2018/7/22 倉沢谷本谷・長尾谷遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
倉沢谷本谷・長尾谷遡行計画書 ver. 1.0
作成者:久光

■日程 7/22(日)
■山域 奥多摩
■在京本部設置要請日時2018/7/22 20:00
■捜索要請日時2018/7/23 7:00
■メンバー(計3名)
 CL久光 SL丸山 鶴田

■集合・交通
 鶴田:狭山ヶ丘駅6:20集合
 久光車で青梅市内の合流場所まで約40分
 丸山:青梅市内の合流場所7:10集合
 丸山車で倉沢谷本谷入渓点まで約45分

■行程
  8:30 駐車スペース
  8:40 入渓点
 12:00 長尾沢出合
 15:00 仕事道出合
 16:30 駐車スペース
 ※コースタイムは「奥多摩・大菩薩・高尾の谷123」p.50、p54及び山と高原地図を参考にした。

■エスケープルート
 長尾谷出合まで:平行する林道へ上がる
 長尾谷:棒杭尾根から林道へ

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「日原」
 遡行図:「奥多摩・大菩薩・高尾の谷123」p.50、p54

■共同装備
 ツェルト(アルファ)
 救急箱(エーデルワイス)
 8.6mm×30mロープ
 お助け紐
 アッセンダー

■遭難対策費
 100円×3人
 計300円

■備考
 東京 日の出(7/22) 4:41
 東京 日の入(7/22)18:54
 青梅警察署 03-3581-0110

倉沢谷本谷・長尾谷遡行記録
■作成: 久光
■日程: 2018/7/22(日)
■山域: 奥多摩
■天候: 晴後曇
■メンバー: CL久光 SL丸山 鶴田

■行動記録
8:40 駐車地点発(予定8:30)
9:44 入渓点(予定8:40)
12:48 穴あき堰堤(遡行終了)
13:02 林道
13:31 長尾谷入渓点(予定12:00)
14:17 仕事道出合(遡行終了)(予定15:00)
15:10 倉沢鍾乳洞
17:19 駐車地点着(予定16:30)

■概要
・林道から沢への下降で失敗し、盛大に時間をロスした。
・倉沢谷は泳げる釜が多い。
・倉沢谷で遡行価値があるのは穴空き堰堤まで。
・長尾谷下部は小滝が数個あるだけの平凡な沢。
・途中長尾谷を作業道の朽ちた木橋が横切るが、左岸側の道をたどると沢沿いに入渓点へ戻れる。

■記録
今回は丸山車と久光車の二台を出し、久光・鶴田は途中で丸山車に乗り換えた。
久光車は6:20に狭山ヶ丘駅で鶴田を拾い、7:10に青梅市内某所の市営駐車場で丸山車と合流。ここで丸山車に全員乗り換え、入渓点に向かう

林道入口の駐車スペースは埋まっていたので、少し先の広くなっている場所に駐車。

遡行図では「最初の切通しより沢床に降りる」と書かれている。記述に従い、林道の切通しから小尾根を下る、それらしき踏み跡に入った。しかし、踏み跡は次第に薄くなり、傾斜も急になったため、懸垂下降を決定。10mほどの垂壁の懸垂となった。更に久光は油断からATCを落下させ、半マストでの下降を強いられる。散々な入渓となってしまった。
下り立った入渓点はマイモーズの悪場の200mほど上流。手始めに正しい入渓点を探りに、マイモーズの悪場手前まで下流を見に行く。入渓点下流は両岸の切り立ったゴルジュで、幽玄な雰囲気がある。正しい入渓点は恐らくその先の、沢と林道が近接する付近だと思われる。林道のガードレールから下る踏み跡を確認した。

気を取り直して遡行開始。倉沢谷は、前情報通り水量が多い。滝は1~2m程度の小滝でも大きな釜を持ち、直登するには泳いで取りつく必要がある。開始間もないところで、キャニオニングツアーの一行とすれ違った。マイモーズの悪場を下るらしい。あれはあれで楽しそう。
倉沢谷本谷全体を通じて、水量は多いものの水流は強くない。登攀も精々III程度であり、特に問題となるようなところはなかった。途中、「奥多摩・大菩薩の谷ルート123」では巻くことになっているいくつかの滝でも直登で突破。ここは鶴田のみお助け紐で確保した。上流に鍾乳洞があるためか、さほど標高は上がらないのに、遡るにつれて水が冷たくなる。

下部に水抜用の穴の空いた特徴的な堰堤は、穴を潜って越えることができる。丸山君曰く、スリット堰堤の走りか。
遡行図によれば、ここから上流はしばらくの間平凡らしい。時間短縮のため、並走する林道に上がって巻くことにする。林道から見る谷は、特になにもない上に倒木だらけで、ショートカットは正解だったようだ。

沢沿いの林道は、魚留滝付近から廃道になる。林道からは魚留滝とその上流がのぞける。魚留滝は豪壮な直瀑で、突破は困難そう。その先も登攀困難な滝と深いゴルジュの険悪な渓相が垣間見える。
廃林道から見る下流左岸の側壁は石灰岩の岩壁で、ところどころボルトが打たれていたりスリングが残置されている。どうやらクライマーによって開拓されつつあるらしい。

林道は滝を巻き終わると徐々に沢床に近づく。地蔵橋を過ぎると徒歩道になり、さらに沢沿いを遡上する。都心で35度の猛暑に加え、ウェットスーツの我々はとにかく暑いので、遡行図の入渓点よりは手前の適当なところで入渓した。

入渓直後、徒歩道直下に遡行図にない4m滝が現れる。これは岩が脆く、登攀も下部と比べればやや厳しめ(III+程度)。丸山が先行し、鶴田・久光は念のためお助けをもらった。
その後はたまに滝が現れる程度で、特筆することのない渓相が続く。水量も少なく、あまり楽しい沢ではない。完全遡行すれば、面白みの割に標高差が激しく辛そうなので、やる気を失った我々は、途中に仕事道が横切る崩れた橋からエスケープすることとする。

仕事道は、一見右岸と左岸どちらが下界に通じているか分かりづらい。実際のところ左岸が正解である。しばらく尾根を下った後長尾谷に下り、沢を渡って右岸をトラバース気味に下ると入渓点に戻る。登りも途中まで直近を道が並走していた算段になるが、沢からは見えず気づかなかった。

相変わらずの猛暑の中、林道をひたすら下る。途中寄り道も挟み、駐車地点帰着は17:19。久光車で帰路についた。なお入渓時見逃してしまった入渓点について、疑わしい点を再度車上から確認したが見当たらず。結局どこから川に下るのが正解かはわからずじまいだった。

※滝名は「奥多摩・大菩薩の谷ルート123」に従う。ただし同書未記載のものは久光がつけた。

■反省・備考
・ATC落下は問題。偶然回収できたからよかったが、紛失はクリティカルな事態につながりかねない。気の緩みからATCをカラビナから外して持ったことで落下につながった。ATCはカラビナから常に外さず持つことを再徹底したい。一方、半マスト懸垂の有用さを実感した。こうした非常時対応のためにも、改めて半マストによる懸垂は、できるようにはしておきたいものである。

■感想
・倉沢谷は水量豊富の上、これといった難しいところもないため、初心者~初級者連れの真夏の水遊びにはうってつけの沢。
・長尾谷は部分遡行となってしまったが、遡行した部分については少なくとも平凡であまり面白みはなかった。倉沢谷に繋げるのであればよいが、わざわざ訪れるほどではないだろう。