開始
 15:42 太礼ノ沢出合
 16:05 堰堤

■記録
〇出発~入渓
 ちょうどロータリーに着いた頃、久光さんから10分ほど遅れるとの連絡をもらう。集合時間の少し前に谷口さんと合流、お互い相当眠く、駅前を浴衣でうろつくカップルを見て「あれが正しい休日の使い方でしょ」とぼやき合う。しかし時間を過ぎても梶原さんが現れずラインの既読も付かないので、これは…と思い携帯に直接電話をかけたところ、「おはようございます、今起きました…」とのこと。あらあら。谷口さんは「育ち盛りだから仕方ない」と笑っていた。僕も笑った。すっかり野郎山行になってしまったが、とりあえず出発。丸山隊との合流やメンバーチェンジなども考えるが、結局そのまま続行することに。たまたま救急箱も足りていたので、問題なかった…と思っていたが、実は丸山隊が足りなくなっていたらしい。知らなかった。
 本間橋そばのゲートを苔むした階段で超え、魚止森の家横の階段を上がって登山道へ。ピンクテープに導かれ右手に進み、枝沢を渡る。このとき、枝沢と本間沢を危うく間違えそうになった。ともかく2本目の枝沢に進み、少し巻き戻って出合に入り、入渓準備。適当に歩いていたので、遡行図にある「本間の頭」という看板は発見できなかった。
〇入渓~835m二俣
 2段5m滝は増水により激シャワーと化していた。まあいけるかな、と思い取り付くも、猛烈な水量にあえなくノックアウト。水は僕の左顔面に襲い掛かり、飛沫は視界をゼロにし、ついでに耳の中に侵入し、ともうめちゃくちゃ。こんなシャワーがあってたまるか。一旦引き返そうと思い左足を下ろすが、さっき使ったはずのスタンスが見つからない。更に右手がヌメってバランスを崩し、ザックの重みで体が回転、あっこれは落ちるか…と思ったその瞬間、右足のニーバーが驚くほど綺麗にキマった。すごいぞ、ジムでも使ったことのないムーブを出してしまった。まあ仮に落ちたとしてもせいぜい高さ1m、釜へドボンするだけなので構わないのだが、あれで落ちるのはマヌケすぎるので回避できてよかった。引き返して左側から巻いていく。
〇835m二俣~無名ノ頭
 この辺の小滝でヌメりにビビり、久光さんに先行してもらう。お助けをもらって勢いづき、無駄にキョン足を挟んでずり上がる。これは決まった、記録に書こう…と思っていたら、滑ってお助けにテンション。ダサすぎる…。
 F8トイ状大滝も見るからに増水しており、水線直登は今回かなり厳しそう。杉山はビビったので久光さんがリード。水線左を落口付近まで登り、最後だけ水線を横切って登る予定で取りついたが、結局横切るのは不可能であった。やはり水量が多すぎる。すぐ左側の巻道に逃れるが、どうもこのトラバースがかなり悪いらしく、中間支点を2箇所とる。ロープが岩角にぶつかり流れも悪い。ロープがほぼいっぱいになったところで支点構築終了。続いて自分も登り始めるが、落口手前へ上がるところがかなり悪い。途中で足の入れかえを試みるも草に隠されて足元が確認できず、といって沢靴の足裏感覚のみに頼る気にもならず、少しクライムダウンしてから逆足で登りなおす羽目になる。結局左手カチ、右手プッシュで乗り越えたが、フリーでは到底選択しないであろう怪しげなムーブだった。ここまで実質フリーで登った久光さんはすごい。そのあとは支点の回収に手間取り、かなりの時間を割いてしまう。細い植物の根元にスリングを巻いた簡易的な支点であり、ここは結構怖かったので許してほしい。左の巻き道は非常に容易なので、ここは水線直登と高巻きのどちらをとるか早めに選択した方がいい。
 ちょうど2つ目の支点を回収したあたりで、後続パーティが滝下に現れた。なにやら体育会系な団体で、隊員の「はい!」「はい!」という快活な返事が、滝の轟音にも負けずに僕らまで届いていた。1人だけ巻き道を使ってささっと登ってきたが、トップロープでも張るのだろうか。水線上で宙づりになったらパニクりそうだが。このパーティとは、この後出くわすことはなかった。
 F8で嫌な目にあったため、直後のF9、F10も巻いた。このあとは特に面白いものはなく、軽い食事休憩を挟みながら適当に詰める。普通にコルへ詰めるつもりだったが、せっかくなのでちょろちょろと現れては消える水線を追い続けた結果、直接無名ノ頭へ詰めあがっていた。稜線直下10mほどまで水が続いたうえ、特につらいと感じる箇所もなかった。ここでしばらく丸山隊を待つ。
〇無名ノ頭~本間沢出合
 予定より20分ほど早く丸山隊と合流した。無名ノ頭~円山木ノ頭間の稜線は普通の登山道であるため、ルートは非常に明瞭。真新しい木製の階段が足にやさしいが、先頭の丸山さんが高速移動するためあまり楽ではない。丸山さん曰く、「ダラダラ登ってたつもり」らしい。さすがです。開けたコルのあたりで尾根を外れ、太礼ノ沢へ向かう。遡行図によれば谷はガレていて降りにくそうなので、ぼんやりとした踏み跡をたどって緩い尾根上をしばらく進み、適当なところで谷へ入る。去年は水が現れるまで40分ほど要したそうだが、今回は谷に降り立った瞬間から水があった。15分も歩けば立派な沢である。増水さまさま。
 これ以降は巻きとクライムダウンを繰り返して快適に下降する。懸垂が必要な個所もなく、テンポよく進めて心地よい。汚れたザックを洗いたい気持ちもあって、積極的に釜へ突っ込んでいった。975m二俣のY字状4mは脇を迂回。この先すぐに沢が三俣状になる箇所があり、地図と合わないので少し混乱した。左から明確に入ってくるのは870m二俣だけなので、ここしかないのでは?と判断するも、GPSを見ると現在地は930mほど。かなり戸惑ったが、結局左から入ってきているのは沢ではなく、湧水であった。紛らわしい…これ、遡行図がなかったらわかりませんね。
 そのあとの連瀑も適宜巻きながらスムーズに越していく。途中、虫が全速力で鼻の穴に飛び込んできた。もう少し死に場所は選んでほしい…と思ったが、後でくしゃみをしたら生きたまま出てきた。生還おめでとう。
〇本間沢出合~魚止橋
 出合にたどり着くと、既に丸山隊が早戸川本流を挟んで向こう岸にいた。一応お助けをもらって渡渉し、合流に成功。昨年は本流を下降したそうだが、今回は激しい流れに断念した。大雨で多量の水を湛えた早戸川は美しく、巨岩下に広がる濃い青緑色の水域は、水の深さを表していた。水流の奏でる轟音は、川のせせらぎというより滝の取り付きさながら。下降こそできなかったものの、脇からの眺めだけで十分満足できた。ちょこちょこ渡渉を挟みながら、円山木沢出合そばの堰堤へ到着。
 たき火は久光さんのプロフェッショナルさに感動。渡渉を繰り返して大量に薪を運んでくる姿はカッコよかった。丸山さんは金属製の串にじゃがいも、たまねぎ、塩コショウ、と準備万端。でも一番おいしかったのは迫野さんの持ってきたサラダチキンですね。一口分けていただきありがとうございます。谷口さんはたき火の暖かさにやられ、マシュマロの刺さった串を持ったまま夢の世界へ…。
 一通り楽しみ、消火したのちはさくっと林道を使って魚止橋へ帰還。充実した山行でした。

■雑感
・降雨の直後ゆえ山ビルをかなり警戒していたが、ほとんど遭遇しなかった。僕は遡行中の被害はゼロ。帰りの電車で右足首からの流血に気が付いたが(超迷惑)、おそらく堰堤か魚止橋で食われたものと思われる。久光さんは4,5回ほどヒルと格闘していたが、大方は噛まれる前に処理していた。
・原小屋沢では顔中(+腕、首、胸)を虫に襲われ、ばくだんいわみたいな人相になってしまったため、今回は防虫対策をしっかりとすることに。とはいえ訳あって防虫グッズは何も買えなかったので、上半身は「長袖を着て、絶対にまくらない」「ファスナーは一番上まで閉める」ことでガード。無防備な顔面は、遡行中ひたすら顔を触りまくることでカバーした。特に無名ノ頭で丸山隊を待っているときが大変で、30分以上自分の顔を触り続けていた。少し小顔になったかもしれない。もう少しましな対策があっただろうとは思うが、なんだかんだ虫刺されの被害はゼロ。小顔マッサージ、侮れない。
・僕の初めてのデート山行でした。
・寝坊は怖い…。

■反省
・沢でCLを務めるのは初。とはいえ実質久光さんがCLのようになっており、自分の力量不足を感じる箇所が多々あった。まだまだ勉強が必要です。
・救急箱が足りないとは知らなかった。丸山隊に何もなかったからよかったものの…隊間で道具の受け渡しがある以上、出発前にもっと確認すべきだった。
・スマホで記録をとるのがあまりにもしんどく、どの滝で何が起きたのか正確に残しておけなかった。防水カメラが欲しい。
・せっかくGPSアプリを入れたのに、ログをとるのを忘れていた。勿体ない。
・当たり前だが、ジムのクライミングと沢のクライミングは違う。分けて考えねばいけないのだが…どうもジム臭い登り方になってしまう。もっと経験を積みます。