2018/7/21 東沢本流下部遡下降・清兵衛沢遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
東沢本流下部遡下降・清兵衛沢遡行計画書 ver. 1.0
作成者:丸山

■日程 2018/7/21
■山域 奥秩父
■在京本部設置要請日時  7/21 21:00
■捜索要請日時 7/22 10:00
■メンバー(4名)
 CL丸山 SL木口 山本 久光

■アプローチ
 相模湖駅前ロータリーに6:53に集合し,西沢渓谷駐車場まで丸山の自宅車で(80分程度・高速代580円)

■行程
 西沢渓谷駐車場-40-鶏冠谷出合-60-ホラの貝沢出合-240-ホラの貝ゴルジュ出口-30-清兵衛沢出合-180-鶏冠尾根(30)-鶏冠谷出合-40-西沢渓谷駐車場
 (計10:20)
 (https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-560787.html)

■エスケープルート
 引き返して遊歩道や旧登山道で戻る

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「金峰山」
 山と高原地図「金峰山・甲武信」または「雲取山・両神山」
 清兵衛沢:奥秩父の谷100ルート p.24
 東沢本流下部:奥秩父の谷100ルートp.56、関東周辺の沢p.213

■共同装備
 救急箱(苺)
 8.6mm×30mロープ
 ハンマー(ロカ)
 ハンマー(チコ)
 ハーケン・アブミ
 アッセンダー
 ※遊歩道または旧登山道が並行しエスケープが容易なのでツェルトは無し

■遭難対策費
 100円×4人
 計400円

■備考
 日の入 18:59
 日下部警察署 0553-22-0110

東沢本流下部撤退記録
作成者:丸山

■日程 2018/7/21(土)
■山域 奥秩父
■天候 晴れ後雨後晴れ
■メンバー・オーダー(計4人、敬称略)
 SL木口 山本 久光 CL丸山

■総評
 昨年からの念願であった東沢本流下部遡行であったが、ゴルジュ内でにわか雨があり、増水を恐れて撤退した。そのため不完全燃焼感は残ったが、それまでの遡行は泳ぎと登攀を交えた面白いものであり、景観も美しかったので良かった。しかし、リベンジが必要である。

■ヤマレコ記録
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1535329.html)

■時間(括弧内は予定時間)
  8:49 駐車場出発
  9:25-9:50 鶏冠谷出合(入渓準備)
  9:55-10:35 6m滝
 10:52-11:44 2mCS滝
 11:53ホラの貝沢出合
 13:50頃 ホラの貝ゴルジュ最初の4m滝登攀完了
 14:00頃 撤退開始
 14:37 鶏冠谷出合
 15:25 駐車場帰着

■ルート・周辺概況
※遡行図は奥秩父の谷100ルートを使用。滝の落差も同書に基づく。
・鶏冠谷出合までの旧登山道はよく整備されており、道標まである。
・全体として、ラバーソールの沢靴が推奨される。
・今回の水量では、ホラノ貝ゴルジュ内最初の滝までは泳ぎが厳しいところはなかった。
・最初の6m滝は左壁クラック沿いの登攀がIV-程度。中間支点は確認できず。
・2mCSは左壁をへつってから釜に飛び込み、右のチムニー状を登った後、落口にトラバースするか、残置ロープを使用してさらに上がる。残置不使用でトラバースする場合、IV+。中間支点は確認できず。
・ホラノ貝ゴルジュまでは、この2滝以外に問題になるところはない。
・ホラノ貝ゴルジュ最初の4m滝は、右壁をアブミトラバースするのが一般的だが、クライミング力があればアブミなしでもトラバース可能(V)。アブミを使う場合は、4本あると良い。
・鶏冠谷出合~ホラノ貝沢出合の旧登山道は、問題なく歩ける程度には整備されている。

■行動記録(敬称略)
・入渓まで
 体調を一時的に崩した山本が遅れて相模湖駅に着いたので、中央道をフル活用して勝沼まで行き、もう5度目くらいにもなるフルーツラインを通って西沢渓谷駐車場へ。最近暑すぎるためか、余り混んでおらず、良い場所に駐車。いつもの道を通って鶏冠谷出合へ。途中、感じの良い絵図があり、あれやこれやと雑談。鶏冠谷出合で入渓準備をするが、山本が慣れないウェットスーツを着るのに、前後ろ逆に着ようとしたりして、意外と時間がかかった。
・6m滝
 鶏冠谷出合からすぐに6m滝に着く。昨年もここまでは来ているが、あまりの水量の違いに驚くばかりである。昨年渡渉訓練したところが、ただの浅瀬のようになっているとは。入渓準備中に3人パーティに抜かれていたので、案の定、6m滝で追いつく。2人目が登攀中であり、まだ暫く時間がかかりそうだったので、丸山が右壁からの登攀を試みたが、意外と悪く、思案しているうちに先行パーティが登攀を終えたので、久光のリードで左壁クラックに取り付く。しかし、フェルトソールでは細かいスタンスが拾えずに登れず、木口にリードを交代。木口は難なく登り、全員問題なくフォロー。
・CS2m滝まで
 6m滝から暫くはゴーロ主体だが、所々に泳ぎポイントや美しい釜もあり、飽きることはなく、20分ほどでCS2m滝に至る。また先行パーティが登攀中なので暫し待ち、それから丸山がリード。水線の直登は無理そうなので、先行パーティに倣って左壁をへつってから釜に飛び込んでチムニー状を登攀。狭くて登りにくいが、カムで一応中間支点を取り、上部スラブは微妙なバランスで落口にトラバース。終了点として良いものがないため、仕方なく足元にある小さいCSを終了点とする。後続は、山本が落口のトラバースで苦戦し、残置ロープに頼ったが、それ以外は問題なさそうであった。
・ホラノ貝ゴルジュ入口まで
 CS2m滝を越えるとまた暫くは平易であり、左岸から清兵衛沢が出合ってくる。もともと本流遡下降後に登る予定だったが、既に登攀待ち時間等で時間を使っているため、今回は諦めである。水は細いが、確かに大きめの滝として出合っており、なかなか楽しめそうである。更に進むと、突如として不気味なホラノ貝ゴルジュ入口が口を開けている。写真で何度も見た景観を漸く目の当たりにすることができ、感無量。
・ホラノ貝ゴルジュ4m滝まで
 ゴルジュ入口は泳ぎを要するが、流れは緩く問題とはならない。4m滝手前にはテラスがあり、ここで先行パーティの登攀を待つが、一向に進まない。どうやら登り方が分からないらしく、我々に先を譲ってくれるとのこと。そこでこの滝をフリーで越したいと思っていた木口が早速フリーで取り付くが、初っ端から足がうまくかからずに滝壺にドボン。再度挑戦するが、結果は同じ。次に丸山がアブミをぶら下げてトライ。木口が苦戦した最初の部分は一段上に立ち込んでクリアし、その後アブミを2本かけながらトラバースしていく。丸山もフリー登攀したいと思っていたのでかけたアブミには乗らず、そのままトラバースしていくが、一箇所残置ハーケンを掴んでA0。ちょっと悔しいが、そのままトラバースを続け、滝上へ。ここで終了点を探すが、ない。仕方ないのでハーケンを打つが、なかなか決まらず時間がかかった。続いて久光がトラバースしようとするが、アブミを使っても大苦戦。結局諦め、先程譲ってくれたパーティがアブミを追加しながら登り、両パーティの装備を合わせて登ることになる。暫し待った後、このパーティがアブミを更に2つ掛け、合計4つとして残置し、我々の使用に供してくれた。結局これらの4つのアブミをフル使用し、木口・山本・久光はトラバース成功。あまりにも時間がかかった。
・撤退
 最初の滝に時間をかけすぎている間に雲行きが怪しくなっていたが、登り終えた頃にいよいよ雨が降り出す。小雨だったので遡行を続行しようとし、木口がロープを引いて次のCS滝に向かったが、だんだん強くなって雷も鳴ってきたので、危険と判断、無念の撤退を決断。先程の4m滝を飛び込んで下ると、すぐにゴルジュの出口。降り続く雨の中旧登山道に乗って順調に下山していくと、雨はやんでくる。しかし既に木口や山本の気持ちが切れているようだったので、沢へと引き返したり清兵衛沢遡行はせず、そのまま下山。駐車場に着く前には晴れてきて、恨めしい気持ちになるが、どうしようもない。またリベンジするのみである。
・下山後
 道の駅に寄ったり桃の直売所に寄ったりし、各自ソルダムや桃を購入。安くて良い。直売所では優しいおばあさんとじゃれつく孫たちに癒やされた。

■備考・感想
・この日は5パーティ程度がこの沢に入っていたようであった。
・沢や滝を登っていた時間よりも、運転時間や登攀待ち時間のほうが遥かに長かったので、遠くて混んでいる沢は微妙。とはいえ沢自体は非常に綺麗で楽しかった。
・他パーティの装備を借りて登るというのは敗北に近い。リベンジするときは、装備を更に増やし、登攀力も上げて挑むべし。
・ゴルジュ最初の滝をほぼフリーで、他パーティが見ているところ越えられたのは気持ちよかった。後でバランスが良いと褒められて嬉しかった。
・久光はフェルトソールの沢靴にクライミングシューズ持参で参加したが、この装備でも問題はなさそうだった。ただし履き替えが面倒。他3人はラバーソール。
・にわか雨が降ってきたからといってすぐに撤退したのは勿体なかった。すぐに已んだことを考えれば、ゴルジュ外の安全な場所で已むのを待ち、再度遡行すれば良かった。
・ヤマビルなし。

■コメント
・登攀力を高めましょう。ゴルジュ最初の滝くらいはフリーで突破したいところ。

■反省
・アブミやカラビナ、スリングをもっと多く準備してホラノ貝ゴルジュ最初の滝に取り組めば、もっとスムーズであった。
・終了点がなく、落ちても危険の少ないときは、ボディビレイの選択肢も積極的に考えるべきであった。