2018/10/7-8 和名倉沢遡行・大除沢下降

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
和名倉沢遡行・大除沢下降計画書 ver.1.1
作成者:丸山

■日程 2018/10/7(日)-10/8(月) 前泊1泊2日予備日なし
■山域 奥秩父
■在京本部設置要請日時 10/8 19:00
■捜索要請日時 10/9 9:00
■メンバー(計4名)
 CL丸山 SL久光 山本 橋本

■集合
 10/22(土) 22:30 荒川ふれあいログハウス駐車場

■交通
□往路
 久光・山本:久光車で荒川ふれあいログハウス駐車場へ
 丸山・橋本:丸山車で荒川ふれあいログハウス駐車場へ
 久光車を大除沢不動滝駐車スペースにデポし、丸山車で三峰観光道路分岐駐車スペースへ
□復路
 久光車で三峰観光道路分岐駐車スペースへ
 適宜久光車・丸山車に分乗して帰宅

■行程
 三峰観光道路分岐駐車スペース-10-入渓点-210-通らず-70-船小屋窪出合-240(この間で幕営)-二瀬尾根-240-1150m二俣-150-F2の上-30-不動滝下-20-大除沢不動滝駐車スペース
 (計16:10)

■エスケープルート
 引き返すか、そのまま進むか、二瀬尾根のエアリア破線路で下山

■遡行図
□和名倉沢
 東京起点120 p.157
 奥秩父の谷100 p.104-108
□大除沢
 奥秩父の谷100 p.148

■共同装備
 ステラ(本体)
 ステラ(フライ・ポール)
 救急箱(有紗)
 8.6mm×45mロープ
 8.6mm×30mロープ
 ヘッド2(緑1・4)
 カート2
 鍋(竹・小竹)
 調理器具セット(ガジャ・マダ)
 着火剤
 ハーケン
 ハンマー×2
 カム

■遭難対策費
 200円×4人

■備考
 日の入(10/7) 17:21
 日の出(10/8) 5:45
 秩父警察署 0494-24-0110

和名倉沢遡行・大除沢下降記録
作成者:丸山

■日程 2018/10/7(日)-8(月)
■山域 奥秩父
■天候 7日晴れ、8日霧後曇り
■メンバー・オーダー(4人、敬称略)
SL久光(34/OB)、橋本(40/B1)、山本(37/B4)、CL丸山(35/M2)
※オーダーは適宜変更

■総評
丸山、山本、橋本にとって初の泊り沢だったが、難易度と遡行価値の見積もりを誤った結果、渋い山行となった。しかし、経験としては行ってよかったと思えるし、充実度は高かった。端的に言うと、和名倉沢は期待して行くと残念な沢、大除沢は期待しないで行くと面白い沢。

■ヤマレコ記録
(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1611173.html)

■時間
□10/7
7:10 出発
7:40 入渓
11:15 通らず下
12:50 船小屋窪出合
16:32 1470m枝沢出合(幕営)
□10/8
6:30 出発
8:48 二瀬尾根登山道に出る
9:36 二瀬尾根登山道を離れる
10:39 大除沢本流に出る
12:28 1100m二俣
15:03 F2の上
15:35 不動滝下
16:14 大除沢不動滝駐車スペース
(計画書の予定:三峰観光道路分岐駐車スペース-10-入渓点-210-通らず-70-船小屋窪出合-240(この間で幕営)-二瀬尾根-240-1150m二俣-150-F2の上-30-不動滝下-20-大除沢不動滝駐車スペース)
(※1150m二俣は、1100m二俣の誤り。奥秩父の谷100の遡行図には誤りが多い)

■行動記録(敬称略)
※遡行図を作成した。滝の落差等はその遡行図に基づく。
・入渓まで
影森のベルクで集合・買い出し後、秩父湖畔の空地で前泊。起床後久光車を大除沢不動滝入口に置き、雲取林道分岐点へ丸山車で移動。出発後、九十九折れの径路を歩いて吊橋へ向かうが、1か所分かりにくいところがあった。吊橋に着くと、「立入危険」とロープが張ってある。しかし川まで降りるのも大変だし、吊橋もそれほど危険そうではないので、1人ずつ慎重に渡る。その先明瞭な径路を進んでいくと、だんだん沢が近づいてきて、径路が沢を新しい単管パイプの橋で渡る所で入渓。この径路は通らずへ続いているらしい。こんな新しい橋を架けるなら、吊橋の方を補修すればいいのにと思う。
・通らずまで
入渓すると暫くは平凡だが、少しして小滝が出てくる。割合快適に越えられるが、山本が水筒を落として回収不能になるというトラブルがあった。2:1で右から石津窪が入ると、弁天滝9mがあり、これは登れそうもなくて右から巻く。容易。その先凡流となり、あるのは岩間5m滝程度。飽き始めた頃に6m滝から始まるゴルジュがあるが、この滝も難しそうなので登らず、右巻き。巻き道はそこそこしっかりしている。ここから暫くは和名倉沢でも良いところで、綺麗な段瀑で出合う氷谷や、登れるナメ滝・小滝があって楽しめる。しかし、それも30分程度で終わり、今度は30分程度の凡流となる。右岸から、巨大なガレも流入する。左岸からワサビ沢が出合うと、すぐに通らずが見えてくる。
・大滝まで
通らずは最初の滝が登れれば直登可能ということで、丸山・久光が取り付いていろいろ試したが結局増水のため登れず、巻きに転換。時間を浪費した。この巻きはかなり長く大きい巻きで、途中悪いところもあり、お助け紐を使いながら慎重に巻いた。巻き終わると大滝の下だったが、思ったより小さく残念。23mくらいだろうか。とはいえ増水していることもあって迫力は十分である。これを直登した記録(「その空の下で」)もあるが、そんな無謀なことをする気もないので、さっさと巻きにかかる。これまたかなりの大巻きとなるが、巻き道は割と明瞭で巻きやすい。
・多段8m滝まで
大滝を巻き終わると、次の10m滝までは思ったよりも近かった。この滝、左岸に屹立する岩がちょっとかっこいい。しかしこれもまた登れないので、右岸から巻きにかかるが、随分な高巻きになる上、踏み跡も不明瞭である。最後には安全を期して1Pの懸垂下降で沢床に戻った。これで巻きが面倒な滝も一旦収まり、登れる小滝が続くようになって、多少は楽しめる。多段8m滝のあるゴルジュは、前衛滝をへつるか小さく巻いて越えると、次の滝に取り付くには泳ぎが必要であった。ここで泳ぐ気はないので、丸山は右岸壁を登ってゴルジュを脱出したが、これが悪かったため、他の3人は前衛滝を下ってから大巻きした。
・幕営地まで
そのすぐ先にある末広がりの9m滝は、残置ロープに導かれて右岸巻き。あまり良くはないが、この沢の巻きとしては面倒ではない方である。この辺りでもう16時が近づき、そろそろ幕営地を決めたいところだったが、翌日の行程も結構長いので進み続け、さらにいくつか小滝を越えてから、東京起点120で紹介されている1470の枝沢出合の地点を幕営地とする。
・就寝まで
既に16時半となっており、もう暗くなるまでの時間はあまりない。早速、テントを立てたり薪を集めたりと慌ただしく動き始める。
最近雨が多かったこともあって、なかなか焚火はつかなかったが、暗くなるころには着火剤の効果もあって、無事に燃え始めた。並行して食当の山本を中心に茄子の味噌炒めと白飯も作られ(焚火ではなくガス火で)、美味しく頂いた。その後は焚火でマシュマロやらソーセージやらを焼いて楽しいひとときを過ごし、就寝。

・詰めまで
朝4時半に起きると、なんだかガスっていてテンションが上がらない。薪は昨日乾かしておいたので比較的はやく焚火がつき、あたりながら朝食のラーメンを食べてゆっくりしていたら、結局出発予定時間より30分遅れてしまい、6:30出発。相変わらず平凡な沢だが、このあたりの標高まで来ると、多少紅葉しており綺麗である。昨日のように面倒な巻きの滝が多いと嫌だなと思っていたが、幸いそういう滝はなく、容易に直登できるか巻ける滝ばかりであった。逆に登り応えが無いとも言える。二俣に至ると苔むすゴーロとなり、詰めに入る。特に藪や急傾斜地などの難所はなかったが、普段より重い荷物でペースは上がらず、1時間ほどかかって漸く二瀬尾根登山道に出る。
・大除沢本流まで
二瀬尾根登山道は所々不明瞭で道を外しかけるが、急峻な地形でもないので適当に歩いていけばまた道に復帰でき、さほど問題にはならない。どこから大除沢に降りるかは未定であったが、時間にそれほど余裕がないので沢を歩く距離が短くなる枝沢を選択。この枝沢を降り始めると、長い涸れゴーロで、落石が多発し危ないため、1人ずつ降りるなどしていたら、結構時間がかかってしまった。特に厳しい滝などはなく本流に降りられたのは良かった。
・1100m二俣まで
大除沢本流に降り立つと、その上流側には3段12m滝があり、ちょっと遡行意欲が出るが、今はそんなことを考えている場合ではない。時間も押しているので沢を下っていくが、クライムダウンも巻きも厳しい滝が2つも連続して出てきて、懸垂下降。こんなのが続くとなると先が思いやられ、久光から右岸枝沢を登って二瀬尾根登山道へエスケープするという案が出る。しかし、ここからの300m近い登り返しにかかる時間や下山場所のまずさ、大除沢の参考タイムが短いことを考慮し、継続しての沢下降を決断。すると沢は急に凡流となって、川原を歩いて急いだこともあって、想定以上に早く1100m二俣に着く。
・沢下降終了まで
二俣から先は、遡行図から想定していたように、この沢の核心である。和名倉沢のように悪い滝の巻きが連続していたら厳しいと思っていたが、そんなことはなく、明瞭な踏み跡や残置ロープに導かれてさくさくと下っていく。滝も心なしか和名倉沢のより美しく、水も綺麗でなかなかである。ここは昔から人が多く入っているようで、古い石積みや炭焼き窯跡が多数みられ、昔に思いを馳せることもできる。一方で、大規模な崩壊地と、そこからのガレに埋まって遡行図とは様子が変わった部分もあり、時の流れが感じられる。そんな調子で下っていくと、だんだん径路らしきものが現れ、これにも心惹かれるが、時間に余裕も出てきたので沢下降を継続。しかし、この径路が左岸に現れ始めたところで、久光・橋本が径路に惹かれ、偵察に行く。が、丸山・山本は沢下降を続けたため、ここでパーティが分離。核心部でもないので、径路で合流できるだろうと適当に進んでしまったが、良くない判断だった。丸山・山本は不動滝の上のF2の上で沢下降終了し、左岸の径路に上がって後続を待ったが、結局久光・橋本も沢下降したようで、後から同じ道筋を辿ってきた。
・下山
この径路は非常に明瞭で、観光地である大除沢不動滝の遊歩道へと導かれる。ここには観光客もいて、もはや山行終了の気分。不動滝を観光して、登れそうとか登れなさそうとかいう沢屋にありがちな議論をした後、遊歩道を歩いて久光車の待つ入口へ戻った。
・下山後
久光車で丸山車を回収しに行き、ここで解散。秩父から帰るときの恒例、荒川のやおよしに寄ったが、あまり目ぼしいものはなかった。

■備考
・ヤマビルなし。
・前週末の台風によるのか、10cm以上は増水していた。これにより登れるはずの滝も登れなくなり、巻きに終始したため面白くない沢になってしまった。増水していないときに遡行し、通らずを突破するほうが楽しめると思う。しかし、それでもあまり遡行価値の高い沢とは思えず、書籍上での高い評価は疑問である。
・川原のある凡流部では、水線よりも川原を歩くと速い。
・フェルトソール推奨。

■感想
・泊りの荷物を背負っても、2日連続で沢が歩けるくらいの体力があることがあることが分かって良かった。
・しかし、沢は日帰りの軽荷でサクサク登るほうが楽しい。日帰りでも行けるところならできるだけ日帰りしたいと思った。
・沢泊は1泊程度ならいいが、2泊もはしたくないと感じた。
・大除沢の滝は全部巻いてしまったが、それなりに面白そうだったので、そのうち日帰りで遡行してみたい。
・おいしそうなキノコがたくさん生えていたが分からないので採らなかった。分かるようになりたい。

■コメント
・橋本は体力的に辛そうだったがよく頑張ってくれたと思う。
・追い込まれた状況でも常に平常心・冷静さを保ちましょう。
・おかずに比して白飯の量が多いかもしれないときは、ふりかけ等を持ってくるのが良さそう。
・物を落とさないように。

■反省
・初の泊り沢としてはやや厳しめだった。難易度の見積もりを誤ったのが原因。
・大除沢下降の最終盤にパーティが分離した。久光が巻道を見に行っただけなのに、丸山が巻道を利用するつもりだと判断して沢下降を続けたのが原因。巻道を探るときや、沢下降を続けるときなど、別行動をするときは予め話しておくことが必要である。