2018/9/14 白谷川中流遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
白谷川中流遡行計画書 ver.1.0
作成者:丸山

■日程 2018年9月14日
■山域 屋久島
■在京本部設置要請日時 当日 20:00
■捜索要請日時 翌日 10:00
■メンバー(3名)
 CL丸山 SL迫野 谷口

■アプローチ
 とまり木よりレンタカーで羽神の滝歩道入り口へ

■帰り
 誰かに白谷雲水峡まで迎えに来てもらう

■行程(予定時間)
  7:00 入山
  7:30 羽神の滝
 8:00 白谷川入渓
 11:00 廊下
 17:00 白谷雲水峡
 (計10:00)
 (https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-566030.html)

■エスケープルート
 引き返すか、左岸の県道に詰める

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「屋久宮之浦」「宮之浦岳」
 山と高原地図「屋久島」
 遡行図:なし

■共同装備
 救急箱(有紗)
 8.6mm×30mロープ
 アッセンダー

■遭難対策費
 100円×3人
 計300円

■備考
 日の出(9/14)6:02
 日の入(9/14)18:26
 屋久島警察署 0997-46-2110

白谷川中流遡行記録
作成者:丸山
■日程 2018/9/14(金)
■山域 屋久島
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計3人、敬称略)
 CL丸山 谷口 SL迫野

■総評
 日帰りで屋久島の沢の中流部の良さを満喫できる秀渓。直登できる滝が少ない点と中間部の長いゴーロが残念だが、屋久島らしい大滝を見、花崗岩ゴルジュを突破し、屋久杉の倒木更新も実感できる。今回は増水により遡行難度が上がり、水の怖さを思い知ったが、結果論としては、いい経験になったと思う。

■ヤマレコ記録
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1600567.html)

■時間(括弧内は予定時間)
  7:00 出発
  7:10 林道終点
  7:40-48 羽神の滝下
  8:00-09 羽神の滝支流合流点(入渓準備)
 10:21-11:40 「廊下」
 13:30 430m支流合流点
 15:54 遡行終了(白谷雲水峡入口)

■行動記録(敬称略)
 ※滝の落差等は作成した遡行図に基づく。
・入渓まで
 白谷雲水峡へ向かう県道から目立たない脇道へ入り、少し進むと道に土嚢が置いてあって、車では進めない。土嚢をどければ進めそうだが、それも面倒なので、ここで車を降り、出発準備。10分ほど急な登り坂の舗装林道を歩くと、林道終点に至り、ここからピンクテープの豊富な山径が延びている。これを辿ること20分ほどで羽神の滝の下流に出る。今回は羽神の滝も観瀑したかったので、ここから10分ほど沢沿いの径路を登って、羽神の滝の下に至る。滝の上部に県道の橋が見えるのが興醒めだが、かなり立派な直瀑であり、増水していることもあって、なかなかの見応えである。登れそうには見えない。しばし観瀑後、10分強の下りで白谷川出合。ここで入渓準備。
・核心部手前まで
 増水した白谷川は流石の大水量、大迫力。入渓してすぐから釜や滝が続き、最初から面白い。泳いで直登できる滝もあるが、のっぺりした花崗岩で登れない滝が多く、それらは巻く。ゴルジュではないので容易に巻ける。この連瀑帯(地形図の1つ目の滝記号)が終わるとゴーロとなるが、巨岩帯で面倒そうなうえ、岩陰に現役の蜂の巣があって危険そうなので、手前の滝と一緒に右岸から巻く。少し先で岩が小さくなったゴーロに降り、左岸から入る支流を見送ると、地形図の2つ目の滝記号の附近だが、顕著な滝はない。5mほどのナメ滝を、右をへつって越える。この先も小滝や瀞が飽きることなく続き、緊張感をもって楽しめる。
・「最初の難所」
 遡行開始から2時間で、屋久島遡行人さんhttp://sokoujin.blog90.fc2.com/blog-entry-112.html)の言う「最初の難所」に至る。と書いたが、遡行時はここがその場所だと認識していたわけではない。ここはジャンプで渡渉するのが通常らしいが、遡行時は増水により川幅が広く、水勢も強くなっていたため、左岸側を泳いで突破しようと考える。まずは丸山がお助け紐をつけ、泳いで突破しようとする。激しい水流により流されそうになり、危険を感じるが、お助け紐の効果もあってか、見えない水中にあったスタンスに足が乗り、止まった。一安心し、水流を見極めてそこから再度トライすると、何とか突破に成功。続いて谷口の番。丸山がお助け紐で確保し、丸山が乗ったスタンスに乗ってから突破しようとしたが、スタンスに乗れず、激しい水流に飲み込まれる。お助け紐による確保では止めきれず、4mほど流されて、落ち込みの白泡帯で止まったが、水流が激しく、谷口は体勢を立直すことが出来ない。上流からお助け紐で確保している丸山も引き上げることは出来ず、事態のまずさを暫く経ってから漸く把握した迫野が横から投げたロープも使い、何とか谷口は陸に上が�ることが出来た。谷口は戦意喪失し、ここは谷口・迫野は左岸巻きを選択。結構高い巻きで、谷口の萎えもあって時間がかかったが、ともかくも何とかなり、核心の廊下の上部まで巻いた。
・「廊下」
 屋久島遡行人さんの記録でこの沢の核心とされる場所。同記録では「最初の難所」から30分と書かれているが、実際にはすぐ上流であった。「最初の難所」を泳いで突破した丸山は、飛び石で渡渉して右岸に移り、そのままへつっていくと、「廊下」に至る。長い泳ぎを想定していたが、意外と浅い場所があり、それほど泳ぐ必要はない。廊下の上流側で左岸はスラブ状となり、迫野・谷口は巻き続けることが出来ないと判断して、懸垂下降で廊下に降りてきてもらうことにして、暫し待つ。待ちくたびれた頃2人が上部に現れ、懸垂下降を指示。下降後すぐに泳ぐ必要がある難易度高めの懸垂下降であり、ロープがもつれて時間がかかったが、無事成功。いよいよ廊下の突破に入る。先程の待ち時間に丸山は下見しておいたので、迷うことなく右岸のポットホールを目指して泳ぎ、そこからへつり気味に登る。最難関だと身構えていたからか、意外と難しくなく感じ、あっさり突破。とはいえ谷口には難しかったようで、お助け紐を出した。
・ゴーロ帯まで
 廊下を突破してすぐに2段7m滝を左から巻くと、開けた明るい場所があって、美しい釜もあって癒やしの景観。ここでしばしの休憩。その先2つの小滝を左から巻くと、入渓からずっと続いた高遡行価値区間が終わりで、ゴーロが始まる。これが長い。屋久島らしい巨岩ゴーロなのでただのゴーロよりも多少は面白いが、1時間以上も続いて嫌になってくる。屋久島遡行人さんが「間違っても登ろうとしてはいけません。」と書いている岩間5m滝は、無意識のうちに巻いて通過していた。
・白谷雲水峡まで
 460m附近まで来ると、ゴーロは終わり、また遡行価値が高くなってくる。泳ぎを交えつつ、1m多条滝、4mCS滝をまとめて左から巻き、1m滝を越えると、「ミニ高千穂峡」のゴルジュが出てきて、泳いで越えると、落口の倒木更新が特徴的な14m滝。屋久島遡行人さんの記録によると、右岸壁を登ればこの沢第2の難所となるようだが、快適に登れそうでもないので左岸から大きめに巻いた(容易)。その後も広めのゴルジュっぽい渓相が続き、1.5mCS滝を右から越えて、10m滝を右から巻く。さらに8m滝と2段12m滝をまとめて左から巻くと、また少し平凡になる。最後にまた滝場が出てきて、8mほどの斜瀑が2つあるが、平水なら直登できるらしいものの、今回は増水により巻いた。程なくして県道の橋が見え、ほっとして進み、そのまま橋を潜って白谷雲水峡入口で遡行終了。

■備考
・道の土嚢をどければ林道終点まで車で入れる。
・ラバーソール推奨。
・羽神滝への径路上にはヤマビルが出た。

■感想
・中間部の長いゴーロが残念。
・前々日までの長雨により増水し、遡行がやや難しくなっていたように感じたが、それでも核心部を越えられたので嬉しかった。ただ、直登できるはずの滝が出来なくなっていたので、その点は残念。
・今回の遡行区間より下流も面白いらしいので、そのうち行ってみたい。
・谷口「あのテンションで核心にぶち当たった絶望感。その後続いたゴーロの安心感。」

■コメント
・谷口はウェットスーツ無しで寒そうだったし、流されもしたが、よく頑張ってくれたと思う。ウェットスーツは購入したほうが良い。
・送迎してくれた東大生研の太田・鳥井に感謝。

■反省
・「最初の難所」をどう処理すべきだったかは難しい。左岸を泳いで突破するなら、水流が強い部分は飛び越えるのが良かったかもしれない。ロープの固定をするのが最も安全だったと思われるが、ハーケンを打てる場所もなく、状況的には厳しかった。
・お助け紐に関して、肩絡みビレイだとロープが流れた場合に首に擦れる可能性が高いこと、人が水流に飲み込まれた場合は止めることができないことを認識しておくべき。今回、お助け紐が擦れて丸山の首には擦り傷ができてしまった。