2018/8/12 由布川渓谷遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
由布川渓谷遡行計画書 ver. 1.0
作成者:丸山
■日程 8/12(日)(荒天の場合延期、前日判断)
■山域 由布
■在京本部設置要請日時 2018/8/12 20:00
■捜索要請日時 2018/8/13 10:00
■メンバー(計3名)
CL丸山 SL木口 迫野
■集合・交通
前日夜に入渓点附近で前泊
■行程(予定時間)
田代橋-7時間-階段のある堰堤(遡行終了)-40-田代橋
■エスケープルート
引き返すか、途中の階段から公道に上がる
■地図・遡行図
2.5万分一地形図 「小野屋」
山と高原地図:なし
遡行図:九州の沢と源流 p.366-368
■共同装備
救急箱(苺)
8.6mm×30mロープ(緑)
ハーケン・カム・ナッツ・アブミ
ハンマー(ロカ)
ハンマー(チコ)
アッセンダー
■遭難対策費
100円×3人
計300円
■備考
日の出(8/12)5:34
日の入(8/12)19:06
大分南警察署 (097)542-2131
由布川峡谷下部遡行記録
作成者:丸山
■日程 2018/8/12(日)
■山域 由布岳
■天候 晴れ時々曇り
■メンバー(計3人、敬称略)
CL丸山 SL木口 迫野
■総評
九州三大ゴルジュの1つと言われる由布川峡谷は、なるほど素晴らしいゴルジュであった。技術も装備も気合も足りずに核心部を遡行することはできなかったが、その景観を楽しめただけでも十分充実した一日となった。
■ヤマレコ記録
(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1600597.html)
■時間
8:34 出発
8:38-52 田代橋で入渓準備
9:30 田代大橋下
10:39-11:07 ナメの上流で迫野離脱話し合いおよび待機
13:16 遡行終了、撤退開始(2条1m滝)
14:30 引き返し終了、脱渓
14:48 岡集落に出て行動終了
■ルート概況
・田代橋左岸上方の33.218162, 131.490288附近に車を停められる。
・田代橋脇には階段があって入渓しやすい。
・2条1m滝までの瀞は普通に泳げば突破できるが、防寒は念入りにした方が良い。
・ナメの上流(33.222849, 131.475673)と、古野井路頭首工下流(場所はGPSログ参照)は入出渓可能。後者は由布川の難所のみ楽しみたい場合に有用と思われる。
■行動記録
※遡行図は九州の沢と源流を使用。瀞の長さ等は同書に基づく。
・入渓まで
前日の掛橋谷下降後、翌日の行き先を検討する。相変わらず宮崎方面の予報は悪く、祝子川や尾鈴は諦め、目星をつけていた中で行けそうな、由布川とする。難易度の高い沢なので撤退前提の計画として、五木村から大移動。近くの神社(意外とトイレ・水道あり)の駐車場で前泊し、少し移動して田代橋左岸の少し上がったところに車を停め、準備をして、田代橋から入渓。
・美しいナメまで
入渓するといきなり深い瀞があって、早速泳ぎを要求される。大して綺麗でもない水に浸かって泳ぐが、側壁にホールドも乏しく、純粋な泳ぎとなる。数十mの泳ぎでゴーロとなりホッとするが、少し進むとまた瀞泳ぎとなり、この先もゴーロ歩きと瀞泳ぎとが交互に繰り返される。峡谷とは言えども、まわりが棚田だらけであることから想像されるように、人臭い沢であり、堰や導水路、梯子などが散見される。もちろんゴミも多い。田代大橋をくぐっても暫くはこのような渓相であったが、不意に川幅が広くなってナメが現れ、つかの間の癒しの景観。深い峡谷の中に現れるこのナメ、房総の沢のような美しさである。
・迫野の離脱
パーティ中で最も泳ぎが苦手な迫野は40m程度の瀞泳ぎでも限界のようであり、この先に待ち受けるという200mの泳ぎには自信がないとのこと。そんな折、房総のようなナメを越えてすぐの所で右岸に階段を発見。話し合った結果、ここから迫野のみエスケープを試みることに。ここは携帯が圏内なので、迫野が舗装路に出てエスケープに成功してから丸山と木口が出発することにして、エスケープ開始。車の鍵の受け渡しを忘れそうになるというトラブルはあったが、無事に迫野は舗装路に出て、丸山・木口は再出発。
・古野井路頭首工まで
木口が苦手とする突っ張りでの急流突破も無事にこなし、また泳ぎをこなしていくと、幽玄な雰囲気さえ漂う導水路が見えてくる。人為と自然の融合による見事な景観であり、しかもちょっとしたトンネル気分で通るのも楽しい。この導水路は今は使われていないようだが、その上流にある「古野井路頭首工」は現役のようで、H15年に整備されたばかりらしい。ここは現役施設なのでエスケープ路が近くにありそうだと目星をつけておく。
・撤退決定まで
古野井路頭首工を越えると、多少の瀞やゴーロを越えて、右から宗津川が出合う。まったくツルツルの滝として出合っていて、エスケープになど使えそうにない。さらに進んでいくといよいよ沢幅は狭まり、長そうな瀞が出てくる。泳ぎ始めてみると、どうやらこれが200m+100mの泳ぎのようで、途中流木などで休めるポイントはあるものの、本当に長い。先頭をきってくれる木口を何とか追ってクリアしたが、随分疲れたし、冷えた。しかしこのあたりから側壁はいよいよ高まり、景観の奇特さは絶頂に達する。写真を撮ろうとするが、レンズが曇ったりしてうまく撮れないので残念。側壁から落ちる滝を浴びながら進んでいくと、遂に本流で最初の滝(2条1m)が現れる。過去の多くの遡行記録では滝の中央に架かる倒木を利用して突破しているが、最新の記録にあったように、この倒木はなくなっている。水量も多く、突破できない可能性は高そうだが、とりあえず丸山がロープを付けてトライ。滝下までは辿り着いたがホールドはなく、浮力も足りず溺れそうになるし、寒いし、既にいい景色を見たので、今回はここまでとして撤退決定。
・撤退
往路で苦労した長い瀞も、下りならば順流なのでだいぶ楽である。景色を見て癒やされながら難なく下って、目星を付けていた古野井路頭首工まで戻ると、やはりその下流側右岸に径路を発見。脱渓すると、急に熱風が吹き抜け、夏の九州の暑さを思い知る。この径路はよく整備されており、安全に岡集落へと出た。ここで、先に脱渓して車を回収してくれていた迫野の迎えを待った。
・下山後
僅か100円で別府温泉に入って、スーパーでアイスを買って食べてから、有名店で別府冷麺を食べて幸せに過ごした。その後、翌日の宮崎は降らない予報だったので、丸木谷入渓点へ移動。
■備考・感想
・沢中での人との遭遇なし。
・由布川峡谷の狭さ、深さはまさに異世界である。遡行できなくても、見ることができてよかった。
・噂通り水は濁っていて綺麗ではない。しかし、前日の掛橋谷もずいぶんと濁っていたので、それほど気にならなかった。それほど臭くはない。
・思ったよりも入出渓のできるポイントは多かった。ただし、やはり核心部には存在しない。
・荷物を背負っていると泳ぎづらい。
・泳ぎに関しては水泳部出身が頼りになった。
・倒木がなくなった2条1m滝は倒木がなくても突破した記録があり、どうにかなる模様。ハンマー投げやショルダーをを試してみるという手はあったが、既に体が冷えていたのでしなかった。
・動物の多い沢。蛙やサワガニをやたらと見かけた。ヤマカガシや亀も見られたし、マムシがいるという話もある。
・ヤマビルなし。
・(2条1m滝までは)フェルトソール推奨。ラバーソールの場合ゴーロ歩きで滑りやすいが、問題になるほどではない。
・やや増水していた模様。
・防水化していた荷物も、携帯電話を除き全て水没した。ヘッドライトも水没したが、乾かすと直ったので良かった。
■反省
・装備も実力も不足していた。具体的には、PFD(ライフジャケット)、フローティングロープ、保温性の高いウェットがあるべき。とはいえ撤退前提の計画だったので悔いはない。いつの日か、装備を整え、実力もつけてからまた挑戦してみたいと思う。