2018/9/23 鶏冠谷左俣遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
鶏冠谷左俣遡行計画書  ver.1.0
作成者:丸山

■日程 2018年9月23日
■山域 奥秩父
■在京本部設置要請日時 当日 20:00
■捜索要請日時 翌日 10:00
■メンバー(4名)
 CL丸山 SL山本 橋本 久光

■アプローチ
 丸山車で西沢渓谷駐車場へ行き前泊
 (テント:ゴアライト2人+車中泊2人)

■行程(予定時間)
  5:30 西沢渓谷駐車場出発
  6:10 鶏冠谷出合
  8:40 二俣
 10:40 三ノ沢出合
 12:10 鶏冠尾根
 16:10 鶏冠谷出合
 16:50 西沢渓谷駐車場帰着
 (計11:20)
 コースタイムは東京起点120に従った。余裕があると思われる。

■エスケープルート
 一ノ沢出合まで:引き返す
 鶏冠尾根に上がるまで:左岸尾根に詰めて二俣へ下降して引き返すか、そのまま進む
 鶏冠尾根上:そのまま進むか、甲武信小屋へ
 それ以降:そのまま進む

■地図・遡行図
 2万5千分1地形図「金峰山」
 山と高原地図「金峰山・甲武信」
 遡行図:東京起点120 p.183,185

■共同装備
 救急箱(苺)
 8.6mm×30mロープ
 アッセンダー
 ハンマー
 ハーケン・カム・ナッツ

■遭難対策費
 100円×4人
 計400円

■備考
 日の出(9/23)5:33
 日の入(9/23)17:42
 日下部警察署 0553-22-0110

鶏冠谷左俣遡行・鶏冠尾根下降記録
作成者:丸山

■日程 2018/9/23(日)
■山域 奥秩父
■天候 曇り
■メンバー(4人、敬称略)
 CL丸山(35/M2)、SL山本(37/B4)、久光(34/OB)、橋本(40/B1)

■総評
 高く評価されることが多い沢だが、屋久島から帰った直後に行ったため、沢のスケールや美しさには満足できなかった。しかし登れる滝はそれなりにあって、鶏冠尾根の岩稜は面白く、やや長い詰めや下山にも手応えがあり、満腹感のある山行となった。

■ヤマレコ記録
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1600639.html)

■時間(括弧内は予定時間)
  5:35 (5:30) 西沢渓谷駐車場出発
  6:21 (6:10) 鶏冠谷出合
  8:12 (8:40) 二俣
  8:47-10:43 3段15m滝の登攀 
 11:03 (10:40) 三ノ沢出合
 12:43 (12:10) 鶏冠尾根
 16:55 (16:10) 鶏冠谷出合
 17:39 (16:50) 西沢渓谷駐車場帰着

■行動記録(敬称略)
 ※遡行図は東京起点120を使用。滝の落差・表記も同書に基づく。
・前泊まで
 中央線のダイヤが乱れていて相模湖駅での集合が遅れるというトラブルはあったが、夜なので道も空いていて、23:20に西沢渓谷駐車場に着、テントを立てて就寝。
・入渓まで
 何時に起床したのか忘れたが、まだ薄暗い中準備して、出発。もう歩き慣れた道を、東沢渓谷入口まで歩く。東沢渓谷に入ると流路が変わっており、川原を鶏冠谷出合まで歩いて行くことが出来なくなっていたので、その場で入渓準備。2度ほど東沢を渡渉すると、鶏冠谷出合。
・二俣まで
 二俣までは、丸山と久光は2016年に右俣を遡行したときにも通っている。前回右壁を苦労して直登した魚止滝は、今回左から登れないかと取り付いてみたが無理で、左岸から巻いた。その後暫くゴーロが続き退屈するが、2段ナメ滝からは渓相が良くなり、屋久島と比べてはいけないが、それなりである。3段12m(III+)や10×20m逆くの字滝(IIIA0)をフリーで越えて、失敗すると全身濡れそうな4×6m滝を微妙なへつり(IV)で突破する(橋本と山本は右岸から巻いた)と、二俣である。
・一ノ沢出合まで
 最初の12m滝は水流左を快適に直登(III)、続く7m滝は遡行図では左岸から巻くことになっているが、直登したかもしれない(忘れた)。次の10m滝はガレで埋まって小さくなったようで、水流左から軽く越える。スライダー状10mは、滑りやすいが右壁にホールドが豊富で、残置ハーケンはあったものの、フリーで登る(III+)。程なくして一ノ沢出合。
・3段15m滝
 一ノ沢出合の本流側にあるのは、左俣のハイライトとされる3段15m滝。直登例もあるし、残置もあるし、登れそうだし、時間にもまだ余裕があるので、丸山リードで取り付いてみる。右から取り付いて、残置ハーケンで支点を取ってから頑張って濡れないようにして水流横断し、少し登ると草付きとなるが、岩が脆いし草も抜けるので厳しい(IV)。古そうな残置で支点をとりつつじりじりと上がって、安定した立木まで上がってからピッチを切る。難しいため、後続も上がるのに時間がかかる。2ピッチ目はここからトラバースして滝の落口に向かうピッチで、ここは久光がリード。このピッチの難所はルンゼ越えで、III+程度だが、岩が脆く恐怖感がある。ロープをフィックスしてから橋本・山本を通過させ、最後に丸山が通過。結局、この滝に4人で2時間近くかかってしまった。
・詰めまで
 これでこの沢の核心は終わりで、あとはナメや小滝があるだけである。いずれも簡単に(III以下)登れたり、悩むことなく巻けたりするものばかりで、二ノ沢や三ノ沢を分けつつ順調に遡行していける。屋久島と比べてしまうとどうにもならないが、それなりに綺麗で、悪くはない沢である。四ノ沢出合が近づくとミニゴルジュとなり、直登できないCS3m滝が出てきて左岸を小さく巻く(III)。四ノ沢出合で、どちらに進もうかと悩むが、とりあえず適当に進んでいたら、地形的に四ノ沢方面へ行くのは難しくなってしまい、流れで本流へ。かなり冷たくなってきた水を避けるようにして樋状の連瀑帯を登っていくと次第に水はなくなり、詰めの様相。しかし、鶏冠尾根は遠い(標高差200m)。最初はただの森だが、尾根が近くなるとシャクナゲの激藪となり、かなり疲れてきた頃、漸く鶏冠尾根に出る。
・鶏冠尾根
 ここから尾根を適当に下っていくと、地形図の鶏冠山ピーク(2115)を経て、第3岩峰ピークに至る。ここは眺めが良く、東沢渓谷の沢がいろいろと見渡せて、遡行意欲が増す。鶏冠尾根の岩稜が始まるのはここからで、手始めに懸垂下降ポイントが出てくる。丸山はクライムダウンしたが(III+?)、ここは沢と比べて高度感のある稜線であり、恐怖心をもった3人は懸垂下降。30mロープ1ピッチでちょうどだったが、最初は届かないのではないかと疑心暗鬼になって、必要以上に時間がかかった。この先も高度感のある鎖場など、岩稜らしさが楽しめ、景色もずっと良いので、いい気分になる。しかしそれも長くは続かず、暫くすると樹林帯の下りに入る。これも随分長く、飽き飽きした頃、漸く鶏冠谷の最下部に出て、少しだけ下ると、鶏冠谷出合に戻った。
・下山
 ここからは歩き慣れたところである。想像以上にきつかった今日の山行を反芻しつつ、夕闇迫る遊歩道をのんびり歩いて、駐車場に戻った。
・下山後
 丸山がザックを車に積み忘れて出発しそうになるというトラブルがあったが、親切なご指摘により難を逃れ、夕食のために花かげの湯に併設の食事処「はくさい」へ。米炊き中らしく時間がかかると言われ、どうしようかと悩むが待つことにして、富士山丼なる巨大な天丼を注文。4人でシェアして食べたが、ネタ性もあるし美味しくてなかなか良かった。この後、翌日の四十八滝沢に参加しない山本とは初狩駅で別れて、オギノ、おかじまと2軒のスーパーを梯子。翌日の朝食と行動食を買うためであったが、特におかじまは半額より安い値引き品が多く、素晴らしかった。ついつい要らない寿司まで買ってしまい、デザート(?)としてその場で食べる。それから泰安温泉という銭湯に行ったが、銭湯としては珍しく学生割引があり、僅か350円で入浴できて満足。さらにウエルシアに行ってアイスを買い食い。やはり風呂上がりのアイスは最高。その後適当な空き地へ行き、就寝。

■備考
・ヤマビルなし。
・フェルトソールのほうが良さそうな場所とラバーソールのほうが良さそうな場所がある。それほど厳しい登攀もないのでどちらでも良さそう。
・鶏冠谷左俣四ノ沢について、日本登山大系8では1830二俣の右俣(左岸)を四ノ沢としているが、奥秩父・両神の滝100ルートでは左俣(右岸)を四ノ沢としている。見た目上本流らしいのは左俣であり、登山大系のほうが古い資料であることから、本記録では右俣を四ノ沢とした。
・鶏冠尾根で道に迷っているおじさんと遭遇した。道でないところに貼ってあるマーキングがあり、これに惑わされたらしい。鶏冠尾根は非常にマーキングが多く頼りになるが、無条件に信じ込むのは危険である。

■感想
・鶏冠尾根の岩稜は面白いが、その後の下山が長い。
・5年に一度くらいのペースで通って一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢もそのうち行ってみたい。
・多少増水していたようだが問題はなかった。
・おかじまと泰安温泉が良い。

■コメント
 特になし

■反省
・難しい滝を直登したら時間がかかった。今回は何とかなったが、メンバー数が多いときは、特に慎重に判断する必要がある。
・遡行図は毎回描いたほうがいい。振り返りがしにくくなる。
・壁を上から見ると、その高さを過大評価して懸垂下降のロープが足りないのではないかと思うことが多い。すっぽ抜け防止はしているのだから、とりあえず下りれるだけ下りてみるというのも良さそうである。